【20260623】米国株式市場 投資研究レポート

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室井のマーケット視点

6月23日の米国市場を振り返ると、S&P500は-1.44%、NASDAQは-2.21%と大きく下落しました。一方、Dow30は-0.09%にとどまっています。私は、この指数間の差に、当日の市場内部で起きた資金移動がよく表れていると感じました。

この日の最大の特徴は、AI・半導体関連株に売りが集中したことです。先端技術(Technology)は-3.94%となり、Micron、SanDisk、Lam Research、KLA、Applied Materialsなどが大幅に下落しました。AIサーバー、光通信、電源、冷却設備、半導体製造装置まで一斉に売られており、特定企業の問題ではなく、AI投資関連銘柄全体の持ち高を減らす動きだったと考えています。

私はデータセンターの建設や改修工事に携わった経験がありますが、AIはGPUだけでは動きません。高速通信、大容量ストレージ、安定した電源、非常用発電機、空調や水冷設備がそろって初めて稼働します。したがって、AIインフラの長期的な需要が1日で消えたとは思いません。ただし、長期的に成長する産業であっても、株価が将来の利益を先に織り込み過ぎれば、大きな調整は起こります。

その象徴が、電力設備のVertivやEaton、空調設備工事のComfort Systems USA、通信関連のArista NetworksやCoherentまで大幅安となったことです。AI関連という共通項で買われてきた銘柄が、今度は同じ理由でまとめて売られました。成長テーマの正しさと、現在の株価が割安かどうかは、分けて考える必要があります。

一方、生活必需品(Consumer Defensive)は+1.85%、ヘルスケア(Healthcare)は+1.37%、不動産(Real Estate)は+1.28%となりました。市場全体から資金が消えたのではなく、値動きの大きい成長株から、景気変動の影響を受けにくい分野へ資金が移っています。Dow30が小幅安にとどまったことからも、全面的な投げ売りではなく、明確な資金の入れ替えだったことが分かります。

経済指標では、6月の製造業PMIが55.7、サービス業PMIが51.3となり、米国経済は拡大基調を維持しました。景気が強いこと自体は企業業績にプラスですが、現在の市場では、景気の強さがFRBの利下げを遠ざけるという逆の解釈も生まれます。2年物国債入札の利回りが4.189%へ上昇したことも、当面の高金利継続を連想させました。

ただし、米10年国債利回りは4.493%へ小幅に低下しています。通常であれば長期金利の低下は成長株に有利ですが、この日は半導体株の過熱感を解消する売りの方が強く出ました。VIX指数は+12.80%の19.49まで上昇しましたが、終値では20を下回っています。警戒感は強まったものの、市場が混乱状態に入ったとまでは言えません。

WTI原油先物は73.39ドル、金先物は4,126.40ドルへ下落しました。中東情勢を巡る協議が進み、ホルムズ海峡の供給不安がやや後退したことで、安全資産やエネルギーへの資金も減っています。株式と金が同時に下落した点を見ると、単純なリスク回避ではなく、ドル高、金利見通し、AI株の高値警戒が重なった一日だったと考えます。

ドル円は161.5780円まで上昇しました。日本から米国株へ投資する立場では、円安が円建て評価額の下落をある程度和らげます。しかし、161円台は政府・日銀による為替介入への警戒も必要な水準です。株価と為替の両方が大きく動く局面では、短期的な評価額だけを見て判断しない方がよいでしょう。

私のポートフォリオも-1.74%となり、特にiFreeETF FANG+が-4.21%と大きく下落しました。23日の米国市場も下落したため、24日の日本市場では、さらに安く始まる可能性があります。私は慌てて売るのではなく、寄り付き後の状況を確認しながら、FANG+などの保有ETFの買い増しを検討します。

コロナショックでは何日も下落が続きましたが、私は定期積立だけは止めませんでした。長期投資で重要なのは、毎日の上げ下げを正確に当てることではなく、市場から退場しないことです。ただし、下がったから無条件に買うのではなく、成長シナリオが維持されているか、投資資金に余裕があるかを確認したうえで判断します。

6月23日の下落は、AI時代の終わりではなく、期待が先行した株価を現実の利益へ近づける調整だった可能性が高いと見ています。指数の下落幅だけで悲観するのではなく、市場のお金がどこから抜け、どこへ移ったのかを見ることが、次の相場を考える手掛かりになると思います。

投資は自己責任にてお願いします。

S&P500ヒートマップ

5%以上上昇したS&P500構成銘柄

失礼しました。以下が情報源表記をすべて除いた、WordPressへそのまま貼り付けられるHTMLです。

  • AXON:Axon Enterprise +5.61%
    前日に3%を超えて下落した反動から買い戻しが入りました。警察向けカメラやデジタル証拠管理クラウドに加え、AIを活用した公共安全システムや対ドローン事業への成長期待も続いています。一方、PER(株価収益率)は173倍台と高く、市場の期待が変化すると値動きが大きくなりやすい銘柄です。
  • CDW:CDW Corporation +5.25%
    大手証券会社による投資判断と目標株価の引き上げを受けて上昇しました。企業向けサーバー需要が予想以上に強く、老朽化したIT設備の更新や計算処理能力の増強、AIインフラ投資の拡大によって恩恵を受ける企業として評価が高まりました。AI投資が半導体からIT機器の販売・導入支援へ広がっていることを示す動きです。
  • GEHC:GE HealthCare Technologies +5.08%
    大手証券会社が強気の投資判断で調査を開始したことを受けて買われました。AI搭載医療機器の普及、豊富な受注残の売上計上、中国市場の回復などによって、中期的な利益成長が期待されています。業績見通しの引き下げ後に株価が低迷していたため、割安感を見直す買いも加わったとみられます。
  • IBM:International Business Machines +5.04%
    大手証券会社による投資判断と目標株価の引き上げが株価を押し上げました。利益率の高いソフトウェア事業、ハイブリッドクラウド、生成AI関連サービスの成長余地が評価されています。さらに、量子コンピューター開発への期待も加わりました。Dow30の構成比率が高い銘柄であるため、IBMの上昇は指数全体にも比較的大きく影響しました。

5%以上下落したS&P500構成銘柄

  • SNDK:SanDisk -13.64%
    AIデータセンター向けストレージ需要への期待から急騰していた反動で、大規模な利益確定売りが出ました。半導体株全体の評価見直しが進む中、株価上昇率が特に大きかったメモリー関連銘柄ほど売りが膨らみました。
  • MU:Micron Technology -13.18%
    決算発表を翌日に控え、好業績を先回りして上昇してきた株価から資金が逃げました。HBM(AI向け高性能メモリー)の成長期待は強いものの、市場予想が高すぎるとの警戒が広がり、決算前の持ち高整理が加速しました。
  • VRT:Vertiv Holdings -11.07%
    AIデータセンター向けの電源・冷却設備銘柄として大幅上昇してきましたが、AI設備投資の採算性や借入金による投資拡大への懸念から売られました。長期的な需要拡大とは別に、高い株価評価を修正する動きが強まりました。
  • ON:ON Semiconductor -11.01%
    半導体株への一斉売りに加え、自動車や産業機器向け需要の回復速度に対する慎重な見方から下落しました。高金利の長期化は自動車販売や設備投資を鈍らせる可能性があり、景気に左右されやすい同社株には売りが集中しました。
  • COHR:Coherent -10.40%
    AIデータセンター向け光通信部品への期待から上昇していたため、AI関連株の利益確定売りに巻き込まれました。高速通信需要の拡大という成長シナリオは残るものの、短期間で株価が上がった銘柄ほど調整幅が大きくなっています。
  • MRVL:Marvell Technology -9.36%
    カスタムAI半導体やデータセンター向け通信製品への期待で買われてきましたが、巨額のAI設備投資が十分な利益を生むのかという疑問から売られました。高い成長を織り込んだ銘柄だけに、投資家心理の変化が株価へ強く表れました。
  • LRCX:Lam Research -9.33%
    半導体製造装置株全体に売りが広がりました。AI半導体とメモリー向け設備投資の拡大期待で株価が上昇していた一方、金利上昇や半導体株の過熱感から利益確定が加速しました。業績よりも市場全体の持ち高調整の影響が大きい下落です。
  • MCHP:Microchip Technology -9.20%
    自動車、産業機器、家電などに使われるマイコンを手掛けるため、景気や設備投資の先行き不安が売りにつながりました。AI関連半導体ほどの成長率が期待しにくい一方、半導体セクター全体への売りからも逃れられませんでした。
  • KLAC:KLA Corporation -9.17%
    半導体の検査・計測装置大手としてAI半導体投資の恩恵を受けてきましたが、製造装置株全体の評価見直しから下落しました。将来の好業績を株価が相当程度織り込んでいたため、金利上昇局面では利益確定売りが出やすくなります。
  • ADI:Analog Devices -8.58%
    産業機器や自動車向けアナログ半導体を主力としており、景気敏感株への警戒と半導体株全体の売りが重なりました。在庫調整からの回復期待は残っていますが、高金利が設備投資や自動車需要へ及ぼす影響が改めて問われました。
  • AMAT:Applied Materials -8.48%
    AI半導体向けの設備投資拡大を織り込んで上昇してきた反動から、大きく売られました。半導体製造装置は長期的な成長分野ですが、投資額が急拡大した後には受注の伸びが鈍化する可能性もあり、高い株価評価が修正されました。
  • WDC:Western Digital -8.45%
    データセンター向け記憶装置の需要拡大を期待して買われてきましたが、SanDiskやMicronとともにストレージ関連株から資金が流出しました。AI投資の採算性への疑問と株価上昇後の利益確定が重なり、下げ幅が広がりました。
  • TXN:Texas Instruments -8.40%
    自動車や産業機器向け半導体の比率が高く、設備投資や世界景気の減速懸念から売られました。比較的安定した企業ですが、半導体株全体が急落する局面では、業績の回復が緩やかなアナログ半導体にも売りが波及しました。
  • Q:Qnity Electronics -8.23%
    電子材料や半導体関連製品を扱う銘柄として、半導体セクター全体の急落に巻き込まれました。AI投資の拡大による需要増加への期待はあるものの、投資家が成長株の保有比率を落とす中で、利益確定売りが優勢となりました。
  • GEV:GE Vernova -8.21%
    発電設備や電力網関連の代表的なAIインフラ銘柄として上昇してきましたが、AIデータセンター投資への警戒から売られました。電力需要の長期的な増加見通しは変わらないものの、株価には相当高い成長期待が織り込まれています。
  • TER:Teradyne -8.07%
    半導体の検査装置を手掛けており、半導体製造装置株への一斉売りから下落しました。AI向け半導体の生産拡大は検査需要を増やしますが、設備投資の増加ペースが鈍化する可能性を警戒し、短期資金が流出しました。
  • QCOM:QUALCOMM -8.01%
    スマートフォン向け半導体に加え、車載やエッジAIへの展開を進めていますが、半導体株全体の調整に押されました。高金利による消費減速への懸念もあり、端末需要の先行きを慎重に見る売りが強まりました。
  • FIX:Comfort Systems USA -7.67%
    データセンターの空調・電気設備工事を担うAIインフラ関連株として急上昇してきたため、利益確定売りが膨らみました。AI設備投資の拡大は長期的な需要につながりますが、急速な株価上昇に対する過熱警戒が表面化しました。
  • GLW:Corning -7.51%
    AIデータセンター向け光ファイバー需要の拡大期待で上昇していましたが、光通信関連株全体への売りに巻き込まれました。AI相場が半導体から通信インフラへ広がった反面、調整局面では関連銘柄が一斉に売られる構図となりました。
  • MPWR:Monolithic Power Systems -7.42%
    AIサーバーやデータセンター向け電源管理半導体の成長期待が高い銘柄ですが、半導体株の評価見直しから下落しました。PER(株価収益率)が高い銘柄は金利上昇に弱く、将来利益の現在価値が低下するとの考えから売りが増えました。
  • LITE:Lumentum Holdings -7.38%
    AIデータセンター向け光通信部品の需要拡大を期待して買われてきましたが、CoherentやCorningとともに利益確定売りを受けました。事業の成長性が否定されたというより、短期間で進んだ株価上昇の反動と考えられます。
  • NXPI:NXP Semiconductors -7.21%
    車載半導体の比率が高く、高金利による自動車販売の鈍化や世界景気への懸念から売られました。半導体株全体の急落も重なり、業績回復の速度を慎重に見直す動きが強まりました。
  • GNRC:Generac Holdings -7.11%
    非常用発電機や電力管理機器を手掛けていますが、電力インフラ関連株への利益確定売りに押されました。データセンター向けバックアップ電源需要への期待はあるものの、景気不安と高金利が設備投資へ与える影響も警戒されました。
  • ANET:Arista Networks -7.08%
    AIデータセンター向け高速ネットワーク機器の代表銘柄として上昇してきましたが、AI投資の収益性に対する警戒から売られました。業績は堅調でも市場の期待水準が非常に高く、投資家心理の悪化によって大きく値下がりしました。
  • ETN:Eaton -7.00%
    配電設備や電力管理機器を手掛け、データセンターの電力需要増加から恩恵を受ける銘柄ですが、AIインフラ株全体の調整に巻き込まれました。長期需要への期待は残る一方、高い株価評価を縮小する売りが優勢となりました。
  • FCX:Freeport-McMoRan -6.95%
    銅価格の下落とドル高、世界景気への不安から売られました。銅はデータセンター、送電網、電気自動車に欠かせない素材ですが、景気減速が進めば短期的な需要が弱まるため、資源関連株にも売りが広がりました。
  • INTC:Intel -6.14%
    半導体セクター全体の急落に加え、製造技術の立て直しや巨額投資の回収に対する不透明感から下落しました。AI半導体市場での巻き返し期待はありますが、競争力回復には時間が必要との慎重な見方が残っています。
  • IVZ:Invesco -6.12%
    株式市場の変動拡大によって運用資産の評価額や投資信託への資金流入が減少するとの警戒から売られました。市場全体がリスク回避へ傾く局面では、資産運用会社の収益見通しも慎重に評価されやすくなります。
  • SMCI:Super Micro Computer -6.03%
    AIサーバー需要の拡大を代表する銘柄ですが、AI設備投資の採算性への疑問と高い株価変動率から売られました。成長期待は強い一方、投資家心理が悪化すると短期資金が急速に流出しやすい特徴が表れました。
  • TSLA:Tesla -5.79%
    高金利の長期化による自動車ローン負担への懸念と、高PER銘柄からの資金流出によって下落しました。自動運転やAIへの期待は続いていますが、現在の株価には将来の成長が大きく織り込まれており、金利上昇局面では売られやすくなります。
  • AMD:Advanced Micro Devices -5.76%
    AI半導体の成長期待で上昇してきた反動から、半導体株全体の売りに押されました。エヌビディアを追う成長余地は大きいものの、AI設備投資の収益性や競争激化への懸念から、高い株価評価を見直す動きが強まりました。
  • ORCL:Oracle -5.66%
    AI向けクラウドとデータセンターへの巨額投資について、借入負担や投資回収までの期間を警戒する売りが出ました。クラウド需要の拡大期待は強いものの、設備投資額の増加が短期的なキャッシュフローを圧迫する可能性があります。
  • KEYS:Keysight Technologies -5.56%
    半導体や通信機器の試験・計測装置を手掛けるため、半導体設備投資の先行き不安から売られました。AI通信網の高度化は長期的な需要を生みますが、顧客企業が投資計画を見直す可能性に市場が敏感に反応しました。
  • HUBB:Hubbell -5.46%
    送配電機器を扱う電力インフラ関連株として買われてきましたが、AIデータセンター関連の利益確定売りに巻き込まれました。電力網増強の必要性は変わらないものの、短期間で上昇した株価への警戒が強まりました。
  • FSLR:First Solar -5.27%
    高金利によって太陽光発電事業の資金調達コストが上昇するとの懸念から下落しました。成長株全体から資金が流出したことに加え、政策や設備投資計画の変化に左右されやすい点も株価の不安定さにつながりました。
  • PWR:Quanta Services -5.11%
    送電網やデータセンターの電気工事を担うAIインフラ関連株として上昇してきましたが、関連銘柄の持ち高調整から売られました。受注環境は堅調でも、高い成長を先取りした株価には利益確定が入りやすい状況です。
  • STX:Seagate Technology -5.07%
    データセンター向け大容量記憶装置への期待で上昇していましたが、SanDiskやWestern Digitalとともにストレージ関連株が売られました。AI需要の拡大期待は維持されている一方、急騰後の過熱感を修正する動きとなりました。

セクター別騰落率

市場全体では、半導体やAI関連銘柄を中心に先端技術(Technology)が急落し、素材(Basic Materials)や工業・産業(Industrials)にも売りが広がりました。一方、生活必需品(Consumer Defensive)、ヘルスケア(Healthcare)、不動産(Real Estate)が上昇しています。NASDAQが大幅安となる中、成長株から景気変動の影響を受けにくい分野へ資金を移す、典型的なリスク回避型の相場となりました。

  • 生活必需品(Consumer Defensive) +1.85%
    食品、飲料、日用品など、景気が悪化しても需要が落ちにくい銘柄へ資金が移り、全セクターで最大の上昇となりました。AI・半導体株の急落で市場の先行き不安が強まり、株価変動が比較的小さく、安定した利益や配当を期待できる企業が選ばれました。積極的な上昇期待よりも、資産を守ろうとする投資家心理が表れています。
  • ヘルスケア(Healthcare) +1.37%
    医薬品や医療サービスは景気変動による需要の増減が小さいため、成長株から逃れた資金の受け皿となりました。半導体株の急落やVIX指数(市場参加者の不安心理を示す指数)の上昇を受け、業績の安定性を重視する動きが強まっています。GE HealthCareの上昇も加わり、守りの性格と個別材料の両面から買われました。
  • 不動産(Real Estate) +1.28%
    株式市場全体が不安定になる中、比較的高い配当利回りを持つREIT(不動産投資信託)や不動産関連株に資金が向かいました。先端技術株からの資金移動に加え、長期金利の上昇が限定的だったことも、不動産株の相対的な魅力を高めています。ただし、不動産は金利の影響を受けやすいため、持続的な上昇には債券市場の安定が必要です。
  • 先端技術(Technology) -3.94%
    半導体、半導体製造装置、データセンター向け通信機器などに売りが集中し、全セクターで最大の下落となりました。Micron、SanDisk、Lam Research、KLA、Applied Materialsなどが大幅安となり、AI設備投資の採算性や高すぎる株価評価への警戒が表面化しました。AIの長期成長を否定する動きというより、期待を先取りして上昇した銘柄の急激な調整とみています。
  • 素材(Basic Materials) -2.99%
    銅や工業用素材を扱う企業を中心に売られました。AIデータセンターや送電網の整備には大量の銅が必要ですが、株式市場がリスク回避へ傾くと、景気に敏感な資源株は売られやすくなります。ドル高による商品価格への圧力や、世界的な設備投資の伸びが鈍化するとの警戒も加わり、Freeport-McMoRanなどの下落がセクター全体へ波及しました。
  • 工業・産業(Industrials) -1.63%
    データセンターの電力設備、冷却設備、建設工事など、AIインフラ関連として上昇してきた銘柄に利益確定売りが広がりました。Comfort Systems USA、Eaton、Quanta Servicesなどが下落し、AI投資の恩恵を受ける範囲が広かった分、調整もインフラ企業全体に及びました。受注環境の悪化より、短期間で上昇した株価をいったん見直す動きが中心です。
  • 一般消費材(Consumer Cyclical) -1.09%
    Teslaなど高PER(株価収益率が高く、将来の成長期待を大きく織り込んだ)銘柄が売られ、セクター全体が下落しました。高金利が長引けば、自動車ローンや住宅関連支出など消費者の負担が増えるため、景気に左右されやすい企業には慎重な見方が強まります。生活必需品が上昇した一方で一般消費材が下落し、投資家が景気への警戒を強めたことが明確に表れました。

主要3指数とドル円の動き

  • S&P500(7,365.46、前日比-1.44%)
    S&P500は107.33ポイント下落しました。半導体やAI関連を中心に先端技術(Technology)が急落し、これまで上昇を牽引してきた銘柄から利益確定売りが広がりました。生活必需品やヘルスケアなどは上昇しましたが、大型ハイテク株の指数への影響が大きく、相場全体を補い切れませんでした。長期投資家としては、AIの成長性が失われたというより、期待を先取りした株価が調整した一日と受け止めています。
  • Dow30(51,666.84、前日比-0.09%)
    Dow30は45.87ポイント安と、主要3指数の中では小幅な下落にとどまりました。IBMの大幅上昇に加え、生活必需品やヘルスケアなど景気変動の影響を受けにくい銘柄が買われ、半導体株や工業株の下落を相殺しました。市場全体が全面安になったのではなく、高成長株から安定収益株へ資金が移動したことが分かります。指数間の差が大きく、分散投資の効果が表れた相場でした。
  • NASDAQ(25,587.04、前日比-2.21%)
    NASDAQは579.56ポイント安となり、主要3指数で最大の下落率を記録しました。Micron、SanDisk、半導体製造装置、光通信、AIサーバーなど、AI設備投資の恩恵を期待されてきた銘柄に売りが集中しています。好業績への期待が高すぎる銘柄ほど、わずかな不安でも株価が大きく動く相場です。AI関連の長期的な需要拡大は続くと考えていますが、短期的には高いPER(株価収益率)の調整を繰り返す可能性があります。
  • ドル円(161.5780円、前日比+0.04%)
    ドル円は161円台後半で小幅なドル高・円安となりました。米国株が大きく下落したためリスク回避の円買いも入りましたが、日米の金利差を背景としたドル需要が残り、円高方向への動きは限定的でした。値幅は161.2630円から161.7410円で、株式市場ほど大きな変動にはなっていません。円建てで米国株やETFを保有する投資家にとっては、株価下落の一部を円安が和らげる形となりました。

原油先物・米10年国債利回り・VIX・金先物の動き

  • WTI原油先物(73.39ドル、前日比-0.64%)
    WTI原油先物は続落しました。米国がイラン産原油に対する制裁を一時的に緩和し、和平協議の進展によって供給不安が後退したためです。原油安はガソリン価格や企業の輸送費を抑え、インフレ圧力を和らげます。エネルギー株には逆風ですが、株式市場全体には金融引き締め懸念を抑える要因となります。
  • 米10年国債利回り(4.493%、前日比-0.35%)
    米10年国債利回りは小幅に低下しました。原油価格の下落によって将来のインフレ再加速への警戒がやや薄れ、国債を買う動きが入りました。ただし、FRBの利上げ観測は根強く、4.5%近い高水準にあります。長期金利の低下は通常、成長株に有利ですが、この日は金利よりAI関連株の高値警戒が強く、NASDAQの下落を止められませんでした。
  • VIX指数(19.49、前日比+12.80%)
    VIX指数は大幅に上昇し、一時20.54まで上昇しました。半導体やAI関連株への急激な売りで、投資家が株価下落に備えるオプション取引を増やしたためです。終値は市場不安の目安とされる20をわずかに下回りましたが、前日までの楽観的な空気は後退しました。暴落水準ではないものの、短期的な値動きの拡大には注意が必要です。
  • 金先物(4,126.40ドル、前日比-1.82%)
    金先物は大幅に下落しました。FRBの利上げ観測を背景にドルが上昇し、金利を生まない金の相対的な魅力が低下しました。さらに、米国とイランの協議進展によって安全資産を求める需要も後退しています。株式と金が同時に下落した点は、単純なリスク回避ではなく、ドル高と金利見通しの変化が市場全体を動かしたことを示しています。

私の米国株ポートフォリオ

私の米国株ポートフォリオは前日比-1.74%となりました。iFreeETF FANG+が-4.21%、MAXISナスダック100上場投信が-2.28%と、AI・大型ハイテク株の比率が高いETFの下落が目立ちました。S&P500連動商品もそろって下落しましたが、GX超短期米国債は+0.09%となり、株式とは異なる値動きを見せています。

23日の米国市場も半導体やAI関連株を中心に下落したため、24日の日本市場では、さらに安く始まる可能性があります。私は慌てて売る場面ではないと考えており、寄り付き後の値動きや下落幅を確認したうえで、iFreeETF FANG+はもちろんのこと、S&P500やNASDAQ100連動ETFを買い増すか検討するつもりです。GX超短期米国債はその資金に使います。長期投資では、上昇時よりも下落時に冷静に資金を投入できるかが重要だと感じています。

経済指標発表結果

  • 製造業購買担当者景気指数(6月速報値、55.7)
    製造業PMIは55.7となり、市場予想の54.6と前回の55.1をともに上回りました。50を超えると景気拡大を示すため、米国の製造業が依然として力強いことを示しています。一方、景気の強さはFRB(米連邦準備制度)が利下げを急がない理由にもなります。金利の高止まりが警戒され、半導体や高PER(株価収益率が高い)銘柄には売りが出やすくなりました。
  • サービス業購買担当者景気指数(6月速報値、51.3)
    サービス業PMIは51.3となり、市場予想の51.1、前回の50.7を上回りました。米国経済の中心であるサービス業が緩やかな拡大を続けていることが確認されました。景気後退への不安を和らげる内容ですが、賃金やサービス価格の上昇が続けばインフレ鈍化を妨げる可能性があります。株式市場では、景気の強さよりも金利上昇リスクを警戒する反応が優勢でした。
  • 総合購買担当者景気指数(6月速報値、52.2)
    製造業とサービス業を合わせた総合PMIは52.2となり、前回の51.5から上昇しました。米国経済全体が拡大基調を維持していることを示しています。ただし、現在の市場は「強い景気=株高」とは単純に反応しません。経済が強ければFRBの金融緩和が遠のき、債券利回りが高止まりしやすいため、将来の利益を先に織り込んだAI・成長株には厳しい材料となります。
  • 2年物米国債入札(最高落札利回り4.189%)
    2年物米国債の入札利回りは4.189%となり、前回の4.071%を上回りました。2年債はFRBの政策金利見通しを反映しやすく、市場が当面の高金利継続を織り込んでいることが分かります。長期金利が小幅に低下しても、短期金利の高止まりは企業の資金調達や高PER株の評価に影響します。この日のNASDAQや半導体株の下落と整合する結果でした。
  • リッチモンド連銀製造業指数(6月、4)
    リッチモンド連銀製造業指数は4となり、市場予想の8、前回の13を下回りました。プラス圏は維持したものの、米東部の製造業活動が減速していることを示します。出荷指数も3と前回の16から大きく低下し、全国PMIの強さとは温度差が見られました。米国景気は一様に強いのではなく、地域や業種によってばらつきが広がっている点には注意が必要です。
  • リッチモンド連銀サービス業指数(6月、-1)
    サービス業指数は-1となり、前回の14から大幅に低下しました。全国のサービス業PMIは拡大を示しましたが、地域別では需要の鈍化を示す指標も出ています。この食い違いは、米国経済が全面的に加速しているわけではないことを示します。長期投資家としては、単一の強い指標だけで判断せず、企業利益や雇用、消費の変化を複数のデータで確認する必要があります。
  • レッドブック売上高(前年比+10.0%)
    レッドブック売上高は前年比+10.0%となり、前回の+9.4%から伸びが拡大しました。高金利下でも小売消費が底堅く、家計支出が米国景気を支えていることが読み取れます。ただし、名目売上高には物価上昇の影響も含まれるため、販売数量まで同じ幅で増えたとは限りません。消費の強さは企業業績には好材料ですが、利下げ期待を後退させる側面もあります。

主要銘柄の決算発表結果

添付図と情報源「主要銘柄の決算発表結果」に従ってください。

主な経済ニュース

  • 半導体株急落でS&P500とNASDAQが大幅安
    半導体やAI関連株への売りが膨らみ、S&P500は-1.44%、NASDAQは-2.21%となりました。フィラデルフィア半導体指数は7%を超えて下落し、Micron、SanDisk、半導体製造装置株が急落しています。AI設備投資を借入金で拡大する企業への懸念と、株価に織り込まれた期待の大きさが、利益確定売りを加速させました。AI需要の消滅ではなく、価格評価の調整と考えるのが妥当でしょう。(Reuters:06/23)
  • 米製造業PMIが約4年ぶりの高水準
    6月の製造業PMIは55.7となり、2022年5月以来の高水準を記録しました。供給不足や値上がりを警戒した企業が注文を前倒しした面もあり、表面的な数字ほど景気が全面的に強いとは限りません。製造業の雇用は2020年5月以来の低水準へ落ち込み、受注増加と雇用削減が同時に進んでいます。FRBには、景気の強さと雇用の弱さを慎重に見極める必要が生じています。(Reuters:06/23)
  • 利上げ観測でドル上昇、円は40年ぶり安値目前
    FRBが年内に追加利上げへ動くとの予想からドル指数は13カ月ぶりの高値となり、ドル円は161円台後半へ上昇しました。7月利上げの確率は前週の8.5%から36.3%、9月は69.1%まで上昇しています。米国株へ投資する日本人には円建て評価額を押し上げる一方、政府・日銀による為替介入が実施されれば急激な円高も起こり得ます。株価だけでなく為替変動にも注意が必要です。(Reuters:06/23)
  • 米上院がイランとの軍事行動停止を求める決議を可決
    米上院は、トランプ大統領にイランへの軍事行動停止を求める戦争権限決議を50対48で可決しました。下院でも同様の決議が可決されており、上下両院が大統領の戦争権限を制限する異例の展開です。法的な実効性は今後の争点ですが、米国内で戦争継続への反発が強まっていることは明確です。停戦が定着すれば、原油価格とインフレの上振れリスクを抑える効果が期待できます。(Reuters:06/23)
  • イランとオマーンがホルムズ海峡の管理協議を開始
    イランとオマーンは、ホルムズ海峡の航行管理と海上サービスについて協議する作業部会を設置しました。停止していた原油タンカーやLNG船の通航も徐々に再開し、エネルギー供給不安が後退しています。ただし、機雷や港湾設備の損傷が残り、通航量は戦争前を大きく下回ります。原油価格の下落はインフレには好ましい一方、停戦交渉が崩れれば供給不安が再燃するため、地政学リスクは消えていません。(Reuters:06/23)
  • 米政府が大型原子炉建設へ175億ドルの融資を提示
    米エネルギー省は、大型原子炉の部品調達と建設を支援するため、最大175億ドルの条件付き融資を発表しました。2030年までに大型原子炉10基の建設開始を目指し、原子炉容器や蒸気発生器など、製造に時間を要する部品を先行発注します。AIデータセンターの増設で安定電源の確保が急務となる中、電力需要の拡大が原子力、送電設備、建設、冷却設備へ波及する構図が鮮明になっています。(Reuters:06/23)
  • SpaceXが250億ドルの大型社債を発行
    SpaceXは初の投資適格級ドル建て社債として、5年から30年までの5本立てで少なくとも250億ドルを調達します。投資家から約850億ドルの注文が集まりましたが、需要は償還期間の短い社債へ集中しました。調達資金は既存融資の返済とAIデータセンター、計算設備、電力設備への投資に充てられます。AI事業の成長期待は強いものの、巨額投資と債務増加を市場が慎重に見ていることも分かります。(Reuters・WSJ:06/23)
  • Metaが299ドルからの低価格AIグラスを発表
    MetaはEssilorLuxotticaと共同で、299ドルから購入できる自社ブランドのAIスマートグラスを発表しました。前年発売の800ドル製品より大幅に価格を下げ、AIを日常的に使う消費者層の拡大を狙います。世界のスマートグラス出荷台数は前年に960万台へ達し、その約76%をMetaが占めました。生成AIの競争がデータセンター内の処理能力だけでなく、消費者が直接使用する端末へ移り始めています。(Reuters:06/23)
  • カナダ中銀総裁が米国資産への投資集中に警鐘
    カナダ銀行のマックレム総裁は、世界の投資資金が米国へ過度に集中し、株価評価を押し上げている可能性を指摘しました。米国への資金流入が突然反転すれば、世界的な金融不安を引き起こす恐れがあります。ヘッジファンドやプライベートクレジット(銀行以外による企業融資)の拡大で、金融市場の構造も見えにくくなっています。S&P500へ長期投資する場合でも、米国一極集中のリスクは理解しておく必要があります。(WSJ:06/23)
  • ゴールドマンの株式トレーディング収入が過去最高圏へ
    Goldman Sachsの4~6月期の株式トレーディング収入が50億ドルを超え、過去最高水準に達する見通しです。半導体株の急落や中東情勢、金利見通しの変化によって売買やヘッジ取引(価格下落への備え)が増え、金融機関の取引収益を押し上げています。ただし、市場の変動拡大で金融機関が利益を伸ばす一方、個人投資家には売買を繰り返さず、保有資産の分散を維持する冷静さが求められます。(Bloomberg:06/23)

経済指標発表予定

以下の経済指標が発表される予定です。

主要銘柄の決算発表予定

以下の主要銘柄の決算発表がなされる予定です。

おわりに

23日の米国市場は、AI・半導体関連株を中心に大きく下落しました。ただ、生活必需品やヘルスケアには資金が移っており、市場全体が一方向に崩れたわけではありません。期待が先行していた銘柄の株価が、いったん現実的な水準を探る調整局面に入ったと見ています。

長期投資では、上昇相場を追いかけるより、こうした下落時に落ち着いて判断することが大切です。私も24日の値動きを確認しながら、FANG+ほか、保有ETFの買い増しを検討します。

毎朝の市場整理が少しでもお役に立ちましたら、こちらから応援いただけると嬉しいです。

それでは、今日も一日、明るく元気に笑顔で過ごしましょう。

おことわり

投資は自己責任にてお願いします。
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図表のレファレンス

  • S&P500ヒートマップ: finviz
  • 主要3指数とドル円:  Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
  • セクター別騰落率: finviz
  • 経済指標結果/予定: investing.com日本語版
  • 決算発表結果/予定: investing.com日本語版
  • 主要指数の動き : Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
  • 自分の米ドル建ポートフォリオ:  Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ

著者プロフィール

室井一夫(Kazuo Muroi)
Muroi Universal Research on Investment LLC 代表社員
一級建築士・建築1級施工管理技士・工学修士
Facebookグループ「米国株_投資の部屋」管理人(約4.7万人)

米国株式市場と経済動向に関する情報を毎日発信しています。


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