【20260629】米国株式市場 投資研究レポート

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室井のマーケット視点

6月29日の米国市場は、S&P500が+1.18%、Dow30が+0.59%、NASDAQが+2.07%となり、成長株を中心に力強く反発しました。主要3指数がそろって上昇しましたが、私は指数の数字以上に、「どの分野へ資金が戻ったのか」に注目しています。

この日の主役は、エヌビディアのようなAI半導体メーカーだけではありませんでした。Corning、KLA、Western Digital、Applied Materials、Lam Research、Seagate Technologyなど、光通信、半導体製造装置、データ保存装置に関係する企業が大幅に上昇しています。

このところ毎日のように言っていますが、AIはGPUだけで動くものではありません。大量のデータを高速で送る光通信網、データを蓄積する記憶装置、半導体を製造する装置、安定した電力、冷却設備がそろって初めて稼働します。通信サービス(Communication Services)が+2.92%、先端技術(Technology)が+2.13%、工業・産業(Industrials)が+1.65%となったことは、AI投資の恩恵が周辺インフラへ広がっている状況を示しています。

先週までAI関連株には大きな売りが出ていましたが、今回の反発を見る限り、AI需要そのものが急減したというより、上昇していた銘柄に利益確定売りが集中した面が強かったと考えています。Microsoftなど一部の大型株では、巨額の設備投資をいつ利益として回収できるのかが厳しく問われていますが、データセンターやAIインフラへの投資計画自体が縮小したわけではありません。

一方、Super Micro Computerは規制や企業統治への懸念から-8.10%となりました。AI関連というだけで全銘柄が上昇する相場ではなく、財務内容、経営体制、株価評価を企業ごとに厳しく選別する段階に入っています。個別株では一つのニュースによって大きく下落するため、私はS&P500などのETFを中心に保有し、成長企業が指数へ与える恩恵を受ける投資を続けています。

S&P500は先端技術株の比率が高い一方、ヘルスケア(Healthcare)や生活必需品(Consumer Defensive)、公益事業(Utilities)にも分散されています。この日は成長株が上昇し、ディフェンシブ株はやや出遅れましたが、相場の流れが変われば、これらの安定分野がポートフォリオの値動きを和らげます。指数投資の利点は、毎日の主役を事前に当てなくても、市場全体の資金循環に参加できることです。

VIX指数は17.67まで低下し、投資家心理は改善しました。ただし、WTI原油先物は70.55ドルへ上昇し、米10年国債利回りも4.374%と高い水準です。中東情勢やインフレ、FRBの金融政策を巡る不透明感が消えたわけではありません。ドル円も161.94円まで上昇しており、円建ての米国株資産にはプラスですが、その一部は企業成長ではなく円安による評価額の増加です。162円に近づく中、為替介入による急変にも注意が必要でしょう。

私のポートフォリオも前日比+1.22%となり、FANG+やNASDAQ100連動ETFが大きく上昇しました。しかし、1日の上昇率を見て投資方針を変えるつもりはありません。市場で長く利益を得るために重要なのは、短期的に最も上昇する銘柄を当てることではなく、成長を続ける市場に資金を置き続けることだと考えています。

今回の上昇は、AI相場が終わったのではなく、半導体から通信、記憶装置、製造装置、電力、冷却設備へと対象を広げながら続いていることを示しました。指数の大幅高だけを喜ぶのではなく、市場のお金がどこからどこへ移動しているのかを丁寧に見ていきたいと思います。

投資は自己責任にてお願いします。

S&P500ヒートマップ

5%以上上昇したS&P500構成銘柄

  • GLW:Corning Inc.(先端技術) +15.67%
    AIデータセンター向け光ファイバー需要の拡大を背景に、大幅高となりました。Amazonをはじめとする大手クラウド企業との大型供給契約が改めて評価され、AI投資の恩恵が半導体から光通信部品へ広がる流れが強まりました。
  • KLAC:KLA Corporation(先端技術) +11.97%
    AI半導体や高帯域メモリーの増産に伴い、半導体検査装置の需要が長期的に拡大するとの期待から買いが集まりました。半導体製造装置市場の成長予測やアナリストによる目標株価引き上げも、投資家心理を強気に傾けました。
  • WDC:Western Digital Corporation(先端技術) +11.16%
    Micronの好決算をきっかけに、AI向けメモリーとデータ保存需要の強さが再確認されました。AIの学習や推論では膨大なデータを長期間保存する必要があり、ハードディスクの供給不足と販売価格上昇が続くとの期待が高まりました。
  • AMAT:Applied Materials, Inc.(先端技術) +10.82%
    複数のアナリストが目標株価を相次いで引き上げ、株価は大きく上昇しました。AI半導体、高帯域メモリー、先端パッケージ向けの設備投資が拡大し、同社の成膜・加工装置への需要が中長期的に伸びるとの評価が強まっています。
  • AXON:Axon Enterprise, Inc.(工業・産業) +9.85%
    目立った単独の企業ニュースは確認しにくいものの、前週から続く株価回復と業績成長への期待から買いが加速しました。警察向けカメラや証拠管理クラウドの契約拡大により、継続収入が伸びる事業構造が改めて評価されたとみられます。
  • CHTR:Charter Communications, Inc.(通信サービス) +9.38%
    SpaceXと一般消費者向け携帯電話サービスで提携を協議しているとの報道を受けて急伸しました。Charterの通信設備やWi-Fi網とStarlinkの衛星通信を組み合わせれば、地方を含む幅広い地域で新たな通信サービスを提供できる可能性があります。
  • PANW:Palo Alto Networks, Inc.(先端技術) +9.14%
    先端技術株への資金回帰に加え、サイバーセキュリティ関連株がそろって上昇しました。生成AIの普及によって攻撃手法も高度化する中、複数の防御機能を一つの基盤へ集約する同社のプラットフォーム戦略への期待が続いています。
  • FLEX:Flex Ltd.(先端技術) +8.77%
    AIデータセンター向けの電源、冷却、統合システム事業への評価が高まりました。同事業を独立した上場会社として分離する計画により、従来の電子機器受託製造会社ではなく、AIインフラ企業として評価し直す動きが続いています。
  • TSLA:Tesla, Inc.(一般消費材) +8.46%
    大型グロース株への買い戻しに加え、Elon Musk氏が新しいAIモデルの性能やTeslaでの活用に言及したことから上昇しました。自動車販売だけでなく、自動運転、ロボット、AIを含む技術企業としての成長期待が再び前面に出ています。
  • LRCX:Lam Research Corporation(先端技術) +8.39%
    半導体製造装置株全体への買いが広がりました。AI半導体や高帯域メモリーの製造工程が複雑になるほど、微細な回路を形成するエッチング装置の重要性が増します。大手クラウド企業の設備投資継続も、同社の成長期待を高めました。
  • STX:Seagate Technology Holdings PLC(先端技術) +7.63%
    Western Digitalと同様に、AIデータセンター向け保存装置の需要拡大期待から上昇しました。大容量ハードディスクの供給余力が限られる中、長期契約の増加や販売単価の上昇によって、高い利益率を維持できるとの見方が強まっています。
  • TPL:Texas Pacific Land Corporation(エネルギー) +6.11%
    原油価格の上昇とエネルギー関連株への資金流入を受けて買われました。同社は自ら石油を生産する企業ではなく、保有地から得るロイヤルティー収入を中心としています。原油生産量や水資源需要の増加が収益に結び付きやすい事業です。
  • TER:Teradyne, Inc.(先端技術) +6.03%
    AI半導体の検査需要が拡大するとの期待から上昇しました。高性能なAIチップやメモリーは構造が複雑で、製造後の検査工程も増加します。半導体製造装置株全体の上昇に加え、アナリストの目標株価引き上げも買いを呼び込みました。
  • CRWD:CrowdStrike Holdings, Inc.(先端技術) +5.96%
    サイバーセキュリティ関連株への買い戻しが進みました。AIを利用したサイバー攻撃が増えるほど、企業は端末やクラウドを常時監視する必要があります。クラウド型セキュリティ基盤を持つ同社の継続課金収入への期待が再び高まりました。
  • GEV:GE Vernova Inc.(工業・産業) +5.49%
    AIデータセンターの電力消費拡大を見込んだ買いが入りました。発電設備だけでなく、送電網や電力制御設備への投資も必要となるため、同社はAIインフラ整備の主要企業として評価されています。前週末の下落からの買い戻しも加わりました。
  • FIX:Comfort Systems USA, Inc.(工業・産業) +5.09%
    データセンター建設に必要な空調、電気設備、配管工事の受注拡大期待から上昇しました。AIサーバーの発熱量が増えるほど高度な冷却設備が必要となります。受注残高と利益率の改善が続いており、AI投資の建設面での受益企業として買われました。

5%以上下落したS&P500構成銘柄

  • SMCI:Super Micro Computer -8.10%
    台湾当局が、NVIDIA製AI半導体の中国向け不正輸出を巡る捜査の一環として、Super Microの台湾拠点を捜索したとの報道を受けて急落しました。同社はAIサーバー需要という成長材料を持つ一方、輸出規制、企業統治、資金調達による株式希薄化への懸念が重なり、悪材料に敏感な状態が続いています。
  • CPRT:Copart -8.02%
    CEOのJeff Liaw氏が7月31日付で退任し、前CEOで現会長のJay Adair氏が再びCEOに就くと突然発表したため、経営体制の先行きに不透明感が生じました。会社は会計方針などを巡る対立を否定していますが、事故車流通量の鈍化や手数料競争への懸念が残る中での交代となり、売りが膨らみました。
  • HON:Honeywell International -6.41%
    航空宇宙事業をHoneywell Aerospaceとして分離したことに伴う株価調整が、大幅下落として表示されています。株主には従来のHoneywell株2株につき新会社株1株が割り当てられ、残るHoneywell Technologiesでは2株を1株にまとめる株式併合も実施されました。この日の下落率は、通常の業績悪化による値下がりとは区別して見る必要があります。
  • ULTA:Ulta Beauty -6.00%
    新たな重大発表は確認されませんでしたが、好決算後も通期の売上見通しが据え置かれたことや、買収・成長投資に伴う販管費増加への警戒から売りが優勢となりました。美容関連消費は堅調である一方、株価には成長継続への期待が織り込まれており、利益率や消費者需要を慎重に見直す動きが出ています。
  • MLM:Martin Marietta Materials -5.65%
    石灰石大手Lhoist North Americaを135億ドルで買収すると発表し、取引規模の大きさを警戒した売りが出ました。買収資金は70億ドルの現金と65億ドル相当の自社株で賄うため、負債増加や株式希薄化(1株当たりの価値が薄まること)が懸念されました。長期的にはインフラやデータセンター建設需要を取り込む狙いがあります。
  • VZ:Verizon Communications -5.24%
    Dow30から除外された最初の取引日となり、指数連動型ファンドによる機械的な売却が発生しました。加えて、BT Groupと海外法人向け通信事業を統合する合弁会社を設立し、Verizonが6.25億ドルを支払うことや、第2四半期に関連損失を計上する見通しも嫌気されました。高配当株ですが、事業再編の成果が問われる局面です。

セクター別騰落率

市場全体では、通信サービス(Communication Services)、一般消費材(Consumer Cyclical)、先端技術(Technology)が2%を超えて上昇し、成長株を中心に強い資金流入が見られました。AI関連では半導体だけでなく、光通信、データ保存、電力設備へ買いが広がり、工業・産業(Industrials)も上昇しました。一方、素材(Basic Materials)は大型買収に伴う財務負担への警戒から下落し、セクター間の差が大きい一日でした。

  • 通信サービス(Communication Services) +2.92%
    通信サービスは全11セクターで最大の上昇となった。Charter Communicationsが衛星通信を手掛けるSpaceXとの提携協議を報じられて急伸し、セクター全体を押し上げた。AI時代にはデータ処理能力だけでなく、高速で安定した通信網も不可欠である。通信サービスが広告や動画配信だけでなく、AIインフラの一部として再評価される動きが見られた。
  • 一般消費材(Consumer Cyclical) +2.15%
    一般消費材はTeslaを中心に大きく上昇した。自動運転、ロボット、AI事業への期待が改めて高まり、同社株が+8%を超えて上昇した影響が大きい。一方、Ulta BeautyやCopartは個別要因で下落しており、消費関連株が一様に強かったわけではない。景気や個人消費よりも、大型成長株への買い戻しがセクター上昇の中心であった。
  • 先端技術(Technology) +2.13%
    先端技術は半導体製造装置、光通信、データ保存装置、サイバーセキュリティ関連がそろって上昇した。KLA、Applied Materials、Lam Research、Corning、Western Digitalなどが大幅高となり、AI投資の対象がGPUメーカーから周辺設備へ広がっている。高金利が続く中でも、利益成長を期待できる企業へ資金が集中する相場であった。
  • 工業・産業(Industrials) +1.65%
    工業・産業では、AIデータセンターの建設と運営に必要な発電、送電、空調、電気設備関連が買われた。GE VernovaやComfort Systems USAの上昇が象徴的である。AIは半導体だけでは稼働せず、大量の電力、冷却設備、非常用電源、通信設備が必要になる。設備投資の拡大が、製造業や建設関連企業の受注増加へつながるとの期待が続いている。
  • 素材(Basic Materials) -1.33%
    素材は全11セクターで最大の下落となった。Martin Marietta Materialsが大型買収を発表し、負債増加や新株発行による株式希薄化(1株当たりの価値が薄まること)への警戒から大幅安となった影響が大きい。インフラ建設やデータセンター向け資材需要という長期テーマは残るものの、この日は成長期待より買収費用と財務負担が優先された。

主要3指数とドル円の動き

  • S&P500(7,440.43、前日比+1.18%)
    S&P500は取引序盤に7,348.88まで下落したものの、その後は切り返し、ほぼ当日の高値圏で取引を終えました。半導体製造装置、光通信、データ保存装置など、AIデータセンター投資に関係する銘柄が幅広く上昇し、市場全体を押し上げています。一部の大型株だけに頼らず、AIインフラ関連へ資金が広がったことが、この日の強さを示しています。長期投資家としては、日中の下落に慌てず、市場全体の利益成長を見続けることが重要だと感じます。
  • Dow30(52,182.74、前日比+0.59%)
    Dow30は一時52,311.63まで上昇し、終値でも前日比+0.59%となりました。NASDAQほどの上昇ではありませんでしたが、工業・産業(Industrials)や大型製造業にも買いが入り、上昇が先端技術株だけに限定されない相場でした。一方、通信や一部の複合企業には売りが見られ、30銘柄がそろって上昇したわけではありません。大型株全体への資金循環が続くかどうかは、現在の株高の持続性を判断するうえで重要です。
  • NASDAQ(25,820.14、前日比+2.07%)
    NASDAQは主要3指数の中で最大の上昇となり、取引終了間際には25,834.36まで上昇しました。KLA、Applied Materials、Lam Researchなどの半導体製造装置株に加え、CorningやWestern Digitalなど、AIを支える通信・保存設備関連にも買いが広がっています。AI需要が半導体そのものから、通信、記憶装置、電力、冷却設備へ波及していることを映した上昇です。ただし、高い成長期待が織り込まれた銘柄は値動きも大きいため、短期的な過熱には注意が必要です。
  • ドル円(161.94円、前日比+0.13%)
    ドル円は161.69円付近で始まり、161.98円まで上昇した後、161.94円で推移しました。米国株が大きく上昇する中でもドル高・円安が続いており、米国の金利が日本より高い状態が長期化するとの見方が、ドル買いにつながっています。一方、162円に近づくほど日本政府・日銀による為替介入への警戒も強まりやすく、上昇率は限定的でした。円建てで米国株を保有する投資家にはプラスですが、為替効果だけで資産が増えている部分も区別して見る必要があります。

原油先物・米10年国債利回り・VIX・金先物の動き

市場全体では、米国株が大幅に上昇し、VIX指数と金先物が下落したことから、投資家が安全資産より株式を選ぶリスクオン(積極的にリスクを取る状態)の一日でした。一方、原油は上昇し、米10年国債利回りも高水準を維持しています。株価の反発とは別に、エネルギー価格とインフレへの警戒は残っていると考えられます。

  • WTI原油先物(70.55ドル、前日比+1.91%)
    WTI原油先物は一時69.32ドルまで下落した後、71.15ドルまで切り返し、70.55ドルで取引を終えました。米国株が上昇し、景気やエネルギー需要への過度な悲観が後退したことに加え、供給面の不確実性も原油価格に反映されています。原油が再び上昇を続ければ、輸送費や製造コストを通じてインフレを押し上げるため、株式市場にとって手放しで歓迎できる動きではありません。
  • 米10年国債利回り(4.374%、前日比+0.05%)
    米10年国債利回りは前日から0.002ポイント上昇し、ほぼ横ばいでした。日中の変動範囲も4.367%から4.390%と狭く、株価が大きく反発しても債券市場は冷静でした。利回りが4.3%台後半にとどまっていることは、インフレやFRBの金融政策に対する慎重な見方が消えていないことを示します。高金利は高PER(株価収益率が高い)銘柄の評価を不安定にするため、NASDAQの上昇が続くかを見るうえでも重要です。
  • VIX指数(17.67、前日比-4.02%)
    VIX指数は一時19.45まで上昇しましたが、その後は17.67まで低下しました。S&P500が+1.18%、NASDAQが+2.07%となったことで、短期的な急落に備える取引が減少したと考えられます。ただし、17台は極端に楽観的な水準ではなく、投資家が警戒を完全に解いたわけではありません。株価が急反発した日ほど、市場の不安が本当に薄れたのか、一時的な買い戻しなのかを落ち着いて見極めたいところです。
  • 金先物(4,030.50ドル、前日比-1.61%)
    金先物は4,101.10ドルで始まった後、4,012.00ドルまで下落し、4,030.50ドルで取引を終えました。米国株の上昇とVIX指数の低下により、安全資産として金を保有する必要性が短期的に低下したことが読み取れます。米10年国債利回りが4%台で推移し、ドル円も161円台まで上昇しているため、利息を生まない金には厳しい環境でした。ただし、円建てで保有する場合は円安が価格下落の一部を相殺します。

私の米国株ポートフォリオ

私の米国株ポートフォリオは+1.22%となりました。iFreeETF FANG+が+3.30%と最も大きく上昇し、MAXIS米国株式(S&P500)、iシェアーズS&P500米国株ETF、MAXISナスダック100上場投信もそろって約+1%上昇しました。前日の米国市場でNASDAQが+2.07%となり、AI、半導体、光通信、データ保存関連へ買いが広がった動きが、日本市場のETFにも反映されています。一方、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は-0.13%でした。同じS&P500連動商品でも、ETFと投資信託では価格や基準価額を算定する時刻が異なるため、日々の騰落率にはずれが生じます。GX超短期米国債も+0.18%と小幅に上昇し、株式が強い日に値動きの小さい資産を持つ意味も確認できました。FANG+の上昇は目立ちますが、私は特定銘柄へ集中せず、S&P500を中心に市場全体へ投資する方針を続けます。

経済指標発表結果

6/29は米国株式市場を大きく動かす雇用・物価・個人消費関連の主要指標はなく、経済指標から受けた影響は限定的でした。NASDAQを中心とした株高は、景気指標よりもAI、半導体、光通信、データ保存装置などへの買いが主因だったと考えられます。

  • ダラス連銀製造業活動指数(6月、0.0)
    ダラス連銀製造業活動指数は0.0となり、前回の0.4から小幅に低下しました。0を境に活動の拡大と縮小を判断するため、テキサス州を中心とする製造業は、拡大でも縮小でもない横ばい圏にあります。景気の急減速を示す内容ではありませんが、製造業の回復力が強くないことも確認されました。市場への影響は小さく、株式市場はAI関連銘柄の上昇を優先して受け止めました。
  • 米3カ月物国債入札(落札利回り3.740%)
    米3カ月物国債の落札利回りは3.740%となり、前回の3.695%から0.045ポイント上昇しました。短期金利がやや上昇したことは、FRBによる急速な利下げを市場が想定していないことを示します。ただし、上昇幅は小さく、株式市場で金利への警戒が急激に強まる状況ではありませんでした。短期債は価格変動が小さく、待機資金の運用先として一定の利回りを確保できる状態が続いています。
  • 米6カ月物国債入札(落札利回り3.840%)
    米6カ月物国債の落札利回りは3.840%となり、前回と同じ水準でした。半年程度先まで短期金利が大きく低下するとの期待は強まっておらず、市場はFRBの金融政策が当面慎重に運営されると見ているようです。ただし、この日のNASDAQは+2.07%上昇しており、安定した短期金利よりもAI関連企業の成長期待が優先されました。長期投資家としては、株価上昇と短期債利回りの両方を冷静に見ておきたいところです。

主要銘柄の決算発表結果

6/29には主要銘柄の決算発表はありませんでした。

主な経済ニュース

  • ハイテク株が反発しNASDAQは+2.07%
    米国株は先週まで売られていたAI・半導体関連株を中心に買い戻され、S&P500は+1.18%、Dow30は+0.59%、NASDAQは+2.07%で終了しました。先端技術(Technology)だけでなく、通信サービス(Communication Services)や工業・産業(Industrials)にも上昇が広がり、AI投資の恩恵を受ける企業群が改めて選別された一日です。とはいえ、月末を控えた持ち高調整も含まれており、上昇がそのまま一本調子で続くと期待したいですがどうなるでしょうか。(Reuters:06/29)
  • 米国とイランが攻撃を一時停止しドーハ協議へ
    米国とイランは週末に応酬した攻撃を一時停止し、30日にカタールのドーハで協議する方向となりました。両国は6月17日に戦闘停止とホルムズ海峡の再開を目指す合意文書を交わしましたが、その後も攻撃が発生しており、停戦はなお不安定です。それでも外交交渉が継続する可能性が示されたことで、最悪の軍事衝突を警戒していた投資家心理は改善し、米国株の反発につながりました。(Reuters、Bloomberg、WSJ:06/29)
  • 原油は外交期待と供給不安が交錯し70ドル台へ
    WTI原油先物は+1.91%の70.55ドルとなりました。米国とイランの協議再開は供給正常化への期待につながる一方、ホルムズ海峡周辺では船舶への攻撃リスクが残り、輸送量が短期間で戦争前の水準へ戻るとは限りません。原油高はエネルギー企業の収益にはプラスですが、燃料費や物流費を通じてインフレを再び押し上げる可能性があります。株価上昇と原油上昇が同時に進んだ点には注意が必要です。(Reuters:06/29)
  • FRBの追加利上げ観測が残り雇用統計へ関心
    市場では、年内に少なくとも1回の利上げが実施されるとの予想が残っています。米国では雇用と個人消費が予想以上に強く、インフレ率も高いため、FRBが早期に金融緩和へ転じる状況ではありません。今週発表される6月雇用統計が再び上振れれば、米10年国債利回りが上昇し、高PER(株価収益率が高い)銘柄の評価を圧迫する可能性があります。株価が反発しても、金利環境は依然として厳しい状態です。(Reuters:06/29)
  • ドル円が約40年ぶりの円安水準に接近
    ドル円は161.94円まで上昇し、1986年以来となる円安水準へ接近しました。日銀は政策金利を引き上げましたが、米国との金利差は依然として大きく、円を借りて高金利通貨や株式へ投資する取引が続いています。162円を超えれば日本政府による為替介入への警戒が一段と高まります。米国株を円建てで保有する投資家には資産評価額を押し上げますが、円安による物価上昇という家計への負担も無視できません。(Reuters、Bloomberg:06/29)
  • 米最高裁がFRBクック理事の解任を認めず
    米最高裁は5対4で、トランプ大統領によるFRBのリサ・クック理事解任を認めない判断を示しました。大統領が政策上の意見対立を理由にFRB理事を自由に解任できれば、利下げを求める政治圧力が金融政策へ直接及ぶおそれがあります。今回の判断によって中央銀行の独立性は守られました。物価と雇用のデータに基づく政策判断が維持されることは、米国債とドルに対する長期的な信頼にとって重要です。(Reuters、WSJ:06/29)
  • 強い米国経済が株価のリスクにもなる矛盾
    雇用、消費、企業投資が底堅く推移する一方、強い経済はインフレと高金利を長引かせるため、株式には必ずしも好都合ではありません。特に物価上昇を差し引いた実質金利が高まると、将来の利益を前提に評価される成長株の理論価格は低下します。米国経済が景気後退を回避しても、現在の高い株価評価を正当化できるほど企業利益が伸びなければ、指数の値動きは不安定になり得ます。(Reuters:06/29)
  • AI投資を支える企業債発行が世界へ拡大
    AmazonやAlphabetなどの大手クラウド企業は、過去12カ月に複数通貨で約600億ドルの社債を発行しました。大手各社の2026年の設備投資額は合計7,250億ドル規模に達する見通しで、データセンター、半導体、電力、通信、冷却設備へ資金が投入されています。AIインフラ需要は関連企業の受注を増やしますが、借入金の増加と投資回収期間の長期化は、大手IT企業の株価評価を厳しくする要因にもなっています。(Reuters:06/29)
  • Microsoft株はAIを巡る懸念で2000年以来の月間下落へ
    Microsoft株は6月に約17%下落し、月間では2000年以来の大幅安となる可能性があります。市場が警戒しているのは、巨額のAI設備投資が短期間で利益へ結び付くのかという問題と、AIがWordやExcelなど既存ソフトウェアの収益構造を変える可能性です。AI需要そのものが失速したというより、設備投資額と回収時期に対する市場の評価が厳しくなった局面と考えるべきでしょう。(Bloomberg:06/29)
  • Digital Realtyが78億ドル規模のデータセンター資産を取得
    Digital Realtyは、Blackstone系ファンドが保有する北バージニア州のデータセンター3施設の過半数持分を取得します。対象資産の評価額は78億ドルで、いずれもテナント契約済みです。北バージニアは世界最大級のデータセンター集積地であり、AIとクラウド需要が不動産価値を押し上げています。AIは半導体だけで動くものではなく、建物、受電設備、非常用電源、通信、冷却を含む総合的なインフラ投資であることを示す取引です。(Reuters:06/29)
  • AlphabetがDow30入りしVerizonと交代
    Googleの親会社AlphabetがDow30へ採用され、Verizonが除外されました。Alphabetは採用初日から上昇する一方、Verizonには指数連動型ファンドによる機械的な売却が発生しました。今回の入れ替えは、米国経済の中心が従来型通信から検索、広告、クラウド、AIへ移っていることを指数構成にも反映したものです。Dow30でも先端技術企業の影響が強まり、NASDAQとの性格の違いは以前より小さくなります。(Reuters:06/29)

経済指標発表予定

以下の経済指標が発表される予定です。

主要銘柄の決算発表予定

以下の主要銘柄の決算発表がなされる予定です。

おわりに

6/29の米国株市場は、AI・半導体・通信関連を中心に買いが戻り、NASDAQが大きく上昇しました。ただし、原油価格の上昇や高金利、中東情勢への不安が消えたわけではありません。相場が強い日ほど、短期的な値動きだけで判断せず、企業利益と市場全体の成長を見続けることが大切だと感じています。

毎朝こうして市場を整理し、皆さまと一緒に考えられることに感謝しています。本ブログが、米国株投資を続けるうえで少しでも参考になれば幸いです。

それでは、今日も一日、明るく元気に笑顔で過ごしましょう。

ご参考になりましたら、こちらから応援いただけると嬉しいです。

おことわり

投資は自己責任にてお願いします。
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図表のレファレンス

  • S&P500ヒートマップ: finviz
  • 主要3指数とドル円:  Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
  • セクター別騰落率: finviz
  • 経済指標結果/予定: investing.com日本語版
  • 決算発表結果/予定: investing.com日本語版
  • 主要指数の動き : Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
  • 自分の米ドル建ポートフォリオ:  Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ

著者プロフィール

室井一夫(Kazuo Muroi)
Muroi Universal Research on Investment LLC 代表社員
一級建築士・建築1級施工管理技士・工学修士
Facebookグループ「米国株_投資の部屋」管理人(約4.7万人)

米国株式市場と経済動向に関する情報を毎日発信しています。


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