室井のマーケット視点
6月22日の米国市場を振り返ると、S&P500は-0.37%、NASDAQは-1.32%となる一方、Dow30は+0.29%で取引を終えました。指数だけを見ればハイテク株中心の下落ですが、市場全体が弱かったわけではありません。エネルギー(Energy)は+1.12%、ヘルスケア(Healthcare)は+0.96%、不動産(Real Estate)は+0.91%となり、資金が市場内を大きく移動した一日でした。
私は、この日の相場を「AI相場が終わった日」ではなく、「AI投資先の選別が一段進んだ日」と見ています。
Alphabet、Palantir、Oracleなど、AIサービスやソフトウェアを提供する大型企業には売りが出ました。巨額の設備投資を続けながら、それに見合う利益をどこまで生み出せるのか。市場は以前より厳しい目で企業を評価し始めています。通信サービス(Communication Services)は-3.49%となり、NASDAQの下落を拡大させました。
その一方で、Super Micro Computerは+15.66%、Coherentは+9.22%、ON Semiconductorは+8.16%、Corningは+7.65%、Cienaは+7.50%、Vertivは+7.48%、Micronは+6.82%となりました。Quanta Services、Lumentum、Comfort Systems USAも5%を超えて上昇しています。
ここに、この日の相場の本質が表れていると思います。
私はデータセンターの建設や改修工事に携わった経験がありますが、AIは高性能なGPUだけでは動きません。サーバー同士を結ぶ高速光通信、大容量の電力、無停電電源、非常用発電機、空調、水冷設備、送電線、変電設備が必要です。AIモデルが大型化するほど発熱量と消費電力は増え、建物や設備に求められる性能も高くなります。
この日は、AIサービスを提供する側から、AIを物理的に動かす設備を供給する企業へ資金が移りました。半導体、光通信、メモリー、サーバー、電源、冷却設備という一連の流れを見れば、AIインフラ投資そのものが縮小したわけではないことが分かります。
ただし、米10年国債利回りが4.509%まで上昇した点は注意が必要です。金利が上がると、何年も先の利益を期待して買われている高PER(株価収益率が高いこと)銘柄ほど企業価値を低く計算されやすくなります。Palantirのように高い成長率を織り込んだ銘柄が大きく下落したのも、AIへの期待が消えたというより、期待値が高すぎた反動と考えた方が自然です。
VIX指数は17.30まで上昇しましたが、一般に警戒水準とされる20は下回っています。投資家が全面的に株式市場から逃げたのではなく、割高な大型グロース株を売り、エネルギー、ヘルスケア、不動産、金融などへ資金を移した相場です。S&P500構成銘柄の多くが下落したわけではないにもかかわらず、時価総額の大きいAlphabetなどが指数を押し下げました。指数だけでは市場内部の動きを読み違えてしまいます。
WTI原油先物は-2.15%、金先物は-0.88%となりましたが、ドル円は161.60円まで円安が進みました。米国の金利が高止まりするとの予想がドルを押し上げています。円建てで米国株を保有する投資家には評価額を押し上げる効果がありますが、為替介入や急激な円高が起きれば逆方向にも働くため、株価とは別のリスクとして考えておく必要があります。
私の米国株ポートフォリオは前日比+0.52%でした。ただし、これは6月22日の日本市場で取引されたETFや投資信託の値動きです。同日のニューヨーク市場で起きたNASDAQの下落は、まだ十分に反映されていません。翌日の評価額が下がったとしても、それは市場の反映時刻の違いによるものであり、慌てて売買する理由にはなりません。
私は個別のAI銘柄を当てにいくより、S&P500やNASDAQ100などのETFを通じて、成長企業が指数へ組み入れられる仕組みを利用する方が、自分の年齢にも投資方針にも合っていると考えています。AI相場の主役がソフトウェアから半導体、さらに光通信、電力、冷却設備へ移っても、指数投資なら市場の変化に合わせて保有銘柄が自然に入れ替わります。
毎日の株価だけを見れば、+5%や-5%という数字に目を奪われます。しかし、長期投資で重要なのは「今日どの銘柄が上がったか」ではなく、「経済全体のお金がどの分野へ移り始めているか」です。
6月22日は、AI相場の終わりではありません。AIという言葉だけで何でも買われる段階から、実際に利益を生み出せる企業、AIを動かすために欠かせない企業が選ばれる段階へ移った一日だったと感じています。
投資は自己責任にてお願いします。
S&P500ヒートマップ
5%以上上昇したS&P500構成銘柄
- SMCI:Super Micro Computer +15.66%
AIサーバー大手のSuper Micro Computerは、この日のS&P500構成銘柄で最大の上昇となりました。エヌビディアの技術を組み込んだ新たなAIインフラ製品への期待が高まり、超大型クラウド企業からAI設備の供給企業へ資金が移る流れを象徴しています。ただし、株価変動が大きい銘柄である点には注意が必要です。 - COHR:Coherent +9.22%
光通信部品を手掛けるCoherentは、AIデータセンター向け高速通信需要への期待から上昇しました。生成AIではGPUの性能だけでなく、サーバー間で大量のデータを短時間に送る光トランシーバー(電気信号と光信号を変換する装置)が欠かせません。AI設備投資の恩恵が半導体から通信部品へ広がっていることを示しています。 - ON:ON Semiconductor +8.16%
ON Semiconductorは、半導体株全体への買いが強まる中で大幅に上昇しました。同社は自動車や産業機器向けに加え、電力を効率よく制御するパワー半導体を供給しています。個別の大型発表というより、AIデータセンターの電力効率改善や半導体需要拡大を見込む資金が、周辺銘柄にも広がった動きと考えられます。 - GLW:Corning +7.65%
光ファイバーや特殊ガラスを製造するCorningは、AIデータセンターの通信設備増強を見込んだ買いで上昇しました。多数のGPUやサーバーを接続するには、大容量かつ低遅延(データ到達までの時間が短いこと)の光通信網が必要です。AI投資が演算装置だけでなく、建物内外の通信基盤へ広がっている点が鮮明になっています。 - CIEN:Ciena +7.50%
通信ネットワーク機器大手のCienaは、AI処理に伴うデータ通信量の急増を見込む買いが入りました。AIデータセンター同士を結ぶ長距離通信網や、施設内部の高速接続への投資は今後も必要になります。市場では、AI相場の焦点がGPUからメモリー、光通信、ネットワーク機器へ移りつつあることが確認できる上昇です。 - VRT:Vertiv Holdings +7.48%
データセンター向け電源設備と冷却装置を供給するVertivは、AIインフラ関連の代表銘柄として買われました。高性能GPUは大量の電力を消費し、多量の熱を発生させるため、無停電電源、水冷設備、空調設備への投資も同時に増えます。データセンター建設の経験から見ても、AI設備の安定運転には同社の領域が不可欠です。 - MU:Micron Technology +6.82%
Micronは、生成AI企業Anthropicにメモリーと記憶装置を供給し、同社の資金調達にも参加すると発表しました。AIモデルの学習や稼働にはHBM(大量のデータを高速処理する高性能メモリー)が必要であり、今回の契約は需要の強さを裏付けます。6月24日の決算を前に業績への期待も高まり、株価は最高値圏へ上昇しました。 - ABBV:AbbVie +6.25%
AbbVieは、皮膚炎やぜんそくの新薬を開発するApogee Therapeuticsを109億ドルで買収すると発表しました。主力だったHumiraの特許切れ後を見据え、免疫疾患分野の新薬候補を確保する狙いです。買収企業の株価は費用負担を警戒して下がる場合もありますが、今回は事業との相性や将来の成長余地が高く評価されました。 - GNRC:Generac Holdings +5.87%
非常用発電機や蓄電設備を手掛けるGeneracは、電力インフラ関連銘柄への資金流入に乗って上昇しました。AIデータセンターでは停電による停止を避けるため、商用電源とは別に非常用発電機や蓄電池を備える必要があります。個別材料よりも、電力供給の安定性やバックアップ設備の需要拡大を評価する動きが強かったと考えられます。 - FLEX:Flex +5.56%
電子機器の設計・製造を受託するFlexは、AIサーバーやデータセンター向け電源装置などへの需要拡大を見込んだ買いで上昇しました。AI設備投資が続けば、完成品メーカーだけでなく、部品調達や組み立てを担う企業にも受注が波及します。市場がAI関連企業を、サービス提供側と設備供給側に分けて評価し始めたことが表れています。 - INCY:Incyte +5.54%
医薬品大手Incyteは、バイオ医薬品株への買いが広がる中で上昇しました。AbbVieによる大型買収を受け、免疫疾患や炎症性疾患の新薬候補を持つ企業の価値が改めて見直された可能性があります。同社でも治療薬の承認や臨床試験の進展が続いており、大型ハイテク株からヘルスケア株へ資金を分散する動きも加わったとみられます。 - PWR:Quanta Services +5.40%
送電網や電気設備の建設を担うQuanta Servicesは、AIデータセンター向け電力需要の拡大期待から上昇しました。発電所を増設しても、送電線や変電設備が不足すれば必要な場所へ電力を届けられません。AI投資のボトルネック(成長を妨げる制約)が半導体から電力網へ移る中、同社の施工能力が高く評価されています。 - LRCX:Lam Research +5.27%
半導体製造装置大手のLam Researchは、MicronとAnthropicの提携を受けてメモリー需要への期待が高まり、買いが入りました。AI向けHBMやDRAMの増産には新しい製造設備が必要となるため、メモリーメーカーの設備投資拡大は同社の受注につながります。Micronの決算を前に、半導体製造装置株へ先回りする資金も入ったようです。 - INTC:Intel +5.19%
Intelは、Micronを中心とした半導体株の上昇に連動して買われました。AI関連ではエヌビディアに後れを取っていますが、製造事業の立て直しや米国内での半導体生産拡大への期待は残っています。この日は個別の新材料より、超大型ハイテク株から半導体メーカーやAI設備供給企業へ資金が移動した影響が大きかったとみられます。 - SWKS:Skyworks Solutions +5.15%
通信向け半導体を手掛けるSkyworks Solutionsは、半導体セクター全体への資金流入を受けて上昇しました。スマートフォン需要への依存度が高い企業ですが、市場では通信機器の買い替えや無線通信部品需要の回復も期待されています。AI関連の中心銘柄ではないものの、割高感が強い銘柄から出遅れた半導体株へ資金が広がった形です - LITE:Lumentum Holdings +5.12%
光通信部品大手のLumentumは、CoherentやCienaとともにAIデータセンター関連の買いを集めました。AIモデルの規模拡大に伴い、GPU間やデータセンター間を高速で接続する光部品の需要が急増しています。半導体そのものよりも通信能力が処理速度を制限する場面が増えており、光通信技術の重要性が高まっています。 - FIX:Comfort Systems USA +5.04%
空調、配管、電気設備工事を手掛けるComfort Systems USAは、データセンター建設需要への期待から上昇しました。AIサーバーの高性能化に伴って発熱量が増え、従来型空調だけでなく水冷設備や大容量電源の施工が必要になります。AI投資の恩恵が半導体やサーバーから、実際に施設を造る建設・設備会社へ広がっていることを示す動きです。
5%以上下落したS&P500構成銘柄
- MRNA:Moderna -7.22%
Modernaは6営業日続伸した後、利益確定売りで反落しました。インフルエンザワクチンやがんワクチンへの期待から短期間に株価が上昇していたため、材料の出尽くしを警戒する売りが出たようです。新薬候補への期待は残りますが、承認や臨床試験の結果で株価が大きく動く点には注意が必要です。 - PLTR:Palantir Technologies -6.98%
AIソフトウェアの代表銘柄であるPalantirは、大型ハイテク株への売りと歩調を合わせて下落しました。添付図ではPER(株価収益率)が134倍を超えており、業績成長への期待が極めて高い分、金利上昇やAI投資への警戒が強まると利益確定売りが膨らみやすい銘柄です。政府・企業向け需要は続いていますが、値動きの大きさは覚悟が必要です。 - VRSN:VeriSign -6.40%
インターネットのドメイン管理を担うVeriSignは、大きな企業固有の悪材料が確認されない中で急落しました。出来高も平常時を大きく上回っており、通信サービスや高PER銘柄から資金を移す動きに巻き込まれた可能性があります。安定した事業基盤を持つ企業でも、割高感が強い局面では市場全体の資金移動に影響されます。 - CMG:Chipotle Mexican Grill -6.00%
Chipotleは、客数の伸び鈍化や食材費、人件費の上昇に対する警戒から売られました。添付図では今後1年間のEPS成長率がマイナスとなっており、これまで高成長企業として評価されてきた反動が表れています。価格を引き上げれば客離れを招き、据え置けば利益率が低下するという難しい経営環境が続いています。 - NFLX:Netflix -5.82%
Netflixは52週安値圏まで下落しました。Rokuの買収競争でFoxに敗れたことや、今後の大型買収に伴う資金負担、統合リスクへの警戒が続いています。動画配信事業の収益力は高いものの、市場は会員数だけでなく広告事業や買収戦略の費用対効果を厳しく評価する段階に入っています。 - LULU:lululemon athletica -5.67%
lululemonは、北米市場の販売不振と通期利益見通しの引き下げを改めて嫌気されました。新商品で顧客を呼び戻せていないことに加え、関税や販売促進費の増加が利益率を圧迫しています。PERは低下しましたが、割安というだけで買われる段階ではなく、ブランド力と既存店売上の回復を数字で示す必要があります。 - FOXA:Fox Corporation Class A -5.44%
FoxはRokuを約220億ドルで買収する計画を巡り、株式希薄化(新株発行などで1株当たりの価値が薄まること)や買収後の統合負担を警戒する売りが続きました。動画配信と広告事業を強化する狙いは明確ですが、買収価格に見合う利益を生み出せるか、市場は慎重に見ています。長期的には配信基盤との相乗効果が焦点です。 - CLX:Clorox -5.43%
Cloroxは生活必需品株でありながら大幅安となりました。洗剤・家庭用品の需要鈍化に加え、エネルギー費用や買収関連費用の増加から、会社は年間利益見通しを引き下げています。配当利回りの高さだけでは利益率悪化への不安を補えず、ディフェンシブ株(景気変動の影響を受けにくい株)にも業績選別が及んでいます。 - GOOG:Alphabet Class C -5.08%
Alphabetの議決権を持たないClass C株は、Google DeepMindの主要研究者がAnthropicやOpenAIへ相次いで移籍したことで急落しました。AI競争では半導体や資金だけでなく、優秀な研究者の確保が企業価値を左右します。巨額のAI設備投資を続ける一方で人材流出が起きたため、投資効果への疑問が強まりました。 - GOOGL:Alphabet Class A -5.02%
議決権付きのClass A株も、Class C株と同じ理由で売られました。AlphaFoldを開発したノーベル賞受賞者John Jumper氏と、Gemini開発を率いたNoam Shazeer氏の移籍は、AI人材獲得競争の激しさを示しています。検索、広告、クラウドの収益力は健在ですが、市場はAI分野での優位性が維持できるかを問い直しています。 - ORCL:Oracle -5.00%
OracleはAIデータセンターへの巨額投資と資金調達への警戒から続落しました。同社はクラウド契約を急拡大させていますが、設備投資によってフリーキャッシュフロー(事業で稼いだ現金から設備投資を差し引いた金額)が大幅な赤字となっています。AI需要の成長性だけでなく、借入金や新株発行に見合う利益を生み出せるかが問われています。
セクター別騰落率
市場全体では、エネルギー(Energy)やヘルスケア(Healthcare)、不動産(Real Estate)が上昇する一方、通信サービス(Communication Services)や一般消費材(Consumer Cyclical)、工業・産業(Industrials)が大きく下落した。AI関連でもインフラ供給企業とサービス企業の明暗が分かれ、景気や消費に敏感な分野から、原油高や業績安定性を評価できる分野へ資金が移動する選別相場であった。
- エネルギー(Energy) +1.12%
原油価格が高水準を維持し、石油・ガス企業の収益改善を見込む買いが入った。米国とイランの協議進展で原油先物は下落したものの、ホルムズ海峡の航行不安や供給途絶リスクは消えていない。通信サービスや一般消費材が売られる中、利益や配当を確保しやすいエネルギー株へ資金が向かった。 - 工業・産業(Industrials) -1.89%
AIデータセンター向け設備工事や送電網関連の一部銘柄は上昇したが、セクター全体では幅広い売りに押された。長期金利の上昇や景気減速への不安から、設備投資、輸送、資本財など景気の影響を受けやすい企業への警戒が強まった。AIインフラ関連だけが買われ、その他の産業株は軟調という選別色の濃い動きである。 - 一般消費材(Consumer Cyclical) -2.06%
外食、衣料、娯楽など消費者の裁量で支出額が変わりやすい企業が売られた。高金利と物価高が家計を圧迫する中、Chipotleやlululemonなどには売上成長や利益率への懸念が強まっている。米国消費全体が急速に悪化したわけではないが、市場は値上げによる客離れや販売促進費の増加に敏感になっている。 - 通信サービス(Communication Services) -3.49%
AlphabetやNetflixなどの大型株が大幅に下落し、全セクター中で最大の下落となった。AlphabetではAI人材の流出と巨額設備投資の回収可能性が問題となり、Netflixには買収戦略や資金負担への不安が残る。AI関連でも売上成長だけでは評価されず、投資額に見合う利益と競争優位を示せるかが厳しく問われている。
主要3指数とドル円の動き
- S&P500(7,472.79、前日比-0.37%)
S&P500は7,500.44で始まり、一時7,530.01まで上昇しましたが、大型ハイテク株への売りが強まり、7,460.01まで下落する場面がありました。Alphabetをはじめ、AmazonやMicrosoftなど時価総額の大きい銘柄が指数を押し下げています。一方、11セクター中8セクターは上昇しており、市場全体が崩れたというより、巨大IT株から他分野へ資金が移った一日です。長期投資家としては、指数の下落率だけでなく市場内部の広がりも確認したいところです。 - Dow30(51,712.71、前日比+0.29%)
Dow30は51,555.19で始まり、51,887.85まで上昇した後もプラス圏を保ちました。ヘルスケアやエネルギー、不動産などが買われ、ハイテク株の比重が高いNASDAQとは対照的な動きです。原油価格の下落によってインフレや企業コストへの不安がやや和らいだことも、伝統的な大型株に安心感を与えました。AI関連株だけに資金が集中せず、出遅れていた分野にも買いが広がる動きは、相場の健全性という点では悪くないと感じます。 - NASDAQ(26,166.60、前日比-1.32%)
NASDAQは26,483.31で始まり、一時26,561.12まで上昇しましたが、その後は売りが加速し、安値26,125.48に近い水準で終了しました。Alphabetの急落に加え、Palantir、Oracleなど高い成長期待を織り込んできた銘柄が下落しています。AI投資そのものが否定されたわけではありませんが、巨額の設備投資を将来の利益に結び付けられるかを市場が厳しく問い始めました。短期的には荒い値動きが続いても、ETF投資では個別企業の失速を分散できる利点があります。 - ドル円(161.6000円、前日比+0.20%)
ドル円は161.2750円で始まり、161.0510円まで下げた後、米長期金利の上昇とFRBの利上げ観測を背景に161.9280円まで円安が進みました。米国ではインフレ再加速への警戒から早期利下げ期待が後退する一方、日本の通貨当局は円安への警告を続けています。161円台後半は為替介入への警戒が強まる水準であり、円安が一方向に続くとは限りません。円建ての米国株資産にはプラスですが、為替による評価額の変動が大きくなっている点には注意が必要です。
原油先物・米10年国債利回り・VIX・金先物の動き
- WTI原油先物(74.22ドル、前日比-2.15%)
WTI原油先物は78.00ドルで始まった後、73.24ドルまで急落し、74.22ドルで取引を終えました。米国がイラン産原油の販売などを60日間認めたことに加え、米国とイランの協議進展によって供給途絶への警戒が後退しました。原油安はガソリン代や輸送費を通じてインフレを抑える方向に働くため、株式市場全体にはプラスです。ただし、ホルムズ海峡の安全航行が完全に回復したとは言えず、価格が再び荒れる可能性は残っています。 - 米10年国債利回り(4.509%、前日比+1.30%)
米10年国債利回りは4.509%へ上昇し、前日から0.058%ポイント、すなわち5.8ベーシスポイント(1%の100分の1)上がりました。原油安でインフレ懸念が和らいだにもかかわらず、FRBの利下げ期待後退と年内利上げの可能性が債券売りを招きました。金利上昇は、将来の利益を高く評価されているAI・グロース株には不利です。この日はNASDAQが大きく下落しており、原油より金融政策への警戒が株価を左右した一日でした。 - VIX指数(17.30、前日比+3.10%)
VIX指数は一時17.92まで上昇し、17.30で終了しました。Alphabetなど超大型ハイテク株が売られ、NASDAQが下落したことで、短期的な株価変動に備える動きが強まりました。ただし、一般に警戒水準とされる20は下回っており、市場が全面的な恐怖状態に陥ったわけではありません。私は、指数の上昇率以上に、AI投資の費用対効果やFRBの政策を巡って投資家の迷いが増えていることを示す動きだと感じます。 - 金先物(4,208.50ドル、前日比-0.88%)
金先物は4,238.10ドルまで上昇した後、4,138.70ドルまで下落する荒い展開となり、最終的に4,208.50ドルで終了しました。米国とイランの協議進展で安全資産需要が弱まったうえ、米長期金利とドルの上昇が、利息を生まない金には不利に働きました。一方、地政学リスクが完全に消えたわけではなく、下値では買いも入りました。長期投資家としては、短期の値動きを追うより、インフレや危機への備えとして資産の5%程度を保有する考え方が現実的だと思います。
私の米国株ポートフォリオ
私のポートフォリオは前日比+0.52%でした。iFreeETF FANG+が+0.65%、MAXISナスダック100が+0.89%と成長株系が上昇し、S&P500連動商品も全体として底堅い動きでした。GX超短期米国債も+0.18%となり、値動きの安定に役立っています。
一方、MAXIS米国株式(S&P500)は-0.26%となりました。同じ指数に連動する商品でも、為替や基準価額の反映時間によって差が出ます。今回の数値は日本市場の6月22日終値であり、同日のニューヨーク市場でNASDAQが大きく下落した影響は、まだ十分には反映されていません。短期の上下に一喜一憂せず、ETFを中心に市場へ居続ける方針を続けます。
経済指標発表結果
- 6カ月物短期米国債入札(落札利回り3.840%、前回3.680%)
6カ月物の落札利回りは前回から0.160%ポイント上昇しました。投資家が半年先まで比較的高い利回りを求めており、FRBの政策金利が早期には下がりにくいとの見方を映しています。短期金利の高止まりは、高い成長期待を織り込んだAI・グロース株には不利で、ドル円ではドル高要因になりやすい結果です。 - 3カ月物短期米国債入札(落札利回り3.695%、前回3.640%)
3カ月物の落札利回りも前回を0.055%ポイント上回りました。上昇幅は6カ月物より小さいものの、足元の金融環境が引き締まった状態にあることを示しています。原油価格が下落しても、市場がFRBの早期利下げを強く織り込んでいない点は重要です。株式市場では金利に敏感なNASDAQへの影響が相対的に大きくなります。 - CFTC S&P500投機的ネットポジション(-194.0K、前回-205.6K)
S&P500先物の投機的ポジションは売り越しが11.6K縮小しました。投資家の弱気姿勢がやや後退したことを示しますが、依然として194.0Kの売り越しであり、相場全体に対する警戒は残っています。大型ハイテク株が下落する一方、エネルギーやヘルスケアが上昇しており、全面的な株式売りではなくセクター間の資金移動が中心です。 - CFTC Nasdaq100投機的ネットポジション(-8.9K、前回-1.3K)
Nasdaq100先物の売り越しは前回から7.6K拡大しました。AI関連企業の設備投資負担、高いPER(株価収益率)、米金利上昇への警戒から、ハイテク株に対する慎重姿勢が強まっています。NASDAQが大きく下落した市場の動きとも整合します。ただし、AIインフラや半導体周辺企業には買いも入り、AI関連全体が否定されたわけではありません。 - CFTC原油投機的ネットポジション(124.5K、前回130.3K)
原油先物の買い越しは5.8K減少しました。米国とイランの協議進展や供給不安の後退を受け、原油価格の一段高を見込む投資家が減ったと考えられます。原油安はガソリン代や物流費を通じてインフレを抑える方向に働き、一般消費材には中長期的な利点があります。一方、エネルギー株には利益確定売りが出やすくなる可能性があります。
主要銘柄の決算発表結果
6/22には、主要銘柄の決算発表がありませんでした。
主な経済ニュース
- 米国がイラン産原油の販売を60日間限定で容認
米国財務省は、イラン産原油や石油製品の販売、輸送、輸入などを8月21日まで認める一般許可を発行しました。核施設への査察受け入れとホルムズ海峡の安全な航行を巡る協議を進めるための暫定措置です。原油供給への不安とインフレ再加速の懸念を和らげる内容ですが、恒久合意ではなく、交渉が決裂すれば制裁や軍事衝突が再燃する余地も残ります。(Reuters:06/22、Bloomberg:06/22) - 原油価格が3%超下落する一方でホルムズ海峡の不安は残る
米国とイランの協議進展を受け、ブレント原油は3%を超えて下落し、80ドルを割り込みました。原油価格の低下はガソリン代や物流費を通じて物価上昇を抑え、FRBの金融政策にも余裕を与えます。ただし、ホルムズ海峡を通過する船舶は平時を大きく下回っており、機雷、保険料、輸送遅延などの問題は解消していません。エネルギー株には短期的な売り要因ですが、株式市場全体には安心感を与える動きです。(Reuters:06/22、Bloomberg:06/22) - FRBの利上げ観測と米長期金利上昇が株価を抑える
FRBは政策金利を3.50~3.75%に据え置きましたが、政策担当者18人のうち9人が2026年中の利上げを予想しています。市場では早期利下げではなく、再利上げの可能性を考える必要が生じ、米国債利回りが上昇しました。金利上昇は、将来利益への期待で買われるAI・グロース株の企業価値を押し下げやすくなります。今週発表されるPCE物価指数(個人消費に基づく物価指標)が次の焦点です。(Reuters:06/22、Bloomberg:06/22) - Alphabet急落でAI投資の費用対効果に疑問
Alphabetは取引時間中に5%を超えて下落し、Amazon、Meta、Microsoftにも売りが広がりました。Google DeepMindの中核研究者が競合企業へ移籍したことに加え、各社がAI設備へ巨額の資金を投じても、十分な利益を回収できるのかという疑問が強まっています。ただし、S&P500では11セクター中8セクターが上昇しており、全面的なリスク回避ではなく、超大型ハイテクから他分野への資金移動という面もあります。(Reuters:06/22、Bloomberg:06/22) - MicronとAnthropicの提携でメモリー株が上昇
Micronは、AnthropicのAIモデル向けにメモリーとデータ保存製品を供給し、同社の資金調達にも参加すると発表しました。Micron株は取引時間中に約5%上昇しています。生成AIでは演算用GPUだけでなく、高帯域幅メモリー(大量のデータを高速に読み書きする半導体)やSSDも不可欠です。AIサービスを運営する企業が売られる一方、必要な部品を供給する企業が買われるという、現在のAI相場の選別色が表れました。(Reuters:06/22、Investing.com:06/22) - SpaceXが初の社債発行へ、巨額AI投資への警戒も強まる
SpaceXは上場後初となる社債発行を開始し、短期借入金の借り換えやAI設備、次世代ロケットへの投資資金を確保します。投資適格級の信用格付けを得た一方、AI事業の損失や設備投資負担への警戒から、株価は取引時間中に10%を超えて下落しました。Reflection AIへ最大63億ドル相当のデータセンター能力を提供する契約も判明しましたが、市場は売上拡大より資本負担を厳しく評価しています。(Reuters:06/22、WSJ:06/22、Bloomberg:06/22) - MicrosoftとChevronがAIデータセンター向け電力を20年間契約
Microsoftは、Chevronが西テキサスに建設する天然ガス発電所から20年間にわたり電力供給を受けます。発電能力は最終的に2.67ギガワットへ拡大し、2028年の供給開始を目指します。データセンター工事に携わった経験から見ても、AIはGPUだけでは動かず、安定した電力、冷却設備、予備電源が欠かせません。送電網への接続を待たず、発電所とデータセンターを隣接させる方式は、AIインフラ投資の新しい方向を示しています。(Reuters:06/22、WSJ:06/22、Bloomberg:06/22) - AbbVieがApogee Therapeuticsを109億ドルで買収
AbbVieは、皮膚炎やぜんそく向けの新薬を開発するApogee Therapeuticsを109億ドルで買収すると発表しました。買収価格は直前株価を約49%上回り、Apogee株は取引時間中に約47%上昇しました。AbbVieは主力薬Humiraの特許切れによる減収を補う必要があり、免疫疾患分野の新薬候補を取り込む狙いです。AI株が軟調な中、医薬品株へ資金が向かう一例にもなりました。(Reuters:06/22、Financial Times:06/22) - ECB総裁はイラン戦争を理由とする急激な金融引き締めを否定
ECBのラガルド総裁は、地政学的な供給ショックによって欧州の物価上昇率が高まっているものの、賃金と物価が連鎖的に上がる状況には至っていないとの認識を示しました。現時点で大幅な追加利上げは必要ないとみています。欧州金利の急上昇が避けられれば、世界的な債券売りや米国金利への波及も抑えられます。ただし、市場では年内に1~2回の追加利上げが残るとの予想もあり、楽観は禁物です。(Reuters:06/22、Bloomberg:06/22) - 英国スターマー首相が辞任を表明
英国のスターマー首相は辞任を発表し、後継首相を9月までに選出する方針を示しました。ポンドは不安定な動きとなったものの、英国債利回りは低下し、銀行株には買いが入りました。米国企業への直接的な影響は限定的ですが、英国の財政政策、対米関係、中東政策が変われば、為替や欧州株を通じて米国市場にも波及します。政権交代が秩序立って進むかを確認する段階です。(Reuters:06/22、Bloomberg:06/22)
経済指標発表予定
以下の経済指標が発表される予定です。
主要銘柄の決算発表予定
以下の主要銘柄の決算発表がなされる予定です。
おわりに
この日は、S&P500とNASDAQが下落する一方、Dow30は上昇しました。大型ハイテク株には利益確定売りが出ましたが、エネルギーやヘルスケア、不動産などには資金が移っており、市場全体が一方向に崩れたわけではありません。
米10年国債利回りの上昇やAI投資の費用対効果への警戒は続きますが、長期投資では毎日の値動きだけで判断せず、企業利益と市場全体の成長を見続けることが大切です。私自身、相場が不安定な時期ほど、ETFを中心に市場へ居続ける姿勢を崩さないようにしています。
毎朝の市場整理が、皆さまの投資判断や米国株への理解に少しでも役立てば嬉しく思います。
それでは、今日も一日、明るく元気に笑顔で過ごしましょう。
ご参考になりましたら、こちらから応援いただけると嬉しいです。
おことわり
投資は自己責任にてお願いします。
このブログには広告が挿入されています。この広告はGoogle社が読者の好みに応じて選んで提供しているものです。興味がございましたらご覧いただければ幸いです。投資に関する広告が表示されても、私の推奨ではないことをご理解ください。
図表のレファレンス
- S&P500ヒートマップ: finviz
- 主要3指数とドル円: Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
- セクター別騰落率: finviz
- 経済指標結果/予定: investing.com日本語版
- 決算発表結果/予定: investing.com日本語版
- 主要指数の動き : Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
- 自分の米ドル建ポートフォリオ: Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
コメントを残す