室井のマーケット視点
7月9日の米国市場は、S&P500が+0.81%、Dow30が+0.27%、NASDAQが+1.30%と、主要3指数そろって上昇しました。特にNASDAQの強さが目立ち、AI関連、半導体、データセンター関連へ資金が向かう一日でした。
この日、私が最も注目したのは、AI投資の広がりです。AMD、Lam Research、Sandisk、Western Digital、Lumentum、Hewlett Packard Enterpriseなどが上昇し、資金はGPUだけでなく、製造装置、メモリー、ストレージ、光通信、サーバーへ広がっています。AIは半導体だけでは動きません。大量のデータを保存するストレージ、高速通信、サーバー、電力、冷却設備が必要です。先端技術(Technology)が+1.71%、素材(Basic Materials)が+1.28%、金融(Financial)が+1.07%と上昇したことからも、AI相場はインフラ全体へ広がる段階に入っていると感じます。
一方で、生活必需品(Consumer Defensive)は-1.32%、エネルギー(Energy)は-1.26%と下落しました。PepsiCoは売上高が予想を上回ったものの株価は下落し、APA Corporationも原油安を受けて売られました。市場全体から資金が逃げたというより、安定銘柄や資源株から、成長期待の高い分野へ資金が移動したと見ています。
米10年国債利回りは4.539%へ低下しました。長期金利の低下は、高PER(株価収益率が高い銘柄)の多いNASDAQには有利に働きます。ただし、4.5%台という水準は依然として高く、AI関連株が強いからといって、何でも買える相場ではありません。
雇用では、新規失業保険申請件数が21.5万件と予想を下回り、米国の労働市場は底堅さを保っています。一方、中古住宅販売戸数は409万戸と予想を下回り、住宅ローン金利の高止まりが実体経済に影響していることも確認されました。米国経済は強い部分と弱い部分が混在しています。
原油先物は71.84ドルへ下落し、VIX指数は15.84まで低下しました。恐怖指数と呼ばれるVIX指数が20を下回っているため、市場は全面的な恐怖状態ではありません。ただし、金先物は4,130.90ドルへ上昇しており、投資家が地政学リスクやインフレ再燃への備えを完全に外しているわけでもありません。
ドル円は162.3860円と小幅に円高方向へ動きました。私の米国株ポートフォリオは、日本市場で取引される米国株ETFや投資信託が中心です。そのため、前日の米国株市場の影響を大きく受けますが、同時にドル円の動きも円建て評価額に影響します。この日は米国株高を受けつつも、為替の影響もあり、前日比+0.29%となりました。
私は個別株で大きく当てるより、S&P500やNASDAQ100、FANG+を通じて、米国企業全体の成長に長く参加する投資を重視しています。7月9日の相場は、AI関連株の強さが目立つ一方で、生活必需品やエネルギーには売りが出る、選別色の強い一日でした。指数の上昇だけでなく、市場のお金がどこへ向かっているのかを見ることが大切です。AI、データセンター、半導体、通信、素材という流れは、短期の話題ではなく、数年単位の投資テーマになりつつあると感じています。
投資は自己責任にてお願いします。
S&P500ヒートマップ
5%以上上昇したS&P500構成銘
- LITE:Lumentum Holdings +11.13%
光通信関連のLumentumが大幅高となりました。AIデータセンターではGPU(画像処理半導体)だけでなく、高速で大量のデータを送る光通信部品が欠かせません。AI投資の資金が半導体本体から通信インフラへ広がっていることを示す上昇です。 - HPE:Hewlett Packard Enterprise +9.94%
HPEはAIサーバーや企業向けITインフラ需要への期待から大きく上昇しました。AI処理にはサーバー、ストレージ、ネットワーク機器が一体で必要になります。エヌビディアだけでなく、AIを動かす基盤企業にも投資家の関心が向かっています。 - FDXF:FedEx Freight Holding Company +7.64%
FedEx関連銘柄は物流需要の回復期待から上昇しました。景気が底堅く推移すれば、企業間輸送や小売関連の荷動きが増えやすくなります。AI・半導体株だけでなく、実体経済に近い物流株にも買いが入った点は、市場のリスク許容度の高さを示しています。 - SNDK:Sandisk Corporation +7.59%
Sandiskはメモリー関連株として買われました。AIデータセンターでは計算能力だけでなく、膨大なデータを保存するストレージ需要も拡大します。半導体相場の主役がGPUだけに限られず、メモリーや保存装置にも広がっている点が重要です。 - LRCX:Lam Research +6.01%
半導体製造装置大手のLam Researchが上昇しました。AI向け半導体需要が拡大すれば、半導体メーカーだけでなく、製造装置企業にも投資需要が波及します。EPS成長率も高く、市場はAI半導体の増産サイクルを評価しているように見えます。 - IVZ:Invesco +5.85%
資産運用会社のInvescoが上昇しました。株式市場がリスクオン(投資家が積極的にリスクを取る状態)に傾くと、運用資産の増加や投資商品の需要拡大が期待されます。金融株の中でも、市場上昇の恩恵を受けやすい銘柄として買われました。 - FIX:Comfort Systems USA +5.73%
空調・機械設備工事を手がけるComfort Systems USAが上昇しました。AIデータセンターでは発熱対策が極めて重要で、空調や冷却設備への投資が拡大しています。私自身、建設現場に携わった経験からも、AIインフラ投資は建物設備まで含めて見る必要があると感じます。 - AMD:Advanced Micro Devices +5.67%
AMDはAI半導体需要への期待から上昇しました。エヌビディアが圧倒的な存在感を持つ一方、クラウド企業は調達先の分散も進めたいはずです。AI向けGPU市場でAMDがどこまでシェアを伸ばせるかが、今後の株価評価を左右しそうです。 - PANW:Palo Alto Networks +5.53%
Palo Alto Networksはサイバーセキュリティ需要の拡大期待から上昇しました。AI活用が進むほど企業データの価値は高まり、攻撃を防ぐ仕組みも重要になります。AI時代の投資テーマは半導体だけでなく、クラウド防衛や情報保護にも広がっています。 - FCX:Freeport-McMoRan +5.27%
Freeport-McMoRanは銅関連株として上昇しました。AIデータセンター、送電網、電気自動車には大量の銅が必要です。AI投資が半導体や通信機器だけでなく、素材(Basic Materials)分野にも波及している点は見逃せません。 - WDC:Western Digital +5.04%
Western Digitalはデータ保存需要への期待から上昇しました。AIは学習にも推論(AIが答えを出す処理)にも大量のデータを扱うため、ストレージ関連企業の重要性が増しています。AIインフラ投資の裾野が、記憶装置メーカーにも広がっている相場です。
5%以上下落したS&P500構成銘柄
- APA:APA Corporation -5.05% APAは原油価格の下落を受けて、エネルギー(Energy)関連株として売られました。WTI原油先物が大きく下げたことで、石油・ガス企業の収益見通しに慎重な見方が強まりました。同社のPERは7.76倍と低く、配当利回りも2.85%ありますが、資源株は商品市況の影響を強く受けます。長期投資家としては、個別の値動きだけでなく、原油価格、米国景気、中東情勢、OPECの供給方針を合わせて見る必要があります。
セクター別騰落率
市場全体では、先端技術(Technology)、一般消費材(Consumer Cyclical)、素材(Basic Materials)、金融(Financial)が上昇し、景気敏感株とAI関連株へ資金が向かう一日となりました。一方で、生活必需品(Consumer Defensive)とエネルギー(Energy)は下落し、ディフェンシブ銘柄や原油関連株には売りが出ています。市場はリスクオン(投資家が積極的にリスクを取る状態)に傾きつつも、セクター間の選別ははっきりしていました。
- 先端技術(Technology) +1.71%
先端技術セクターは全セクター中で最も大きく上昇しました。AI関連、半導体、データセンター向けインフラ企業への資金流入が続いています。AMD、Lam Research、Sandisk、Western Digitalなどが買われ、AI投資がGPUだけでなく、製造装置、メモリー、ストレージまで広がっていることが確認できる一日でした。 - 一般消費材(Consumer Cyclical) +1.38%
一般消費材セクターは堅調に上昇しました。高金利環境が続く中でも、米国景気への過度な悲観が後退し、消費関連株に買いが入りました。景気敏感株が上昇する局面では、投資家が景気後退よりも企業業績の底堅さを見ていることが多く、今回もリスクを取る姿勢が強まった印象です。 - 素材(Basic Materials) +1.28%
素材セクターは銅などの工業用金属関連を中心に上昇しました。Freeport-McMoRanの上昇にも見られるように、AIデータセンター、送電網、電気自動車には大量の銅や素材が必要です。AI投資の恩恵が半導体企業だけでなく、素材企業にも波及している点は、現在の相場を見るうえで重要です。 - 金融(Financial) +1.07%
金融セクターは上昇しました。株式市場がリスクオンに傾くと、資産運用会社や証券関連企業には運用資産増加への期待が入りやすくなります。Invescoの上昇もその流れに沿った動きです。金利環境は依然として注意が必要ですが、この日は景気への楽観が金融株にも波及しました。 - 生活必需品(Consumer Defensive) -1.32%
生活必需品セクターは下落しました。市場全体がAI関連や景気敏感株へ資金を向ける中で、安定性を重視するディフェンシブ銘柄からは資金が抜けやすい展開でした。食品、日用品、小売などは長期的には安定した需要を持ちますが、短期的には成長期待の高い分野へ資金が移動しています。 - エネルギー(Energy) -1.26%
エネルギーセクターは下落しました。WTI原油先物が大きく下げたことで、石油・ガス関連企業の収益見通しに慎重な見方が出ました。APA Corporationの下落もその影響を受けた動きです。エネルギー株は配当利回りや低PERの魅力がある一方、原油価格やOPECの供給方針に大きく左右されます。
主要3指数とドル円の動き
米国市場は、S&P500とNASDAQがそろって上昇し、AI・半導体・ハイテク株への資金流入が目立つ一日となりました。Dow30も小幅ながら上昇し、景気敏感株にも一定の買いが入りました。一方、ドル円は162円台前半で小幅に円高方向へ動き、米国株高と為替の円高が同時に進む形となりました。日本人投資家にとっては、株高の恩恵と為替変動の影響を分けて見る必要がある相場です。
- S&P500(7,543.64、前日比+0.81%)
S&P500は7,543.64で取引を終え、前日比+0.81%の上昇となりました。終日じり高の展開で、ハイテク株を中心に市場全体へ買いが広がりました。セクター別では先端技術(Technology)、一般消費材(Consumer Cyclical)、素材(Basic Materials)が強く、AI関連だけでなく景気敏感株にも資金が向かった点が特徴です。長期投資家としては、指数の上昇そのものよりも、どの分野に資金が流れているかを確認することが重要だと感じます。 - Dow30(52,487.41、前日比+0.27%)
Dow30は52,487.41で終え、前日比+0.27%の上昇でした。NASDAQに比べると上昇率は控えめでしたが、金融(Financial)や工業・産業(Industrials)など景気敏感株の一角が買われ、市場全体がハイテク一辺倒ではなかったことを示しています。高金利環境が続く中でも、米国景気への過度な悲観は後退しているように見えます。ETFで米国株全体へ投資している立場では、こうした幅広い資金循環は安心感があります。 - NASDAQ(26,206.89、前日比+1.30%)
NASDAQは26,206.89となり、前日比+1.30%と主要3指数の中で最も強い上昇となりました。AI関連株、半導体株、データセンター関連への買いが継続し、AMD、Lam Research、Sandisk、Western Digitalなどの上昇が目立ちました。現在の相場は、AI需要をGPUだけでなく、メモリー、ストレージ、光通信、製造装置まで広げて評価している段階に入っています。ただし高PER(株価収益率が高い銘柄)には過熱感も残るため、短期の値動きには注意が必要です。 - ドル円(162.3860円、前日比-0.11%)
ドル円は162.3860円となり、前日比-0.11%の小幅な円高方向で終えました。米国株は堅調でしたが、為替市場では高値圏でのドル買いに一服感が出た形です。162円台は日本人投資家にとって円建て資産を押し上げる一方、為替介入への警戒も高まりやすい水準です。米国ETFや投資信託では、株価上昇と為替変動が同時に評価額へ影響するため、円建ての増減だけで相場の強弱を判断しないことが大切です。
原油先物・米10年国債利回り・VIX・金先物の動き
株式市場ではS&P500とNASDAQが上昇し、リスクオン(投資家が積極的にリスクを取る状態)の流れが続きました。一方で、原油先物と米10年国債利回りは低下し、VIX指数も15台まで下がっています。金先物は上昇しており、株式市場は強いものの、投資家が地政学リスクやインフレ再燃への備えを完全には外していないことも感じられる一日でした。
- WTI原油先物(71.84ドル、前日比-2.29%)
WTI原油先物は71.84ドルまで下落しました。原油価格の下落は、エネルギー(Energy)株にはマイナスに働きやすく、この日はAPA Corporationの下落にもつながりました。市場では供給不安よりも需要の鈍化や在庫動向への警戒がやや強まった印象です。一方で、原油安はインフレ圧力を和らげるため、株式市場全体にはプラスに働く面もあります。 - 米10年国債利回り(4.539%、前日比-0.66%)
米10年国債利回りは4.539%へ低下しました。長期金利の低下は、高PER(株価収益率が高い銘柄)の多いハイテク株やNASDAQにとってプラスに働きやすい環境です。この日は先端技術(Technology)セクターが大きく上昇しており、金利低下とAI関連株への買いが重なった形です。ただし4.5%台の金利水準は依然として高く、楽観一辺倒とは言えません。 - VIX指数(15.84、前日比-6.27%)
恐怖指数と呼ばれるVIX指数は15.84まで低下しました。20を下回る水準は、市場参加者の不安心理が比較的落ち着いていることを示します。S&P500とNASDAQが上昇し、AI関連株や景気敏感株に資金が向かう中で、投資家は短期的な急落リスクをあまり強く見ていないようです。ただし、VIXが低い局面では不意のニュースによる急変動にも注意が必要です。 - 金先物(4,130.90ドル、前日比+1.19%)
金先物は4,130.90ドルへ上昇しました。米10年国債利回りが低下したことで、利息を生まない金の相対的な魅力が高まりました。さらに、株式市場が堅調な中でも、地政学リスクやインフレ再燃への備えとして金を保有する動きが続いているように見えます。長期投資家としては、金を資産の一部に持つことは、株式とは異なる値動きを期待できる分散手段になります。
私の米国株ポートフォリオ
私の米国株ポートフォリオは、前日比+0.29%となりました。保有しているのは日本市場で売買される米国株ETFや投資信託ですので、値動きは基本的に「前日の米国株市場」と「その後のドル円」の影響を受けます。昨夜の米国市場ではS&P500が+0.81%、NASDAQが+1.30%と上昇し、AI関連や半導体株への買いが強かったため、日本市場の米国株関連ETFにもその流れが反映されました。
特に、iFreeETF FANG+とMAXISナスダック100上場投信がしっかり上昇し、ポートフォリオ全体を押し上げました。FANG+は大型ハイテク株への集中度が高いため、AI・半導体・クラウド関連株が強い日は、比較的反応しやすい傾向があります。一方で、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は小幅に下落しており、投資信託は基準価額の反映タイミングや為替の影響がETFとは少し異なることも確認できました。
ドル円は162円台で小幅に円高方向へ動きました。円高は日本円で見た米国株資産の評価額をやや抑える要因になります。したがって、米国株そのものは強かったものの、円建てポートフォリオの上昇率は+0.29%にとどまりました。私の場合、米国株に投資していても、実際の評価は日本円で見ていますので、株価と為替を分けて確認することが大切だと感じています。
個人的には、短期的な前日比よりも、日本市場から米国企業全体の成長に長く参加できていることを重視しています。個別株で大きく狙うのではなく、S&P500やNASDAQ100、FANG+を通じて市場の中に居続ける方が、私の年齢と投資方針には合っていると考えています。
経済指標発表結果
- 新規失業保険申請件数(21.5万件、予想21.8万件、前回21.7万件)
新規失業保険申請件数は21.5万件となり、市場予想の21.8万件を下回りました。失業保険を新たに申請する人が予想より少なかったため、米国の雇用市場はなお底堅いと受け止められます。雇用が強いことは個人消費を支えますが、FRB(米連邦準備制度)にとっては利下げを急ぎにくい要因にもなります。この日は株式市場が上昇しており、投資家は「景気後退」よりも「企業業績の持続力」を重視したように見えます。 - 失業保険継続申請件数(181.4万件、予想182.0万件、前回180.6万件)
失業保険継続申請件数は181.4万件となり、予想の182.0万件をやや下回りました。前回の180.6万件からは増加しており、雇用市場が完全に過熱しているというより、緩やかに落ち着きつつある印象です。株式市場にとっては、雇用が急激に悪化していない点は安心材料です。一方で、FRBの利下げを強く促すほど弱い内容でもありません。長期投資家としては、雇用が急変せず、景気が緩やかに減速する形が望ましいと感じます。 - 中古住宅販売戸数(409万戸、予想419万戸、前回419万戸)
中古住宅販売戸数は409万戸となり、市場予想の419万戸を下回りました。住宅ローン金利の高止まりが、住宅購入意欲を抑えている可能性があります。住宅市場は、家具、家電、建材、金融など幅広い産業に波及するため、米国景気を見るうえで重要です。今回の結果は、金利上昇の影響が実体経済に残っていることを示しています。ただし、株式市場ではAI関連やハイテク株への買いが強く、住宅指標の弱さは相場全体を押し下げるほどではありませんでした。 - 中古住宅販売(前月比-2.4%、前回+3.7%)
中古住宅販売の前月比は-2.4%となり、前回の+3.7%から大きく低下しました。住宅市場は金利に敏感であり、米10年国債利回りが高い水準にある中では、住宅ローン負担が重くなります。今回の数字は、米国消費者の住宅購入に慎重さが出ていることを示しています。株式市場では、住宅関連や一部の一般消費材(Consumer Cyclical)には注意が必要ですが、全体としてはハイテク主導の上昇が優勢でした。 - 天然ガス貯蔵(61B、予想60B、前回87B)
天然ガス貯蔵は61Bとなり、市場予想の60Bをわずかに上回りました。前回の87Bからは大きく減少しており、在庫積み増しペースは鈍化しています。エネルギー市場では原油価格が下落しており、この日のエネルギー(Energy)セクターは軟調でした。天然ガス在庫は株式市場全体への影響は限定的ですが、公益事業(Utilities)、エネルギー企業、インフレ見通しには関係します。エネルギー価格が落ち着けば、企業コストや消費者物価にはプラスに働きます。 - 30年物長期米国債入札(5.058%、前回5.050%)
30年物長期米国債入札の利回りは5.058%となり、前回の5.050%をやや上回りました。長期債利回りが高い水準にあることは、政府債務への警戒や長期インフレ期待を映す面があります。株式市場では、金利が高いほど将来利益を重視するグロース株には負担となりやすいですが、この日は米10年国債利回りが低下し、NASDAQが強く上昇しました。債券市場では高金利環境が続く一方、株式市場はAI関連の利益成長を優先して評価した一日だったと感じます。
主要銘柄の決算発表結果
- PEP:PepsiCo(生活必需品(Consumer Defensive))
PepsiCoは1株当たり利益が2.20ドルとなり、市場予想の2.21ドルをわずかに下回りました。一方、売上高は241.8億ドルと予想の239.7億ドルを上回り、飲料・スナックの販売基盤は依然として底堅い内容でした。ただし株価は通常取引で-3.26%と下落し、時間外取引もほぼ横ばいでした。生活必需品(Consumer Defensive)銘柄は安定感が魅力ですが、現在の市場ではAI関連や景気敏感株へ資金が向かっており、成長率への期待がやや物足りないと受け止められたように見えます。長期投資家としては、配当やブランド力の安定性と、株価成長力を分けて見る必要があると感じます。 - PGR:Progressive(金融(Financial))
Progressiveは決算表では1株当たり利益と売上高の実績値が表示されておらず、市場予想はEPSが4.62ドル、売上高が215.3億ドルとなっていました。株価は通常取引で-1.45%と下落し、時間外取引ではほぼ横ばいでした。同社は自動車保険を中心とする保険大手であり、金利環境、保険料率、事故率、保険金支払い動向が収益に大きく影響します。金融(Financial)セクター全体はこの日上昇しましたが、同社株は個別要因でやや弱い動きとなりました。保険株は景気敏感株とは異なり、短期の市場ムードよりも保険引受利益の改善が重要になります。
主な経済ニュース
- AI・半導体株がNASDAQを押し上げる
7月9日の米国株市場では、AI関連や半導体関連への資金流入が続き、NASDAQが+1.30%と主要3指数の中で最も強い上昇となりました。AMD、Lam Research、Sandisk、Western Digitalなどが買われ、AI需要がGPUだけでなく、メモリー、ストレージ、製造装置まで広がっていることが確認できます。市場はAI投資を一時的なテーマではなく、データセンター全体の設備投資サイクルとして評価し始めているように感じます。(Reuters:07/09) - 米長期金利が低下しハイテク株に買いが入る
米10年国債利回りは4.539%へ低下しました。長期金利の低下は、将来の利益成長を高く評価されやすいグロース株(成長株)にとってプラスに働きます。この日はS&P500が+0.81%、NASDAQが+1.30%と上昇し、特に先端技術(Technology)セクターが+1.71%と強い動きでした。ただし4.5%台の金利水準は依然として高く、相場は楽観一辺倒ではありません。(Bloomberg:07/09) - 新規失業保険申請件数は予想を下回る
新規失業保険申請件数は21.5万件となり、市場予想の21.8万件を下回りました。失業保険の新規申請が少ないことは、米国の雇用市場がなお底堅いことを示します。雇用の強さは個人消費を支える一方、FRB(米連邦準備制度)が利下げを急ぎにくくなる要因にもなります。この日の株式市場は、利下げ期待よりも景気と企業業績の底堅さを前向きに見た印象です。(Reuters:07/09) - 中古住宅販売は予想を下回る
6月の中古住宅販売戸数は409万戸となり、予想の419万戸を下回りました。前月比も-2.4%となり、住宅ローン金利の高止まりが住宅購入を抑えている可能性があります。住宅市場は家具、家電、建材、金融など幅広い産業に影響します。ただし、この日は住宅関連の弱さよりもAI・半導体株への買いが市場全体を動かし、株式市場への悪影響は限定的でした。(Reuters:07/09) - 原油価格が下落しエネルギー株が軟調
WTI原油先物は71.84ドルとなり、前日比-2.29%と下落しました。原油価格の下落を受けて、エネルギー(Energy)セクターは-1.26%と弱い動きになりました。APA Corporationも-5.05%と下落しています。原油安は石油・ガス企業にはマイナスですが、インフレ圧力を和らげる面もあります。株式市場全体では、原油安よりも金利低下とハイテク株高が強く反映された一日でした。(Bloomberg:07/09) - VIX指数は15台へ低下
恐怖指数と呼ばれるVIX指数は15.84となり、前日比-6.27%と低下しました。VIXが20を下回る水準は、市場参加者の不安心理が比較的落ち着いていることを示します。この日はS&P500、Dow30、NASDAQがそろって上昇し、投資家はリスクを取りやすい状態でした。ただし、VIXが低い局面では市場が安心しすぎている場合もあり、地政学リスクや金利急変には引き続き注意が必要です。(Reuters:07/09) - 金先物が上昇し安全資産需要も残る
金先物は4,130.90ドルとなり、前日比+1.19%と上昇しました。米10年国債利回りが低下したことで、利息を生まない金の相対的な魅力が高まりました。株式市場が上昇しているにもかかわらず金も買われた点は、投資家が地政学リスクやインフレ再燃への備えを完全には外していないことを示します。私自身も、純金を資産の一部に持つ考え方は分散投資として有効だと感じています。(Bloomberg:07/09) - PepsiCo決算は売上高が予想を上回るも株価は下落
PepsiCoは1株当たり利益が2.20ドルと予想の2.21ドルをわずかに下回る一方、売上高は241.8億ドルと予想の239.7億ドルを上回りました。ただし株価は-3.26%と下落しました。生活必需品(Consumer Defensive)銘柄は安定感がありますが、この日の市場ではAI関連や景気敏感株に資金が向かい、安定成長株はやや見劣りしました。市場は配当の安定性よりも成長率を重視しているように見えます。(Yahoo! Finance:07/09) - 金融株と素材株にも資金が広がる
セクター別では金融(Financial)が+1.07%、素材(Basic Materials)が+1.28%と上昇しました。金融では市場上昇に伴う運用資産拡大期待が入りやすく、素材では銅などの工業用金属需要が注目されています。AIデータセンター、送電網、電気自動車には大量の銅が必要です。AI相場は半導体だけで完結せず、金融、素材、建設設備まで資金循環が広がっている点が重要です。(Bloomberg:07/09) - ドル円は162円台で小幅に円高方向へ動く
ドル円は162.3860円となり、前日比-0.11%と小幅に円高方向へ動きました。米国株は上昇しましたが、為替市場では高値圏でのドル買いに一服感が出ています。日本人投資家にとって、円安は米国株資産の円建て評価額を押し上げますが、162円台では為替介入への警戒も強まりやすくなります。米国株投資では、株価上昇と為替変動を分けて確認する姿勢が欠かせません。(Investing.com:07/09)
経済指標発表予定
以下の経済指標が発表される予定です。
主要銘柄の決算発表予定
以下の主要銘柄の決算発表がなされる予定です。
おわりに
7月9日の米国株市場は、AI関連や半導体株を中心に買いが入り、S&P500とNASDAQがしっかり上昇しました。一方で、エネルギー株や生活必需品には売りが出ており、相場全体が一方向に強いというより、資金の向かう先がかなり明確に分かれた一日だったと感じます。
私の米国株ポートフォリオも、日本市場で取引される米国株ETFや投資信託を通じて、前日の米国株高の影響を受けました。ただし、円建てで見る以上、ドル円の動きも無視できません。米国株へ投資しているつもりでも、実際には株価と為替の両方を受け止めながら運用しているのだと、改めて感じます。
長期投資では、毎日の上げ下げに振り回されすぎず、市場に居続けることが大切だと思っています。今日のブログが、皆さまの市場理解に少しでもお役に立てば嬉しいです。
それでは、今日も一日、明るく元気に笑顔で過ごしましょう。
ご参考になりましたらこちらから応援いただけると嬉しいです。
おことわり
投資は自己責任にてお願いします。
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図表のレファレンス
- S&P500ヒートマップ: finviz
- 主要3指数とドル円: Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
- セクター別騰落率: finviz
- 経済指標結果/予定: investing.com日本語版
- 決算発表結果/予定: investing.com日本語版
- 主要指数の動き : Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
- 自分の米ドル建ポートフォリオ: Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
著者プロフィール
室井一夫(Kazuo Muroi)
Muroi Universal Research on Investment LLC 代表社員
一級建築士・建築1級施工管理技士・工学修士
Facebookグループ「米国株_投資の部屋」管理人(約4.7万人)
米国株式市場と経済動向に関する情報を毎日発信しています。
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