室井のマーケット視点
10/30(金)の米国株式市場は大幅に下落しました。S&P500は7,580.07(前日比-1.82%)、ダウ30は51,770.31(-1.09%)、NASDAQは25,437.00(-2.86%)で取引を終えています。ナスダックの下落率は6月5日以来の大きさで、10月の月間では-5.3%と2025年3月以来の悪い月になりました。半導体株で構成するSOX指数(フィラデルフィア半導体指数)は7.2%超下落し、先端技術セクターは-4.89%でした。アマゾンの2026年の設備投資が約2,200億ドルに達するなど、AI(人工知能)向け投資が現金収入に結びつくのかを、市場が厳しく見はじめています。
一方で、11セクターのうち6セクターは上昇しました。エネルギーは+1.91%、生活必需品は+1.41%です。ナスダックの-2.86%に対し、S&P500は-1.82%にとどまり、10月の月間騰落率もS&P500は-0.94%でした(ナスダックは-5.3%)。S&P500は11業種に分散している分、一部の業種が急落しても全体への影響が和らぎます。VIX(恐怖指数)は19.42で、一時23.93まで上昇した後に落ち着きました。こうした局面で大切なのは、市場に踏みとどまり、狼狽売り(慌てて売ること)をしないことです。私はコロナショックの時も買い続けました。下落の最中に売ると、その後の回復の恩恵を受けられなくなります。
余裕資金のある方にとっては、下落は買い増しの好機です。ただし一度に投じず、数回に分ける積み立て(ドルコスト平均法)で、価格が下がった時ほど多くの口数を買うことが大切です。なお、米国の夏時間は11/1(日)に終了します。11/2(月)の米国市場分から、このブログの公開時刻はおおむね1時間遅くなる予定です。投資は自己責任にてお願いします。
S&P500のヒートマップ
5%以上上昇したS&P500構成銘柄
FDXF:FedEx Freight Holding Co.(工業・産業) +14.91%
決算で売上高が前年同期比+8%の24.4億ドル(予想23.7億ドル)、調整後EPS(1株当たり利益)は1.49ドル(予想1.36ドル)と上回りました。10-12月期のEPS見通しも0.65〜0.75ドルと、予想の0.53ドルを超えています。市場全体が下落する中で+14.91%と、この日の上昇率トップになりました。
REGN:Regeneron Pharmaceuticals Inc.(ヘルスケア) +13.33%
7-9月期の調整後EPSは20.07ドルで、予想の約16.06ドルを大きく上回りました。売上高も51.2億ドル(前年同期比+36%)で、予想の45.4億ドルを超えています。サノフィとの提携拡大や、FOP(進行性骨化性線維異形成症)向け新薬の承認も発表され、通期見通しも引き上げられました。
GPN:Global Payments Inc.(先端技術) +12.97%
決済サービス大手です。今回の調査では、株価上昇の具体的な理由を確認できませんでした。ナスダックが-2.86%と急落する中で、先端技術セクターの銘柄が2桁上昇したことは、相場全体の値動きとは異なる動きでした。終値は96.84ドルで、個別材料の続報を待ちたいところです。
GDDY:GoDaddy Inc.(先端技術) +10.72%
7-9月期の売上高は13.42億ドルで、予想の13.27億ドルを上回りました。フリーキャッシュフロー(事業で得た自由に使える現金)は4.81億ドルと、予想の4.61億ドルを超えています。AIを使ったサービス「Airo」の年間経常収益が前四半期比で倍増し、1億ドルを超えたことも好感されました。
CSGP:CoStar Group Inc.(不動産) +7.21%
商業用不動産の情報サービス会社です。7-9月期決算を発表し、2026年の業績見通しを引き上げました。終値は30.17ドルです。先端技術株が大きく売られる中で、不動産セクターは+0.26%と小幅な上昇にとどまっており、この銘柄の決算が相場の流れとは別に評価された形です。
CBOE:Cboe Global Markets Inc.(金融) +6.77%
取引所運営会社です。7-9月期のEPSは3.63ドルで、予想の3.42ドルを+6.14%上回りました。売上高も7.122億ドルで、予想の7.073億ドルを超えています。VIXが上昇するなど市場の変動が大きくなる局面では、オプション取引などの需要が高まりやすい事業構造です。
VLTO:Veralto Corp.(工業・産業) +6.77%
水質分析や製品識別の機器を手がける会社です。7-9月期決算が予想を上回り、通期の業績見通しも引き上げられました。終値は111.10ドルです。工業・産業セクターは-1.60%と下落しており、その中での上昇は決算内容が評価されたことを示しています。
TMUS:T-Mobile US Inc.(通信サービス) +6.21%
携帯通信大手です。今回の調査では、上昇の個別材料を確認できませんでした。通信サービスセクターは-1.29%でしたが、携帯通信は景気の影響を受けにくいため、AI関連株の下落を避けた資金が向かった可能性があります。ただし、この点は確認できていません。終値は156.44ドルです。
TYL:Tyler Technologies Inc.(先端技術) +5.45%
自治体向けのソフトウェアを提供する会社です。今回の調査では、上昇の具体的な理由を確認できませんでした。終値は394.30ドルです。ソフトウェア株は前日のサービスナウの見通しをきっかけに売られやすい地合いでしたが、この銘柄は逆行して上昇しました。
LYB:LyondellBasell Industries N.V.(素材) +5.00%
化学大手です。7-9月期のEPSは2.54ドルで、予想の2.57ドルを-1.17%下回りました。売上高も85億ドルで、予想の88.6億ドルを-4.06%下回っています。それでも株価は+5.00%上昇しており、上昇の理由は確認できていません。原油が上昇した日でもあり、素材セクターは+0.40%でした。
5%以上下落したS&P500構成銘柄
JBL:Jabil Inc.(先端技術) -5.23%
電子機器の受託製造を手がける会社です。個別の悪材料は確認できず、AI関連のハードウェア株が広く売られた流れに沿った下落でした。この日は先端技術セクター全体が-4.89%下落しており、この銘柄の下落率はそれを小幅に上回る程度にとどまっています。
MU:Micron Technology Inc.(先端技術) -5.30%
メモリー半導体の大手です。SOX指数が7.2%超下落するなかで、-5.30%と指数の下落率より小さな動きでした。個別の悪材料は確認できていません。サンディスクの下落理由には、メモリー価格が頭打ちになるのではという懸念も含まれており、同じ分野の銘柄として売られました。
RVTY:Revvity Inc.(ヘルスケア) -5.30%
生命科学向けの分析機器を扱う会社です。ヘルスケアセクターが+0.45%と上昇する中で、5%超の下落となりました。個別の理由は確認できていません。同業のイルミナが大きく下落したことも、株価に影響した可能性がありますが、因果関係は確かめられていません。
VRT:Vertiv Holdings Co(工業・産業) -5.46%
データセンター向けの電源・冷却設備を手がける会社です。個別の悪材料は確認できませんでした。AI投資の収益性に対する疑問が強まった日に、データセンター関連の銘柄として売られたものです。終値までの下落率は工業・産業セクター平均の-1.60%の3倍を超えました。
AVGO:Broadcom Inc.(先端技術) -5.48%
通信・AI向けの半導体大手です。SOX指数の下落率-7.2%を下回る動きでした。個別の悪材料は確認できていません。時価総額の大きい銘柄のため、この日の先端技術セクターの下落(-4.89%)に与えた影響も大きかったと考えられます。
FCX:Freeport-McMoRan Inc.(素材) -5.55%
銅や金を産出する鉱山会社です。この日は金先物が-3.54%と下落しており、金属価格の下落が影響した可能性があります。ただし、個別の理由は確認できていません。素材セクターが+0.40%と上昇する中で、5%を超える下落となりました。
KLAC:KLA Corp.(先端技術) -5.69%
半導体の検査装置を手がける会社です。半導体製造装置の銘柄が揃って売られた日で、個別の悪材料は確認できていません。SOX指数の下落率(-7.2%)と比べると、やや小さな下落にとどまりました。
JCI:Johnson Controls International plc(工業・産業) -5.84%
建物の空調・制御設備の大手です。個別の理由は確認できていません。データセンターの冷却設備も手がけることから、AI関連投資への警戒感を映して売られた可能性があります。工業・産業セクターは-1.60%でした。
IBKR:Interactive Brokers Group Inc.(金融) -5.96%
オンライン証券大手です。同じ金融でもコインベースは-10.62%、ロビンフッドは-7.21%下落しており、暗号資産関連の売りが広がった日でした。バイナンスで63億ドル規模のハッキングが報じられており、個人投資家向けの証券株全体に影響した可能性があります。
LRCX:Lam Research Corp.(先端技術) -6.01%
半導体製造装置の大手です。個別の悪材料は確認できていません。10月のSOX指数は-15.3%と大きく下落しており、200日移動平均線(過去200日間の平均株価)を割り込んだことで、売りが加速した面があります。
ETN:Eaton Corp. plc(工業・産業) -6.03%
電力管理機器の大手です。個別の理由は確認できていません。データセンター向けの電気設備の需要が期待されてきた銘柄で、AI投資の費用対効果への疑問が強まった日に、期待の裏返しとして売られた動きとみられます。
PLTR:Palantir Technologies Inc.(先端技術) -6.27%
データ分析ソフトの会社です。個別の悪材料は確認できていません。ソフトウェア株が前日のサービスナウの見通しをきっかけに売られており、この日は先端技術全体の下落(-4.89%)に連動する形で下げました。
ORCL:Oracle Corp.(先端技術) -6.37%
データベースやクラウドの大手です。個別の理由は確認できていません。アマゾンの2026年の設備投資が約2,200億ドル、2027年は「大幅に増える」と発表されたことで、AI向けクラウド投資の採算を気にする空気が強まったことが背景にあります。
SYK:Stryker Corp.(ヘルスケア) -6.38%
医療機器大手です。7-9月期の売上高は65.2億ドルで、予想の66.1億ドルを下回りました。EPSは3.52ドルで予想を0.03ドル下回っています。通期見通しも、EPS 14.80〜14.90ドルへ引き下げられ、キャナコード・ジェニュイティが投資判断を「ホールド」に下げました。
HPE:Hewlett Packard Enterprise Co.(先端技術) -6.42%
サーバーやネットワーク機器の会社です。個別の悪材料は確認できていません。AI関連ハードウェアの銘柄群が広く売られた流れの中での下落でした。インテルがPC需要の落ち込みを示したことも、ハードウェア株の重荷になりました。
AKAM:Akamai Technologies Inc.(先端技術) -6.70%
コンテンツ配信やセキュリティの会社です。個別の理由は確認できていません。先端技術セクターが-4.89%と大きく下がる中で、ソフトウェアやインターネット関連株にも売りが波及しました。
KEYS:Keysight Technologies Inc.(先端技術) -6.86%
電子計測機器の会社です。半導体や通信機器の開発向けの需要に左右されやすく、この日はSOX指数の急落に連動して売られました。個別の悪材料は確認できていません。
CDW:CDW Corp.(先端技術) -6.91%
企業向けのIT機器・サービスの販売会社です。インテルがPC需要の落ち込みを見通しとして示したことが、IT機器の流通株にとって重荷になった可能性があります。ただし、個別の理由は確認できていません。
FFIV:F5 Inc.(先端技術) -6.91%
アプリケーションの配信やセキュリティ製品の会社です。個別の悪材料は確認できませんでした。終値は338.34ドルです。ネットワーク関連の銘柄群が同時に売られた日で、アリスタネットワークスやシエナも下落しました。
FIX:Comfort Systems USA Inc.(工業・産業) -7.06%
空調や電気工事を請け負う会社です。データセンター建設の需要が期待されてきた銘柄で、AI投資の収益性が問われた日に売られました。個別の悪材料は確認できておらず、終値は1,232.66ドルでした。
FLEX:Flex Ltd.(先端技術) -7.08%
電子機器の受託製造会社です。同業のジェイビルが-5.23%だったのに対し、こちらはやや大きな下落でした。個別の悪材料は確認できておらず、AI関連ハードウェア株の売りに連動したものです。
HOOD:Robinhood Markets Inc.(金融) -7.21%
個人投資家向けの証券アプリを運営する会社です。バイナンスでの63億ドルのハッキングが報じられ、ビットコインも7万6,800〜7万7,600ドル前後に下落しました。暗号資産の取引収益に依存する面があり、売りが膨らみました。
TER:Teradyne Inc.(先端技術) -7.38%
半導体の検査装置の会社です。個別の悪材料は確認できていません。SOX指数が200日移動平均線を割り込んだことで、半導体関連の装置株に売りが集中しました。終値は274.37ドルです。
WDC:Western Digital Corp.(先端技術) -7.41%
ハードディスクの大手です。サンディスクが-13.47%、シーゲイトが-7.98%と、データ保存関連の銘柄が揃って下落しました。メモリー価格が頭打ちになるとの懸念が、売りの背景にあります。
P:Everpure Inc.(先端技術) -7.45%
企業向けのデータ保存機器の会社です。個別の悪材料は確認できていません。ネットアップが-8.81%、シーゲイトが-7.98%と、同じ分野の銘柄も大きく下がっており、業種全体の動きに沿った下落といえます。
AMAT:Applied Materials Inc.(先端技術) -7.49%
半導体製造装置で世界最大級の会社です。個別の悪材料は確認できていません。ラムリサーチが-6.01%、KLAが-5.69%と、装置メーカーが同時に売られました。終値は390.09ドルです。
STX:Seagate Technology Holdings plc(先端技術) -7.98%
ハードディスクの会社です。ウエスタンデジタルやサンディスクなど、データ保存関連の銘柄が一斉に下がりました。個別の悪材料は確認できていませんが、メモリー価格への懸念が影響した可能性があります。終値は644.58ドルです。
CIEN:Ciena Corp.(先端技術) -8.22%
光通信機器の会社です。データセンター向けの通信需要が期待されてきた銘柄で、AI投資の採算への疑問が強まった日に売られました。個別の悪材料は確認できておらず、終値は320.72ドルでした。
ANET:Arista Networks Inc.(先端技術) -8.34%
データセンター向けのネットワーク機器の会社です。個別の悪材料は確認できていません。アマゾンがクラウド向け投資を大きく増やす一方で、その収益化に疑問が強まったことが、関連銘柄の重荷になりました。
LITE:Lumentum Holdings Inc.(先端技術) -8.57%
光通信向け部品の会社です。株価は840.70ドルまで上昇していたため、利益確定の売りが出やすかった面があります。個別の悪材料は確認できておらず、光通信関連の銘柄が揃って下落しました。
BE:Bloom Energy Corp.(工業・産業) -8.61%
燃料電池の会社です。データセンターの電源としての需要が期待されてきた銘柄で、AI投資に疑問が強まった日に売られました。個別の悪材料は確認できておらず、終値は203.17ドルでした。
NTAP:NetApp Inc.(先端技術) -8.81%
企業向けのデータ保存の会社です。個別の悪材料は確認できていません。同業のEverpureが-7.45%、シーゲイトが-7.98%と、データ保存の銘柄がまとめて売られました。終値は199.18ドルです。
RMD:ResMed Inc.(ヘルスケア) -9.05%
睡眠時無呼吸の治療機器の会社です。ヘルスケアセクターが+0.45%の中で-9.05%と大きく下落しました。個別の理由は確認できていません。終値は229.94ドルで、個別材料の確認を待ちたいところです。
HPQ:HP Inc.(先端技術) -9.58%
パソコンやプリンターの大手です。インテルがPC向け需要の落ち込みを見通しに示し、メモリー価格の上昇でPC市場が冷え込んでいることが意識され、PC関連株が売られました。終値は28.78ドルです。
MRVL:Marvell Technology Inc.(先端技術) -10.05%
AI向けのデータセンター用半導体の会社です。個別の悪材料は確認できていません。終値は196.40ドルでした。SOX指数が7.2%超下落する中で、AI関連の半導体として売りが集まりました。
APP:AppLovin Corp.(通信サービス) -10.36%
スマホアプリ向けの広告の会社です。個別の理由は確認できておらず、終値は228.50ドルでした。アマゾンの広告事業の伸びが予想を約6ポイント下回ったことが、広告関連株の重荷になった可能性があります。
COIN:Coinbase Global Inc.(金融) -10.62%
暗号資産の取引所です。バイナンスでの63億ドルのハッキングが報じられ、ビットコインは7万6,800〜7万7,600ドル前後に下落しました。決算も市場の期待に届かなかったとされ、2つの悪材料が重なりました。
DELL:Dell Technologies Inc.(先端技術) -10.77%
サーバーとパソコンの大手です。インテルが発表したPC在庫の調整やメモリー価格の上昇の影響が、PCメーカーの業績への懸念につながりました。AI関連の銘柄としても売られ、終値は424.30ドルです。
AMD:Advanced Micro Devices Inc.(先端技術) -10.88%
CPUとAI向け半導体の大手です。個別の悪材料は確認できておらず、終値は504.80ドルでした。インテルの急落とSOX指数の7.2%超の下落が重なり、日中は一時-12%の下落もありました。
QCOM:Qualcomm Inc.(先端技術) -11.12%
スマホ向けの半導体の会社です。メモリー価格の上昇がスマホ・PC市場の需要を冷やす懸念があり、インテルのPC向け見通しも重なって売られました。個別の悪材料は確認できておらず、終値は164.79ドルです。
COHR:Coherent Corp.(先端技術) -11.34%
光通信や産業用レーザーの会社です。個別の悪材料は確認できていません。光通信関連の銘柄はルメンタムが-8.57%、シエナが-8.22%と、この日はまとめて大きく下落しました。
DDOG:Datadog Inc.(先端技術) -11.50%
クラウドの監視ソフトの会社です。個別の悪材料は確認できていません。前日にサービスナウの見通しをきっかけにソフトウェア株が売られており、AIによるソフトウェアの置き換えへの懸念が続いています。終値は235.27ドルです。
SNDK:Sandisk Corp.(先端技術) -13.47%
決算は予想を上回り、株式の8分割も発表されました。それでもメモリー価格が頭打ちになるのではという懸念と、AI・半導体株全体の売りが重なり、終値は1,150.89ドルまで下げています。好決算でも売られる地合いでした。
TWLO:Twilio Inc.(先端技術) -15.24%
7-9月期決算は予想を上回りました。ただ、10-12月期の売上高の伸び率見通しは11〜12%と、7-9月期の16%から減速します。2027年も10%以上の成長とされ、市場予想の約12%を下回りました。終値は205.03ドルです。
ILMN:Illumina Inc.(ヘルスケア) -18.64%
遺伝子解析装置の大手です。7-9月期の売上高は11.3億ドル(前年同期比+4.2%)で、通期見通しも引き上げられました。それでも-18.64%と急落しましたが、その理由は今回の調査では確認できていません。終値は235.99ドルです。
INTC:Intel Corp.(先端技術) -28.58%
1974年以来で最悪の下落率になりました。10-12月期の売上高見通しは150〜160億ドルで、市場予想の約173億ドルを下回りました。調整後EPSは0.25ドル(予想0.40ドル)で、メモリー価格の上昇によるPC市場の冷え込みや、イスラエル工場での事故も影響しました。
RDDT:Reddit Inc.(通信サービス) -29.22%
決算は予想を上回りましたが、1日あたりの利用者数の伸びが弱く、10-12月期の売上高見通しも控えめでした。ログインしていない人のアクセスを制限する計画も発表されました。キーバンクなどが投資判断を引き下げ、終値は91.73ドルまで下落しました。
セクター別騰落率
11セクターのうち上昇は6セクター、下落は5セクターでした。最も上昇したのはエネルギー(Energy)の+1.91%、最も下落したのは先端技術(Technology)の-4.89%で、その差は6.80ポイントです。原油先物が上昇してエネルギーが上昇し、景気の影響を受けにくい生活必需品(Consumer Defensive)も+1.41%でした。S&P500の約5分の1を占める先端技術の大幅な下落が、指数全体を押し下げています。なお、騰落率は各セクターのETF(上場投資信託)の値で代用しています。
エネルギー(Energy) +1.91%
原油先物が+1.03%上昇し、エクソンモービルは+2.16%、シェブロンは+1.75%と上昇しました。両社とも決算で精製事業の収益が好調でした。ホルムズ海峡でのタンカー被害など、中東の緊張が原油価格を支えています。11セクターで最も大きな上昇率でした。
生活必需品(Consumer Defensive) +1.41%
ウォルマートが+1.86%、コルゲート・パルモリーブが+2.29%と上昇しました。コルゲートは2026年の調整後EPS成長率を+5〜7%に引き上げています。景気や相場の影響を受けにくい業種に資金が移動した日で、先端技術の下落と対照的な動きでした。
先端技術(Technology) -4.89%
エヌビディアが-4.22%、ブロードコムが-5.48%、マイクロンが-5.30%と下落しました。インテルは-28.58%と急落し、SOX指数も7.2%超下落しています。アップルは-1.23%、マイクロソフトは-1.55%でした。AI投資が現金収入に結びつくかを問う動きが、セクター全体に広がりました。
工業・産業(Industrials) -1.60%
イートンが-6.03%、ジョンソンコントロールズが-5.84%、ブルーム・エナジーが-8.61%と、データセンター関連の銘柄が大きく下落しました。一方、フェデックス・フレイトは+14.91%と、決算が好感されて大幅に上昇しました。セクター内の値動きに大きな差が出ています。
通信サービス(Communication Services) -1.29%
アルファベットが-1.40%、リディットが-29.22%、アップラビンが-10.36%と下落しました。アマゾンの広告の伸びが予想を下回ったことが、広告関連株の重荷になっています。一方、Tモバイルは+6.21%と上昇し、同じセクターの中でも値動きが分かれました。
主要3指数とドル円の動き
主要3指数はそろって下落し、ナスダックの下落率が最大でした。ドル円は157.56円と小幅な円高です。米長期金利が低下し、日銀が金融政策の現状維持を決めたことも、ドル円の動きに影響しました。
S&P500(7,580.07、前日比-1.82%)
日中の高値は7,637.48、安値は7,527.56で、約110ポイントの値幅でした。終値は100日移動平均線(過去100日間の平均株価)を下回っています。週間では-0.58%で、S&P500とナスダックはともに3週連続の下落となり、3月以来の長さです。10月の月間では-0.94%でした。
ダウ30(51,770.31、前日比-1.09%)
高値は52,383.90、安値は51,563.76でした。ハイテク株の比率が低いため、下落率は3指数の中で最も小さくなりました。週間では-0.85%ですが、10月の月間では+1.7%と、3指数で唯一の上昇です。エクソンモービルやシェブロンなどのエネルギー株が、指数を支えました。
NASDAQ(25,437.00、前日比-2.86%)
高値は25,673.00、安値は25,177.33でした。下落率は6月5日以来の大きさで、10月の月間では-5.3%と、2025年3月以来の悪い月になりました。ナスダック100の時価総額は10月に約2兆ドル減っています。週間でも-2%と、3指数の中で最も下落しました。
ドル円(157.56円、前日比-0.06%)
高値は157.90円、安値は156.96円の範囲で推移しました。米10年債利回りが4.929%と前日から低下し、日米の金利差が縮んだことで、円がやや買われました。日銀は10/30に政策金利を1.25%に据え置き、物価見通しを引き上げています。円建てで見ると、円高は米国株の評価額を減らす方向に働きます。
原油先物・米10年国債利回り・VIX・金先物の動き
原油先物(WTI)(103.05ドル、前日比+1.03%)
高値は104.99ドル、安値は102.43ドルでした。12月限の清算価格は104.12ドル(+2.08%)と報じられ、9/15以来の高値で、10月の上昇率は約15%です。ホルムズ海峡でタンカーが機雷の被害を受けたことや、フーシ派によるサウジの石油施設への攻撃が、供給不安を高めました。
米10年国債利回り(4.929%、前日比-1.20%)
前日比の%は変化率で、利回りの差(ポイント)ではありません。利回りは4.929%と、約6ベーシスポイント(0.06%)低下しました。10月の月間では約36ベーシスポイント低下し、2023年12月以来の大きな下げ幅です。株が急落したことで、安全資産の債券に資金が向かいました。
VIX(恐怖指数)(19.42、前日比+12.89%)
VIXは将来の株価の変動の予想を示す指標です。日中の高値は23.93、安値は18.03で、終値は19.42でした。20を下回って終えたため、今回の下落で市場が極端なパニック状態になったとは言えません。前日比+2.22ポイント上昇しています。
金先物(3,888.60ドル、前日比-3.54%)
高値は4,038.20ドル、安値は3,879.30ドルでした。12月限の清算価格は3,898.90ドル(-3.29%)で、52週間の最安値を更新しています。1月に付けた過去最高値の5,595ドルから約30%下落しました。FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ観測の強まりが、金の売りにつながっています。
私の米国株ポートフォリオ 前日比-1.52%
私のポートフォリオの前日比は-1.52%で、S&P500の-1.82%より小さな下落でした。日本の取引所に上場するETF(上場投資信託)や投資信託は、米国市場の動きが時差で翌営業日に反映されます。内訳を見ると、FANG+に連動するETFは-3.30%、NASDAQ100に連動するETFは-2.16%と大きく下落しましたが、S&P500に連動するものは-0.61〜-1.15%にとどまりました。米国の増配株ETFは+1.26%と上昇しています。値動きが違う資産に分散していることが、下落の緩和につながりました。私は長期の保有を基本にしており、コロナショックの時も買い続けました。一時的な下落に動じず、投資を続けることを大切にしています。
経済指標発表結果
雇用コスト指数(Q3:前期比+0.8%、予想+0.8%、前回+0.9%)
企業が負担する人件費の変化を示す指標で、結果は予想と同じ+0.8%でした。前回の+0.9%からは小幅に鈍化しています。賃金上昇が急に強まる状況ではないと確認されましたが、FRBの高官が利上げの必要性に言及する中で、利上げ観測を強める内容でもありませんでした。
賃金・給与(Q3:前期比+0.7%、前回+0.9%)
雇用コスト指数の内訳で、賃金・給与は+0.7%と前回の+0.9%から0.2ポイント鈍化しました。福利厚生費は+0.9%(前回+1.0%)でした。人件費の伸びは、物価上昇の加速につながるほど強くないことを示しています。
シカゴ購買部協会景気指数(10月:55.3、予想55.8、前回58.8)
製造業を中心とした景況感を示す指標です。50を超えると景気拡大を示します。55.3は予想の55.8をやや下回り、前回の58.8からも3.5ポイント低下しました。ただし50は大きく上回っており、景気の拡大が続いていることを示しています。情報源によって予想値が異なる点にご留意ください。
ベーカー・ヒューズ石油掘削リグ稼働数(10/30:462基、前回460基)
米国で稼働している石油と天然ガスの掘削設備の総数で、前週から2基増えました。うち石油掘削リグは603基で、前週と同じです。原油が1バレル100ドルを超える水準で推移していますが、掘削設備の増加ペースは緩やかです。
CFTC S&P500投機的ポジション(10/30:-134.4千枚、前回-142.7千枚)
先物市場の投機筋が、S&P500の下落に賭けている売り越しの枚数です。売り越しは前回から8.3千枚縮小しました。ナスダック100は+48.8千枚の買い越し(前回+50.7千枚)で、買い越しがやや縮小しています。
主要銘柄の決算発表結果
XOM:Exxon Mobil Corp. EPS:4.23ドル(予想3.99ドル)、売上高:1,033.6億ドル(予想1,154.5億ドル)
EPSは予想を上回り、売上高は予想を約10.5%下回りました。精製事業の利益が、6年以上ぶりに上流事業(原油の採掘)を上回ったことが特徴です。株価は+2.16%上昇し、終値は187.25ドルでした。時価総額は約7,700億ドルです。
ABBV:AbbVie Inc. EPS:3.82ドル(予想3.74ドル)、売上高:174.0億ドル(予想173.6億ドル)
EPSと売上高がどちらも予想を上回りました。株価は+1.41%上昇しました。時価総額は約5,210億ドルです。市場が大幅に下落する中で、製薬株のヘルスケアセクターは+0.45%と上昇しており、景気の影響を受けにくい性質が表れています。
CVX:Chevron Corp. EPS:5.28ドル(予想4.88ドル)、売上高:678.0億ドル(予想605.5億ドル)
EPSは予想を0.40ドル上回り、売上高も予想を約12%上回りました。精製部門の利益は過去最高でした。株価は+1.75%上昇し、時価総額は約4,630億ドルです。エクソンモービルとともに、エネルギー株の上昇を牽引しました。
GD:General Dynamics Corp. EPS:4.49ドル(予想4.12ドル)、売上高:146.0億ドル(予想137.3億ドル)
防衛・航空宇宙大手で、EPSは予想を約9%、売上高は約6%上回りました。株価は+0.48%の小幅な上昇で、時価総額は約1,006億ドルです。市場全体が下落する中でも、株価は下がりませんでした。
REGN:Regeneron Pharmaceuticals Inc. EPS:20.07ドル(予想16.06ドル)、売上高:51.2億ドル(予想45.4億ドル)
EPSは予想を約25%、売上高は約13%上回りました。サノフィとの提携拡大で10億ドルの一時金を受け取り、通期見通しも引き上げられました。株価は+13.33%上昇し、時価総額は約924億ドルです。
CL:Colgate-Palmolive Co. EPS:0.97ドル(予想0.93ドル)、売上高:53.7億ドル(予想53.4億ドル)
EPSと売上高がともに予想を上回りました。2026年の調整後EPS成長率の見通しを+5〜7%に引き上げています。株価は+2.29%上昇し、時価総額は約759億ドルです。
主な経済ニュース
米株が急落、ナスダックは6月5日以来の下落率(TheStreet:10/30)
S&P500は-1.82%、ナスダックは-2.86%と大きく下落しました。ナスダックの月間下落率は-5.3%で、2025年3月以来の悪い月です。上昇銘柄より下落銘柄が多く、全体の約70%の銘柄が下がりました。10月の最終取引日に、リスクを減らす売りが広がっています。
アマゾン決算、AI投資の費用負担が焦点に
7-9月期の売上高は前年同期比+12%、AWS(クラウド事業)は+39%の460億ドルでした。しかし設備投資は四半期で759億ドル、2026年は約2,200億ドルに達し、2027年は「大幅に増える」とされました。直近12カ月のフリーキャッシュフローは-424億ドルです。株価は-1.4〜-2%下落しました。
インテルが1974年以来の下落率、PC市場の冷え込みが原因に
10-12月期の売上高見通しは150〜160億ドルで、市場予想の約173億ドルを下回りました。メモリー価格の上昇でPC向け需要が冷え込んだことが響き、株価は-28.58%下落しました。工場の事故や、設備投資の負担も重なっています。
半導体株が急落、SOX指数は7.2%超の下落(Investrade:10/30)
SOX指数は200日移動平均線の10,785を割り込み、10月の月間では-15.3%下落しました。AIへの投資が収益に結びつくのかという疑問が、半導体株の売りにつながっています。個別ではインテルが-28.58%、AMDが-10.88%、クアルコムが-11.12%でした。
アルファベットとメタ、フリーキャッシュフローの悪化が相次ぐ
アルファベットは10/29に、フリーキャッシュフローが-91億ドルと予想の-35億ドルを大きく下回りました。メタも先週、2012年以来初めてフリーキャッシュフローがマイナスになりました。AI需要が強いだけでなく、現金収入に結びつくことを投資家が求める流れが強まっています。
FRB高官が相次いで利上げの必要性に言及
セントルイス連銀のムサレム総裁とリッチモンド連銀のバーキン総裁が、金利はさらに高くする必要があると述べました。FRBは10/28に政策金利を3.75〜4.00%で据え置き、クック理事とハマック総裁の2人が利上げを主張して反対しました。次回のFOMC(連邦公開市場委員会)は12/8〜9日で、12月の利上げが意識されています。
米国債利回りが低下、株の急落で安全資産に資金が流入(TheStreet:10/30)
米10年債利回りは約4.92%で、日中に7.2ベーシスポイント(0.072%)低下しました。2年債利回りは約4.57%、30年債利回りは約5.30%です。10月の月間では10年債が約36ベーシスポイント低下しています。株から債券への資金移動が目立ちました。
原油が約1カ月半ぶりの高値、中東の供給不安
WTI原油は12月限で104.12ドル(+2.08%)と、9/15以来の高値で終えました。ブレント原油は117.64ドルで、4/29以来の高値です。ホルムズ海峡でイランが4隻のタンカーが機雷を受けたと主張しました。11/3の米中間選挙後に、米国が攻撃を再開するとの観測もあります。
金が52週間の最安値、過去最高値から約30%下落
12月限の金先物は3,898.90ドル(-3.29%)で、1月に付けた過去最高値の5,595ドルから約30%下落しました。銀も49.28ドル(-5.93%)と大きく下がりました。FRBの利上げ観測が強まり、エネルギー価格の上昇も重なって、金が売られました。
バイナンスで過去最大の63億ドル規模のハッキング
暗号資産取引所のバイナンスで、63億ドル規模の不正流出が発生しました。北朝鮮との関連が指摘されています。ビットコインは7万6,800〜7万7,600ドル前後に下落し、コインベースは-10.62%、ロビンフッドは-7.21%下落しました。約30億ドルがテザー社などにより凍結され、損失はバイナンスが補償するとされています。出金は48時間以内に再開する予定です。
経済指標発表予定
以下の経済指標が発表される予定です。
主要銘柄の決算発表予定
以下の主要銘柄の決算発表がなされる予定です。
おわりに
10/30の米国株式市場は、S&P500が-1.82%、ナスダックが-2.86%と大きく下落しました。先端技術セクターが-4.89%下落した一方で、エネルギーは+1.91%、生活必需品は+1.41%と上昇し、11業種に分散するS&P500の強みが表れた一日でした。下落の最中は不安になりますが、市場に踏みとどまり、慌てて売らないことが大切です。余裕資金のある方は、買い増しの好機と捉え、数回に分けて少しずつ買い進めてはいかがでしょうか。なお、米国の夏時間は11/1(日)に終了します。11/2(月)の米国市場のレポートから終値を確認する必要があるので、このブログの公開時刻はおおむね1時間遅くなる予定です。ご理解のほどお願いします。
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おことわり
投資は自己責任にてお願いします。
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図表のレファレンス
- S&P500ヒートマップ: finviz
- 主要3指数とドル円: Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
- セクター別騰落率: finviz
- 経済指標結果/予定: investing.com日本語版
- 決算発表結果/予定: investing.com日本語版
- 主要指数の動き : Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
- 自分の米ドル建ポートフォリオ: Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
著者プロフィール
室井一夫(Kazuo Muroi)
Muroi Universal Research on Investment LLC 代表社員
一級建築士・建築1級施工管理技士・工学修士
Facebookグループ「米国株_投資の部屋」管理人(約4.7万人)
米国株式市場と経済動向に関する情報を毎日発信しています。