20260831_U.S. Stock Market Report

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室井のマーケット視点

8月31日の米国市場は、一言でいえば「原油高と金利上昇に押されながらも、AIへの資金は残った相場」でした。主要3指数は下落し、11セクター中9セクターがマイナスです。中東情勢の緊迫化でWTI原油先物が+3.49%、米10年国債利回りも4.758%へ上昇しました。それでもNASDAQは-0.12%にとどまり、TeslaやCrowdStrike、Sandiskは5%を超えて上昇しました。SLBによるデータセンター冷却設備会社の買収も印象的です。AIデータセンターには大量の電力、空冷・水冷設備、無停電化を含めた建物全体への投資が必要です。

昨日、私のポートフォリオは+0.16%でした。VIX指数は14.92と低く、市場全体が恐怖に包まれた状況ではありません。長期投資では、毎日のニュースを確認しながらも、指数の小幅な下落でETFを手放さず、市場に居続けることが大切だと感じています。

S&P500ヒートマップ

5%以上上昇したS&P500構成銘柄

  • CRWD:CrowdStrike Holdings +5.77%
    サイバーセキュリティ大手のCrowdStrikeは、前週に発表した好決算を改めて評価する買いが入りました。売上高は前年同期比26%増の14.7億ドルとなり、市場予想を上回っています。AIの普及とともにサイバー攻撃も高度化しており、企業のセキュリティ投資が拡大するとの期待が株価を押し上げました。
  • TSLA:Tesla +5.51%
    Teslaは、自動運転タクシー「Cybercab」の公開イベントを控え、期待先行の買いが集まりました。イーロン・マスク氏がFSD(運転支援システム)の機能向上にも言及し、自動運転事業の成長期待が再び強まっています。株価は50日移動平均線(過去50営業日の平均株価)を上回り、投資家心理の改善も上昇を後押ししました。
  • SNDK:Sandisk +5.50%
    フラッシュメモリー大手のSandiskは、AIデータセンター向け記憶装置の需要拡大を期待する買いが続きました。NAND型フラッシュメモリー(電源を切ってもデータが消えない記憶装置)は供給が限られる一方、AI向け需要が急増しており、販売価格と利益率の上昇が見込まれています。株価は年初から大幅に上昇しています。
  • COIN:Coinbase Global +5.31%
    暗号資産交換大手のCoinbaseは、暗号資産関連株への資金流入を受けて上昇しました。ビットコインは8月に約24%上昇し、2024年11月以来の大幅な月間上昇となりました。暗号資産価格の回復は売買量や取引手数料収入の増加につながるため、Coinbaseの業績改善を期待する買いが入りました。

5%以上下落したS&P500構成銘柄

  • EIX:Edison International -23.07%
    カリフォルニア州の山火事関連法案から、電力会社の賠償責任を抑える重要な保護措置が外れたことを受けて急落しました。同社傘下のSouthern California Edisonは、2025年の大規模山火事を巡る巨額賠償リスクを抱えています。負担額の上限が見通せないことへの警戒が一気に強まりました。
  • PCG:PG&E Corporation -20.06%
    Edison Internationalと同様に、カリフォルニア州の山火事関連法案が電力会社を十分に保護しない内容となったことから売られました。PG&Eは過去の山火事による巨額賠償を受け、2019年に経営破綻した経験があります。再び財務負担が膨らむ可能性を警戒し、投資家が一斉にリスク回避へ動きました。
  • AON:Aon -9.53%
    保険仲介大手のAonは、同業のUSI Insurance Servicesを170億ドルで買収すると発表し、大幅安となりました。米国の中堅企業向け保険事業を強化できますが、買収資金を借入金で賄うため、負債増加や高値づかみへの懸念が先行しました。買収効果が利益に表れるのは2028年以降とされ、短期的な財務負担が意識されました。
  • HWM:Howmet Aerospace -7.51%
    航空機部品大手のHowmet Aerospaceは、原油高と米長期金利の上昇を受けた利益確定売りに押されました。8月発表の決算は市場予想を上回り、通期見通しも引き上げましたが、株価は年初から大幅に上昇していました。PER(株価収益率)は約53倍と高く、割高感を警戒した売りが膨らんだとみられます。
  • TTWO:Take-Two Interactive Software -6.67%
    人気ゲーム「Grand Theft Auto VI」を巡る未公開映像の流出と、発売延期への警戒が株価を押し下げました。会社側は2026年11月19日の発売予定を維持していますが、同作品への業績依存度が高いため、わずかな不透明感にも株価が反応しやすくなっています。流出内容そのものより、再延期を心配する売りが優勢となりました。
  • AXON:Axon Enterprise -5.69%
    警察向けのテーザー銃、身体装着カメラ、AIソフトウェアを手掛けるAxon Enterpriseは、成長株への利益確定売りに押されました。売上高は前年同期比35%増と高成長を維持していますが、PERは約235倍に達しています。米長期金利が4.75%付近まで上昇したことで、高い成長期待を織り込んだ割高銘柄への売りが強まりました。

セクター別騰落率

市場全体では11セクター中、上昇は2セクター、下落は9セクターとなり、売りが優勢であった。中東情勢の緊迫化で原油価格が上昇し、エネルギー(Energy)に資金が集中した。一方、米長期金利の上昇が幅広い銘柄を圧迫した。カリフォルニア州の山火事賠償問題で公益事業(Utilities)が売られ、大型インターネット株の下落により通信サービス(Communication Services)も大きく下げた。

  • エネルギー(Energy) +1.84%
    米国とイランの軍事的緊張が再び高まり、原油供給への不安からWTI原油先物が約3%上昇した。原油高は石油会社の販売価格と利益を押し上げるため、Exxon MobilやChevronなどに買いが集まった。主要指数がそろって下落する中、エネルギー(Energy)は地政学リスクの受け皿となり、唯一1%を超えて上昇した。
  • 通信サービス(Communication Services) -1.50%
    大型インターネット株や広告関連株への売りが広がり、全セクターで最大の下落となった。Amazonに対する米連邦取引委員会の提訴観測など、巨大IT企業への規制強化が投資家心理を冷やした。さらに米10年国債利回りが4.75%付近まで上昇し、将来の成長期待を先に織り込んだ高PER(株価収益率が高い)銘柄から資金が流出した。

主要3指数とドル円の動き

  • S&P500(7,686.14、前日比-0.33%)
    S&P500は25.62ポイント下落しました。米国とイランの軍事的緊張により原油価格が上昇し、インフレ再燃とFRBの追加利上げが警戒されました。エネルギー株は上昇しましたが、カリフォルニア州の山火事賠償問題で公益事業株が急落し、11セクター中9セクターが下落しました。月間ではプラスを維持しており、長期投資家としては全面的な弱気相場ではなく、金利と地政学リスクを受けた調整と見ています。
  • Dow30(53,185.90、前日比-0.70%)
    Dow30は374.09ポイント下落し、主要3指数で最大の下落率となりました。原油高による企業コストの増加や、米10年国債利回りが4.75%付近まで上昇したことが、大型の景気敏感株や消費関連株を圧迫しました。原油高の恩恵を受けるChevronなどは上昇しましたが、指数全体を押し上げるには至りませんでした。高金利の長期化が実体経済へ与える影響を、投資家が改めて警戒した一日です。
  • NASDAQ(26,370.89、前日比-0.12%)
    NASDAQは31.54ポイント安と小幅な下落にとどまり、主要3指数では最も底堅く推移しました。Teslaが自動運転タクシーへの期待から+5.51%、SandiskもAIデータセンター向け記憶装置の需要拡大を背景に+5.50%となり、AI・半導体関連の一角が指数を支えました。長期金利上昇はグロース株(将来の成長期待が高い銘柄)に不利ですが、AI投資への資金流入は途切れていないと感じます。
  • ドル円(159.744円、前日比-0.18%)
    ドル円は160.098円で始まり、FRBの追加利上げ観測を背景に一時160.201円まで上昇しました。その後、ベッセント米財務長官が日本政府と日銀による円安是正を見込み、9月の日銀利上げの可能性を示唆したため円買いが強まり、159.470円まで下落しました。終値は159.744円です。米国株を円換算すると依然として円安の恩恵がありますが、160円付近では政策発言による急変動に注意が必要です。

原油先物・米10年国債利回り・VIX・金先物の動き

  • WTI原油先物(86.31ドル、前日比+3.49%)
    WTI原油先物は一時86.79ドルまで上昇しました。米国とイランの軍事的緊張が再燃し、世界の原油輸送量の約20%が通過するホルムズ海峡の供給不安が強まりました。エネルギー株には買いが入りましたが、原油高は物価と企業コストを押し上げます。株式市場全体には、インフレ再燃への警戒を強める上昇でした。
  • 米10年国債利回り(4.758%、前日比+0.81%)
    米10年国債利回りは0.038ポイント上昇し、一時4.768%を付けました。原油高によるインフレ再燃と、FRBの追加利上げ観測が国債売りにつながりました。長期金利の上昇は企業の資金調達費を増やし、将来利益の評価額を低下させるため、高PER(株価収益率が高い)の成長株や不動産株には厳しい環境です。
  • VIX指数(14.92、前日比+3.40%)
    VIX指数は上昇しましたが、終値は14.92と、一般に警戒水準とされる20を大きく下回りました。中東情勢、原油高、長期金利上昇を受けて不安心理はやや強まりましたが、投資家が急落を想定している状況ではありません。主要3指数の下落率も限定的であり、市場は地政学リスクを警戒しながら冷静さを保っています。
  • 金先物(4,497.30ドル、前日比-0.72%)
    金先物は一時4,521.50ドルまで上昇した後、4,497.30ドルで取引を終えました。中東情勢の悪化は安全資産である金の買い要因ですが、米長期金利の上昇が上値を抑えました。金は利息を生まないため、国債利回りが上がると相対的な魅力が低下します。地政学リスクより金利上昇の影響が優勢となった値動きです。

私のポートフォリオ +0.16%(前日比)

私のポートフォリオは小幅に上昇しました。iFreeETF FANG+が+0.99%となり、全体を押し上げました。一方、S&P500連動商品は-0.10%から+0.14%、NASDAQ100は-0.06%、米国連続増配株ETFは-0.12%と、評価時点の違いもあって方向感が分かれています。原油高と長期金利上昇で市場全体には警戒感がありましたが、大型ハイテク株への資金は途切れていません。ETFを複数組み合わせていると、こうした資金移動が値動きに表れます。私は日々の小幅な増減より、長期で米国企業の成長を受け取ることを重視しています。

経済指標発表結果

  • シカゴ購買部協会景気指数(47.1、予想57.8、前回57.6)
    8月の指数は予想と前回を大幅に下回り、景気拡大と縮小の境目である50を割り込みました。シカゴ地区の製造業活動が縮小へ転じたことを示し、米国景気の減速を警戒させる内容です。本来ならFRBの利上げ観測を弱める要因ですが、この日は原油高によるインフレ再燃への懸念が強く、株式市場の安心材料にはなりませんでした。
  • ダラス連銀製造業活動指数(11.6、前回1.3)
    ダラス連銀製造業活動指数は前回の1.3から11.6へ大きく上昇し、地域の製造業活動が改善したことを示しました。シカゴ地区の指数とは正反対の結果であり、米国製造業全体の方向性はまだ定まりません。景気の底堅さを示す一方、FRBが追加利上げを検討しやすくなる面もありますが、市場への直接的な影響は限定的でした。

主要銘柄の決算発表結果

主要銘柄の決算発表はありませんでした。

主な経済ニュース

  • 米国とイランの軍事衝突で原油価格が急上昇
    米軍がホルムズ海峡周辺のイラン軍施設を攻撃し、イランも米軍基地へ報復したことで、中東情勢が再び緊迫しました。世界の原油輸送量の約20%が通過する海峡の供給不安から、WTI原油先物は+3.49%となりました。エネルギー株には買いが入りましたが、原油高によるインフレ再燃と企業コスト増加への警戒が主要3指数を押し下げました。(Reuters:08/31
  • 9月のFRB追加利上げ確率が65%を超える
    ウォーシュFRB議長がインフレ抑制のため追加引き締めが必要になる可能性を示したことで、市場は9月の0.25ポイント利上げを65%超の確率で織り込みました。原油高も物価上昇への警戒を強め、米10年国債利回りは4.758%へ上昇しています。高金利の長期化は、高PER(株価収益率が高い)の成長株や不動産株に厳しい環境となります。(Reuters:08/31
  • 山火事賠償問題でカリフォルニア州の電力株が急落
    カリフォルニア州の山火事関連法案に、電力会社の賠償責任を十分に抑える保護措置が盛り込まれなかったため、Edison Internationalは-23.07%、PG&Eは-20.06%となりました。山火事の被害額が拡大した場合、電力会社の負担上限を見通せないことが問題です。公益事業株の安全性を根本から問い直す売りとなりました。(Reuters:08/31
  • NvidiaがMediaTekへ35億ドルを投資
    Nvidiaは台湾の半導体大手MediaTekが発行する転換社債へ35億ドルを投資すると発表しました。両社はNvidiaの高速接続技術「NVLink Fusion」を利用し、AIパソコンや自動車、データセンター向け半導体で協力します。Nvidiaは自社GPUの販売だけでなく、他社製半導体を自社の計算基盤へ取り込むことで、AI市場における影響力をさらに広げようとしています。(Reuters:08/31
  • SLBがデータセンター冷却事業へ本格参入
    油田サービス大手SLBは、冷却設備メーカーのKelvionを41億ドルで買収すると発表しました。AIデータセンターではGPUの発熱量が増え、空冷だけでなく水冷設備の重要性が高まっています。SLBは2028年までにデータセンター関連売上高を45億~50億ドルへ拡大する計画です。AI投資の恩恵が半導体から冷却・電力設備へ広がっていることを示す買収です。(Reuters:08/31
  • AonがUSI Insuranceを170億ドルで買収
    保険仲介大手Aonは、同業のUSI Insurance Servicesを170億ドルで買収すると発表しました。米国の中堅企業向け保険事業を強化できますが、買収資金を借入金で賄うため、負債増加と買収価格への懸念からAon株は-9.53%となりました。買収効果が利益に表れるのは2028年以降とされ、市場は長期的な成長より短期的な財務負担を厳しく評価しました。(Reuters:08/31
  • ベッセント米財務長官が日銀の9月利上げを示唆
    ベッセント米財務長官は、日本政府と日銀が円安是正へ動き、9月にも追加利上げを行う可能性が高いとの認識を示しました。この発言を受け、ドル円は一時160.201円まで上昇した後、159円台へ下落しました。日銀が利上げすれば日米金利差が縮小し、円高要因となります。円建てで米国株を保有する投資家には、株価だけでなく為替による評価額変動も重要です。(Reuters:08/31
  • 米戦略石油備蓄が1982年以来の低水準
    米国の戦略石油備蓄は前週から310万バレル減少し、1982年以来の低水準となりました。中東情勢の悪化で原油供給が滞った場合、政府が備蓄放出によって価格を抑える余力は以前より小さくなっています。原油価格の高止まりが続けば、ガソリン価格や輸送費を通じて物価全体へ波及し、FRBの追加利上げと個人消費の減速を招く可能性があります。(Reuters:08/31
  • 米政権が自動車燃費規制を大幅に緩和へ
    トランプ政権は、自動車メーカーに求める燃費基準を大幅に引き下げる方針を示しました。規制対応費用が減るため、ガソリン車や大型車の比率が高いメーカーには短期的な利益改善要因となります。一方、電気自動車への移行速度が鈍り、Teslaなどの成長戦略や電池関連投資には影響が出る可能性があります。原油消費の増加につながる点にも注意が必要です。(Reuters:08/31
  • カナダ製自動車への50%関税案が供給網を揺さぶる
    トランプ政権がカナダから輸入される自動車へ50%の関税を課す案を示し、現地生産の大部分を占めるToyotaとHondaへの影響が懸念されています。北米の自動車産業は米国、カナダ、メキシコをまたぐ部品供給網で成り立っており、関税は米国内の販売価格や部品調達費も押し上げます。自国産業保護策であっても、米国の消費者と企業が負担する可能性があります。(Reuters:08/31

 

経済指標発表予定

以下の経済指標が発表される予定です。

主要銘柄の決算発表予定

以下の主要銘柄の決算発表がなされる予定です。

おわりに

この日は、中東情勢の緊迫化による原油高と米長期金利の上昇が重なり、主要3指数はそろって下落しました。それでもVIX指数は14台にとどまり、投資家が慌てて市場から逃げ出すような状況ではありません。8月を通して見れば主要3指数は上昇しており、一日だけの値動きで相場の流れを判断しないことが大切だと感じています。

私も毎日の増減には一喜一憂せず、ETFを中心に市場へ居続けます。今朝もブログを読んでいただき、ありがとうございました。

それでは、今日も一日、明るく元気に笑顔で過ごしましょう。

毎朝の市場整理が少しでもお役に立ちましたら、こちらから応援いただけると嬉しいです。

おことわり

投資は自己責任にてお願いします。
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図表のレファレンス

  • S&P500ヒートマップ: finviz
  • 主要3指数とドル円:  Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
  • セクター別騰落率: finviz
  • 経済指標結果/予定: investing.com日本語版
  • 決算発表結果/予定: investing.com日本語版
  • 主要指数の動き : Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
  • 自分の米ドル建ポートフォリオ:  Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ

著者プロフィール

室井一夫(Kazuo Muroi)
Muroi Universal Research on Investment LLC 代表社員
一級建築士・建築1級施工管理技士・工学修士
Facebookグループ「米国株_投資の部屋」管理人(約4.7万人)

米国株式市場と経済動向に関する情報を毎日発信しています。


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