20260819_U.S. Stock Market Report

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室井のマーケット視点

8月19日の米国株式市場は、S&P500が+0.21%、Dow30が+0.22%、NASDAQが+0.16%となりました。主要3指数は小幅高ですが、市場内部では大きな資金移動が起きています。

素材は+3.62%、ヘルスケアは+3.38%となる一方、先端技術は-0.66%でした。ModernaとMerckのがん治療試験、金価格の急騰、長期金利の低下によって、医薬品、金鉱株、不動産、一般消費材へ買いが広がっています。

AI需要がなくなったわけではありません。Marvell、ServiceNow、Salesforceは上昇しましたが、記憶装置、AIサーバー、半導体製造装置、光通信は売られました。投資家はAI株を全面売却したのではなく、買い増しを止め、上昇した銘柄を一部売りながら、他のセクター、金、ビットコインへ投資先を広げていると見ています。

私自身もS&P500、FANG+、NASDAQへの投資額は変えず、短期米国債ETFの133Aから、連続増配株ETFの2014へ乗り換えました。成長株を手放すのではなく、バリュー株を加えて偏りを和らげた形です。

相場の主役は入れ替わります。長期投資では、その変化を知りながらも、短期の値動きで投資方針を変えすぎないことが大切です。

投資は自己責任にてお願いします。

S&P500ヒートマップ

5%以上上昇したS&P500構成銘柄

この日は22銘柄が5%以上上昇しました。ModernaとMerckのがん治療試験、Estée Lauderの業績見通し、MarvellとGoogleのAI半導体契約など、明確な個別要因を持つ銘柄が上位を占めました。一方、長期金利の低下によって、ソフトウェア、ITサービス、不動産関連にも買い戻しが広がっています。

  • MRNA:Moderna +176.97%
    Merckのがん免疫薬「Keytruda」と組み合わせた個別化mRNAがんワクチンが、悪性黒色腫を対象とする第3相試験で主要評価項目を達成しました。新型コロナワクチン以外の収益源が具体化するとの期待に加え、空売りしていた投資家の買い戻しも重なり、出来高は通常を大幅に上回りました。
  • EL:Estée Lauder Companies +16.30%
    発表した利益見通しが市場予想を上回り、収益改善への期待が高まりました。中国を含むアジア市場の不振が続く中でも、経費削減や事業再編によって利益率を回復させる方針が評価されています。高級化粧品需要の底入れを期待する買いも入りました。
  • MRK:Merck & Co. +12.61%
    Modernaと共同開発する個別化mRNAがんワクチンと、主力がん免疫薬「Keytruda」の併用試験が成功しました。悪性黒色腫の再発や転移を抑える新たな治療法として期待が高まり、将来の特許切れが懸念されるKeytrudaの収益を補う可能性も評価されました。
  • MRVL:Marvell Technology +9.85%
    GoogleとAI向け半導体を共同開発する契約が報じられました。契約にはAI推論用半導体、記憶装置、ネットワーク制御部品などが含まれ、Googleが最大約122億ドル相当のMarvell株を取得できる権利も設定されました。AI投資の中でも、個別企業を選別する買いが入っています。
  • COIN:Coinbase Global +9.55%
    ビットコインが約6%上昇し、一時69,000ドルを超えたことで、暗号資産取引の増加を期待する買いが入りました。米財務省による長期国債の買い戻し拡大を受けてドルと長期金利が低下し、暗号資産への投資意欲が強まりました。ビットコインの空売り買い戻しも価格上昇を加速させています。
  • CVNA:Carvana +8.35%
    米長期金利の低下と小型・中型成長株への買い戻しを受けて上昇しました。金利低下は自動車ローンを利用する消費者の負担軽減につながるため、中古車販売の回復期待が高まります。この日に大きな個別発表はなく、前日までに売られた高成長株の反発という面が強い動きでした。
  • NEM:Newmont +7.85%
    金先物価格が4%前後上昇し、金鉱山大手のNewmontにも買いが集中しました。米長期金利の低下とドル安に加え、米国の政府債務や中東情勢への警戒が金需要を高めています。金価格の上昇は、採掘コストが一定であれば同社の利益と現金収入を拡大させます。
  • FICO:Fair Isaac +7.74%
    米長期金利の低下を受けて、高PER(株価収益率が高い状態)のソフトウェア関連株に買い戻しが入りました。信用評価システムとFICOスコアは金融機関の融資判断に広く利用されており、安定した利用料収入を持つ点も評価されています。この日は明確な個別発表より、売られすぎからの反発が中心でした。
  • CSGP:CoStar Group +7.49%
    米長期金利が低下し、不動産市場の取引回復を期待する買いが入りました。同社は商業用不動産の情報、分析、オンライン市場を提供しており、金利低下によって不動産融資や売買が増えれば、サービス需要の改善が期待できます。前日までの下落に対する買い戻しも加わりました。
  • CPRT:Copart +7.43%
    中古車オークションを運営するCopartは、一般消費関連株への買い戻しと長期金利低下を受けて上昇しました。事故車や中古車のオンライン取引で高い市場占有率を持ち、在庫を大量に抱えにくい事業構造も特徴です。この日に目立った個別発表はなく、売られすぎの修正とみられます。
  • JKHY:Jack Henry & Associates +6.49%
    銀行や信用組合向けの決済・情報処理システムを提供する同社は、金融IT関連株への買い戻しによって上昇しました。継続利用料を中心とする安定した収益構造に加え、地方銀行のデジタル化需要も続いています。金利低下によってソフトウェア企業の企業価値評価も改善しました。
  • NOW:ServiceNow +6.45%
    米長期金利の低下を受けて、前日まで売られていた大型ソフトウェア株に買い戻しが入りました。企業の業務自動化や生成AI導入を支援するサービスへの需要は続いています。半導体株が軟調な一方、AI投資の対象がソフトウェアや企業向けサービスへ移る動きも確認されました。
  • DHR:Danaher +6.12%
    ModernaとMerckのがん治療試験成功をきっかけに、医薬品研究や診断を支えるヘルスケア関連企業へ買いが広がりました。Danaherは生命科学機器、診断装置、バイオ医薬品の製造支援を手掛けています。新薬開発や臨床研究の増加が、同社製品の需要拡大につながるとの期待が高まりました。
  • HONA:Honeywell Aerospace +5.98%
    航空宇宙関連株への買いと、市場全体の投資対象拡大を受けて上昇しました。航空機向けエンジン、電子機器、補助動力装置などを手掛けており、民間航空機の整備需要や防衛関連支出の増加が収益機会となります。この日は半導体以外の工業・産業銘柄にも資金が向かいました。
  • ACN:Accenture +5.92%
    企業向けAI導入支援やITコンサルティングを手掛ける銘柄として買い戻されました。AI投資が半導体の購入だけでなく、業務への組み込み、データ整備、クラウド移行へ広がれば、同社の受注機会が増えます。長期金利の低下も、ITサービス株の企業価値評価を改善させました。
  • IT:Gartner +5.90%
    企業向けIT調査・助言サービスを提供するGartnerは、売られすぎからの買い戻しで上昇しました。同社は2026年の調整後EPSとフリーキャッシュフロー(事業から得られる自由に使える現金)の見通しを引き上げています。AI導入について助言を求める企業の増加も中長期的な収益機会となります。
  • EFX:Equifax +5.64%
    米長期金利が低下し、住宅ローンや個人向け融資の回復を期待する買いが入りました。同社は個人の信用情報や所得確認サービスを金融機関へ提供しており、融資申請が増えると照会件数の増加が期待できます。明確な個別発表より、金利低下に反応した上昇と考えられます。
  • CTSH:Cognizant Technology Solutions +5.45%
    ITサービス株への買い戻しが広がる中で上昇しました。直近決算では売上高が前年同期比4.5%増加し、金融サービス部門は12%増収となりました。企業のAI導入、業務自動化、デジタル変革を支援する需要に加え、大規模な自社株買いも株主還元として評価されています。
  • CBRE:CBRE Group +5.27%
    米長期金利の低下を受けて、商業用不動産市場の回復を期待する買いが入りました。金利が下がれば不動産取得時の資金調達負担が軽くなり、売買仲介や不動産投資、施設管理の需要改善につながります。不動産関連株の中でも、世界規模で事業を展開する同社に資金が集まりました。
  • CRM:Salesforce +5.07%
    長期金利の低下とソフトウェア株への買い戻しによって上昇しました。顧客管理システムへ生成AI機能を組み込み、企業が保有する顧客データを営業や問い合わせ対応に活用する事業を進めています。AI投資の対象が半導体から業務ソフトウェアへ広がる動きを示す上昇となりました。
  • GIS:General Mills +5.02%
    生活必需品株への資金分散と、配当利回りを重視する買いによって上昇しました。食品需要は景気変動の影響を受けにくく、不透明なインフレ環境でも比較的安定した売上が期待できます。この日は成長株だけでなく、安定収益を持つディフェンシブ銘柄にも資金が向かいました。
  • RVTY:Revvity +5.01%
    ヘルスケアセクター全体への資金流入を受けて上昇しました。同社は創薬研究、遺伝子解析、診断に使われる機器や試薬を提供しています。ModernaとMerckのがん治療試験成功によって、個別化医療やバイオ医薬品研究への関心が高まり、研究支援企業にも買いが広がりました。

 

5%以上下落したS&P500構成銘柄

この日は15銘柄が5%以上下落しました。下落銘柄の多くは、半導体製造装置、記憶装置、AIサーバー、光通信、電子機器の関連企業です。AI需要そのものが急減したのではなく、これまで上昇してきたAIハードウェア株から利益を確定する動きが続きました。鉄鋼株や航空宇宙株にも売りが入り、投資家が一部の保有銘柄を整理する動きが表れています。

  • STX:Seagate Technology -7.87%
    AIデータセンター向け大容量記憶装置への期待から大きく上昇してきた反動で、利益確定売りが入りました。業績は拡大していますが、株価収益率が60倍前後まで上昇しており、将来の成長を相当程度織り込んでいます。この日はWestern Digitalなど記憶装置関連株がそろって下落しました。
  • STLD:Steel Dynamics -7.53%
    鉄鋼株全体に利益確定売りが広がりました。同社は関税政策や米国内の設備投資による鉄鋼需要への期待から上昇していましたが、製品価格と原材料費の動向に対する警戒が強まりました。前日にも下落しており、短期間で保有比率を引き下げる動きが続いています。
  • WDC:Western Digital -6.87%
    データセンター向け記憶装置需要への期待から株価が大きく上昇していたため、利益確定売りが続きました。直近12カ月のEPS成長率は大幅なプラスですが、その成長が今後も同じ速度で続くかを慎重に見る投資家が増えています。Seagateとそろって下落し、記憶装置関連からの資金流出が鮮明になりました。
  • DELL:Dell Technologies -6.64%
    AIサーバー需要は強いものの、サーバー販売の利益率と部品調達費用に対する警戒から売られました。AI関連の受注が増えても、競争激化や高額な半導体の調達によって利益が十分に増えなければ、株価上昇につながりにくくなります。AI需要と企業利益を分けて評価する動きが表れました。
  • LRCX:Lam Research -6.33%
    半導体製造装置株への利益確定売りが続きました。AI半導体や高帯域メモリーの設備投資拡大によって業績は成長していますが、株価には強い需要見通しが織り込まれています。投資家はAI設備投資の継続性や半導体メーカーの投資回収を慎重に確認する段階へ移っています。
  • KEYS:Keysight Technologies -6.32%
    半導体、通信機器、データセンター向けの電子計測需要への期待から上昇していた反動で売られました。直近12カ月のEPS成長率は高いものの、PER(株価収益率)も40倍を超えています。半導体や光通信関連株が一斉に下落する中で、電子計測機器にも利益確定売りが広がりました。
  • COHR:Coherent -6.19%
    AIデータセンター向け光通信部品の需要拡大を背景に株価が急上昇していたため、利益確定売りが入りました。AI設備投資には高速光通信が不可欠ですが、同社株は短期間で大きく上昇していました。この日はLumentumなど同業銘柄も下落しており、光通信関連全体の持ち高調整とみられます。
  • TER:Teradyne -6.09%
    半導体検査装置株への売りが広がる中で下落しました。AI向け半導体の高性能化によって検査工程の重要性は高まっていますが、株価は将来の成長を先に織り込んでいました。半導体関連銘柄への投資集中を警戒する動きが強まり、高PER銘柄を中心に利益確定売りが入りました。
  • FLEX:Flex -6.00%
    AIサーバー、電力設備、冷却装置などの電子機器製造を手掛ける企業として買われてきましたが、この日はAIハードウェア株の下落に巻き込まれました。AIインフラ需要は続いているものの、製造受託事業は部品価格や利益率の影響を受けやすく、株価上昇後の利益確定が優勢となりました。
  • NUE:Nucor -5.85%
    Steel Dynamicsとともに鉄鋼株が売られました。米国内の製造業回帰やインフラ投資への期待は続いていますが、鉄鋼製品価格が低下すれば、原材料費との差が縮小して利益率が悪化する可能性があります。株価が8月上旬に高値を付けた後でもあり、利益を確定する動きが強まりました。
  • Q:Qnity Electronics -5.64%
    半導体製造や先端電子機器に使用する材料を供給する企業として、AI関連の設備投資拡大が期待されてきました。この日は半導体製造装置、記憶装置、電子部品がそろって下落し、同社にも売りが波及しました。個別の悪材料より、AIハードウェア関連全体の保有比率を下げる動きが中心です。
  • CRWD:CrowdStrike Holdings -5.30%
    サイバーセキュリティ需要とAI活用への期待は続いていますが、高い企業価値評価を警戒した利益確定売りが入りました。同社は売上と継続契約額を伸ばしている一方、株価には将来の成長が強く織り込まれています。この日は一部の高成長ソフトウェア株でも選別売りが見られました。
  • LITE:Lumentum Holdings -5.23%
    AIデータセンター向け光通信部品への期待から大幅に上昇してきた反動で売られました。高速通信需要の拡大という中長期的な事業環境に変化はありませんが、短期間の株価上昇によって利益確定が出やすい状態でした。Coherentとそろって下落し、光通信関連株の調整が続いています。
  • DDOG:Datadog -5.07%
    クラウドシステムの監視やセキュリティサービスを提供する高成長企業ですが、PERが非常に高く、企業価値評価への警戒から売られました。AI利用の増加はデータ処理量と監視需要を拡大させますが、好調な成長を維持し続けることが株価に求められています。高成長株の選別が厳しくなりました。
  • GE:GE Aerospace -5.03%
    直近3カ月で株価が20%以上上昇していたため、利益確定売りが入りました。航空機エンジンの受注や整備需要は堅調ですが、株価収益率は40倍前後まで上昇しています。中東情勢による航空便への影響や部品・整備費用の上昇もあり、現在の株価水準を慎重に評価する動きが強まりました。

セクター別騰落率

市場全体では、素材(Basic Materials)とヘルスケア(Healthcare)が3%を超えて上昇し、一般消費材(Consumer Cyclical)と不動産(Real Estate)にも買いが広がりました。一方、半導体・記憶装置・AIサーバー関連株が売られ、先端技術(Technology)は下落しています。AI株から全面撤退する動きではなく、金鉱株、医薬品、不動産、消費関連へ資金を分散するセクターローテーション(業種間の資金移動)が鮮明な一日でした。

  • 素材(Basic Materials) +3.62%
    素材セクターは全11セクター中で最大の上昇となりました。金先物が3.30%上昇して過去最高値圏へ進み、Newmontなど金鉱株に買いが集中しました。一方、Steel DynamicsとNucorは5%を超えて下落しており、素材全体が一様に強かったわけではありません。金関連株の急伸がセクター指数を大きく押し上げた形です。
  • ヘルスケア(Healthcare) +3.38%
    ModernaとMerckが共同開発する個別化mRNAがんワクチンが、悪性黒色腫を対象とする第3相試験で主要評価項目を達成しました。Modernaは176.97%、Merckは12.61%上昇し、DanaherやRevvityなど研究・診断関連にも買いが広がりました。AI以外にも大きな成長機会があることを市場に示す動きとなりました。
  • 一般消費材(Consumer Cyclical) +2.14%
    Estée Lauderが市場予想を上回る利益見通しを発表して16.30%上昇し、セクターを押し上げました。Carvanaも長期金利低下による自動車ローン負担の軽減を期待して8.35%上昇しています。消費全体が強いというより、業績改善が確認された企業と、金利低下の恩恵を受けやすい企業を選ぶ買いが中心でした。
  • 不動産(Real Estate) +1.04%
    米10年国債利回りが4.6530%へ低下し、不動産の資金調達環境が改善するとの期待から買われました。CoStar Groupは7.49%、CBRE Groupは5.27%上昇しています。金利低下は不動産取得時の借入負担を軽くし、売買仲介や物件情報サービスの需要回復につながるため、高金利で売られていた銘柄に買い戻しが入りました。
  • 工業・産業(Industrials) -1.19%
    工業・産業セクターは全11セクター中で最大の下落となりました。直近3カ月で大きく上昇していたGE Aerospaceに利益確定売りが入り、株価は5.03%下落しました。航空機需要やインフラ投資の長期的な見通しは維持されていますが、株価収益率が高くなった銘柄では、好業績だけでは買い増しにくい状態となっています。

主要3指数とドル円の動き

米財務省が長期国債の買い戻し規模を拡大すると発表し、米長期金利が低下しました。主要3指数はそろって上昇しましたが、ModernaとMerckを中心とするヘルスケア株の急伸に対し、半導体・記憶装置・AIサーバー関連株は下落しています。指数の上昇幅は小さいものの、市場内部では大きな資金移動が起きた一日でした。

  • S&P500(7,707.98、前日比+0.21%)
    S&P500は7,716.74で始まり、一時7,743.93まで上昇しましたが、終盤に伸び悩みました。ModernaとMerckのがん治療試験成功を受けてヘルスケア株が大きく上昇し、長期金利の低下によって不動産やソフトウェア株にも買いが入りました。一方、半導体、記憶装置、光通信、AIサーバー関連株には利益確定売りが続いています。指数は小幅高ですが、AI株への集中投資を緩め、他のセクターへ資金を分散する動きが確認できました。
  • Dow30(53,463.05、前日比+0.22%)
    Dow30は一時53,710.06まで上昇しましたが、終値は始値とほぼ同じ水準まで戻りました。構成銘柄のMerckが12%を超えて上昇し、Salesforceなどのソフトウェア株にも買いが入りました。一方、航空宇宙や工業関連の一部には利益確定売りが見られ、上昇幅は限定的でした。長期投資家としては、半導体だけでなく、医薬品、ソフトウェア、生活必需品へ資金が広がっている点を前向きに捉えたいところです。
  • NASDAQ(26,331.09、前日比+0.16%)
    NASDAQは26,393.89で始まり、一時26,185.13まで下落した後、プラス圏で取引を終えました。MarvellはGoogleとのAI半導体契約を受けて上昇し、Coinbaseもビットコイン高によって買われました。一方、Seagate、Western Digital、Lam Research、Dellなど、AIハードウェア関連株が大きく下落しています。AI需要がなくなったのではなく、株価上昇を先取りしていた銘柄を売り、利益や現金収入を確認できる企業へ選別する段階に入ったと感じます。
  • ドル円(158.1390円、前日比-0.90%)
    ドル円は159.5700円で始まり、一時159.6450円まで上昇しましたが、その後は158.0380円まで急落しました。米財務省が長期国債の買い戻し規模を1回当たり20億ドルから少なくとも40億ドルへ拡大すると発表し、米長期金利が低下したことでドル売りが強まりました。ドル安は米国株の円建て評価額を押し下げますが、金利低下は株価にプラスとなる場合があります。米国株へ投資する日本人にとって、株価上昇と円高が同時に進む難しい一日となりました。

原油先物・米10年国債利回り・VIX・金先物の動き

米財務省による長期国債の買い戻し拡大を受けて、米長期金利とドルが低下しました。株式市場の不安心理を示すVIX指数も低下する一方、金先物は3%を超えて急騰しています。株式への投資意欲を保ちながら、米国の政府債務や中東情勢に備えて金も買うという、複雑な資金配分が見られました。

  • WTI原油先物(84.20ドル、前日比+0.17%)
    WTI原油先物は、中東情勢と原油供給への警戒から一時85.84ドルまで上昇しましたが、その後は上昇幅を縮めました。米国とイランの対立が続き、ホルムズ海峡を巡る不透明感も残っています。原油高はエネルギー企業の収益を押し上げる一方、長引けば物価上昇と金利上昇を招くため、米国株全体には注意が必要です。
  • 米10年国債利回り(4.6530%、前日比-1.13%)
    米10年国債利回りは、前日の4.7%台から4.6530%へ低下しました。米財務省が長期国債の買い戻し規模を1回当たり20億ドルから少なくとも40億ドルへ拡大すると発表し、債券価格が上昇したためです。金利低下は高PER(株価収益率が高い状態)の成長株に有利ですが、この日は半導体よりソフトウェアや不動産が買われました。
  • VIX指数(14.93、前日比-5.74%)
    VIX指数は15.92で始まり、取引終了時にはこの日の最低値となる14.93まで低下しました。半導体やAIハードウェア株が大きく下落したにもかかわらず、株式市場全体が上昇したため、投資家の不安は強まっていません。AI株から全面撤退する動きではなく、ヘルスケア、ソフトウェア、不動産などへ資金を分散する局面と考えられます。
  • 金先物(4,566.50ドル、前日比+3.30%)
    金先物は4,391.40ドルで始まり、一時4,569.60ドルまで上昇し、ほぼ高値圏で取引を終えました。米長期金利の低下とドル安に加え、米国の政府債務、中東情勢、インフレへの警戒が金需要を高めています。この日の急騰はAI株の売却資金だけでなく、金利とドルの変化に反応した新規資金や買い戻しも大きかったと考えられます。

私のポートフォリオ -0.93%(前日比)

私のポートフォリオは前日比-0.93%となりました。前日の米国市場でAI・半導体関連株が調整した動きが日本市場のETFや投資信託へ反映され、iFreeETF FANG+は-1.41%、MAXISナスダック100上場投信は-1.71%となりました。S&P500に連動するETFと投資信託も0.7%台の下落です。

今回の調整を受け、短期米国債ETFの133Aを売却し、iシェアーズ 米国連続増配株 ETFの2014へ乗り換えました。2014はMicrosoftやBroadcomなどの成長株に加え、JPMorgan、Johnson & Johnson、Exxon Mobil、Merck、Coca-Colaなど、金融、ヘルスケア、エネルギー、生活必需品のバリュー株を比較的多く含み、この日は+0.22%でした。

S&P500、FANG+、NASDAQへの投資額は減らしていません。成長株を売って投資方針を変えたのではなく、短期債から株式へ資金を移し、成長株中心の構成に連続増配株を加えました。AIの長期的な成長には期待しつつ、足元の資金移動に合わせてポートフォリオの偏りを少し和らげた形です。

経済指標発表結果

  • FOMC議事要旨(政策金利3.50~3.75%を据え置いた会合)
    7月28~29日のFOMC議事要旨では、インフレが2%目標を上回り続けた場合、追加利上げが必要になるとの意見が多く確認されました。複数の参加者が利上げを主張し、3人は実際に利上げへ投票しています。利下げを支持する意見はなく、FRBの警戒姿勢は市場の想定より強い内容でした。ただし、この日は米財務省の国債買い戻し拡大による金利低下の影響が大きく、株式市場の反応は限定的でした。
  • 20年物米国債入札(最高落札利回り5.204%、前回5.163%)
    20年物米国債入札の最高落札利回りは5.204%となり、前回の5.163%を上回りました。投資家が長期国債を購入するために、やや高い利回りを求めたことを示します。一方、応札倍率(発行額に対して何倍の購入希望があったか)は2.53倍で、需要そのものは安定していました。米財務省の国債買い戻し発表後に低下していた金利は入札後に一時戻しましたが、米10年国債利回りは最終的に4.6530%へ低下しました。
  • EIA原油在庫(+440.5万バレル、予想+20.0万バレル、前回+1,742.3万バレル)
    米国の原油在庫は予想を大幅に上回る440.5万バレル増となり、3週連続で増加しました。ガソリン在庫も68.8万バレル増となり、120万バレル減の予想に反しています。供給不足への不安を和らげる内容で、WTI原油先物は中東情勢を受けて一時85.84ドルまで上昇した後、84.20ドルまで伸び悩みました。原油高によるインフレ再加速を警戒する株式市場には、極端な供給逼迫を否定する結果となりました。

主要銘柄の決算発表結果

  • ADI:Analog Devices(先端技術(Technology))
    調整後EPSは3.45ドルとなり、市場予想の3.34ドルを上回りました。売上高も40.2億ドルと予想の39.1億ドルを超え、前年同期比では40%増加しています。AIデータセンターと産業機器向け需要が業績を押し上げ、次期売上高見通しも市場予想を上回りました。ただし、通常取引では半導体株全体の売りに押されて-0.89%となり、時間外では+0.67%へ戻しています。
  • TJX:TJX Companies(一般消費材(Consumer Cyclical))
    調整後EPSは1.22ドルと予想の1.19ドルを上回り、売上高も152億ドルと予想の151.9億ドルをわずかに超えました。通期利益見通しも引き上げましたが、主力のTJ MaxxとMarshallsを含む部門の既存店売上高は1%増にとどまり、前四半期の6%増から減速しています。通常取引では-4.21%、時間外では+0.35%となり、市場は消費者の節約志向だけでなく、商品構成の弱さも厳しく見ています。
  • LOW:Lowe’s Companies(一般消費材(Consumer Cyclical))
    調整後EPSは4.40ドルと市場予想の4.23ドルを上回りましたが、売上高は260億ドルとなり、予想の261.6億ドルに届きませんでした。住宅所有者が高額な改修工事を控えているため、通期の既存店売上高見通しを横ばいへ引き下げています。一方、修繕需要、専門業者向け販売、オンライン販売は堅調で、長期金利低下による住宅市場の改善期待もあり、通常取引で+2.35%、時間外で+0.43%となりました。
  • TGT:Target(生活必需品(Consumer Defensive))
    EPSは4.11ドルとなり、市場予想の2.33ドルを大幅に上回りました。売上高も265.4億ドルと予想の261.3億ドルを超え、既存店売上高と来店客数も増加しています。ただし、利益には関税の返還による約9.94億ドルの一時的な効果が含まれているため、本業の収益力とは分けて見る必要があります。通常取引では+4.28%、時間外では+0.18%となり、値下げと店舗改善による集客回復も評価されました。
  • EL:Estée Lauder Companies(生活必需品(Consumer Defensive))
    調整後EPSは0.39ドルと予想の0.32ドルを上回り、売上高も36.3億ドルと予想の35.5億ドルを超えました。中国市場の回復に加え、Le LaboやTom Fordなど高級香水の販売が好調でした。2027年度の調整後EPSを3.10~3.35ドルと予想し、市場予想を上回ったことから、事業再建への期待が高まっています。通常取引では+16.34%と急騰し、時間外では-0.12%でした。

主な経済ニュース

  • 米財務省が長期国債の買い戻し規模を倍増
    ベッセント米財務長官は、残存期間10~30年の国債買い戻しを1回当たり20億ドルから少なくとも40億ドルへ拡大すると発表しました。30年国債利回りが19年ぶりの高水準となる中、債券市場の流動性を改善する狙いです。発表後は米長期金利とドルが低下し、株式、金、ビットコインが上昇しました。ただし、米国債市場全体と比べれば買い戻し額は小さく、財政問題を解決する政策ではありません。(Reuters:08/19)
  • FOMC議事要旨で追加利上げの可能性が浮上
    7月のFOMC議事要旨では、インフレ率が2%目標を上回り続けた場合、追加の金融引き締めが必要になるとの意見が多く確認されました。複数の参加者が利上げを主張し、3人は実際に利上げへ投票しています。利下げを支持する意見はなく、FRBは市場の想定よりインフレを警戒しています。この日は米財務省の国債買い戻し発表が金利を押し下げましたが、成長株にとって高金利リスクは残っています。(Reuters:08/19)
  • 米国の政府債務が初めて40兆ドルを突破
    米国の政府債務が初めて40兆ドルを超え、2017年の約19.95兆ドルから倍増しました。新型コロナ対策、社会保障、医療費、インフラ投資などによって歳出が膨らみ、利払い費はメディケアを上回る規模となっています。国債を大量に発行し続ければ、投資家はより高い利回りを求めるため、住宅ローンや企業の資金調達費用にも影響します。長期投資家にとって、企業業績だけでなく米国財政も無視できない問題です。(Reuters:08/19)
  • ホルムズ海峡の船舶通航が減少し原油供給に不安
    ホルムズ海峡を通過した商品運搬船は6隻となり、直近平均の11隻を大きく下回りました。トランプ大統領は海峡が開いていると主張する一方、イラン側は閉鎖状態が続いていると説明しており、情報が食い違っています。同海峡は世界の原油・液化天然ガス輸送の約20%を担う重要航路です。原油高が長引けば物価と金利を押し上げ、エネルギー以外の企業収益や個人消費を圧迫する可能性があります。(Reuters:08/19)
  • ModernaとMerckのがんワクチンが第3相試験に成功
    ModernaとMerckが共同開発する個別化mRNAがんワクチンと、がん免疫薬Keytrudaの併用療法が、悪性黒色腫を対象とする第3相試験で主要評価項目を達成しました。Modernaは176.97%、Merckは12.61%上昇し、ヘルスケアセクター全体にも買いが広がりました。mRNA技術が感染症だけでなく、がん治療にも利用できる可能性を示した点で、医療分野の長期的な成長機会を広げるニュースです。(Reuters:08/19)
  • GoogleとMarvellが独自AI半導体で大型契約
    GoogleはMarvellとAI向け独自半導体を共同開発し、Marvell株を最大約122億ドル相当取得できる権利を得ました。対象にはAI推論用半導体、記憶装置、ネットワーク制御部品などが含まれます。GoogleはNVIDIA製GPUだけに依存せず、用途に合わせた独自半導体を増やす方針です。Marvellは9.85%上昇する一方、Google向け事業を持つBroadcomは下落し、AI需要が強くても企業間の優劣が分かれる局面となりました。(Reuters:08/19)
  • AIハードウェア株から利益確定売りが継続
    Seagate、Western Digital、Dell、Lam Research、Coherent、Lumentumなど、記憶装置、AIサーバー、半導体製造装置、光通信の関連株が5%を超えて下落しました。AIデータセンター需要が急減したというより、株価が先に上昇していた銘柄の保有比率を下げる動きです。一方、ServiceNowやSalesforceなどソフトウェア株は上昇しており、AI関連株から全面撤退するのではなく、利益や株価水準を基準に選別しています。(Reuters:08/19)
  • 米小売決算で消費者の選別姿勢が鮮明
    Targetは売上高とEPSが予想を上回り、Estée Lauderも中国需要と高級香水の販売回復によって強い利益見通しを示しました。一方、TJXは主力部門の既存店売上高が減速し、Lowe’sは高額な住宅改修需要の弱さから通期見通しを引き下げています。米国消費が全面的に悪化しているわけではありませんが、消費者は価格、必要性、ブランド価値を以前より厳しく選んでおり、小売企業の業績差が広がっています。(Reuters:08/19)
  • 米原油在庫が予想を大幅に上回る増加
    EIAが発表した米原油在庫は440.5万バレル増となり、市場予想の20.0万バレル増を大きく上回りました。ガソリン在庫も68.8万バレル増となり、120万バレル減の予想に反しています。中東情勢による供給不安が続く一方、米国内では原油とガソリンの在庫が増えており、極端な供給不足への不安を和らげました。WTI原油先物は一時85.84ドルまで上昇した後、84.20ドルへ戻しています。(EIA・Reuters:08/19)
  • 金とビットコインが同時に急上昇
    米財務省の国債買い戻し拡大によって米長期金利とドルが低下し、金先物は3.30%、ビットコインは約6%上昇しました。金には政府債務と地政学リスクへの防御資金が入り、ビットコインには流動性拡大を期待する資金と空売りの買い戻しが流入しています。AI株の売却資金がそのまま移ったとは断定できず、投資家が株式を保有しながら、金や暗号資産にも投資先を広げた動きと考える方が自然です。(Reuters:08/19)

経済指標発表予定

以下の経済指標が発表される予定です。

主要銘柄の決算発表予定

以下の主要銘柄の決算発表がなされる予定です。

おわりに

主要3指数は小幅高でしたが、市場の中ではAIハードウェア株が売られ、ヘルスケア、素材、一般消費材へ資金が移る大きな変化が起きました。AI需要がなくなったわけではなく、投資家が利益や株価水準を見ながら、投資先を広げているように感じます。

相場の主役は入れ替わりますが、長期投資では一時的な値動きだけで判断せず、企業の成長と市場全体の変化を見続けることが大切です。毎朝このブログを読んでくださる皆さまに感謝しています。

それでは、今日も一日、明るく元気に笑顔で過ごしましょう。

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おことわり

投資は自己責任にてお願いします。
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図表のレファレンス

  • S&P500ヒートマップ: finviz
  • 主要3指数とドル円:  Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
  • セクター別騰落率: finviz
  • 経済指標結果/予定: investing.com日本語版
  • 決算発表結果/予定: investing.com日本語版
  • 主要指数の動き : Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
  • 自分の米ドル建ポートフォリオ:  Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ

著者プロフィール

室井一夫(Kazuo Muroi)
Muroi Universal Research on Investment LLC 代表社員
一級建築士・建築1級施工管理技士・工学修士
Facebookグループ「米国株_投資の部屋」管理人(約4.7万人)

米国株式市場と経済動向に関する情報を毎日発信しています。


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