【20260729】米国株式市場 投資研究レポート

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室井のマーケット視点

7月29日の米国株式市場は、S&P500が-1.52%、Dow30が-2.19%、NASDAQが-1.74%となりました。WTI原油先物は+7.13%の84.91ドルへ急騰し、米10年国債利回りは4.622%へ上昇しました。恐怖指数と呼ばれるVIX指数も20.35まで上がり、投資家の警戒感が一段と強まっています。

最大の問題は、中東での戦争が原油高を通じて米国のインフレと金利に波及していることです。FRBは政策金利を据え置きましたが、原油価格が高止まりすれば物価が再び上昇し、利下げは難しくなります。高い金利は住宅や設備投資を抑えるだけでなく、将来の成長を先に織り込んでいるAI・半導体株の株価評価も引き下げます。

イラン情勢について、私は現在の動きを単純な国家間戦争として見るだけでは不十分だと考えています。外交による停戦を模索する政府側が存在する一方で、革命防衛隊や親イラン武装組織など、軍事行動を続ける勢力を十分に統率できていない可能性があります。ただし、外部からイラン国内の指揮命令系統を正確に確認することは難しく、これは現時点での私の仮説です。米国とイスラエルが最高指導者だったハメネイ師を戦争初期に殺害したことで、イラン側の意思決定が一つにまとまりにくくなった可能性もあります。交渉相手と軍事行動の実行主体が一致しなければ、政府間で停戦を話し合っても、別の勢力による攻撃で合意が崩れます。米国にとっても、誰と合意すれば戦闘全体を止められるのか判断しにくい状況です。この見方が正しければ、投資家は戦争が短期間で完全終結するという前提を置かない方がよいと思います。戦闘と停戦交渉が繰り返されるたびに、原油価格は大きく上下し、米金利、ドル円、株価も振り回されます。特にホルムズ海峡や周辺の輸送路が安定しなければ、原油価格には地政学的な上乗せ分が残り続けます。

とはいえ、この日の下落をAI需要の失速と見るのは早いでしょう。Micron、KLA、Applied Materials、AMDなどの半導体株だけでなく、Vertiv、Eaton、Arista Networks、Comfort Systems USAなど、電力、通信、冷却設備まで大きく売られました。しかし、企業によるAI導入、クラウド移行、データ処理量の増加が止まったわけではありません。Microsoftは市場予想を上回る決算を発表し、時間外取引で上昇しました。Lam Researchも通常取引では-7.04%でしたが、好決算を受けて時間外では+7.91%へ反発しています。一方、Metaは売上高が予想を上回っても、利益未達と巨額の設備投資を理由に売られました。市場はAI投資の規模ではなく、投じた資金をどれだけ早く売上、利益、現金収入へ変えられるかを見ています。

原油高と金利高が続く間は、AI関連の開発投資や企業による導入速度も鈍りやすくなります。それでも戦争が終結し、原油価格と金利が落ち着けば、AI、半導体、クラウド、データセンターへの需要は再び伸びると私は予想しています。AIによる生産性向上を必要とする企業側の事情は、中東情勢によって消えるものではありません。このような時期は、長期投資家にとって我慢の期間です。私はコロナショックで何日も株価が下がったときも、定期積立だけは止めませんでした。今回も定期積立を継続し、生活資金とは別に確保した余裕資金の範囲で、下落時に数回へ分けてスポット買いを行い、ETFの保有口数を増やす考えです。底値を正確に当てることはできません。そこで、一度に全額を投じるのではなく、時間を分散して買うことが重要です。戦争の長期化を覚悟しながらも、その先にある企業利益の回復とAI需要の拡大を見据え、市場から退場しないことが、長期投資では最も大切だと考えています。

投資は自己責任にてお願いします。

S&P500ヒートマップ

5%以上上昇したS&P500構成銘柄

  • GRMN:Garmin +16.23%
    Garminは市場予想を上回る決算と通期見通しの引き上げを発表し、この日のS&P500構成銘柄で最大の上昇となりました。腕時計型端末を中心とするフィットネス事業が大きく伸び、売上高だけでなく利益率も改善しています。航空、船舶、スポーツなど複数分野を持つ事業構成の強さが改めて評価されました。
  • GEHC:GE HealthCare Technologies +12.15%
    医療機器大手のGE HealthCareは、市場予想を上回る決算を発表して急伸しました。画像診断装置を中心に受注が前年同期比で増加し、病院による設備投資需要の底堅さが確認されています。中東情勢や物流費上昇の影響を受けながらも通期利益見通しを維持し、収益回復への信頼が高まりました。
  • CTSH:Cognizant Technology Solutions +11.25%
    Cognizantは決算内容と今後の業績見通しが評価され、大幅高となりました。企業によるAI導入、クラウド移行、業務効率化への需要が続いており、ITサービスへの支出が底堅く推移しています。半導体株からソフトウェアやITサービスへ資金が移る流れも重なり、同業のAccentureなどにも買いが広がりました。
  • SBAC:SBA Communications +6.49%
    携帯電話基地局を保有するSBA Communicationsは、通信インフラ株への買いを受けて上昇しました。同社は通信会社から基地局の賃料を受け取るため、比較的安定した収入が見込めます。株式市場の不安が強まる中で、半導体など値動きの大きい分野から、安定収益を持つ不動産・通信関連へ資金を移す動きが見られました。
  • INTU:Intuit +6.43%
    会計・税務ソフトを提供するIntuitは、企業向けソフトウェア株への資金回帰を受けて上昇しました。QuickBooksやTurboTaxなど継続課金型の事業を持ち、景気変動の影響を比較的受けにくい点が特徴です。AI機能の導入による作業自動化や顧客単価の上昇も期待され、半導体株から資金が移る受け皿となりました。
  • IT:Gartner +6.29%
    企業向け調査・助言サービスを手掛けるGartnerは、ITサービス株全体の反発に連れて上昇しました。企業がAIやクラウド投資を進めるほど、導入技術の選定や費用対効果を判断するための調査需要も増えます。一方、直近12カ月の利益成長率は低下しており、今回の上昇には下落後の買い戻しも含まれていると考えられます。
  • ADBE:Adobe +5.72%
    Adobeは企業向けソフトウェア株への資金移動を受けて上昇しました。生成AI機能「Firefly」を画像編集や文書作成ソフトへ組み込み、既存顧客から追加収入を得る戦略を進めています。半導体やAIサーバーの設備投資負担が警戒される一方、AIを既存サービスへ組み込んで収益化できる企業が見直されました。
  • DOW:Dow +5.55%
    化学大手のDowは、原油価格の急反発と素材株への買いを受けて上昇しました。景気減速や化学製品価格の低迷を背景に株価が下落していたため、割安感からの買い戻しも入ったと考えられます。ただし、利益成長率は低調であり、需要回復と原材料費上昇のどちらが業績へ強く作用するかを見極める必要があります。
  • DDOG:Datadog +5.31%
    クラウド監視サービスを提供するDatadogは、ソフトウェア株への資金回帰を受けて上昇しました。企業がクラウドやAIシステムを拡大すると、障害、処理速度、セキュリティを一元管理する需要も増加します。一方、PER(株価収益率)は高く、将来の成長を大きく織り込んだ株価であるため、今後は売上高と現金収入の伸びが重要になります。
  • WDAY:Workday +5.21%
    人事・会計クラウド大手のWorkdayは、企業向けソフトウェア株への買いが続く中で上昇しました。人事、給与、財務管理は企業活動に不可欠であり、契約が継続しやすい事業です。AIによる人材配置や経費管理の自動化も進めています。半導体からソフトウェアへ資金が移る流れが、株価の反発につながりました。
  • ACN:Accenture +5.17%
    Accentureは、企業のAI導入を支援するコンサルティング需要への期待から続伸しました。企業はAI技術を購入するだけでは業務へ活用できず、既存システムとの接続、データ整備、従業員教育まで必要になります。半導体など設備を供給する企業から、AIを実務へ導入して収益改善につなげる企業へ投資対象が広がっています。
  • APA:APA Corporation +5.07%
    石油・天然ガス開発会社のAPAは、WTI原油先物が急反発したことを受けて上昇しました。中東での軍事的緊張と原油輸送への不安が再び強まり、供給途絶への警戒から原油価格が上がっています。APAは原油価格の変動が利益へ直接反映されやすいため、総合石油会社よりも株価の反応が大きくなりました。

5%以上下落したS&P500構成銘柄

  • LII:Lennox International -20.97%
    空調設備大手のLennox Internationalは、この日のS&P500構成銘柄で最大の下落となりました。これまでデータセンター向け冷却需要や住宅用空調の成長期待から株価が上昇していた反動もあり、決算内容を受けて高まっていた期待が修正されました。
  • VRT:Vertiv Holdings -17.26%
    データセンター向け電源・冷却設備を手掛けるVertivは大幅安となりました。AIデータセンター需要そのものが消えたというより、急上昇していた株価に対して、利益率、受注の伸び、設備投資負担を厳しく確認する売りが広がったと見ています。
  • MAS:Masco -11.09%
    住宅設備・建材大手のMascoは急落しました。高い住宅ローン金利が続く中で、住宅の新築や改修需要の先行きに慎重な見方が残っています。住宅関連株では、売上高だけでなく値上げ効果や販売数量、利益率の維持が改めて問われています。
  • KLAC:KLA Corporation -10.80%
    半導体検査装置大手のKLAは大幅に下落しました。AI向け半導体需要への期待は続いていますが、半導体製造装置株には利益確定売りが集中しました。将来の設備投資拡大をすでに株価へ大きく織り込んでいた反動と考えられます。
  • MU:Micron Technology -10.07%
    メモリー大手のMicronは10%を超える下落となりました。HBM(AI向けの高速メモリー)の需要拡大と利益成長への期待から株価が急上昇していたため、半導体株全体の調整局面で利益確定売りが膨らみました。AI需要の失速を示す動きとは限りません。
  • SMCI:Super Micro Computer -9.67%
    AIサーバー大手のSuper Micro Computerは大幅安となりました。AIサーバー需要は強いものの、競争激化による利益率低下や、売掛金、在庫、設備投資負担への警戒が残っています。受注拡大と実際の現金収入を分けて確認する必要があります。
  • FLEX:Flex -9.02%
    電子機器受託製造大手のFlexは急落しました。データセンターや電力設備関連への成長期待から買われてきましたが、この日はAIインフラ関連株全体に売りが広がりました。高い成長期待に対して、今後の利益率を慎重に見る動きが強まりました。
  • COHR:Coherent -8.75%
    光通信部品大手のCoherentは大幅に下落しました。AIデータセンター内で高速通信を行うための光部品需要は拡大していますが、株価上昇が急だったことから利益確定売りが優勢となりました。AI投資の長期テーマと短期的な株価調整は分けて考えたいところです。
  • AMAT:Applied Materials -8.40%
    半導体製造装置大手のApplied Materialsは大きく売られました。AI半導体や先端メモリーへの設備投資期待は続いていますが、半導体関連株への資金集中が巻き戻されました。受注の強さだけでなく、中国向け売上や輸出規制の影響も確認が必要です。
  • BG:Bunge Global -8.17%
    穀物商社・食品加工大手のBunge Globalは大幅安となりました。農産物価格、加工マージン(原料を加工して得る利益)、世界の穀物需給などの影響を受けやすい企業です。景気や商品市況の変化を警戒し、素材関連株から資金を引き揚げる動きが見られました。
  • LITE:Lumentum Holdings -7.61%
    光通信部品を手掛けるLumentumは下落しました。AIデータセンター向け通信需要への期待から上昇していましたが、CoherentやCienaなど同じ光通信関連株にも売りが波及しています。成長期待が高い銘柄ほど、相場下落時の値幅も大きくなりました。
  • SNDK:Sandisk -7.32%
    フラッシュメモリー大手のSandiskは大幅安となりました。AIサーバーやデータセンターでは記憶装置需要の拡大が期待されますが、メモリー価格には市況循環があります。急速な業績改善を織り込んだ株価に対し、利益確定売りが強まりました。
  • FTV:Fortive -7.10%
    産業用計測機器大手のFortiveは下落しました。製造業や設備投資の動向に左右される企業であり、景気敏感株への警戒が株価に表れました。事業の安定性はあるものの、直近の利益成長率が低下している点も慎重に見られています。
  • NXPI:NXP Semiconductors -7.00%
    車載半導体大手のNXP Semiconductorsは大幅に下落しました。自動車や産業機器向け半導体の需要回復期待はありますが、AI向け半導体に比べて回復速度が遅い分野です。半導体株全体の売りに加え、自動車需要への慎重な見方も影響しました。
  • ANET:Arista Networks -6.92%
    高速ネットワーク機器大手のArista Networksは下落しました。AIデータセンターの通信網を担う主要企業ですが、高い成長を前提とした株価となっていました。クラウド大手による設備投資は続く一方、短期的には期待先行分を調整する売りが出ています。
  • CAT:Caterpillar -6.91%
    建設機械大手のCaterpillarは大きく売られました。データセンター建設やインフラ投資の恩恵が期待される一方、世界景気や資源開発投資の影響を強く受けます。原油高と金利上昇が続く中で、景気敏感株の利益確定売りが膨らみました。
  • ON:ON Semiconductor -6.55%
    車載・産業用半導体大手のON Semiconductorは下落しました。電気自動車や工場設備向け需要の回復には時間がかかっており、AI半導体ほど強い成長が確認できていません。半導体株全体の調整が、回復途上の銘柄にも広がりました。
  • FIX:Comfort Systems USA -6.54%
    空調・電気設備工事を手掛けるComfort Systems USAは下落しました。AIデータセンター建設の拡大で急成長してきましたが、株価には将来の受注増加が相当程度織り込まれています。需要の強さよりも、工事採算や人件費、受注残の収益性が問われる局面です。
  • HII:Huntington Ingalls Industries -6.50%
    造船・防衛大手のHuntington Ingalls Industriesは大幅安となりました。米国の国防支出拡大は長期的な成長要因ですが、大型艦船の建造では工程遅延、人件費上昇、資材費増加が利益率を圧迫します。受注額だけでなく採算管理への警戒が強まりました。
  • LRCX:Lam Research -6.40%
    半導体製造装置大手のLam Researchは下落しました。メモリー向け設備投資の回復やAI向け半導体需要は続いていますが、Micronなどメモリー関連株の急落とともに売られました。半導体設備投資の長期成長と短期的な株価変動を分けて見る必要があります。
  • MRVL:Marvell Technology -6.34%
    データセンター向け半導体を手掛けるMarvell Technologyは下落しました。通信処理半導体や独自設計チップへの期待は高いものの、PER(株価収益率)も高く、利益成長を先取りした株価です。AI関連銘柄の持ち高調整で売りが膨らみました。
  • ETN:Eaton -6.31%
    電力管理機器大手のEatonは大幅安となりました。AIデータセンターの電力需要拡大を代表する銘柄として上昇してきましたが、Vertivなど電力設備関連株とともに利益確定売りを受けました。長期需要は強くても、株価水準には注意が必要です。
  • PPG:PPG Industries -6.03%
    塗料・化学品大手のPPG Industriesは下落しました。自動車、建設、工業製品の需要に左右されるため、景気減速や原材料価格上昇への警戒を受けやすい企業です。原油価格の急騰は化学原料や輸送費を押し上げ、利益率低下につながる可能性があります。
  • HUM:Humana -5.99%
    医療保険大手のHumanaは下落しました。高齢者向け公的医療保険であるメディケア・アドバンテージを主力とし、医療費の増加や保険料率の変更が利益を左右します。医療サービス利用の増加が続く中で、保険金支払いの膨張が警戒されています。
  • CIEN:Ciena -5.75%
    通信ネットワーク機器大手のCienaは下落しました。AI処理に伴う通信量増加は長期的な成長要因ですが、この日は光通信関連株全体に利益確定売りが広がりました。売上高の増加だけでなく、部品調達や販売先の設備投資時期も業績を左右します。
  • MCHP:Microchip Technology -5.73%
    産業・自動車向け半導体大手のMicrochip Technologyは下落しました。顧客企業による在庫調整が続き、AI半導体とは異なる事業環境にあります。業績回復への期待はあるものの、実際の受注改善が確認できるまで慎重に見る投資家が多いようです。
  • DELL:Dell Technologies -5.73%
    Dell TechnologiesはAIサーバー関連株への売りを受けて下落しました。受注は拡大していても、GPUなど高額部品の比率が高いため売上高ほど利益が増えない可能性があります。AIサーバー需要の強さと、利益率や現金収入を分けて評価する必要があります。
  • CMI:Cummins -5.55%
    大型エンジン・発電設備大手のCumminsは下落しました。データセンター向け非常用発電機需要は成長分野ですが、トラック市場や景気循環の影響も受けます。原材料費と人件費の上昇が続く中で、利益率の維持を慎重に見る売りが出ました。
  • AMD:Advanced Micro Devices -5.51%
    半導体大手のAMDは下落しました。AI向けGPUの売上拡大期待は続いていますが、NVIDIAとの競争や高い株価評価に対する警戒があります。AI需要の失速ではなく、急上昇してきた半導体株から一部の資金がソフトウェアやディフェンシブ分野へ移ったと見ています。
  • JBL:Jabil -5.22%
    電子機器受託製造大手のJabilは下落しました。データセンター、通信機器、医療機器など幅広い分野へ部品を供給していますが、Flexなど同業銘柄とともに売られました。受注増加だけでなく、薄い利益率をどこまで改善できるかが今後の焦点です。
  • CARR:Carrier Global -5.13%
    空調設備大手のCarrier Globalは下落しました。データセンター冷却需要への期待はありますが、この日はLennoxやComfort Systems USAなど空調関連株がそろって売られました。住宅・商業施設需要に加え、買収後の負債や利益率も確認したいところです。
  • IBKR:Interactive Brokers Group -5.11%
    オンライン証券大手のInteractive Brokersは下落しました。取引量の増加や金利収入は業績にプラスですが、市場全体の急落を受けて金融株にも売りが広がりました。証券会社は市場変動の恩恵を受ける一方、顧客資産の減少や信用取引リスクにも注意が必要です。
  • GS:Goldman Sachs Group -5.09%
    投資銀行大手のGoldman Sachsは大幅安となりました。市場の不安定化は売買収益を増やす場合もありますが、株価下落や金利上昇は企業買収、株式公開、資金調達を鈍らせる可能性があります。景気敏感な金融株として利益確定売りを受けました。
  • INTC:Intel -5.08%
    Intelは半導体株全体の下落に連れて売られました。事業再建と製造受託事業の拡大を進めていますが、赤字部門や巨額の設備投資負担が残っています。AI半導体市場の成長だけでなく、製造技術の改善と現金収入の回復を確認する必要があります。

セクター別騰落率

市場全体では、原油価格の急騰を受けてエネルギー(Energy)だけが大きく上昇する一方、工業・産業(Industrials)、先端技術(Technology)、金融(Financial)など幅広い分野が下落しました。原油高による物価再上昇と米長期金利の高止まりが警戒され、景気敏感株や高PER(株価収益率が高い)銘柄から資金を減らす動きが強まりました。

  • エネルギー(Energy) +2.05%
    WTI原油先物が7%を超えて急騰したことで、石油・天然ガス関連企業へ買いが集まりました。中東情勢の緊迫化と米原油在庫の大幅減少が重なり、供給不足への警戒が強まっています。ただし、原油高はエネルギー企業の利益を押し上げる一方、物価や輸送費を通じて他業種の収益を圧迫するため、市場全体には複雑な影響を及ぼします。
  • 工業・産業(Industrials) -3.40%
    工業・産業は全セクター中で最大の下落となりました。Caterpillar、Eaton、Comfort Systems USA、Cumminsなど、設備投資や建設需要に関係する銘柄が大きく売られています。原油高による燃料費・資材費の上昇に加え、米長期金利の上昇が設備投資や景気の先行きへの警戒を強めました。AIデータセンター関連でも、需要より利益率や株価水準を重視する企業選別が進んでいます。
  • 先端技術(Technology) -2.49%
    Micron、KLA、Applied Materials、AMD、Lam Researchなど、半導体・製造装置株を中心に売りが広がりました。AI需要そのものが弱まったとは限りませんが、これまでの急上昇によって将来の成長を相当程度織り込んでいたため、利益確定売りが膨らみました。米10年国債利回りの上昇も、高PER銘柄の現在価値を低下させ、ソフトウェアより半導体・AIインフラ株の下げが目立ちました。
  • 金融(Financial) -1.74%
    Goldman SachsやInteractive Brokersなどを中心に金融株が下落しました。金利上昇は銀行の利ざや改善につながる場合がありますが、今回は原油高とFRBの政策不透明感によって、企業買収、株式公開、融資需要が鈍る可能性を市場が警戒しています。株価変動の拡大は売買収益にはプラスでも、景気減速や信用コスト増加への不安が金融セクター全体の売りにつながりました。
  • 公益事業(Utilities) -1.70%
    公益事業は安定収益を持つディフェンシブ分野ですが、米10年国債利回りが4.6%台へ上昇したことで売られました。国債利回りが高くなると、高配当を目的に保有される電力株の相対的な魅力が低下します。AIデータセンターによる電力需要拡大という長期テーマは続いていますが、多額の発電・送電投資や資金調達費用も増えるため、短期的には金利上昇の影響が強く表れました。
  • 素材(Basic Materials) -1.03%
    素材セクターは化学、塗料、農産物加工などを中心に下落しました。原油価格の急騰は石油由来の原材料費や輸送費を押し上げ、PPG Industriesなど加工企業の利益率を圧迫する可能性があります。また、世界景気の先行き不安から銅や化学製品の需要鈍化も警戒されました。資源価格上昇の恩恵を受ける企業と、原料高で費用が増える企業の差が広がっています。

主要3指数とドル円の動き

  • S&P500(7,316.15、前日比-1.52%)
    S&P500は幅広い業種に売りが広がり、安値圏で取引を終えました。半導体、AIデータセンター、電力設備、工業株など、これまで上昇をけん引してきた銘柄で利益確定売りが膨らみました。一方、Garminや一部のソフトウェア株は上昇しており、市場から資金が全面的に流出したというより、割高感の強い分野から安定収益を持つ企業へ資金が移った一日と見ています。
  • Dow30(51,594.14、前日比-2.19%)
    Dow30は主要3指数の中で最大の下落率となりました。Caterpillar、Goldman Sachs、空調設備、建材、工業製品など、景気や設備投資の影響を受けやすい大型株が売られています。原油価格の急上昇はエネルギー企業には有利ですが、製造業や運輸、消費関連企業にはコスト増加要因です。Dow30の下落は、景気後退を全面的に織り込んだというより、企業利益への影響を早めに調整した動きと考えます。
  • NASDAQ(24,442.94、前日比-1.74%)
    NASDAQは半導体とAIインフラ関連株を中心に下落しました。Micron、KLA、Applied Materials、AMD、Lam Researchに加え、VertivやArista Networksなどデータセンター関連にも売りが広がっています。ただし、AI需要そのものが急に弱まったわけではありません。将来の売上拡大だけでなく、利益率、設備投資負担、現金収入、現在の株価水準まで厳しく評価する企業選別が進んだと見ています。
  • ドル円(163.5230円、前日比-0.18%)
    ドル円は163.7880円で始まり、一時163.9040円まで上昇しましたが、その後は円買いが優勢となり163.5230円で終えました。米国株が大幅に下落し、恐怖指数と呼ばれるVIX指数も上昇したため、投資家がリスクを減らす過程で円を買い戻した可能性があります。ただし、日米の金利差は依然として大きく、円高方向への動きは限定的でした。円建てで米国株を保有する投資家には、株安と円高が同時に進むと評価額が二重に下がりやすい点に注意が必要です。

原油先物・米10年国債利回り・VIX・金先物の動き

  • WTI原油先物(84.91ドル、前日比+7.13%)
    WTI原油先物は急騰し、一時85.57ドルまで上昇しました。中東情勢への警戒が再び強まり、原油供給が滞る可能性を織り込む買いが増えています。原油高はエネルギー株には有利ですが、輸送、旅行、小売、製造業には燃料費や原材料費の増加につながります。インフレ再燃への不安も強まり、株式市場全体には厳しい動きとなりました。
  • 米10年国債利回り(4.622%、前日比+0.39%)
    米10年国債利回りは4.622%へ上昇しました。原油価格の急騰によってインフレが再び強まる可能性が警戒され、FRBの利下げ余地が小さくなるとの見方が債券売りにつながったと考えられます。長期金利の上昇は、将来利益の現在価値を低下させるため、高PER(株価収益率が高い)銘柄やAI・半導体株が売られやすい環境です。
  • VIX指数(20.35、前日比+11.70%)
    恐怖指数と呼ばれるVIX指数は20.35まで上昇し、投資家の警戒感が明確に強まりました。一般に20を超えると、市場が平常時より不安定になっている目安とされます。主要3指数がそろって大幅に下落し、AI、半導体、工業、金融など幅広い銘柄で売りが膨らみました。ただし、パニック水準ではなく、持ち高を減らす調整局面と見ています。
  • 金先物(4,105.60ドル、前日比+0.17%)
    金先物は小幅に上昇しました。一時4,176.80ドルまで買われましたが、米10年国債利回りの上昇を受けて上げ幅を縮小しています。地政学リスクや株安は安全資産である金への需要を増やす一方、金利上昇は利息を生まない金の相対的な魅力を低下させます。両方の要因がぶつかり、終値では小幅高にとどまりました。

私の米国株ポートフォリオ +0.32%(前日比)

私の米国株ポートフォリオは+0.32%となりました。S&P500連動資産では、iシェアーズ S&P500 米国株 ETFが+0.52%、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)が+0.13%、MAXIS 米国株式(S&P500)上場投信が+0.43%となり、全体を押し上げました。一方、iFreeETF FANG+は-0.12%、MAXIS ナスダック100上場投信は-0.25%でした。前日の米国市場ではAI、半導体、データセンター関連株が大きく下落しましたが、日本市場で取引されるETFには時差や為替の影響もあるため、米国指数の下落率がそのまま反映されたわけではありません。

S&P500型とNASDAQ型を組み合わせていることで、成長株が弱い日でも値動きがある程度分散されました。GX超短期米国債は-0.09%と小幅安でしたが、株式より値動きが小さく、相場が荒れたときの緩衝材として保有しています。日々の上下には一喜一憂せず、ETF中心の分散投資を続けます。

経済指標発表結果

  • 政策金利(3.75%、予想3.75%、前回3.75%)
    FRBは政策金利を3.75%に据え置き、市場予想と一致しました。利下げを急がず、インフレと景気の両方を確認する姿勢が続いています。原油価格が急上昇する中で早期利下げへの期待は後退し、米10年国債利回りは上昇しました。高金利に弱いAI・半導体株には売りが広がり、主要3指数の下落につながりました。
  • FOMC声明
    FOMC声明では、今後の政策判断を経済指標に基づいて行う従来の方針が維持されました。市場は金利据え置き自体よりも、インフレ再加速に対するFRBの警戒度を重視しています。原油高が物価上昇へ波及すれば、利下げ時期がさらに遅れる可能性があります。長期投資家としては、1回の会合よりも今後の物価と雇用の変化を確認することが重要です。
  • 米原油在庫(前週比-716.7万バレル、予想+70.0万バレル、前回+201.0万バレル)
    原油在庫は市場予想の増加に反して716.7万バレルの大幅減少となりました。需要の強さ、または供給の引き締まりを示す結果として受け止められ、WTI原油先物は7%を超えて急騰しました。原油高はエネルギー企業の利益にはプラスですが、輸送費、製造費、生活コストを押し上げます。株式市場ではインフレ再燃と企業利益圧迫への警戒が強まりました。
  • EIA週間留出油在庫(前週比+106.2万バレル、予想+20.0万バレル、前回+139.5万バレル)
    軽油や暖房油を含む留出油在庫は106.2万バレル増加し、市場予想を上回りました。原油在庫が大幅に減少した一方、精製後の製品在庫は増えており、エネルギー市場の需給は一方向ではありません。ただし、この日は原油在庫の急減の影響が強く、留出油在庫の増加だけでは原油価格の上昇を抑えられませんでした。
  • ガソリン在庫(前週比+0.7万バレル、予想+70.0万バレル、前回+76.5万バレル)
    ガソリン在庫はほぼ横ばいで、市場予想ほど増加しませんでした。夏のドライブ需要が続く中で在庫が積み上がらなかったことは、ガソリン需要の底堅さを示しています。消費が強いことは景気にはプラスですが、燃料価格の上昇が家計を圧迫すると、小売や旅行、一般消費材(Consumer Cyclical)の利益に影響する可能性があります。
  • MBA住宅ローン申請件数(前週比-6.4%、前回+1.9%)
    住宅ローン申請件数は前週比6.4%減少しました。30年固定住宅ローン金利は6.76%と前回の6.69%から上昇しており、住宅購入と借り換えの双方に負担が増しています。高金利の長期化は住宅販売、建材、家具、住宅設備など幅広い業種へ波及します。この日のMascoや住宅・空調関連株の下落とも整合する結果です。
  • MBA購入指数(159.8、前回165.8)
    住宅購入向けローン申請を示す購入指数は159.8へ低下しました。住宅価格の高さに加えてローン金利も上昇しており、購入希望者の負担は依然として大きい状態です。米国経済全体がすぐに景気後退へ向かう内容ではありませんが、住宅市場では高金利の影響が明確に表れています。住宅関連企業の業績を見る際は、販売数量と値引きの動向が重要です。
  • モーゲージ市場指数(247.2、前回264.0)
    住宅ローン申請全体を示すモーゲージ市場指数は247.2へ低下しました。購入指数と借り換え指数がともに悪化しており、住宅金融市場の活動が鈍っています。FRBが政策金利を据え置き、長期金利も高水準にあるため、住宅市場の早期回復は見込みにくい状況です。高金利が家計と企業活動へ及ぼす影響を確認できる指標となりました。

主要銘柄の決算発表結果

  • MSFT:Microsoft Corporation(先端技術(Technology))
    Microsoftは1株利益が4.74ドルとなり、市場予想の4.24ドルを上回りました。売上高も900.1億ドルと予想の876.1億ドルを超えています。通常取引では-0.71%でしたが、決算発表後の時間外取引では+2.16%へ反発しました。AIとクラウドへの大型投資を続けながら、利益を着実に増やした点が評価されたと考えます。
  • META:Meta Platforms, Inc.(通信サービス(Communication Services))
    Metaの1株利益は6.18ドルとなり、市場予想の7.17ドルを下回りました。一方、売上高は608億ドルと予想の601.9億ドルを上回っています。通常取引で-1.31%、時間外取引では-5.56%となりました。売上成長だけでは市場の高い期待を満たせず、AI関連の設備投資や費用増加が利益へ与える影響を慎重に見る動きが強まりました。
  • PG:Procter & Gamble Company(生活必需品(Consumer Defensive))
    P&Gは1株利益が1.43ドルとなり、市場予想の1.42ドルをわずかに上回りました。一方、売上高は212億ドルと予想の214.2億ドルを下回っています。株価は-1.87%でした。値上げによる利益確保は続いているものの、販売数量や消費者需要の伸びに力強さを欠く内容であり、安定成長企業にも売上拡大を求める市場の厳しさが表れました。
  • LRCX:Lam Research Corporation(先端技術(Technology))
    Lam Researchは1株利益が1.82ドルとなり、予想の1.68ドルを上回りました。売上高も67.2億ドルと予想の66.5億ドルを超えています。通常取引では半導体株全体の下落を受けて-7.04%でしたが、時間外取引では+7.91%と急反発しました。メモリーやAI向け半導体への設備投資が、実際の業績へ反映されていることが確認されました。
  • ARM:Arm Holdings plc(先端技術(Technology))
    Armは1株利益が0.45ドルとなり、市場予想の0.37ドルを上回りました。売上高も12.9億ドルと予想の9.90億ドルを大きく超えています。ただし、通常取引で-8.11%、時間外取引でも-1.17%となりました。決算数値は強かったものの、AIやデータセンター向け成長をすでに株価へ大きく織り込んでおり、期待値の高さが株価反応を抑えました。
  • APH:Amphenol Corporation(先端技術(Technology))
    Amphenolは1株利益が1.35ドルとなり、市場予想の1.16ドルを上回りました。売上高も88億ドルと予想の81.9億ドルを大きく超え、株価は+4.53%となりました。AIデータセンター、自動車、防衛、通信機器で使われるコネクターや配線部品の需要が業績へ結び付いています。AI投資の恩恵が半導体だけでなく、周辺部品へ広がっていることを示す決算です。
  • QCOM:QUALCOMM Incorporated(先端技術(Technology))
    添付図では、Qualcommの1株利益と売上高の発表値がまだ表示されていません。通常取引では-4.49%、時間外取引でも-3.51%となりました。スマートフォン向け半導体の回復に加え、AI対応端末、自動車、データセンター分野への事業拡大が注目されていますが、決算数値が確認できない段階では、時間外の下落理由を断定しない方がよいと考えます。
  • SBUX:Starbucks Corporation(一般消費材(Consumer Cyclical))
    添付図では、Starbucksの1株利益と売上高の発表値は表示されていません。一方、通常取引では+1.09%、時間外取引では+8.79%と大幅に上昇しました。市場は既存店売上、来店客数、値上げ効果、店舗運営の改善などに前向きな内容があった可能性を織り込んでいます。ただし、具体的な決算数値がないため、回復の持続性は今後の資料で確認する必要があります。
  • FTNT:Fortinet, Inc.(先端技術(Technology))
    Fortinetは1株利益が0.90ドルとなり、市場予想の0.74ドルを上回りました。売上高も20.5億ドルと予想の18.9億ドルを超えています。通常取引で+1.95%、時間外取引では+8.88%と上昇しました。AIやクラウドの利用が広がるほどサイバー攻撃対策の重要性も高まるため、企業のセキュリティ投資が堅調に続いていることを示す決算となりました。
  • ADP:Automatic Data Processing, Inc.(工業・産業(Industrials))
    ADPは1株利益が2.64ドルとなり、市場予想の2.59ドルを上回りました。売上高も54.8億ドルと予想の54.4億ドルをわずかに超え、株価は+3.51%となりました。給与計算や人事管理は景気が減速しても企業が継続して利用するサービスです。相場全体が大きく下落する中で、継続課金による安定した収入と堅実な利益成長が評価されました。
  • GD:General Dynamics Corporation(工業・産業(Industrials))
    General Dynamicsは1株利益が4.24ドルとなり、市場予想の3.93ドルを上回りました。売上高も141億ドルと予想の134.7億ドルを超えています。それでも通常取引では-3.11%、時間外取引でも-0.25%となりました。防衛需要や受注は強いものの、人件費、資材費、大型案件の採算などに対する市場の評価が厳しく、好決算だけでは株価が上がらない展開でした。

 

主な経済ニュース

  • FRBが政策金利を据え置くも3人が利上げを主張
    FRBは政策金利を3.50~3.75%に据え置きました。ただし、FOMC(米連邦公開市場委員会)の3人が0.25%の利上げを主張しました。原油高による物価再上昇への警戒がFRB内部で強まっていることを示します。市場では9月利上げの可能性も考え始め、米10年国債利回りが上昇しました。高金利の影響を受けやすいAI・半導体株を中心に売りが広がり、主要3指数はそろって大幅安となりました。(Reuters:07/29)
  • イランによる米軍攻撃で中東情勢が再び緊迫
    イランがヨルダンの米軍拠点を攻撃し、米国側も報復する姿勢を示したことで、数日間続いた攻撃の空白が終わりました。戦闘拡大により原油生産施設や輸送路が影響を受ける可能性が再び高まり、株式市場ではリスクを減らす売りが優勢となりました。中東情勢は原油価格だけでなく、物価、金利、企業の輸送費を通じて米国株全体に影響するため、今後も重要な市場変動要因です。(WSJ:07/29)
  • 原油在庫の急減と中東情勢でWTI原油が7%超上昇
    米国の原油在庫は前週比716.7万バレル減少し、市場予想の70万バレル増加と正反対の結果となりました。中東での戦闘再開と在庫急減が重なり、WTI原油先物は84.91ドルへ7.13%上昇しました。エネルギー株には収益改善要因ですが、航空、物流、小売、化学、製造業にはコスト増加となります。原油高が長引けば、FRBが利上げを検討する可能性も高まり、株式市場には厳しい環境が続きます。(Reuters:07/29)
  • AI・半導体株の売りがデータセンター関連へ拡大
    Micron、KLA、Applied Materials、AMDなどの半導体株に加え、Vertiv、Arista Networks、Eaton、Comfort Systems USAなど、電力・通信・冷却設備を手掛ける企業も大幅に下落しました。AI需要そのものが消えたわけではありません。投資家の関心が受注や設備投資計画から、利益率、現金収入、投資回収まで移っています。AI関連であっても、期待を大きく織り込んだ銘柄ほど厳しく売られる相場となりました。(Reuters:07/29)
  • MicrosoftはAzureの高成長を示し時間外で上昇
    Microsoftは1株利益4.74ドル、売上高900.1億ドルとなり、いずれも市場予想を上回りました。Azureの売上高は前年同期比43%増加し、予想の約40%を超えました。Azureの年間売上高は初めて1000億ドルを突破し、Microsoft 365 Copilotの有料利用者も3000万席を超えています。時間外取引では約2~3%上昇し、AI向け設備投資がクラウド収入へ結び付き始めていることを示しました。(Reuters:07/29)
  • Metaは利益未達と巨額AI投資で時間外に下落
    Metaは売上高608億ドルと市場予想を上回りましたが、1株利益は6.18ドルと予想の7.17ドルを下回りました。2026年の設備投資見通しを1300億~1450億ドルへ修正し、下限を従来の1250億ドルから引き上げています。広告事業は成長しているものの、データセンターやAI計算設備への支出が利益と現金収入を圧迫する懸念から、株価は時間外取引で約5%下落しました。(Reuters・WSJ:07/29)
  • MicrosoftとMetaで分かれたAI投資への市場評価
    Microsoftはクラウド売上の伸びによってAI投資の成果を具体的に示した一方、Metaは売上高が伸びても利益未達と設備投資増加を嫌われました。市場は「AIへ多額の資金を使っているか」ではなく、「投資した資金をどれだけ早く収入と利益へ変えられるか」を見ています。今後のAI相場では、データセンター建設量だけでなく、稼働率、料金収入、減価償却費(設備費を複数年に分けて費用計上すること)の確認が重要です。(Reuters:07/29)
  • 韓国半導体株の急落が世界のAI関連株へ波及
    SK Hynixは四半期利益が大幅に増えたにもかかわらず、市場の高い期待に届かず急落しました。韓国KOSPIも大幅安となり、米国市場のメモリー、半導体製造装置、光通信関連株へ売りが波及しています。好決算でも株価が下がるのは、業績が悪いからではなく、株価がさらに良い結果を先に織り込んでいたためです。AI関連株は成長率だけでなく、現在の株価水準との比較が欠かせない局面に入りました。(Reuters:07/29)
  • VIX指数が20を超え投資家の警戒感が上昇
    恐怖指数と呼ばれるVIX指数は20.35へ11.70%上昇しました。一般に20を超えると、平常時より株価変動が大きくなりやすい状態とされます。ただし、金融危機やコロナショック時のような極端な水準ではありません。原油急騰、FRB内の利上げ論、AI関連株の調整が同時に起きたため、投資家が保有株を減らしたと考えられます。全面的なパニックというより、割高銘柄から資金を移す調整局面です。(Reuters:07/29)
  • 市場の焦点はAI投資額から投資回収へ移行
    大手クラウド企業によるAI設備投資は今後も拡大する見通しですが、投資家は将来への期待だけでは納得しなくなっています。データセンターにはGPUだけでなく、受変電設備、非常用電源、通信網、空調、水冷設備まで巨額の費用が必要です。私が建設現場で見てきた経験からも、需要の強さと採算の良さは別問題です。今後は売上高よりも利益率、現金収入、借入費用を含めて企業を選別する流れが続くと見ています。(Reuters:07/29)

経済指標発表予定

以下の経済指標が発表される予定です。

主要銘柄の決算発表予定

以下の主要銘柄の決算発表がなされる予定です。

おわりに

7月29日の米国株式市場は、原油高、米長期金利の上昇、AI・半導体株の利益確定売りが重なり、主要3指数がそろって大きく下落しました。ただし、AI需要そのものが弱まったのではなく、将来期待だけで上昇してきた銘柄について、利益率、現金収入、設備投資負担まで厳しく確認する局面に入ったと感じています。

長期投資では、こうした下落日に慌てて売買するより、市場の中で資金がどこへ移っているのかを冷静に見ることが大切です。私自身も、日々の値動きに一喜一憂せず、ETFを中心とした分散投資を続けていきます。

毎朝ブログをご覧いただき、ありがとうございます。これからも個人運営で市場の動きを整理していきます。

それでは、今日も一日、明るく元気に笑顔で過ごしましょう。

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おことわり

投資は自己責任にてお願いします。
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図表のレファレンス

  • S&P500ヒートマップ: finviz
  • 主要3指数とドル円:  Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
  • セクター別騰落率: finviz
  • 経済指標結果/予定: investing.com日本語版
  • 決算発表結果/予定: investing.com日本語版
  • 主要指数の動き : Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
  • 自分の米ドル建ポートフォリオ:  Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ

著者プロフィール

室井一夫(Kazuo Muroi)
Muroi Universal Research on Investment LLC 代表社員
一級建築士・建築1級施工管理技士・工学修士
Facebookグループ「米国株_投資の部屋」管理人(約4.7万人)

米国株式市場と経済動向に関する情報を毎日発信しています。


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