室井のマーケット視点
7月28日の米国株式市場は、S&P500が+0.21%、Dow30が+1.03%、NASDAQが-0.22%となりました。WTI原油先物は-4.16%、米10年国債利回りは4.604%へ低下しましたが、半導体やAIインフラ関連株には大きな売りが出ています。とはいえ、米国株市場全体から資金が流出したわけではありません。生活必需品(Consumer Defensive)は+2.19%、ヘルスケア(Healthcare)は+2.00%、通信サービス(Communication Services)は+1.64%となり、半導体やメモリーから、利益や現金収入の安定した企業へ資金が移りました。Dow30が大きく上昇し、恐怖指数と呼ばれるVIX指数が18.21へ低下したことからも、全面的なリスク回避ではなく、保有分野を入れ替える動きだったと見ています。
先端技術(Technology)では、SanDisk、Micron、AMD、Applied Materialsなどが急落しました。一方、Microsoft、Alphabet、IBM、Workday、Accentureなどは上昇しています。これはAI需要が失速したというより、企業のIT予算が半導体やサーバーなどのハードウェアだけでなく、AIを実際の業務へ導入するソフトウェア、クラウド、広告、コンサルティングへ広がっているためだと思います。ただし、AIデータセンター関連では評価が厳しくなっています。GPU、メモリー、光通信、電力、冷却設備、建設工事まで巨額の投資が必要ですが、市場は売上の伸びだけでなく、利益率、資金調達費用、現金収入まで確認するようになりました。私は電力、通信、水冷、バックアップ設備への需要は長く続くと考えています。ただ、需要が増える企業と、株価が上昇する企業は必ずしも同じではありません。
決算でも企業選別が鮮明でした。KLAは利益と売上高が予想を上回ったにもかかわらず時間外で-8.52%、Corningも好決算ながら通常取引で-12.09%となりました。一方、Teradyneは時間外で+14.22%、Seagateは+6.78%へ反発しています。現在の相場では「予想を上回ったか」だけでなく、受注見通し、利益率、株価にどこまで期待が織り込まれているかが重要です。
原油価格の急落も市場の資金移動に影響しました。米国とイランの攻撃が数日間止まり、米国原油在庫も予想に反して増加したことで、WTI原油先物は79ドル台まで下落しました。これはエネルギー株には厳しい一方、旅行、物流、小売、化学などには燃料費や輸送費の低下につながります。ただし、ホルムズ海峡の通航問題は解決しておらず、中東情勢が再び悪化すれば原油価格が反発する可能性は残ります。
消費者信頼感指数は90.8と予想を下回り、アトランタ連銀GDPNowも+1.5%へ低下しました。米国経済は成長を続けていますが、消費やサービス業には減速の兆しもあります。一方、住宅価格は前年比+2.2%と上昇しており、FRBにとっては利下げを急ぎにくい材料も残っています。原油安と景気減速は金利低下につながりやすいものの、米10年国債利回りは依然として4.6%台です。
私の米国株ポートフォリオは-1.12%となり、NASDAQ100やFANG+連動資産の下落が大きく表れました。ETF中心の分散投資でも、特定分野へ資金が集中した相場では値下がりを避けられません。ただ、こうした日に慌てて保有商品を入れ替えるより、市場のお金がどこからどこへ移ったのかを確認する方が大切だと思っています。
AIの長期的な成長を否定する一日ではないと思っています。将来への期待だけでなく、現在の利益、現金収入、設備投資負担、株価水準によって企業を選ぶ相場へ変化していると見ています。私は指数の日々の上下よりも、この資金移動と企業選別の進み方を引き続き見ていきます。
投資は自己責任にてお願いします。
S&P500ヒートマップ
5%以上上昇したS&P500構成銘柄
- IQV:IQVIA Holdings +13.94%
医薬品開発支援や医療データ分析を手掛けるIQVIAは、この日のS&P500構成銘柄で最大の上昇となりました。製薬会社の研究開発需要に加え、臨床試験の効率化や医療データへのAI活用が成長につながるとの評価から、買いが集中しました。 - INCY:Incyte Corporation +9.30%
がんや免疫疾患向け治療薬を開発するIncyteは大幅高となりました。ヘルスケア株全体が堅調に推移する中、医薬品候補の開発進展と将来の収益拡大への期待から買われました。半導体株から医薬品株への資金移動も表れています。 - SHW:Sherwin-Williams +8.25%
塗料大手のSherwin-Williamsは、住宅改修や建設向け需要への期待から大きく上昇しました。原材料費や輸送費の低下は利益率の改善につながりやすく、原油価格の急落を受けて、製造コストの負担が軽くなる企業として買われました。 - WDAY:Workday +8.24%
人事・会計クラウドを提供するWorkdayは、ソフトウェア株への資金回帰を受けて上昇しました。企業のIT予算がAIを組み込んだ業務効率化サービスへ向かう中、継続課金型の安定した収益構造とAI機能による成長余地が再評価されました。 - ZBRA:Zebra Technologies +7.49%
バーコード端末や物流管理機器を手掛けるZebra Technologiesは、企業の自動化投資への期待から上昇しました。物流、倉庫、小売現場でデータを即時に収集する需要が増えており、AIの普及を現場側で支える企業として買われています。 - HCA:HCA Healthcare +7.33%
病院運営大手のHCA Healthcareは、医療需要の底堅さと収益力への評価から大幅高となりました。景気変動の影響を比較的受けにくい事業であり、半導体やエネルギー株が売られる中、安定した利益を生むヘルスケア企業へ資金が移りました。 - CRL:Charles River Laboratories International +7.19%
新薬開発の試験や研究支援を行うCharles River Laboratoriesは、バイオ医薬品の研究開発需要回復への期待から上昇しました。IQVIAやIncyteも大きく買われており、医薬品開発に関係する企業へ幅広く資金が向かった一日でした。 - NUE:Nucor Corporation +7.17%
鉄鋼大手のNucorは、米国内の建設や設備投資への期待から大幅高となりました。データセンター、工場、送電網などの整備には大量の鋼材が必要です。AI投資の恩恵が半導体から建設資材へ広がるとの見方も買いにつながりました。 - SOLV:Solventum Corporation +7.08%
医療機器や医療用品を提供するSolventumは、ヘルスケア株への資金流入を受けて上昇しました。日常的に使われる医療製品を幅広く扱い、景気に左右されにくい収益構造を持つため、値動きの大きい半導体株からの資金移動先となりました。 - CTSH:Cognizant Technology Solutions +6.93%
ITサービス大手のCognizantは、企業によるAI導入支援や業務システム更新への期待から買われました。AI関連の投資対象が半導体から、企業の現場へ技術を導入するコンサルティングやシステム開発企業へ広がっています。 - ACN:Accenture +6.88%
コンサルティング大手のAccentureは、企業のAI導入や業務改革を支援する需要への期待から上昇しました。AIは機器を購入するだけでは活用できず、データ整理や業務手順の見直しが必要です。実際の導入を担う企業への評価が高まりました。 - FDS:FactSet Research Systems +6.76%
金融情報サービスを提供するFactSetは、安定した継続課金収入とAIを活用したデータ分析への期待から上昇しました。金融機関では大量の市場データを迅速に処理する必要があり、情報端末や分析サービスの重要性が一段と高まっています。 - GDDY:GoDaddy +6.75%
ウェブサイト作成やドメイン管理を提供するGoDaddyは、中小企業向けデジタルサービスの成長期待から上昇しました。AIを使ったホームページ作成や顧客対応の自動化によって、利用者の利便性と同社の利益率が改善する可能性が評価されました。 - BKNG:Booking Holdings +6.70%
オンライン旅行予約大手のBooking Holdingsは、旅行需要の底堅さを背景に大幅高となりました。原油価格の下落は航空運賃や移動コストの上昇を抑える方向に働きます。消費者が商品より旅行や体験を優先する傾向も続いています。 - HPQ:HP Inc. +6.55%
パソコン大手のHPは、企業向けパソコンの更新需要とAI対応端末への期待から上昇しました。AI処理の一部を端末側で行うAIパソコンの普及が進めば、買い替え周期の長期化に悩んできたパソコン市場の回復につながる可能性があります。 - CHTR:Charter Communications +6.35%
ケーブル通信大手のCharter Communicationsは、通信サービス株への買い戻しを受けて上昇しました。高速インターネットは動画配信やクラウド、在宅勤務を支える基盤です。通信網への継続投資と安定した利用料収入が評価されました。 - DECK:Deckers Outdoor +6.33%
HOKAやUGGを展開するDeckers Outdoorは、ブランド力と消費需要への期待から上昇しました。米国では消費者の選別が進んでいますが、人気商品を持つ企業は価格競争を避けやすく、高い利益率を維持できる点が評価されています。 - HAS:Hasbro +6.32%
玩具・娯楽大手のHasbroは、知的財産を活用したゲームや映像関連事業への期待から買われました。玩具販売だけでなく、人気キャラクターをデジタルゲームや映像へ展開できるため、継続的な使用料収入を生む企業として評価されました。 - EXPE:Expedia Group +6.26%
オンライン旅行予約大手のExpediaは、Booking Holdingsとともに大きく上昇しました。雇用環境が底堅い中、旅行や宿泊への支出は維持されています。原油安による交通費低下への期待もあり、旅行関連株全体へ買いが広がりました。 - ERIE:Erie Indemnity +6.21%
保険業務の管理サービスを行うErie Indemnityは、金融株の中で大きく上昇しました。保険料収入は景気変動の影響を受けにくく、継続的に積み上がる特徴があります。半導体株の変動が大きくなる中、安定収益を持つ企業が選ばれました。 - CMCSA:Comcast Corporation +6.10%
通信・メディア大手のComcastは、通信サービス株への資金流入を受けて上昇しました。高速インターネットの安定収入に加え、動画配信、映画、テーマパークなど複数の事業を持つため、収益源の分散が評価されたと考えられます。 - DASH:DoorDash +6.05%
料理宅配サービス大手のDoorDashは、原油価格の下落による配送コスト軽減への期待から上昇しました。配達員や加盟店の効率化をAIで進める余地も大きく、注文量の増加だけでなく、1件当たりの収益改善への期待も買いにつながりました。 - RCL:Royal Caribbean Group +5.72%
クルーズ大手のRoyal Caribbeanは、旅行需要の強さと船内消費の拡大への期待から上昇しました。原油安は燃料費の負担を減らす方向に働きます。高金利が続く中でも、消費者が旅行や体験への支出を優先していることがうかがえます。 - IT:Gartner +5.69%
IT調査・助言サービスを提供するGartnerは、企業がAI投資の判断材料を求める動きから買われました。技術の変化が速いほど、経営者は製品比較や投資効果を客観的に評価する必要があり、専門情報や調査サービスへの需要が高まります。 - PNR:Pentair +5.68%
水処理設備大手のPentairは、住宅、工業施設、データセンター向け水管理需要への期待から上昇しました。AIデータセンターでは空冷だけでなく水冷設備の採用が進んでおり、半導体以外の冷却・水処理関連企業にも投資対象が広がっています。 - BRO:Brown & Brown +5.67%
保険仲介大手のBrown & Brownは、安定した手数料収入への評価から上昇しました。自然災害や医療費、建設費の上昇で保険料が高くなる中、保険契約を仲介する企業は取扱額の拡大による収益増加が期待できます。 - TYL:Tyler Technologies +5.53%
自治体向け業務ソフトウェアを提供するTyler Technologiesは、公共部門のデジタル化需要への期待から上昇しました。行政システムは一度導入されると長く利用されやすく、継続課金収入の安定性があります。ソフトウェア株への資金回帰も見られました。 - EFX:Equifax +5.48%
信用情報大手のEquifaxは、金融機関や企業による信用調査需要への期待から上昇しました。住宅ローンや自動車ローンだけでなく、雇用確認や本人認証にもデータが使われます。保有データを活用した継続的な収益力が評価されました。 - STE:STERIS +5.47%
医療機器の滅菌サービスを提供するSTERISは、ヘルスケア株への資金流入を受けて上昇しました。病院や製薬会社では衛生管理が不可欠で、景気が減速しても需要が急減しにくい事業です。安定した医療関連企業を選ぶ動きが強まりました。 - IBM:International Business Machines +5.21%
IBMは、企業向けAI、クラウド、ソフトウェアへの期待から上昇しました。半導体株が下落する一方、既存の顧客基盤を使ってAIを実際の業務へ導入できる企業が買われています。安定収益とAI成長の両方を持つ点が評価されました。 - ADSK:Autodesk +5.08%
設計ソフトウェア大手のAutodeskは、建築、製造、土木分野のデジタル化とAI活用への期待から上昇しました。BIM(建物情報を一元管理する仕組み)や3次元設計は、設計だけでなく施工や維持管理までデータを共有する基盤となります。
5%以上下落したS&P500構成銘柄
- SNDK:SanDisk -14.25%
メモリー関連株への売りが広がる中で、この日のS&P500構成銘柄で最大の下落となりました。AI向け需要への期待は続いていますが、株価上昇後の利益確定に加え、メモリー価格や設備投資負担への警戒から売りが集中しました。 - GLW:Corning -12.10%
光ファイバーや特殊ガラスを手掛けるCorningは大幅安となりました。AIデータセンター向け通信需要への期待から上昇してきましたが、半導体や光通信関連株全体に利益確定売りが広がり、これまでの上昇分を縮小しました。 - COHR:Coherent -10.31%
光通信部品を製造するCoherentは、AIデータセンター関連株の調整を受けて急落しました。高速通信需要という長期テーマは変わりませんが、PER(株価収益率)が高い銘柄には、相場の流れが変わると売りが集中しやすい状況です。 - CARR:Carrier Global -8.90%
空調設備大手のCarrier Globalは大幅に下落しました。データセンター向け冷却需要への期待はありますが、建設コストや設備投資の減速懸念に加え、これまでの株価上昇に対する利益確定売りが強まりました。 - MU:Micron Technology -8.85%
メモリー大手のMicron Technologyは、AI関連半導体株への売りに押されました。HBM(AI向け高速メモリー)の需要は強いものの、市場の期待値が高く、今後の供給増加や利益率の伸びが期待ほど続くかを慎重に見る動きが強まりました。 - STX:Seagate Technology -8.53%
データ保存装置大手のSeagate Technologyは、ストレージ関連株への利益確定売りから下落しました。AI普及によるデータ量増加は長期的な需要拡大要因ですが、株価が短期間で上昇していたため、割高感を警戒した売りが優勢となりました。 - LITE:Lumentum Holdings -8.43%
光通信部品を手掛けるLumentum Holdingsは、AIデータセンター関連株の調整を受けて下落しました。光通信需要への期待は維持されていますが、CoherentやCorningも急落しており、関連銘柄全体で利益を確定する動きが広がりました。 - DELL:Dell Technologies -8.15%
Dell Technologiesは、AIサーバー需要への期待で買われてきた反動から大幅安となりました。受注拡大だけでなく、サーバー販売によって十分な利益率を確保できるかが重視されており、市場は売上成長より収益性を厳しく評価しています。 - AMD:Advanced Micro Devices -8.15%
AMDはAI半導体株への利益確定売りを受けて下落しました。AI向けGPUの成長期待は続いていますが、NVIDIAとの競争や巨額の研究開発費を考えると、市場が期待する利益成長を実現できるかが改めて問われています。 - AMAT:Applied Materials -7.82%
半導体製造装置大手のApplied Materialsは、半導体設備投資の先行きに対する警戒から売られました。AI半導体の需要は強いものの、設備投資が短期間で急拡大した反動や、顧客企業による投資計画の見直しが警戒されています。 - MRVL:Marvell Technology -7.77%
通信用半導体を手掛けるMarvell Technologyは大幅安となりました。AIデータセンター向けネットワーク半導体への期待は続いていますが、株価には将来の成長が相当程度織り込まれており、高い評価水準を修正する売りが出ました。 - LRCX:Lam Research -7.54%
半導体製造装置大手のLam Researchは、メモリー関連株の急落とともに売られました。メモリー各社の設備投資拡大は同社の成長要因ですが、供給能力の増加が将来の価格下落につながる可能性もあり、投資家は慎重になっています。 - CIEN:Ciena -7.09%
通信ネットワーク機器を提供するCienaは、光通信関連株への売りを受けて下落しました。AIによる通信量増加は中長期的な成長要因ですが、短期的には急上昇後の反動が大きく、関連企業をまとめて売る動きが見られました。 - WDC:Western Digital -6.91%
データ保存装置大手のWestern Digitalは、ストレージ株全体の調整から下落しました。クラウドやAIによるデータ量の増加は需要拡大につながりますが、半導体市況は供給過剰と価格下落を繰り返すため、業績変動への警戒が残ります。 - UPS:United Parcel Service -6.57%
物流大手のUPSは、輸送需要や利益率への懸念から下落しました。原油安は燃料費の低下につながりますが、荷物取扱量の伸び悩みや人件費の上昇が収益を圧迫する可能性があり、景気敏感株として売りが優勢となりました。 - NRG:NRG Energy -6.55%
電力会社のNRG Energyは、公益事業株の一角として大幅安となりました。データセンター向け電力需要への期待から上昇してきましたが、株価上昇の速度が速く、電力価格や設備投資負担を見直す動きから利益確定売りが出ました。 - TXT:Textron -6.42%
航空機や防衛関連製品を手掛けるTextronは下落しました。防衛需要は底堅いものの、航空機事業の受注や生産コストに対する慎重な見方が強まりました。工業・産業株の中でも、企業ごとの収益性を選別する動きが続いています。 - VRT:Vertiv Holdings -6.27%
データセンター向け電源・冷却設備を手掛けるVertiv Holdingsは、AIインフラ関連株の調整を受けて下落しました。長期的な需要拡大への期待は強いものの、株価には高い成長率が織り込まれており、少しの不安でも売りが膨らみやすい銘柄です。 - KLAC:KLA Corporation -6.18%
半導体検査装置大手のKLA Corporationは、半導体製造装置株への売りに押されました。高性能半導体ほど精密な検査が必要となるため長期的な成長余地はありますが、設備投資サイクルの変化を警戒した売りが出ました。 - PLTR:Palantir Technologies -6.08%
AIソフトウェア大手のPalantir Technologiesは、PERが139倍を超える高い株価評価を警戒されて下落しました。政府や企業向けAI需要は強いものの、良好な業績を前提とした株価水準であり、利益確定売りが入りやすい状態が続いています。 - FIX:Comfort Systems USA -6.02%
空調・電気設備工事を手掛けるComfort Systems USAは、データセンター建設関連株の調整から下落しました。冷却設備や電力工事の需要は強いものの、株価が急上昇してきたため、工事採算や人件費上昇を警戒した売りが出ました。 - INTC:Intel Corporation -5.86%
Intelは半導体株全体への売りに押されました。製造能力の再構築やAI半導体市場での巻き返しを進めていますが、巨額の設備投資が必要な一方で赤字が続いており、利益回復までに時間がかかるとの慎重な見方が残っています。 - HPE:Hewlett Packard Enterprise -5.40%
Hewlett Packard Enterpriseは、AIサーバー関連株の調整を受けて下落しました。AI向け受注は増えているものの、サーバー事業は部品費の負担が大きく、売上の伸びがそのまま利益増加につながるとは限らない点が警戒されています。 - VST:Vistra -5.37%
発電事業を展開するVistraは、電力株への利益確定売りから下落しました。AIデータセンターによる電力需要増加を背景に買われてきましたが、電力価格の変動や発電設備への投資負担もあり、急上昇後の株価を調整する動きとなりました。 - GEV:GE Vernova -5.34%
発電設備や送電網を手掛けるGE Vernovaは、電力インフラ関連株の調整を受けて下落しました。データセンターや再生可能エネルギー向けの需要は続いていますが、株価上昇後の利益確定に加え、大型案件の採算性も注目されています。 - ON:ON Semiconductor -5.22%
ON Semiconductorは、半導体株全体の下落に加え、自動車や産業機器向け需要への慎重な見方から売られました。AI向け半導体とは異なり、自動車市場の回復速度に左右されやすく、需要の弱さが長引く可能性が警戒されています。 - PWR:Quanta Services -5.15%
送電網や電力設備工事を手掛けるQuanta Servicesは、電力インフラ関連株への利益確定売りから下落しました。AIデータセンターや再生可能エネルギー向け需要は強いものの、株価には長期成長が織り込まれており、短期的な調整となりました。
セクター別騰落率
市場全体では、生活必需品(Consumer Defensive)、ヘルスケア(Healthcare)、通信サービス(Communication Services)が大きく上昇する一方、先端技術(Technology)は-1.50%と明確に下落した。半導体、メモリー、データセンター関連から利益確定売りが出る中、安定した利益や継続的な需要を持つ企業へ資金が移動した。全面的な株安ではなく、成長期待の高い分野からディフェンシブ株やソフトウェア、通信関連へ資金を組み替える動きが中心であった。
- 生活必需品(Consumer Defensive) +2.19%
生活必需品は全セクター中で最大の上昇となった。半導体やAIインフラ関連株の値動きが荒くなる中、食品、飲料、日用品、小売など、景気変動の影響を受けにくい企業へ資金が移った。WalmartやCoca-Colaなどが上昇しており、高い成長率よりも安定した売上と現金収入を重視する投資家が増えたと考えられる。 - ヘルスケア(Healthcare) +2.00%
ヘルスケアは医薬品、医療サービス、医療データ関連を中心に上昇した。IQVIA、Incyte、HCA Healthcareなどが大きく買われ、半導体株からの資金移動が鮮明となった。医療需要は景気が減速しても急激には減りにくく、業績の安定性が評価されやすい。AI活用による新薬開発や医療データ分析への成長期待も続いている。 - 通信サービス(Communication Services) +1.64%
通信サービスはAlphabetの上昇がセクター全体を押し上げた。検索広告、動画配信、クラウド、生成AIを組み合わせて収益化できる企業に買いが集まり、半導体からインターネット広告や通信サービスへ資金が移った。通信会社や動画配信株にも買いが入り、AI投資の評価軸が設備投資額だけでなく、実際に利益を生み出せるかへ変化している。 - 一般消費材(Consumer Cyclical) +1.06%
一般消費材は旅行、住宅関連、小売、外食などを中心に上昇した。Booking Holdings、Expedia、DoorDash、Royal Caribbeanなどが買われ、原油価格の下落による燃料費や輸送費の軽減期待が関連企業の収益改善につながった。高金利が続く中でも、旅行や体験型消費への支出は比較的底堅く、企業ごとのブランド力や価格設定力が評価された。 - 先端技術(Technology) -1.50%
先端技術は全セクター中で最大の下落となった。SanDisk、Micron、AMD、Applied Materialsなど、メモリー、半導体、製造装置関連に売りが集中した。一方、MicrosoftやIBMなどのソフトウェア株は上昇しており、AI需要そのものが弱まったというより、急上昇したハードウェア関連から利益を確定し、収益が安定した企業へ資金を移す動きである。
主要3指数とドル円の動き
- S&P500(7,428.78、前日比+0.21%)
S&P500は小幅に上昇しました。生活必需品、ヘルスケア、通信サービスなどが買われる一方、半導体やメモリー、データセンター関連には大きな利益確定売りが出ています。指数は上昇しましたが、全面高ではありません。成長期待の高い銘柄から、利益や現金収入が比較的安定した企業へ資金を移す動きが中心でした。 - Dow30(52,747.32、前日比+1.03%)
Dow30は主要3指数の中で最も大きく上昇しました。Walmart、Coca-Cola、Merck、Johnson & Johnsonなど、生活必需品やヘルスケアの大型株が買われています。半導体株の急落とは対照的に、景気の影響を受けにくい企業へ資金が移ったことで、Dow30の強さが際立ちました。市場全体が崩れたのではなく、資金の置き場所が変わった一日です。 - NASDAQ(24,876.91、前日比-0.22%)
NASDAQは小幅に下落しました。MicrosoftやAlphabetは上昇しましたが、Micron、AMD、SanDisk、Applied Materialsなど、半導体、メモリー、製造装置関連が大きく売られました。AI需要そのものが消えたわけではありませんが、設備投資負担、利益率、株価水準まで厳しく見る企業選別が進んでいます。AI関連でも、ハードウェアからソフトウェアへ資金が移る動きが見られました。 - ドル円(163.7780円、前日比+0.05%)
ドル円は163円台後半で推移し、わずかに円安となりました。米国株では半導体株が大きく売られましたが、Dow30が上昇し、米国経済全体への強い不安は広がっていません。一方、日本との金利差が大きい状態も続いており、ドルを保有する動きは根強いままです。円建てで米国資産を持つ投資家には評価額を押し上げる面がありますが、円安が輸入物価を高める影響にも注意が必要です。
原油先物・米10年国債利回り・VIX・金先物の動き
市場全体では、WTI原油先物、米10年国債利回り、恐怖指数と呼ばれるVIX指数、金先物がそろって下落しました。米国とイランによる攻撃が数日間止まったことで、原油供給への警戒が後退し、原油価格は大幅安となりました。原油安はインフレ圧力を和らげる一方、金と米国債も売られており、投資家が地政学リスクへの備えを一部縮小した様子がうかがえます。
- WTI原油先物(79.17ドル、前日比-4.16%)
WTI原油先物は大幅に下落し、80ドルを下回りました。米国とイランによる攻撃が数日間止まり、事態がさらに悪化する可能性が後退したことから、原油価格に上乗せされていた地政学リスク分が縮小しました。ただし、ホルムズ海峡の通航問題は解決しておらず、供給正常化が確定したわけではありません。原油安はエネルギー株には厳しい一方、輸送、小売、旅行、化学などのコスト軽減につながります。 - 米10年国債利回り(4.6040%、前日比-0.80%)
米10年国債利回りは前日の4.6300%から4.6040%へ低下しました。原油価格の急落によって、エネルギー価格から物価上昇が再加速する懸念がやや後退し、国債を買い戻す動きが出ました。長期金利の低下は通常、将来利益の現在価値が高まるため成長株に有利ですが、この日は半導体株への利益確定売りが強く、金利低下だけでは先端技術株の下落を止められませんでした。 - VIX指数(18.21、前日比-2.46%)
恐怖指数と呼ばれるVIX指数は18.21へ低下しました。半導体、メモリー、データセンター関連株には大幅な下落が相次ぎましたが、VIXは20を下回っており、市場全体が全面的な恐怖状態に入ったとは言えません。生活必需品、ヘルスケア、通信サービスへ資金が移り、S&P500とDow30も上昇しました。今回は市場から資金が逃げたというより、保有分野を入れ替える調整と見るのが自然です。 - 金先物(4,028.90ドル、前日比-1.18%)
金先物は48.10ドル下落しました。米国とイランの軍事衝突が一時的に止まったことで、安全資産として金を保有する需要が弱まりました。米10年国債利回りも低下しており、本来なら金価格にはプラスに働きやすい環境ですが、この日は地政学リスクの後退による売りが上回りました。長期投資では、金を短期的な値上がり目的ではなく、インフレや有事に備える分散資産として考える方が適していると思います。
私の米国株ポートフォリオ
私の米国株ポートフォリオは-1.12%となりました。MAXISナスダック100上場投信が-2.73%、iFreeETF FANG+が-1.33%、iシェアーズ S&P500米国株ETFが-1.20%となり、半導体や大型成長株の下落が強く表れました。一方、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は+0.10%、GX超短期米国債は+0.09%でした。投資信託とETFでは価格へ反映される時間が異なるため、同じS&P500連動商品でも騰落率に差が出ています。
昨夜の米国市場ではS&P500が上昇したものの、NASDAQは下落しました。生活必需品やヘルスケアへ資金が移る一方、AI、半導体、メモリー関連には利益確定売りが集中しています。ETF中心でも短期的な下落は避けられませんが、こうした日は銘柄を入れ替えるより、市場内部の資金移動を落ち着いて確認する日にしています。
経済指標発表結果
- 消費者信頼感指数(90.8、予想92.4、前回92.2)
7月の消費者信頼感指数は90.8となり、市場予想と前回値をともに下回りました。家計が物価上昇や高金利、雇用環境の先行きに慎重になっている可能性を示しています。個人消費は米国経済の約7割を占めるため、消費者心理の悪化は小売、旅行、外食などに注意が必要です。一方、景気の減速はFRBの利下げ余地を広げる面もあります。 - 米国商品貿易収支(-1,015.0億ドル、予想-1,003.0億ドル、前回-1,058.9億ドル)
6月の商品貿易赤字は1,015.0億ドルとなり、市場予想より赤字幅が大きくなりました。ただし、前月の1,058.9億ドルからは縮小しています。輸入超過はGDPの計算上マイナス要因となりますが、前月比では改善しており、景気への悪影響が急速に強まったとは言えません。ドル円や株式市場への直接的な影響は限定的でした。 - リッチモンド連銀製造業指数(5、予想7、前回4)
7月のリッチモンド連銀製造業指数は5となり、市場予想の7には届かなかったものの、前回の4から上昇しました。0を上回っているため、同地区の製造業活動は緩やかな拡大を維持しています。米国製造業が失速しているとの不安を和らげる内容ですが、力強い回復を示すほどではなく、景気は分野ごとに強弱が残っています。 - リッチモンド連銀製造業出荷指数(8、前回4)
製造業の出荷指数は8となり、前回の4から改善しました。実際の製品出荷が増えていることを示し、工業・産業(Industrials)や物流関連企業には比較的前向きな内容です。ただし、総合指数は市場予想を下回っており、受注や雇用まで含めて製造業全体が急回復しているわけではありません。長期投資では単月より数カ月の傾向を確認したい指標です。 - リッチモンド連銀サービス業指数(-3、前回0)
サービス業指数は-3となり、前回の0から悪化しました。0を下回る数値は、サービス業の活動が縮小方向へ傾いたことを示します。消費者信頼感指数も予想を下回っており、個人消費や企業のサービス需要に減速の兆しが出ています。景気敏感な一般消費材には注意が必要ですが、FRBの金融引き締め緩和を促す要因にもなります。 - 住宅価格指数(前年比+2.2%、前回+2.0%)
5月の住宅価格は前年同月比+2.2%となり、前回の+2.0%から伸びが拡大しました。高い住宅ローン金利が続いているにもかかわらず、住宅供給の不足が価格を押し上げていると考えられます。住宅価格の上昇は保有者の資産効果を通じて消費を支える一方、住居費インフレが下がりにくくなり、FRBの利下げ判断を難しくする面があります。 - アトランタ連銀GDPNow(第2四半期+1.5%、予想+1.6%、前回+1.6%)
第2四半期の実質GDP成長率を推計するGDPNowは年率+1.5%となり、前回の+1.6%からわずかに下方修正されました。米国経済は成長を維持しているものの、勢いは強くありません。景気後退を示す水準ではない一方、消費者心理やサービス業の弱さもあり、市場では「緩やかな成長鈍化」と受け止めるのが自然です。 - 7年物米国債入札(最高落札利回り4.473%、前回4.260%)
7年物米国債入札の最高落札利回りは4.473%となり、前回の4.260%を大きく上回りました。国債を購入する投資家が、より高い利回りを求めたことを示しています。長期金利が高止まりすれば、高PER(株価収益率が高い銘柄)の評価には厳しくなりやすく、半導体やAI関連株の利益確定売りを強める可能性があります。 - 米国原油在庫(+329.6万バレル、予想-250.0万バレル、前回+260.3万バレル)
週間原油在庫は329.6万バレル増加し、250.0万バレルの減少予想に反する結果となりました。供給が需要を上回っている可能性を示すため、原油価格には下落要因です。原油安はエネルギー株には厳しい一方、航空、物流、旅行、小売などには燃料費や輸送費の低下を通じて利益改善につながります。インフレ圧力を弱める点では株式市場全体にプラスです。
主要銘柄の決算発表結果
- V:Visa Inc.(金融(Financial))
Visaは1株当たり利益が3.32ドルとなり、市場予想の3.22ドルを上回りました。売上高も116億ドルと予想の113.8億ドルを超え、カード決済や国際取引を中心とした事業の底堅さが確認されました。通常取引では+1.23%となりましたが、決算発表後の時間外取引では-1.10%でした。好決算でも株価が下落したことから、市場には相当高い成長期待が織り込まれていたと考えられます。 - KO:The Coca-Cola Company(生活必需品(Consumer Defensive))
Coca-Colaは1株当たり利益が0.97ドルとなり、市場予想の0.93ドルを上回りました。売上高も134億ドルと予想の131.6億ドルを超えています。通常取引では+5.04%と大きく上昇し、半導体株から生活必需品へ資金が移る流れとも重なりました。時間外取引は-0.08%とほぼ横ばいです。景気変動に左右されにくいブランド力と価格設定力が評価された決算でした。 - KLAC:KLA Corporation(先端技術(Technology))
KLAは1株当たり利益が1.05ドルとなり、市場予想の1.00ドルを上回りました。売上高も36.6億ドルと予想の36億ドルを超えています。ただし、通常取引で-6.18%、決算発表後の時間外取引ではさらに-8.52%となりました。数値は予想を上回りましたが、半導体製造装置株に対する市場の期待値が高く、今後の設備投資や受注の伸びに慎重な反応が出たと考えられます。 - BA:The Boeing Company(工業・産業(Industrials))
Boeingは1株当たり損失が0.76ドルとなり、市場予想の0.29ドルの損失より悪化しました。一方、売上高は246億ドルと予想の239.5億ドルを上回っています。通常取引では+4.74%、時間外取引では+0.01%でした。航空機の引き渡しや売上回復への期待はあるものの、利益面では依然として課題が残ります。長期投資では、生産正常化と現金収入の改善を確認する必要があります。 - STX:Seagate Technology Holdings(先端技術(Technology))
Seagateは1株当たり利益が5.71ドルとなり、市場予想の5.09ドルを上回りました。売上高も36.3億ドルと予想の34.8億ドルを超えています。通常取引では-8.48%と大幅安でしたが、決算発表後の時間外取引では+6.78%へ反発しました。AIやクラウドの普及でデータ保存需要が増える中、決算内容が急落後の買い戻しにつながりました。 - SPGI:S&P Global Inc.(金融(Financial))
S&P Globalは1株当たり利益が4.08ドルとなり、市場予想の4.75ドルを下回りました。一方、売上高は41.5億ドルと予想の40.9億ドルを上回っています。通常取引では-3.60%でしたが、時間外取引では+0.14%と小幅に戻しました。金融情報や信用格付けの需要は底堅いものの、利益が予想に届かなかったため、売上成長だけでは投資家を十分に納得させられませんでした。 - GLW:Corning Incorporated(先端技術(Technology))
Corningは1株当たり利益が0.78ドルとなり、市場予想の0.75ドルを上回りました。売上高も47.4億ドルと予想の46.2億ドルを超えています。それでも通常取引では-12.09%と急落し、時間外取引は+0.31%にとどまりました。光通信やデータセンター向け需要への期待から株価が上昇していたため、予想を上回る決算でも期待値を大幅に超えなければ売られる難しい相場でした。 - TER:Teradyne Inc.(先端技術(Technology))
半導体検査装置大手のTeradyneは、1株当たり利益が2.47ドルとなり、市場予想の2.06ドルを大きく上回りました。売上高も13.3億ドルと予想の12.2億ドルを超えています。通常取引では-4.22%でしたが、決算発表後の時間外取引では+14.22%と急反発しました。AI向け半導体や高性能チップの検査需要が業績へ結び付いていることを示す内容です。 - F:Ford Motor Company(一般消費材(Consumer Cyclical))
Fordは1株当たり利益が0.42ドルとなり、市場予想の0.35ドルを上回りました。売上高も483億ドルと予想の475.1億ドルを超えています。通常取引では+1.87%、決算発表後の時間外取引では+6.79%となりました。自動車需要が底堅く、売上規模も市場予想を上回りました。ただし、自動車事業は原材料費、人件費、電気自動車投資の負担が大きいため、今後は利益率の改善が焦点です。 - CSGP:CoStar Group Inc.(不動産(Real Estate))
不動産情報サービスを提供するCoStar Groupは、1株当たり利益が0.32ドルとなり、市場予想の0.29ドルを上回りました。一方、売上高は9.25億ドルとなり、予想の9.29億ドルにわずかに届きませんでした。通常取引では+4.11%でしたが、決算発表後の時間外取引では-14.94%と急落しました。市場は利益よりも売上成長や今後の事業拡大に厳しい評価を示しました。
主な経済ニュース
- 半導体株が世界的に急落しAI相場の選別が進む
米国市場ではMicron、AMD、SanDisk、Applied Materialsなどが大幅安となり、売りは日本や韓国、欧州の半導体株にも波及しました。AI向け設備投資が急拡大する一方、投資額に見合う利益を生み出せるのかという疑問が強まっています。ただし、AI需要そのものが消えたのではなく、将来への期待だけで上昇した企業から、現在の利益を確認できる企業へ資金が移ったと考えています。(Reuters:07/28) - 中国の半導体製造技術進展が米国企業への警戒を強める
中国企業が先端半導体の製造に使うDUV露光装置(回路を光で焼き付ける装置)の国産化を進めているとの報道を受け、米国や欧州の半導体製造装置株が売られました。中国の技術力向上は、米国による輸出規制の効果を弱め、ASML、Applied Materials、Lam Research、KLAなどの中国向け売上にも影響します。米中の技術競争が、半導体企業の利益予想へ直接反映される段階に入っています。(Reuters:07/28) - AIデータセンターの資金調達方法に疑問が強まる
NVIDIAがOpenAIの大型データセンター計画に巨額の資金保証を検討しているとの報道を受け、AI投資が企業の自己資金だけでは賄えなくなっているとの懸念が浮上しました。AIデータセンターにはGPUだけでなく、建物、電力、通信、冷却設備まで必要であり、投資額は膨らみ続けます。私は建設に携わった経験からも需要は長期化すると見ていますが、資金調達費用と収益化の速度は厳しく確認すべきです。(Wall Street Journal:07/28) - 資金が半導体から生活必需品やヘルスケアへ移動
Dow30は+1.03%と大きく上昇した一方、NASDAQは-0.22%となりました。Coca-Cola、Walmart、医薬品、医療サービスなどが買われ、半導体やメモリー株から安定収益企業への資金移動が鮮明です。S&P500も+0.21%を維持しており、市場全体から資金が流出したわけではありません。指数だけを見ると小幅高ですが、内部では投資対象を入れ替える大きな動きが起きています。(Wall Street Journal:07/28) - 米国とイランの攻撃停止で原油価格が急落
米国とイランの攻撃が数日間止まり、交渉進展への期待からWTI原油先物は79ドル台へ下落しました。原油安はエネルギー株には厳しい一方、航空、物流、旅行、小売、化学などには燃料費や輸送費の軽減につながります。ただし、ホルムズ海峡の通航は依然として低水準で、完全な正常化には至っていません。停戦交渉が崩れれば、原油価格が再び急反発する可能性も残ります。(Reuters:07/28) - ホルムズ海峡の管理方法を巡り協議が続く
オマーンやサウジアラビア、イランの間で、ホルムズ海峡を安全に通航させる仕組みについて協議が進められました。同海峡は戦争前に世界の原油と液化天然ガスの約5分の1が通過していた重要航路です。イラン側は通航管理への関与を求めており、合意形成は容易ではありません。攻撃停止だけでなく、海上輸送が継続的に回復するかが、原油、インフレ、米国金利を左右する重要な条件です。(Reuters:07/28) - 消費者信頼感が予想を下回り米国景気に減速の兆し
7月の消費者信頼感指数は90.8となり、市場予想の92.4と前回の92.2を下回りました。物価上昇、高金利、雇用環境への不安から、家計が将来の支出に慎重になっている可能性があります。個人消費は米国経済の約7割を占めるため、心理悪化が続けば小売や外食、旅行にも影響します。一方、景気の緩やかな減速と原油安は、FRBが追加利上げを急ぐ必要性を低下させます。(Investing.com:07/28) - FOMCを前に米10年国債利回りが低下
米10年国債利回りは4.604%へ低下しました。原油価格の急落によってインフレ再加速への警戒が和らぎ、消費者信頼感も予想を下回ったことから、国債を買い戻す動きが強まりました。FRBは翌日に政策金利を発表する予定で、市場の焦点は金利変更の有無より、今後のインフレと追加利上げに関する説明です。金利低下は成長株に有利ですが、この日は半導体株への売りの方が強くなりました。(Bloomberg:07/28) - Coca-Colaの好決算がDow30を押し上げる
Coca-Colaは1株当たり利益と売上高が市場予想を上回り、通常取引で+5.04%となりました。値上げを進めながら販売数量を維持し、無糖飲料などの需要も堅調でした。高金利と景気減速への警戒が残る中でも、世界的なブランド力を持ち、安定した現金収入を生む企業が評価されています。AI関連株の値動きが荒くなる中、生活必需品への資金移動を象徴する決算となりました。(Bloomberg:07/28) - 半導体関連は好決算でも株価反応が分かれる
KLAは利益と売上高が予想を上回りましたが、時間外取引で-8.52%となりました。一方、Teradyneは利益と売上高が予想を上回り、時間外で+14.22%と急伸しています。Seagateも通常取引では急落したものの、決算後は+6.78%へ反発しました。同じ半導体関連でも、受注見通し、利益率、株価水準によって評価が大きく異なります。「AI関連」という分類だけではなく、企業ごとの収益力を見る相場です。(Yahoo! Finance:07/28) - Boeingは売上回復が進む一方で赤字が続く
Boeingは売上高が246億ドルとなり、市場予想の239.5億ドルを上回りましたが、1株当たり損失は0.76ドルと予想より悪化しました。通常取引では+4.74%となり、市場は航空機の引き渡し回復を前向きに評価しました。ただし、生産コストや品質管理、現金収入の改善には時間が必要です。受注残の多さだけでなく、安全に製造して利益を残せる体制へ戻れるかが長期的な評価を決めます。(Bloomberg:07/28)
経済指標発表予定
以下の経済指標が発表される予定です。
主要銘柄の決算発表予定
以下の主要銘柄の決算発表がなされる予定です。
おわりに
米国株市場は、S&P500とDow30が上昇する一方、NASDAQは小幅に下落しました。半導体やメモリー、データセンター関連には大きな売りが出ましたが、生活必需品、ヘルスケア、通信サービスには資金が移っています。市場全体から資金が逃げたのではなく、投資家が利益の安定性や株価水準を見直した一日だったと感じます。長期投資では、上昇している分野を慌てて追いかけるより、企業の利益成長と市場全体の資金の流れを冷静に確認することが大切です。私も日々の値動きには一喜一憂せず、ETFを中心に市場へ居続ける姿勢を続けています。
毎朝お読みいただき、ありがとうございます。それでは、今日も一日、明るく元気に笑顔で過ごしましょう。
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投資は自己責任にてお願いします。
おことわり
投資は自己責任にてお願いします。
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図表のレファレンス
- S&P500ヒートマップ: finviz
- 主要3指数とドル円: Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
- セクター別騰落率: finviz
- 経済指標結果/予定: investing.com日本語版
- 決算発表結果/予定: investing.com日本語版
- 主要指数の動き : Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
- 自分の米ドル建ポートフォリオ: Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
著者プロフィール
室井一夫(Kazuo Muroi)
Muroi Universal Research on Investment LLC 代表社員
一級建築士・建築1級施工管理技士・工学修士
Facebookグループ「米国株_投資の部屋」管理人(約4.7万人)
米国株式市場と経済動向に関する情報を毎日発信しています。
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