【20260701】米国株式市場 投資研究レポート

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室井のマーケット視点

7月1日の米国市場は、S&P500が-0.22%、Dow30が-0.03%、NASDAQが-0.66%となりました。指数だけを見れば小幅安ですが、市場内部では、前四半期に急上昇したAIハードウェア関連株から、広告、ソフトウェア、金融サービスへ大規模な資金移動が起きています。

この日の特徴は、Micron、KLA、Teradyne、Applied Materials、Lam Researchなど、半導体、メモリー、製造装置関連がそろって大幅に下落したことです。Corning、Lumentum、Coherent、Cienaといった光通信関連や、Vertiv、Comfort Systems USAなどのデータセンター設備関連にも売りが広がりました。

しかし、私はこれをAI需要の成長が止まった動きとは見ていません。これらの企業は前四半期に株価が急騰しており、将来の利益成長をかなり先まで織り込んでいました。新しい四半期に入ったところで利益を確定し、上昇が遅れていた分野へ資金を移す動きが重なったと考える方が自然です。

一方、Metaは+8.81%となり、通信サービス(Communication Services)は+2.61%上昇しました。MetaがAI計算能力を広告事業だけでなく、外部向けクラウドサービスとして収益化する可能性が注目されています。AI相場の評価軸が「設備をどれだけ購入するか」から、「購入した設備を使って、どれだけ利益を生み出せるか」へ移り始めたように感じます。

金融(Financial)も+1.61%上昇しました。Coinbase、Robinhood、Interactive Brokers、S&P Globalなどが買われ、資金は半導体から取引サービス、金融情報、暗号資産関連へ移りました。S&P500へ投資していれば、下落した半導体だけでなく、上昇した通信サービス、金融、生活必需品、ヘルスケアも自動的に保有しています。これが指数投資の分散効果です。

経済指標では、ADP非農業部門雇用者数が9.8万人と予想を下回り、アトランタ連銀GDPNowも+1.2%へ低下しました。一方、ISM製造業景気指数は53.3と50を上回り、製造業は拡大を続けています。米国経済は急速な景気後退ではなく、雇用と成長速度が徐々に減速する段階にあるようです。

雇用指標が弱かったにもかかわらず、米10年国債利回りは4.475%へ上昇しました。これは、FRBがすぐに金融緩和へ転じると市場が確信していないことを示します。高い金利はPER(株価収益率)の高い成長株に厳しく働くため、利益成長が期待に届かない銘柄ほど値動きが大きくなりやすい局面です。

WTI原油先物は68.03ドルへ下落し、VIX指数は16.41にとどまりました。半導体株が急落した割にVIXが大きく上昇しなかった点からも、市場全体への恐怖ではなく、特定分野の利益確定と資金循環だったことが分かります。原油安はエネルギー株には厳しい一方、インフレや企業コストの抑制にはプラスです。

私は個別株の急騰銘柄を追いかけるより、S&P500やNASDAQ100などのETFを通じて、市場内部の資金循環をまとめて保有する方針です。今日のようにAIハードウェアが下落しても、広告、金融、ソフトウェア、生活必需品へ資金が移れば、指数全体の下落は限定されます。個別銘柄では大きな一日でしたが、長期投資家にとっては、米国企業全体の利益成長を確認しながら、市場に居続けることの大切さを再認識する一日でした。

投資は自己責任にてお願いします。

S&P500ヒートマップ

5%以上上昇したS&P500構成銘柄

  • APP:AppLovin Corp.(先端技術) +9.58%
    ソフトウェア株へ資金が戻る流れに加え、Raymond Jamesが直近に「強い買い」で調査を開始したことも買い安心感につながりました。AIを活用した広告配信の高い収益性と、電子商取引向け広告への事業拡大が改めて評価されています。
  • COIN:Coinbase Global, Inc.(金融) +8.93%
    ビットコインなど暗号資産価格の反発を受け、取引所収益の回復を期待する買いが入りました。暗号資産関連株は価格変動に敏感ですが、Coinbaseが株式や予測市場などへサービスを広げ、収益源の分散を進めている点も評価されています。
  • META:Meta Platforms, Inc.(通信サービス) +8.81%
    保有する余剰AI計算能力を外部企業へ提供するクラウド事業を計画しているとの報道から急伸しました。巨額のAI設備投資を広告事業の効率化だけでなく、クラウド収入へ結び付けられる可能性が示され、投資負担に対する市場の見方が改善しました。
  • GIS:General Mills, Inc.(生活必需品) +8.53%
    四半期の調整後EPS(特殊要因を除いた1株利益)が市場予想を上回り、株価は大幅高となりました。値引きや販売促進によって節約志向の消費者を取り戻しつつあるほか、今後4年間で30億ドルのコスト削減を進める方針も評価されました。
  • HOOD:Robinhood Markets, Inc.(金融) +8.35%
    暗号資産価格の反発に加え、欧州を含む海外市場で暗号資産関連サービスを拡充する方針が買いにつながりました。株式、暗号資産、予測市場、銀行機能を一つのアプリに集約する戦略により、若年層の顧客基盤を広げる期待が続いています。
  • PLTR:Palantir Technologies Inc.(先端技術) +7.77%
    NVIDIAと政府機関向けの独自AIモデルを共同開発する提携が好感されました。直前まで株価調整が続いていたため、買い戻しも上昇幅を拡大させています。企業や政府が保有する機密データを安全にAIへ活用する同社の強みが再評価されました。
  • SPGI:S&P Global Inc.(金融) +7.73%
    自動車情報部門Mobility Globalのスピンオフ(事業分離)が完了し、同社は信用格付け、指数、金融データを中心とする事業構成となりました。経営資源を収益性の高い金融情報分野へ集中しやすくなるとの期待から買いが集まりました。
  • ELV:Elevance Health, Inc.(ヘルスケア) +7.62%
    臨床審査を自動化し、医療機関の事務負担を軽減するHealth OSの機能強化が発表されました。医療保険株は医療費増加への警戒から調整していましたが、業務効率化とコスト管理の改善を期待する買い戻しが同業他社にも広がりました。
  • ALGN:Align Technology, Inc.(ヘルスケア) +7.61%
    目立った個別材料は確認しにくいものの、前月まで下落していた医療機器株に買い戻しが入りました。米長期金利の低下も、高い成長率を期待される銘柄の株価評価を改善させました。透明な歯列矯正装置の長期需要への期待は維持されています。
  • IBKR:Interactive Brokers Group, Inc.(金融) +7.13%
    6月の月次営業指標が公表され、顧客口座や取引活動の拡大を期待する買いが入りました。暗号資産関連株やオンライン証券株がそろって上昇する中、世界各国の市場へ低コストで接続できる同社の事業モデルが改めて評価されています。
  • NOW:ServiceNow, Inc.(先端技術) +6.57%
    Guggenheimが投資判断を「中立」から「買い」へ引き上げ、目標株価を125ドルとしたことから上昇しました。AIが既存ソフトウェアを不要にするとの懸念は行き過ぎであり、企業業務に深く組み込まれた同社製品は置き換えにくいと評価されました。
  • CNC:Centene Corporation(ヘルスケア) +6.48%
    Elevance Healthなど医療保険株の上昇に連動し、Centeneにも買い戻しが入りました。同社は医療費管理の改善とコスト削減を進めており、前月までの株価調整によって割安感も強まっていました。ただし、医療費の動向は引き続き重要です。
  • WDAY:Workday, Inc.(先端技術) +6.41%
    AIによって従来型業務ソフトが急速に置き換えられるとの懸念が後退し、企業向けソフトウェア株全体に買いが戻りました。人事・財務システムは企業の基幹業務に組み込まれており、AI機能を追加しながら継続収入を維持できるとの評価です。
  • CTSH:Cognizant Technology Solutions Corp.(先端技術) +6.04%
    ソフトウェア・ITサービス株への資金回帰に加え、AI導入支援への需要拡大が評価されました。同社は受注の伸びを維持しながら、2026年の自社株買い予定額を増やしています。直近の下落幅が大きかったことも、買い戻しを強めました。
  • AXON:Axon Enterprise, Inc.(工業・産業) +5.95%
    警察・公共安全機関向けのカメラ、証拠管理クラウド、AIサービスを提供する成長性が再評価されました。半導体株からソフトウェアやサービス企業へ資金が移る中、機器販売と継続課金型クラウド収入を組み合わせた事業構造が買われました。
  • KHC:The Kraft Heinz Company(生活必需品) +5.88%
    General Millsの予想を上回る決算を受け、食品メーカー全体の業績悪化懸念が和らぎました。消費者の節約志向は続いていますが、値引きや商品構成の見直しによって販売数量を回復できるとの期待から、低迷していた加工食品株へ資金が戻りました。
  • PTC:PTC Inc.(先端技術) +5.43%
    製造業向け設計・製品管理ソフトを提供するPTCは、企業向けソフトウェア株の反発に連動して上昇しました。株価が52週高値から大きく調整していたため、割安感に注目した買いも入っています。製造業のDXとAI活用は中長期的な需要分野です。
  • ACN:Accenture plc(先端技術) +5.38%
    企業向けソフトウェア株の反発とともに、AI導入を支援するコンサルティング需要への期待が高まりました。企業がAIを実務へ組み込むには、システム統合やデータ整備が必要です。直近の株価下落で割高感が薄れたことも買い戻しにつながりました。
  • ADP:Automatic Data Processing, Inc.(工業・産業) +5.26%
    米民間雇用者数が市場予想を下回り、追加利上げへの警戒がやや後退したことで、安定収益銘柄へ買いが入りました。ADPは雇用統計の発表元であると同時に、給与計算や人事管理から継続的な手数料収入を得る事業基盤を持っています。
  • WTW:Willis Towers Watson Public Limited Company(金融) +5.23%
    保険仲介・企業リスク管理株への買いが広がりました。同社は保険料そのものを負担する保険会社とは異なり、仲介手数料やコンサルティング収入が中心です。景気変動の影響を比較的受けにくい継続収入型の事業が見直されました。
  • IQV:IQVIA Holdings Inc.(ヘルスケア) +5.17%
    医薬品開発を受託するCRO(臨床試験を支援する企業)や医療データ関連株に買い戻しが入りました。同社は直近決算で増収と市場予想を上回る利益を確保しており、株価調整後の割安感と、医薬品開発需要の長期的な拡大が評価されました。
  • BRO:Brown & Brown, Inc.(金融) +5.00%
    Willis Towers Watsonなどとともに保険仲介株が上昇しました。保険料の上昇は契約金額に連動する仲介手数料の増加につながりやすく、安定した成長が期待されています。直近まで軟調だった金融サービス株への資金移動も上昇要因となりました。

5%以上下落したS&P500構成銘柄

  • GLW:Corning Inc. -13.62%
    AIデータセンター向け光ファイバー需要への期待から前四半期に急騰していた反動で、利益確定売りが集中しました。Metaが余剰AI計算能力の外販を検討しているとの報道も、設備投資の過剰感を連想させ、AIインフラ関連株からの資金流出を加速させました。
  • KLAC:KLA Corporation -11.77%
    半導体製造工程の検査装置を手掛けるKLAは、半導体製造装置株の一斉安に巻き込まれました。前日まで最高値圏にあり、前四半期には株価が大幅上昇していたため、新しい四半期の開始とともにポジションを縮小する売りが強まりました。
  • TER:Teradyne, Inc. -11.68%
    半導体試験装置を提供するTeradyneは、AI向け半導体の増産期待で株価が大きく上昇していた反動から急落しました。AI設備投資の回収期間や高い株価評価を改めて検証する動きが強まり、業績悪化ではなく過熱修正の色合いが濃い下落です。
  • SNDK:Sandisk Corporation -10.62%
    NAND型フラッシュメモリー需要の拡大で前四半期に急騰したSandiskには、まとまった利益確定売りが入りました。メモリー需給の逼迫は続いていますが、短期間で株価が何倍にも上昇していたため、好材料を相当程度織り込んだとの判断が優勢となりました。
  • MU:Micron Technology, Inc. -10.57%
    好決算とAI向け高性能メモリーの供給不足を背景に前四半期だけで株価が約3倍となっており、反動売りが膨らみました。事業環境が急に悪化したというより、これまでNASDAQの上昇を牽引してきた銘柄からソフトウェア株などへ資金が移った結果です。
  • AMAT:Applied Materials, Inc. -9.97%
    半導体製造装置大手のApplied Materialsは、前日まで最高値を更新していたことから利益確定売りが強まりました。AI半導体の増産に伴う設備需要は堅調ですが、株価上昇の速さに業績成長が追い付くのかを慎重に見直す局面へ入りました。
  • LRCX:Lam Research Corporation -9.71%
    前日まで最高値圏で推移していたLam Researchは、半導体製造装置株の急反落に連動しました。メモリー製造設備への投資拡大期待は変わらないものの、前四半期に株価が2倍以上となったため、四半期初日の利益確定売りが大きくなりました。
  • INTC:Intel Corporation -9.03%
    Intelは前四半期に200%を超える上昇を記録しており、高値警戒感から売りが膨らみました。受託半導体製造やAI半導体への期待は残っていますが、巨額設備投資を必要とする事業だけに、金利の高止まりと投資回収への不透明感には敏感です。
  • MRVL:Marvell Technology, Inc. -8.67%
    AIデータセンター向けネットワーク半導体やカスタム半導体への期待から上昇してきたMarvellも、AIハードウェア株の調整に巻き込まれました。成長期待が高い分、株価評価も割高になっており、資金がソフトウェア株へ移る局面では売られやすくなります。
  • GNRC:Generac Holdings Inc. -7.71%
    非常用発電設備を手掛けるGeneracは、データセンターや電力需要の拡大を見込んで買われていました。この日はAIインフラ全体への利益確定売りが広がり、設備投資テーマの一角として下落しました。高いPER(株価収益率)も値動きを大きくしました。
  • VRT:Vertiv Holdings Co. -6.99%
    データセンター向け電源・空調・液冷設備の代表銘柄であるVertivは、AIインフラ株の急落に連動しました。受注残は豊富ですが、株価には長期的な成長が相当程度織り込まれています。設備投資の過剰感が話題になるだけでも売りが出やすい水準でした。
  • CAT:Caterpillar Inc. -6.90%
    建設機械に加え、データセンター向け非常用発電設備でも注目されてきたCaterpillarは、工業・産業株への利益確定売りで下落しました。米製造業の伸びが鈍化したことも、景気敏感株である同社に対する短期的な慎重姿勢につながりました。
  • AMD:Advanced Micro Devices, Inc. -6.89%
    AMDはAIアクセラレーターとデータセンター向けCPUへの期待から、前四半期に180%を超えて上昇していました。この日は半導体株全体の利益確定売りが強まり、高いPERを維持するAMDにも売りが波及しました。AI需要の長期見通しが崩れたわけではありません。
  • LITE:Lumentum Holdings Inc. -6.63%
    AIデータセンター向け光通信部品への期待で急騰していたLumentumは、光通信関連株の一斉調整で下落しました。GPU間を高速接続する光技術への需要は拡大していますが、短期間の株価上昇が大きく、少しの不安でも利益確定売りが出やすい状態です。
  • COHR:Coherent Corp. -6.55%
    光通信部品やレーザー製品を手掛けるCoherentも、AIデータセンター投資の恩恵を受ける銘柄として上昇してきました。この日は半導体や光通信設備からソフトウェアへ資金が移り、高い成長期待を織り込んでいた同社にも調整売りが広がりました。
  • HUBB:Hubbell Incorporated -6.32%
    送配電機器を提供するHubbellは、データセンター増設に伴う電力網投資への期待から買われていました。AI設備投資関連株が広範囲に売られる中で、電力インフラ株にも利益確定売りが波及しました。需要の長期拡大より短期的な株価過熱が問題となった形です。
  • WDC:Western Digital Corporation -6.32%
    データ保存需要の拡大を背景に上昇していたWestern Digitalは、メモリー・ストレージ株からの資金流出で下落しました。AI向けデータ量の増加という成長テーマは残っていますが、SandiskやMicronの急落を受け、関連銘柄をまとめて売る動きが強まりました。
  • Q:Qnity Electronics, Inc. -6.09%
    半導体製造用の材料や電子部品を提供するQnityは、半導体サプライチェーン全体の調整に連動しました。業績は堅調ですが、独立上場後に株価が大きく上昇し、PERも高水準となっていたため、半導体株への警戒が強まる局面で売りが膨らみました。
  • FIX:Comfort Systems USA, Inc. -5.89%
    データセンター向け空調・電気設備工事で成長してきたComfort Systems USAは、AIインフラ関連株の利益確定売りに巻き込まれました。工事需要は強いものの、株価が業績を先回りして上昇していたため、設備投資の持続性を再確認する動きが出ました。
  • CIEN:Ciena Corporation -5.73%
    高速光通信ネットワーク機器を提供するCienaは、CorningやLumentumなど光通信関連株とともに下落しました。AIによる通信量増加は長期的な成長要因ですが、Metaの余剰計算能力に関する報道を契機に、設備増設の速度を警戒する売りが出ました。
  • SMCI:Super Micro Computer, Inc. -5.73%
    AIサーバーを提供するSuper Micro Computerは、半導体とデータセンター関連株の調整に連動しました。需要拡大への期待は残る一方、競争激化や利益率への警戒もあり、AIハードウェアからソフトウェアへ資金が移る局面で売られやすくなりました。
  • FLEX:Flex Ltd -5.27%
    電子機器の受託製造やデータセンター向け電源機器を手掛けるFlexは、AI設備投資関連株の下落に連動しました。事業の成長性よりも、前四半期に上昇したハードウェア関連株の利益を確定し、出遅れていたソフトウェア株へ資金を移す動きが中心でした。
  • TPL:Texas Pacific Land Corporation -5.17%
    米国とイランの協議進展によって原油供給への不安が後退し、WTI原油先物が68ドル台まで下落したことから売られました。同社は土地使用料や原油・天然ガス生産に連動するロイヤルティー収入が多く、原油価格の下落に反応しやすい事業構造です。
  • STX:Seagate Technology Holdings PLC -5.16%
    ハードディスク大手のSeagateは、Western Digitalなどストレージ関連株とともに下落しました。AIデータセンターが生み出す大量データの保存需要は長期的に拡大すると考えられますが、この日は好材料よりも前四半期の急騰に対する利益確定が優先されました。

セクター別騰落率

市場全体では、通信サービス(Communication Services)と金融(Financial)が大きく上昇する一方、先端技術(Technology)と工業・産業(Industrials)が急落し、資金の入れ替えが鮮明となりました。AI需要への期待が後退したのではなく、前四半期に上昇した半導体・データセンター設備株から、広告、ソフトウェア、金融サービスへ利益を移す動きが中心です。

  • 通信サービス(Communication Services) +2.61%
    Metaが+8.81%と急伸し、セクター全体を押し上げました。余剰のAI計算能力をクラウドサービスとして外部提供する構想が報じられ、巨額の設備投資を新たな収入へ結び付ける可能性が評価されました。デジタル広告関連にも買いが入り、半導体からAIを収益化できる企業へ資金が移った一日です。
  • 金融(Financial) +1.61%
    Coinbase、Robinhood、Interactive Brokers、S&P Globalなどがそろって上昇しました。暗号資産価格の反発に加え、取引量、金融データ、指数、継続課金型サービスの成長期待が金融株を押し上げました。米10年国債利回りの上昇も銀行・金融サービス株には比較的有利で、成長株から移った資金の受け皿となりました。
  • 公益事業(Utilities) -1.38%
    米10年国債利回りが4.475%まで上昇し、高配当株として保有される公益事業の相対的な魅力が低下しました。公益株は安定収益を持つ一方、巨額の設備投資と借入金を抱える企業も多く、金利上昇は資金調達コストを押し上げやすくなります。AIデータセンターによる電力需要拡大という長期テーマより、当日は金利の影響が強く表れました。
  • 工業・産業(Industrials) -2.28%
    Caterpillar、Generac、Vertiv、Comfort Systems USAなど、データセンター建設や電力設備に関連する銘柄が大きく下落しました。AI向け建設・冷却・非常用電源需要は続いていますが、前四半期の株価上昇が急だったため、四半期初めの利益確定売りが集中しました。製造業景況感の鈍化も景気敏感株への慎重姿勢を強めました。
  • 先端技術(Technology) -2.35%
    Micron、KLA、Teradyne、Applied Materials、Lam Researchなど半導体・製造装置株が軒並み急落し、全セクター中で最大の下落となりました。AI向け半導体や高性能メモリーの需要見通しが崩れたわけではありませんが、高いPER(株価収益率)と前四半期の急騰を背景に利益確定が膨らみました。資金はAIハードウェアからソフトウェアや広告関連へ移っています。

主要3指数とドル円の動き

  • S&P500(7,483.23、前日比-0.22%)
    S&P500は7,521.81まで上昇する場面がありましたが、その後は半導体製造装置、メモリー、光通信、データセンター設備など、前四半期に大きく上昇したAIハードウェア関連株への利益確定売りに押されました。一方、Metaや企業向けソフトウェア、金融、生活必需品には買いが入り、市場全体が崩れたというより、成長株の内部で大規模な資金移動が起きた一日です。
  • Dow30(52,305.24、前日比-0.03%)
    Dow30は一時52,742.66まで上昇しましたが、終値はほぼ横ばいでした。半導体関連株やCaterpillarなどの工業・産業株が下落した一方、食品、医療保険、金融サービスなどには資金が入り、NASDAQより安定した値動きとなりました。AI関連の一部に売りが集中しても、異なる業種を含むDow30が小幅安にとどまった点から、市場の資金が全面的に逃げている状況ではないと感じます。
  • NASDAQ(26,040.03、前日比-0.66%)
    NASDAQは26,238.06まで上昇した後、半導体株の急落によって下げへ転じました。Micron、KLA、Teradyne、Applied Materials、Lam Researchなど、AI設備投資の拡大を先取りして上昇してきた銘柄に利益確定売りが集中しています。ただし、Meta、Palantir、ServiceNowなどは大きく上昇しており、AI需要そのものへの失望ではなく、ハードウェアからソフトウェアやサービスへ資金が移った相場と考えています。
  • ドル円(162.564円、前日比+0.01%)
    ドル円は162.286円から162.841円の範囲で推移し、終値では前日比ほぼ横ばいでした。米国の金利が日本より高い状態が続くため、円を売ってドルを保有する流れは変わっていません。一方、162円台後半では日本政府・日銀による為替介入への警戒も強く、上値を追う動きは限定的でした。円建てで米国株へ投資する立場では評価額を押し上げますが、急激な円高反転にも備えておく必要があります。

原油先物・米10年国債利回り・VIX・金先物の動き

  • WTI原油先物(68.03ドル、前日比-2.12%)
    WTI原油先物は68ドル台へ下落しました。米国とイランの協議進展によって中東からの供給途絶懸念がやや後退したほか、OPECプラスの増産観測も売りを促しました。原油在庫の減少幅が市場予想ほど大きくなかったことも、需給の逼迫感を弱めています。原油安はインフレ圧力の緩和につながる一方、エネルギー関連企業の収益には逆風となります。
  • 米10年国債利回り(4.475%、前日比+1.29%)
    米10年国債利回りは0.057%ポイント上昇し、4.475%となりました。弱い民間雇用指標を受けて一時は金利低下も想定されましたが、FRBがインフレ抑制を優先する姿勢を維持していることや、雇用統計を控えた国債売りによって利回りが上昇しました。4.5%に近い金利は、高PER(株価収益率が高い)の半導体株や成長株の株価評価を厳しくしやすい水準です。
  • VIX指数(16.41、前日比-0.24%)
    VIX指数は一時17.30まで上昇したものの、終値では16.41へ小幅低下しました。NASDAQや半導体関連株には大きな売りが出ましたが、資金は金融、生活必需品、ソフトウェアなど別の業種へ移っており、市場全体が強い恐怖状態に入ったわけではありません。16台は比較的落ち着いた水準ですが、低いVIXが相場急変の可能性を否定するものではありません。
  • 金先物(4,049.90ドル、前日比+0.28%)
    金先物は4,000ドル台を維持して小幅上昇しました。弱い雇用指標を受け、景気減速や将来の金融政策を慎重に見る資金が金へ向かいました。一方で、米10年国債利回りとドルが上昇したため、利息を生まない金の上昇幅は限定的でした。中東情勢を巡る不確実性も残っており、株式や債券とは異なる値動きを期待する分散投資先としての需要が続いています。

私の米国株ポートフォリオ

私の米国株ポートフォリオは前日比+0.58%となりました。日本市場では、前日の米国市場の上昇が反映され、MAXISナスダック100上場投信が+1.45%、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)が+1.01%と全体を押し上げました。iシェアーズS&P500米国株ETFも+0.61%、GX超短期米国債も+0.36%と堅調でした。

一方、iFreeETF FANG+は-0.12%と小幅安でした。大型ハイテク株の中でも強弱が分かれており、指数全体が上昇しても、すべての成長株が同じ方向へ動くわけではありません。ETFを複数に分けて保有していると、こうした個別銘柄の偏りをある程度抑えられます。昨夜の米国市場では半導体株が大きく下落したため、その影響は次の日本市場で確認することになります。

経済指標発表結果

  • ADP非農業部門雇用者数(9.8万人、予想11.8万人、前回12.2万人)
    民間雇用者数は市場予想を下回り、前月からも減少しました。米国の労働市場が緩やかに冷え始めている可能性を示し、FRBによる将来の利下げを期待させる内容です。ただし、ADP統計と政府の雇用統計は結果が一致しないことも多く、市場は公式の雇用統計を確認するまで慎重な姿勢を維持しました。
  • ISM製造業購買担当者景気指数(53.3、予想53.8、前回54.0)
    ISM製造業景気指数は予想と前回を下回りましたが、景気拡大と縮小の境目である50を上回りました。製造業は拡大を続けているものの、その勢いはやや鈍化しています。景気後退を示すほど弱くはない一方、工業・産業株や素材株に強気で資金を振り向けるには物足りない結果でした。
  • ISM製造業価格指数(73.0、予想77.7、前回82.1)
    企業が支払う原材料価格の動きを示す価格指数は大幅に低下し、製造業のインフレ圧力が和らぎつつあることを示しました。ただし、73.0は依然として高い水準であり、物価上昇が完全に収まったとは言えません。FRBの利下げ期待にはプラスですが、早期利下げを決定付けるほどの内容ではありませんでした。
  • ISM製造業雇用指数(49.7、前回48.6)
    製造業雇用指数は前回から改善しましたが、50をわずかに下回り、雇用縮小が続いていることを示しました。ADP雇用者数の弱さと合わせると、企業の採用姿勢は以前より慎重になっています。一方、指数は50目前まで回復しており、急速な雇用悪化ではなく、景気拡大速度の調整と見るのが妥当です。
  • アトランタ連銀GDPNow(第2四半期、年率+1.2%、前回+2.5%)
    GDPNowは第2四半期の実質経済成長率を+1.2%と推計し、前回の+2.5%から大きく引き下げました。これは公式予測ではなく、発表済みデータを使った機械的な推計ですが、米国経済の減速を示す重要な変化です。利下げ期待を高める一方、企業利益の伸びが鈍る可能性には注意が必要です。
  • チャレンジャー人員削減数(4万5,849人、前年比-4.5%)
    企業が公表した人員削減数は前年同月比-4.5%となり、前月の+3.4%から減少へ転じました。ADP雇用者数は弱かったものの、企業が解雇を急速に増やしている状況ではありません。雇用市場は採用の減速が中心であり、現時点では失業の急増を伴う景気後退局面とは判断しにくい内容です。
  • 米週間原油在庫(-377.5万バレル、予想-290.0万バレル)
    原油在庫は予想を上回る減少となり、ガソリン在庫も233.3万バレル減少しました。在庫統計だけを見れば米国内の需要が底堅いことを示しています。ただし、原油価格は供給見通しや中東情勢にも大きく左右されるため、この日は在庫減少が価格上昇へ直結しませんでした。原油安はインフレ抑制にはプラスです。

主要銘柄の決算発表結果

  • GIS:General Mills, Inc.(生活必需品(Consumer Defensive))
    調整後EPSは0.95ドルと市場予想の0.81ドルを上回り、売上高も46億ドルと予想の45.8億ドルを上回りました。北米小売事業の減収幅が前年より縮小し、値上げや商品構成の改善によって利益率も回復しました。2027年度の業績見通しが市場の懸念ほど弱くなかったことから、株価は通常取引で+8.53%となりました。時間外取引では-1.22%でしたが、節約志向の消費者を取り込む施策と今後4年間で30億ドルを削減する計画が、収益改善につながるかが注目されます。
  • FDS:FactSet Research Systems Inc.(金融(Financial))
    調整後EPSは4.53ドルと市場予想の4.45ドルを上回り、売上高も6億2,292万ドルと予想の6億1,726万ドルを上回りました。売上高は前年同期比6.4%増加し、年間契約額に相当するASVも堅調に伸びました。大手顧客によるAI関連製品の導入拡大や、95%を超える高い契約継続率が安定成長を示しています。株価は通常取引で+6.69%、時間外でも+1.12%となり、金融情報サービスと継続課金型事業の強さが評価されました。

主な経済ニュース

  • 半導体株が急落しAI相場の資金循環が鮮明に
    Micron、KLA、Teradyne、Applied Materials、Lam Researchなどが大幅に下落し、NASDAQを押し下げました。AI半導体需要の失速を示す新しい事実が出たわけではなく、前四半期に急騰した銘柄へ利益確定売りが集中しています。資金は半導体やデータセンター設備から、広告、企業向けソフトウェア、金融サービスへ移りました。(Reuters:07/01)
  • Metaが余剰AI計算能力をクラウドで外販へ
    Metaが自社で使い切れないAI計算能力を企業や開発者へ提供するクラウド事業を検討していると報じられ、株価は+8.81%となりました。巨額のデータセンター投資を広告事業の効率化だけでなく、外部向けの継続収入へ変えられる可能性があります。一方、Metaを顧客とする小規模クラウド企業には競争激化への警戒が強まりました。(Bloomberg:07/01)
  • Warsh議長がインフレリスクの緩和と2%目標への決意を表明
    FRBのWarsh議長は、最近のインフレ期待と物価上昇リスクが弱まったとの認識を示しました。ただし、2%の物価目標を上回る状態を容認しない姿勢も明確にし、早期の金融緩和を約束しませんでした。市場では利上げ予想がやや後退した一方、年内に少なくとも1回の利上げが行われる可能性も残り、米10年国債利回りは4.475%へ上昇しました。(Reuters:07/01)
  • 雇用減速と製造業拡大が同時に示される
    ADP非農業部門雇用者数は9.8万人と予想の11.8万人を下回り、企業の採用姿勢が慎重になっていることを示しました。一方、ISM製造業景気指数は53.3と50を上回り、製造業の拡大は続いています。景気は急激な後退ではなく、雇用と成長速度が緩やかに低下している段階と考えられ、翌日の雇用統計を確認したい投資家が増えました。(Reuters:07/01)
  • 米国とイランがホルムズ海峡を巡り協議
    米国とイランはカタールで間接的な実務協議を行い、ホルムズ海峡を通る商船の安全確保と恒久的な和平合意について話し合いました。Vance副大統領は協議が順調に進んでいると説明しています。原油供給が再び大きく途絶える可能性が低下したことで、WTI原油先物は68.03ドルまで下落しました。ただし、核問題など重要な対立点は残っています。(Reuters:07/01)
  • 米国がUSMCAの現行条件での延長を見送る
    米国政府は、米国・メキシコ・カナダ協定を現在の内容のまま延長しない方針を示しました。協定が直ちに終了するわけではありませんが、合意できなければ2036年に失効する手続きへ入ります。米国は自動車の原産地規則や対中迂回輸出の防止を重視しており、北米に複雑な供給網を持つ自動車、鉄鋼、部品メーカーには長期的なコスト上昇リスクが生じます。(Reuters:07/01)
  • Bloom EnergyとBrookfieldがAI電力投資を250億ドルへ拡大
    Bloom EnergyとBrookfieldは、AIデータセンター向け電力設備への投資枠を従来の50億ドルから250億ドルへ拡大しました。AIではGPUだけでなく、安定した電力を短期間で確保することが大きな課題です。燃料電池をデータセンターの近くへ設置すれば、送電網の接続待ちを減らせる可能性があります。AI投資が半導体から電力インフラへ広がっていることを示す大型案件です。(Reuters:06/30)
  • General Millsが予想を上回り節約志向への対応を強化
    General Millsは調整後EPSが0.95ドル、売上高が46億ドルとなり、ともに市場予想を上回りました。高い生活費を背景に外食を減らし、家庭で食事を取る消費者が増えていることも加工食品需要につながっています。同社は今後4年間で30億ドルのコスト削減を進める計画を示し、株価は+8.53%となりました。米国消費者の節約姿勢を映す決算です。(Reuters:07/01)
  • KrogerがGiant Eagleを16.5億ドルで買収へ
    食品スーパー大手Krogerは、米中西部と大西洋岸中部で店舗を展開するGiant Eagleを16.5億ドルで買収すると発表しました。約200店舗を加えることで販売規模を拡大し、仕入れや物流の効率化によって値下げ原資を確保する狙いです。Walmart、Amazon、低価格スーパーとの競争は激しく、規模拡大だけでなく、消費者へ価格面の利益を還元できるかが重要になります。(Reuters:07/01)
  • AlcoaがSouth32のアルミニウム資産を最大56億ドルで取得
    AlcoaはSouth32が保有するボーキサイト、アルミナ、アルミニウム関連資産の大半を最大56億ドルで取得します。鉱山から精錬までの一体運営を拡大し、供給網の安定とコスト削減を目指す大型買収です。一方、約12億ドルの環境対策・閉鎖関連債務も引き継ぐため、市場では買収価格や統合作業への警戒が強まり、Alcoa株は下落しました。(Reuters:07/01)

 

経済指標発表予定

以下の経済指標が発表される予定です。

主要銘柄の決算発表予定

7/2には、主要銘柄の決算発表は予定されていません。

おわりに

7月1日の米国市場では、半導体やデータセンター設備関連株が大きく下落する一方、通信サービスや金融、ソフトウェアへ資金が移りました。AI需要そのものが弱まったというより、前四半期に急上昇した銘柄から利益を確定する動きが強まった一日と見ています。

長期投資では、こうした資金循環に振り回されず、米国企業全体の利益成長を見続けることが大切です。毎朝このブログをご覧いただき、ありがとうございます。市場を整理する材料として、少しでもお役に立てましたら嬉しく思います。

それでは、今日も一日、明るく元気に笑顔で過ごしましょう。

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おことわり

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図表のレファレンス

  • S&P500ヒートマップ: finviz
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  • セクター別騰落率: finviz
  • 経済指標結果/予定: investing.com日本語版
  • 決算発表結果/予定: investing.com日本語版
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  • 自分の米ドル建ポートフォリオ:  Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ

著者プロフィール

室井一夫(Kazuo Muroi)
Muroi Universal Research on Investment LLC 代表社員
一級建築士・建築1級施工管理技士・工学修士
Facebookグループ「米国株_投資の部屋」管理人(約4.7万人)

米国株式市場と経済動向に関する情報を毎日発信しています。


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