20260925_U.S. Stock Market Report

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室井のマーケット視点

今週の米国株は、AIへの期待で始まり、原油と金利に揺さぶられ、金曜日にもう一度買いが戻った1週間でした。21日は原油と米国債利回りが下がり、半導体株が上昇してNASDAQは最高値を更新。23日は中東情勢を受けて原油と金利が上がり、株式市場は反落しました。24日も慎重な取引が続きましたが、25日はMicrosoftの新しいAI機能や企業の設備投資の強さが買いを呼びました。週間ではS&P500が約1.2%、NASDAQが約2.0%上昇しています。

私が今週考えさせられたのは、AI投資の「規模」と「完成までの道のり」です。AnthropicとAkamaiの大型契約は、計算設備への需要が続いていることを示しました。一方、大きなデータセンター計画では電力供給の遅れも報じられています。建設現場を経験した身には、半導体を確保するだけで施設が動くとは思えません。電源を複数系統にする設計や冷却設備、工事日程までそろって、初めて収益を生む施設になります。

金曜日は主要3指数がそろって上昇しましたが、家計が予想する今後1年間の物価上昇率は4.6%へ上がり、米10年国債利回りも5%台です。米国とイランの停戦協議には期待があるものの、合意はまだ先です。米中首脳会談も貿易上の休戦を2カ月延ばしましたが、大きな対立は残りました。株価の強さと、暮らしや金利の厳しさが同居している点を、私は週末のうちに整理しておきたいです。

ETFを長く持つ私にとって、今週の上昇は嬉しいものです。ただ、1週間の値動きで保有方針を変えるつもりはありません。コロナショックのときも積立を止めずに続けたように、来週も企業の利益、金利、原油を確かめながら市場に居続けます。週末は少し相場から離れて、また落ち着いて月曜日を迎えましょう。

S&P500ヒートマップ

5%以上上昇したS&P500構成銘柄

  • BE:Bloom Energy Corporation(先端技術) +8.27%
    燃料電池による発電設備を手がけるBloom Energyが、この一覧で最大の上昇率となりました。データセンター向け電力供給という事業への期待が買いの背景にある可能性があります。ただし、9月25日の上昇を特定の契約や発表によるものとは確認できず、期待と受注実績は分けて見る必要があります。
  • ON:ON Semiconductor Corporation(先端技術) +5.54%
    電力を効率よく制御する半導体を手がけるON Semiconductorが上昇しました。同じく半導体関連のMicrochipも5%を超えて上昇しており、個別銘柄だけでなく関連株への買いがうかがえます。ただし、この日の株価上昇が同社の新規受注や業績改善によるものかは確認できません。
  • MCHP:Microchip Technology Incorporated(先端技術) +5.36%
    産業機器や自動車などに使う半導体を手がけるMicrochipが上昇しました。半導体関連への買いが広がるなか、同社にも資金が向かった可能性があります。一方、画像の値動きだけでは需要回復を確認できません。この日の上昇を決算や新たな業績見通しによるものと断定することは避けます。
  • GNRC:Generac Holdings Inc.(工業・産業) +5.09%
    発電機を手がけるGeneracが上昇し、直前の2日続落から反発しました。AI向けデータセンターの増設に伴う電力設備への関心は、事業を考えるうえでの背景です。ただし、この日の買いを特定の受注や発表に結び付ける根拠は確認できません。反発の理由は断定せず、今後の受注動向を見たいところです。
  • DELL:Dell Technologies, Inc.(先端技術) +5.01%
    AI向けサーバーを手がけるDellが上昇しました。9月25日はMicrosoftなどAI関連株に買いが入り、サーバー需要への期待がDellにも波及したと考えられます。ただし、この日の上昇を説明する同社固有の発表は確認できず、需要見通しが新たに引き上げられたとまでは言えません。

5%以上下落したS&P500構成銘柄

  • GEN:Gen Digital Inc.(先端技術) -6.29%
    Nortonなどを手がける同社がGoDaddyに買収を提案したとの報道を受け、前日に続いて売られました。交渉は初期段階ですが、買収資金の負担や、本業であるセキュリティー事業との相乗効果が不透明なことへの警戒が続いているとみられます。出来高は通常の約2.74倍に膨らみました。

セクター別騰落率

9月25日の米国市場は、11セクター中8セクターが上昇しました。先端技術(Technology)が+0.85%で首位となり、Microsoftの上昇が目立ちました。金融(Financial)は+0.79%、工業・産業(Industrials)は+0.76%と続き、買いは幅広い分野に及んでいます。一方、エネルギー(Energy)は-0.96%、通信サービス(Communication Services)は-0.58%でした。エネルギーではExxon MobilやChevron、通信サービスではMetaの下落が目立ちました。指定された個別解説の条件である±1%に達したセクターはありませんでした。

 

主要3指数とドル円の動き

  • S&P500(7,743.41、前日比+0.51%)
    先端技術、金融、工業・産業など11セクター中8セクターが上昇しました。MicrosoftをはじめとするAI関連株への買いに加え、銀行や産業機械にも資金が向かい、市場全体が持ち直しています。ただ、エネルギーと通信サービスは下落しており、どの銘柄も一様に買われたわけではありません。S&P500に連動するETFを長く保有する立場からは、上昇の広がりを確認できた一日でした。
  • Dow30(51,828.62、前日比+0.93%)
    主要3指数の中で最も大きく上昇しました。Microsoftの+3.66%に加え、産業機械のCaterpillarや工業株のGEも堅調で、AI関連と景気に左右されやすい企業の双方に買いが入りました。金利の高止まりが気になる状況でも、投資家が企業の利益成長を評価した形です。ただし、1日の上昇だけで金利への警戒が解けたとは判断せず、来週も買いの広がりを見ていきたいです。
  • NASDAQ(27,068.72、前日比+0.48%)
    Microsoftが大きく上昇し、Appleや一部の半導体株にも買いが入りました。一方、Metaは下落し、AI関連でも銘柄ごとに値動きが分かれています。AIへの期待が続いていても、関連株が一斉に上がる相場ではありません。NASDAQ連動ETFを保有する投資家としては、指数の上昇幅だけでなく、値上がりを主導した企業がどこかにも目を向けたい一日です。
  • ドル円(157.3050円、前日比-0.93%)
    158円台後半から一時156.9320円まで円高が進み、157円台前半となりました。日米首脳会談で米国側が円安への懸念を示したとの報道もあり、為替介入への警戒から円を買い戻す動きが出た可能性があります。ただし、この値動きだけで実際に介入があったとは判断できません。米国株が上昇しても、円高が進むと円換算の資産額には逆方向の力が働きます。

原油先物・米10年国債利回り・VIX・金先物の動き

  • WTI原油先物(92.58ドル、前日比-2.15%)
    米国とイランの停戦に向けた動きが、原油供給への不安をいくらか和らげました。サウジアラビアへの攻撃が続いており、中東の供給リスクが消えたわけではありません。原油安は物価上昇への懸念を和らげ、株式にはプラスに働きやすい一方、この日はエネルギー株が下落しました。原油価格と株価の両方から、情勢への慎重さがうかがえます。
  • 米10年国債利回り(5.18%、前日比+0.43%)
    利回りは前日から約0.02ポイント上昇し、高い水準が続いています。物価上昇への警戒や、FRBが追加利上げに動く可能性が債券市場に残っています。金利が高いと企業の資金調達費用が増え、株価の評価にも影響します。それでも、この日は米国株の主要3指数がそろって上昇しました。長期投資家としては、株高と金利上昇が同時に進む状況を見ておきたいです。
  • VIX指数(14.87、前日比-5.11%)
    VIX(株式市場が予想する今後の値動きの大きさ)は低下し、株式市場の目先の不安が和らいだことを示しました。主要3指数が上昇し、原油も下がったため、投資家はこの日の市場を比較的落ち着いて受け止めたようです。ただ、VIXの低さだけで中東情勢や高金利のリスクがなくなったとは言えません。相場の落ち着きと、残るリスクを分けて見たいところです。
  • 金先物(4,321.00ドル、前日比+0.54%)
    金は米国株とともに上昇しました。米国債の利回りが上がると、利息の付かない金には不利になりやすいものの、中東情勢などに備えて保有したい需要も残っています。株高と金高が並んだのは、投資家が成長期待を持ちながら、先行きの不確実さにも備えている動きと考えられます。1日の上昇だけで、金利との関係が変わったとは判断できません。

私の米国株ポートフォリオ 前日比+0.47%

9月25日の私のポートフォリオはプラスでした。日本で取引される米国株ETFには前夜までの米国市場の動きが反映され、NASDAQ100連動型とFANG+連動型が上昇しました。特にFANG+の+1.33%は目を引きます。一方、米国連続増配株ETFは-0.45%、米国高配当株ETFは-0.63%でした。成長株が強くても、保有する商品がすべて同じ方向に動くわけではありません。私はETFごとの違いを眺めつつ、1日の騰落で保有方針を変えず、長く持ち続けるつもりです。

経済指標発表結果

  • ミシガン大学・1年先の期待インフレ率(4.6%)
    前月の4.0%から上昇しました。期待インフレ率は、家計が「これから物価がどれだけ上がると思うか」を示す数字です。予想の4.6%とは一致しましたが、家計の物価高への警戒が強まった点は見逃せません。FRBにとって追加利上げを検討する理由になり得る一方、株式市場ではAI関連株などが買われました。私は、株高だけでインフレ懸念が薄れたとは見ていません。
  • ミシガン大学・5年先の期待インフレ率(3.4%)
    予想の3.4%と一致し、前月の3.3%から小幅に上がりました。短期の燃料価格だけでなく、数年先の物価も高くなると家計が考え始めているかを測るうえで重要です。この数字が上がり続ければ、FRBは物価上昇を抑えるために金利を高く保ちやすくなります。米10年国債利回りが5%台にある今、長期投資家としては今後の調査結果も確認したいです。
  • 航空機を除く非国防資本財受注(8月、前月比+1.6%)
    企業が機械や設備にどれだけ投資するかを示す指標で、前月の+0.6%から伸びが加速しました。AI向け設備を含む企業の投資が、米国経済を支えていることがうかがえます。設備投資の強さは関連企業の売上に期待を持たせますが、景気が強ければFRBは追加利上げを考えやすくなります。株には良い面と金利上昇への警戒が同時にある数字です。
  • ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値(48.1)
    予想の47.8を上回りましたが、前月の51.7からは低下しました。速報値からは少し改善したものの、家計が物価高によって購買力(同じお金で買える量)を失うことを心配している様子が読み取れます。個人消費が鈍れば企業の売上には影響します。一方で、この日の株式市場では設備投資への期待が勝りました。家計と企業の温度差が残っています。
  • 8月の耐久財受注(前月比0.0%、輸送機器を除くと+0.3%)
    全体では予想の-0.3%を上回りましたが、前月の+0.9%から伸びが止まりました。輸送機器を除く数字も予想の+0.6%には届いていません。航空機などの大きな注文に左右される全体の数字だけでは、設備投資の実態を読み違えるおそれがあります。この日は航空機を除く非国防資本財の受注が強く、投資家は企業の設備投資が続いている点も評価したと考えます。

主要銘柄の決算発表結果

9/25には主要銘柄の決算発表はありませんでした。

主な経済ニュース

  • MicrosoftがCopilotに新しいAI機能を発表
    Microsoftは、文章で指示してソフトを作る「Code」や、継続して作業する「Autopilot」などを発表しました。株価は3.66%上昇し、主要指数を押し上げています。投資家の関心はAIを作るための設備だけでなく、AIを仕事に使うことで収益を増やせるかにも向いています。ただし、新機能の発表と利用者の増加は別です。今後の普及を見ていきたいです。(Microsoft、Reuters:09/25)
  • AnthropicがAkamaiと大型クラウド契約
    AnthropicはAkamaiと7年間で116億ドルのクラウド契約を結び、Akamai株を取得できる権利も得ました。発表は24日でしたが、25日の市場でもAI向け計算設備への投資が続くことを示す材料となりました。Akamai株は通常取引で3.2%上昇しています。契約額の大きさだけでなく、設備を整える費用を差し引いて、どれだけ利益を生めるかが今後の焦点です。(Reuters:09/24・09/25)
  • 米企業の設備投資を示す受注が予想を上回る
    8月の航空機を除く非国防資本財受注は前月比1.6%増え、予想の0.5%を上回りました。企業が機械や設備への投資を続けており、AI関連の建設や機器需要もその一部です。私には、データセンター投資は半導体を買って終わりではなく、電源や冷却設備まで広がる動きに見えます。一方、投資が急増した後も同じ伸び率を保てるかは、分けて考えたいです。(Reuters:09/25)
  • 家計の物価不安が強まる
    ミシガン大学の9月の消費者信頼感指数は48.1と、8月の51.7から低下しました。今後1年間の予想物価上昇率も4.0%から4.6%へ上がっています。家計が値上がりを警戒すると、消費の勢いとFRBの金利判断の両方に影響します。この日は株価が上がりましたが、企業の設備投資の強さと家計の慎重さが同時に表れた一日でした。(Reuters:09/25)
  • 米10年国債利回りが5%台で高止まり
    米10年国債利回りは5%台の高い水準で推移しました。市場では10月のFRB追加利上げを予想する割合も、週初めより高まっています。債券の利回りが上がれば、企業の借入費用が増え、株式と比べた債券の魅力も増します。それでもAI関連株は買われました。長期投資家としては、株価が金利上昇に耐えている理由が、実際の利益成長にあるかを見たいです。(Reuters:09/25)
  • 米国とイランが段階的な停戦案を協議
    米国とイランの交渉担当者が、ホルムズ海峡の再開と米国による封鎖の解除を含む、段階的な停戦の道筋を探っていると報じられました。原油の供給不安が和らぐとの期待は、株式市場にも安心感を与えています。ただ、イラン側は核開発を巡る譲歩を拒み、条件が満たされるまで海峡を再開しない立場です。交渉の開始と合意の成立は分けて見る必要があります。(Reuters:09/25)
  • 停戦期待で原油安、供給への警戒は続く
    米国とイランの停戦への期待から原油価格が下落しました。原油安が続けば、輸送費や燃料費を通じた物価上昇を抑え、企業と家計の負担を軽くする可能性があります。一方、イエメンの親イラン勢力によるサウジアラビアへの攻撃は続いています。原油が下がったことを中東の供給問題が解決した証拠とは見ず、株式市場への効果も持続するか確認したいです。(Reuters:09/25)
  • 米中首脳会談は貿易休戦を2カ月延長
    トランプ大統領と習近平主席は、11月に期限を迎える貿易上の休戦を2カ月延長することで合意しました。直ちに関税対立が再燃する不安を和らげる一方、AI、台湾、イランを巡る大きな隔たりは残っています。両国の関係は半導体や工業製品の供給にも関わるため、ETFで広く米国株を保有する私にも無関係ではありません。具体的な貿易協議の内容を確認したいです。(Reuters:09/25)
  • 円安への日米の懸念が明らかに
    片山財務相は、日米首脳会談でトランプ大統領が円安への懸念を示したと明らかにしました。発言後に円が買われ、ドル円は円高方向へ動いています。日本から米国株に投資する場合、株価が上がっても円高が円換算の評価額を押し下げることがあります。ただし、今回の発言だけで実際の為替介入が行われたとは言えません。株価と為替を別々に確認します。(Reuters:09/25)
  • Gen Digitalの買収提案に株主が慎重な反応
    Nortonを手がけるGen DigitalがGoDaddyに買収を提案したとの24日の報道を受け、25日もGen Digital株は6.29%下落しました。交渉は初期段階ですが、買収資金の負担や、セキュリティー事業との組み合わせで十分な利益を生めるかに疑問が残ります。買収される側と買収する側で株価の反応が違うのは、投資家が事業拡大の規模だけでなく、その費用も見ているためでしょう。(Financial Times:09/24)

経済指標発表予定

以下の経済指標が発表される予定です。

主要銘柄の決算発表予定

9/28には主要銘柄の決算発表が予定されていません。

おわりに

9月25日はAI関連株への買いで主要3指数が上昇しましたが、米国債の利回りは高く、家計の物価不安も強まっています。株高を喜びつつ、気になる数字も一緒に見ておきたい一日でした。私も毎日の値動きに気持ちが揺れることはあります。それでも、長く保有する理由が変わったかを確かめてから判断するようにしています。

毎朝このブログを読んでくださり、ありがとうございます。個人で続けている市場の記録が、皆さまの一日の参考になれば嬉しいです。記事が役に立ちましたら、こちらから応援していただけると励みになります。投資は自己責任にてお願いします。

おことわり

投資は自己責任にてお願いします。
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図表のレファレンス

  • S&P500ヒートマップ: finviz
  • 主要3指数とドル円:  Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
  • セクター別騰落率: finviz
  • 経済指標結果/予定: investing.com日本語版
  • 決算発表結果/予定: investing.com日本語版
  • 主要指数の動き : Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
  • 自分の米ドル建ポートフォリオ:  Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ

著者プロフィール

室井一夫(Kazuo Muroi)
Muroi Universal Research on Investment LLC 代表社員
一級建築士・建築1級施工管理技士・工学修士
Facebookグループ「米国株_投資の部屋」管理人(約4.7万人)

米国株式市場と経済動向に関する情報を毎日発信しています。

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