室井のマーケット視点
9月11日の米国市場は、原油価格の反落とAI関連株への買い戻しによって、主要3指数がそろって上昇しました。S&P500は+0.86%、Dow30は+0.98%、NASDAQは+0.96%でした。VIX指数も15.87まで低下しており、前日まで続いていた緊張がいったん和らいだ一日です。
ただし、私は今回の上昇だけを見て、市場の不安要因が解消したとは考えていません。8月のCPIは前月比+0.4%、前年比+3.4%となり、コアCPIも前月比で市場予想を上回りました。インフレの粘り強さを受け、FRBが次回会合で利上げする確率は約90%まで上昇しています。米10年国債利回りも4.975%となり、節目の5%が目前です。
米国債利回りが5%を超えると、株式を売って国債へ移した方がよいのではないかと考えたくなります。しかし、国債の5%は満期まで保有した場合の確定利回りであり、S&P500は企業利益の成長と配当を取り込む変動資産です。同じ5%でも性質が違うため、数字だけで単純に比較することはできません。
金利上昇は株式の評価を押し下げ、短期的な調整を招くことがあります。しかし、S&P500を構成する企業が利益を伸ばし続ければ、株価には長期的な成長余地があります。金利が5%を超えたという理由だけで、S&P500を売却する必要はないと私は考えています。将来の株価上昇を保証するものではありませんが、過去にも高金利の時期を乗り越えながら、米国企業は成長してきました。
この日の特徴は、AI投資の資金がNVIDIAのような半導体大手だけでなく、Dell Technologies、Hewlett Packard Enterprise、NetAppなどへ広がったことです。一方、週間ではNVIDIAやMicrosoftが下落し、AMDやIntelが大きく上昇しました。AI関連の中でも、買われる銘柄が入れ替わっています。こうした主役交代を事前に当て続けるのは難しく、ETFで成長分野を広く保有する意味を改めて感じました。
個別株では、業績が良くても市場の期待に届かなければ大きく売られます。反対に、それまで注目されていなかった企業が、突然AI関連の主役になることもあります。次に上がる銘柄を追い続けるより、S&P500やNASDAQ100などのETFを通じて、成長する企業が自然に組み入れられる仕組みを利用する方が、私には合っています。ただし、株式を持ち続けるには準備が必要です。今後数年以内に使う生活資金まで株式に投じていると、相場が下落した時に安値で売らざるを得なくなります。生活に必要な現金を確保し、債券も組み合わせておけば、株価が下がった局面でも落ち着いて保有を続けられます。長期投資で重要なのは、最大の利益を狙うことより、途中で市場から退場しないことだと思っています。
中東情勢による原油高は、物価、金利、企業利益を同時に揺らします。数字の裏側では多くの方が命や生活を脅かされています。一日も早く、イラン問題をはじめとする地政学的リスクが治まり、平穏が戻るよう祈りたいと思います。
来週はFRBの判断で相場が大きく動く可能性があります。短期的な予想に合わせて売買を繰り返すより、生活に必要な現金を確保したうえで、市場に居続ける姿勢を大切にします。金利が5%を超えても慌ててS&P500を手放さず、米国企業の利益成長が続いているかを冷静に確認していきます。
投資は自己責任にてお願いします。
S&P500ヒートマップ
5%以上上昇したS&P500構成銘柄
9月11日は、Oracleの好決算をきっかけに、AIサーバー、企業向けストレージ、ネットワーク機器、半導体などへ買いが広がりました。特にDell TechnologiesとHewlett Packard Enterpriseの上昇が目立ち、AI投資の対象が半導体からITインフラ全体へ広がっていることを示しています。
- HPE:Hewlett Packard Enterprise +12.44%
OracleがAIクラウド契約の急増と好決算を発表したことで、企業向けAIサーバー需要への期待が強まりました。HPEはサーバー、ネットワーク、クラウド基盤を提供しており、AIデータセンター投資の主要な受益企業として買われました。 - DELL:Dell Technologies +11.98%
AIサーバー需要の拡大期待から急伸し、株価は過去最高値圏に上昇しました。OracleのAI関連受注が市場予想を上回ったことで、企業のAI設備投資が今後も続くとの見方が強まり、サーバー大手のDellに資金が集まりました。 - NTAP:NetApp +8.54%
AI処理に必要な企業向けデータ保存設備への需要拡大が期待されました。生成AIでは大量のデータを高速かつ安全に保存する必要があります。AI投資の恩恵がサーバーだけでなく、ストレージ(データ保存装置)にも広がるとの見方から上昇しました。 - ON:ON Semiconductor +8.51%
半導体株全体への資金流入に加え、データセンターや産業機器で使われる電力制御半導体への需要期待から買われました。AI設備の増加には効率的な電力管理が欠かせず、同社の省電力技術が評価されたと考えられます。 - HPQ:HP Inc. +8.40%
証券会社による新規評価に加え、法人向けパソコンの更新需要やAIパソコンの普及期待が株価を押し上げました。Oracleの好決算を受けて企業のIT投資に対する安心感が広がり、パソコン関連企業にも買いが波及しました。 - CDW:CDW Corporation +7.85%
企業や官公庁向けにパソコン、サーバー、ネットワーク機器を販売する同社は、法人のIT投資回復を期待する買いを集めました。AI導入には機器の購入だけでなく、設定や運用支援も必要となるため、総合的なIT販売会社にも恩恵が及びます。 - SMCI:Super Micro Computer +7.28%
AIサーバー関連株への買いが強まる中で上昇しました。同社は高性能GPUを搭載するサーバーと冷却設備を提供しています。株価変動の大きい銘柄ですが、AIデータセンター投資が続くとの期待が再び優勢となりました。 - FLEX:Flex +7.19%
データセンター向け機器や電力関連設備を受託製造する企業として買われました。AIインフラ投資では、サーバーだけでなく電源、通信機器、冷却設備など幅広い製品が必要です。AI設備投資の裾野の広さを反映した上昇となりました。 - FIX:Comfort Systems USA +6.29%
データセンター建設に欠かせない空調、冷却、電気設備工事への需要拡大が評価されました。AIサーバーは大量の熱を発生させるため、高性能な冷却設備が必要です。AI投資が建設設備会社の受注拡大につながるとの期待が続いています。 - ANET:Arista Networks +5.61%
AIデータセンター向け高速ネットワーク需要への期待から上昇しました。多数のGPUを連携させるには、大量のデータを遅延なく送る通信設備が必要です。OracleのAIクラウド事業拡大を受け、ネットワーク投資も増えるとの見方が強まりました。 - FISV:Fiserv +5.42%
金融機関向け決済システムや店舗向け決済端末を提供する同社には、これまでの下落に対する買い戻しが入りました。新たな大型材料は限られていましたが、割安感を意識した資金流入が株価を押し上げたとみられます。 - MRNA:Moderna +5.38%
バイオ医薬品株への買い戻しを背景に上昇しました。新型コロナワクチンへの依存度低下が課題ですが、がん治療ワクチンを含む開発中の医薬品への期待は残っています。短期的な売られ過ぎを意識した買いも入ったと考えられます。 - IT:Gartner +5.26%
企業のAI導入やIT投資が拡大すれば、技術調査とコンサルティングへの需要も増えるとの期待から上昇しました。Oracleの決算は、企業のAI投資が減速していないことを示し、IT分野の調査会社にも買いが波及しました。 - PWR:Quanta Services +5.15%
データセンターの増設に伴う発電所、送電網、変電設備への投資拡大が期待されました。AI設備は大量の電力を消費するため、電力インフラの増強が不可欠です。AI投資の恩恵を受ける工業・産業(Industrials)銘柄として買われました。 - SWKS:Skyworks Solutions +5.14%
半導体株への買いが広がる中、通信機器向け半導体を扱う同社も上昇しました。スマートフォン市場の回復期待に加え、通信、自動車、産業機器向け事業の拡大が注目され、これまで出遅れていた銘柄への資金移動も株価を支えました。 - JBL:Jabil +5.05%
AIサーバー、ネットワーク機器、データセンター関連製品の受託製造拡大が期待されました。AI設備投資が増えるほど部品調達や製造を担う企業の受注も増えます。AI関連需要が製造業まで広がっていることを示す上昇となりました。
5%以上下落したS&P500構成銘柄
該当銘柄はありませんでした。
セクター別騰落率
市場全体では11セクター中9セクターが上昇し、前日までの警戒相場から買い戻しが広がった。AI関連の好材料を受け、サーバー、通信設備、電力工事などへ資金が流入したほか、大型インターネット株や一般消費関連株も堅調であった。一方、原油価格の反落でエネルギー(Energy)は伸び悩み、公益事業(Utilities)とヘルスケア(Healthcare)には資金移動に伴う売りが出た。景気敏感株を中心としたリスクオン(投資家が積極的にリスクを取る状態)の相場である。
- 工業・産業(Industrials) +1.31%
11セクター中で最大の上昇となった。航空機関連のBoeingや特殊産業機器に加え、Quanta Services、Comfort Systems USAなど、データセンター建設や電力設備を担う企業が買われた。AI投資にはサーバーだけでなく、建物、送電網、冷却設備も必要である。AI設備投資の拡大が実際の建設需要へ波及するとの期待を映した上昇であった。 - 通信サービス(Communication Services) +1.29%
Alphabetが+1.75%、Amazonが+1.49%となり、大型インターネット企業がセクターを押し上げた。AIを活用した検索、広告、クラウドサービスの成長期待に加え、市場全体の反発によって大型グロース株へ資金が戻った。Netflixや通信会社も堅調で、広告から映像配信、通信まで幅広く買われた点に、投資家心理の改善が表れている。 - 先端技術(Technology) +1.11%
Oracleの好決算をきっかけに、Dell Technologies、Hewlett Packard Enterprise、Arista Networksなどが大幅に上昇した。AIクラウドの受注拡大が、サーバー、ストレージ、ネットワーク機器への需要を裏付けた形である。一方、NVIDIAやMicron Technologyは小幅安となり、AI関連なら一律に買われるのではなく、出遅れていたインフラ銘柄へ資金が移った。 - 一般消費材(Consumer Cyclical) +1.10%
Amazonの上昇がセクター全体を牽引し、TeslaやHome Depotにも買いが入った。米国の物価上昇圧力は残っているものの、景気が急速に悪化するとの不安は後退し、消費関連株を買い戻す動きが優勢となった。ただし、高金利が住宅、自動車、耐久消費財の需要に与える影響は続くため、全面的な消費回復を織り込んだ上昇とまでは言いにくい。
主要3指数とドル円の動き
- S&P500(7,656.98、前日比+0.86%)
S&P500は4営業日続落後の買い戻しが入り、幅広い銘柄が上昇しました。原油価格が高値から反落したことで、インフレと企業コストへの警戒がいったん和らぎました。Oracleの好決算を受け、AI投資の恩恵がサーバー、ストレージ、通信設備へ広がった点も市場全体を押し上げています。ただし、米国の物価上昇圧力は残っており、長期投資家としては1日の反発だけで強気一辺倒にならず、金利と原油の動きを見ておきたい局面です。 - Dow30(52,573.29、前日比+0.98%)
Dow30は主要3指数の中で最も大きく上昇しました。前日まで売られていた景気敏感株に加え、大型IT株や金融株などにも買いが入り、相場の回復が一部のAI銘柄だけにとどまらなかったことが特徴です。原油価格の反落によって輸送費や原材料費の上昇に対する不安もやや後退しました。私は、NASDAQだけでなくDow30も上昇する日は市場の資金循環が比較的良好だと感じます。ただし、週を通じてみれば中東情勢と金利上昇への警戒は残っています。 - NASDAQ(26,333.04、前日比+0.96%)
NASDAQはOracleの決算を受け、AIサーバーやデータセンター関連を中心に反発しました。Dell Technologies、Hewlett Packard Enterprise、NetAppなどが大幅に上昇し、AI投資の主役がGPUだけでなく、サーバー、通信、データ保存設備へ広がっています。一方、AI設備投資に対する期待が大きいほど、受注や利益率が予想を下回った場合の株価調整も大きくなります。長期投資家としては、AI需要の成長を評価しながらも、企業ごとの収益力を冷静に見分けたい相場です。 - ドル円(153.681円、前日比-0.44%)
ドル円は154.366円で始まり、一時154.617円まで上昇した後、153.234円まで円高が進みました。米国の物価指標を受けてFRBの利上げ観測が強まったものの、日本では日銀の追加利上げ観測が続き、日米当局による円安けん制も円買いを促しました。原油価格の反落で日本の輸入負担が軽くなるとの安心感も加わり、米金利上昇だけではドル高を維持できませんでした。米国株を円建てで保有する投資家にとっては、株高の一部が円高で相殺される動きです。
原油先物・米10年国債利回り・VIX・金先物の動き
- WTI原油先物(100.25ドル、前日比-2.18%)
WTI原油先物は104.46ドルまで上昇した後、100.25ドルへ反落しました。ホルムズ海峡をめぐる緊張緩和に向けた協議への期待から、供給途絶を見込んだ買いが巻き戻されました。ただし、週間では8%を超える上昇であり、中東の石油施設や輸送航路への攻撃も続いています。100ドル台の原油はインフレと企業コストを押し上げるため、米国株にとって依然として大きな不安要因です。 - 米10年国債利回り(4.975%、前日比+0.63%)
米10年国債利回りは一時4.985%まで上昇し、節目となる5%へ接近しました。米国の消費者物価が強く、FRBによる利上げ観測が高まったことに加え、米国債の買い戻し規模が市場の期待に届かなかったことも金利上昇につながりました。高金利は将来の利益を重視するグロース株には逆風ですが、この日はAI関連企業の成長期待が勝りました。株高と金利上昇が同時に進んだ点には注意が必要です。 - VIX指数(15.87、前日比-11.04%)
VIX指数は17.71から15.87へ大幅に低下しました。原油価格の反落と主要3指数の上昇により、投資家の短期的な不安が急速に後退したことを示しています。一般に20を下回る水準は市場が比較的落ち着いている状態ですが、中東情勢や米10年国債利回りの5%接近という危険要因は残っています。長期投資家としては、VIX低下を安心材料としながらも、急変への備えは外せないと感じます。 - 金先物(4,392.60ドル、前日比-0.33%)
金先物は一時4,444.90ドルまで上昇したものの、終盤に売られて小幅安となりました。中東情勢を背景とした安全資産需要は続いていますが、米10年国債利回りが5%目前まで上昇したため、利息を生まない金の相対的な魅力が低下しました。それでも4,300ドル台を維持しており、インフレ、財政不安、地政学的リスクに備える資金は残っています。株高の裏側で投資家の警戒が完全には消えていないことを示しています。
私のポートフォリオ -0.13%(前日比)
私のポートフォリオは-0.13%でした。S&P500連動ETFは-0.21%から+0.02%までの小幅な動きにとどまり、FANG+は-0.27%、NASDAQ100は-0.37%となりました。一方、連続増配株ETFは+0.10%で、値動きをわずかに和らげています。米国市場では主要3指数がそろって上昇しましたが、国内ETFや投資信託には前日の米国市場の下落や円高の影響が時間差で反映されています。指数の動きと自分の評価額が一致しない日もありますが、ETF中心の長期運用では珍しいことではありません。短期のずれには手を加えず、引き続き淡々と保有します。
経済指標発表結果
- 消費者物価指数(CPI、前月比+0.4%、前年比+3.4%)
8月のCPIは前月比+0.4%、前年比+3.4%となり、いずれも市場予想と一致しました。ただし、前年比の伸びはFRBが目標とする2%を大きく上回っており、インフレが再び強まる不安は消えていません。FRBが次回会合で利上げする確率は約90%まで上昇し、米10年国債利回りは5%目前へ上昇しました。それでも原油反落と企業業績への期待が勝り、米国株は上昇しています。 - コアCPI(前月比+0.3%、前年比+2.4%)
食品とエネルギーを除くコアCPIは、前月比+0.3%と市場予想の+0.2%を上回りました。一方、前年比は予想通り+2.4%となり、前回の+2.5%からわずかに鈍化しています。基調的なインフレは改善しているものの、1カ月の伸びはやや強く、FRBが利上げを見送るほど安心できる内容ではありません。高金利に弱いグロース株には本来逆風ですが、この日はAI関連企業の成長期待が上回りました。 - ミシガン大学期待インフレ率(1年先+4.6%、5年先+3.4%)
1年先の期待インフレ率は予想+4.2%に対して+4.6%、5年先も予想+3.3%に対して+3.4%となりました。期待インフレ率は、消費者が将来の物価上昇をどの程度見込んでいるかを示します。予想が高まると企業の値上げや賃上げ要求が続きやすく、FRBは実際の物価以上に警戒します。原油価格が週間で大幅に上昇した影響もあり、利上げ観測と米国債利回りの上昇につながりました。 - ミシガン大学消費者信頼感指数(45.8)
9月の消費者信頼感指数は45.8となり、市場予想の50.5と前回の51.5を大きく下回りました。物価上昇と高金利が家計心理を冷やしており、今後の個人消費が鈍る可能性を示しています。インフレが強い一方で消費者心理が悪化する組み合わせは、FRBにとって難しい状況です。長期投資家としては、景気後退を直ちに示す数字ではないものの、米国経済の強さを過信しないための警告と受け止めています。 - 実質賃金(前月比+0.2%)
物価変動を差し引いた実質賃金は前月比+0.2%となり、前回の+0.1%から伸びが拡大しました。消費者心理は悪化していますが、購買力そのものはわずかに改善しており、米国の個人消費が急速に崩れる状況ではありません。企業収益にはプラスですが、賃金と消費が底堅ければインフレも長引きやすくなります。株式市場には景気の安心感を与える一方、利上げ観測を残す二面性のある結果でした。
主要銘柄の決算発表結果
- KR:The Kroger Co.(生活必需品・Consumer Defensive)
Krogerの調整後EPSは1.09ドルとなり、市場予想の1.06ドルを上回りました。売上高は346億ドルで、予想の346.5億ドルをわずかに下回っています。燃料を除く既存店売上高は+0.2%にとどまり、年間見通しも+0.2%~+0.8%へ引き下げました。それでも通期利益予想を維持し、コスト削減や利益率の高いネット販売・広告事業が評価され、株価は+2.70%となりました。時間外取引は58.49ドルで横ばいでした。
主な経済ニュース
- 米インフレ再加速でFRB利上げ確率が約90%へ上昇
8月の消費者物価指数は前月比+0.4%、前年比+3.4%となり、コアCPIも前月比で市場予想を上回りました。ガソリン価格や航空運賃などの上昇が目立ち、インフレの粘り強さが改めて示されています。市場が見込む次回会合での利上げ確率は約90%へ上昇しました。それでも株価が上昇したのは、数値が最悪の想定を超えず、企業利益への期待が勝ったためです。(Reuters:09/11) - 米10年国債利回りが5%目前まで上昇
米10年国債利回りは一時4.98%台へ上昇し、2023年以来となる5%突破が現実味を帯びました。インフレと原油高に加え、米国の財政赤字、国債発行の増加、政府の国債買い戻しが期待ほど大きくなかったことも影響しています。5%を超える国債利回りは株式の相対的な魅力を低下させます。現在の株高は企業利益への期待で持ちこたえていますが、長期投資家として無視できない水準です。(Reuters:09/11) - 原油は反落しても週間では8%超上昇
WTI原油先物は100ドル台へ反落しました。ホルムズ海峡の通航をめぐり外交協議が進む可能性が報じられ、供給途絶を見込んだ買いが巻き戻されています。しかし、週間上昇率は8%を超え、サウジアラビアの石油施設や紅海周辺の輸送航路への攻撃も続いています。米国の軽油価格は1ガロン6ドルを超えており、輸送費を通じて物価と企業収益を圧迫する危険は残っています。(Reuters:09/11) - OracleのAI受注拡大がITインフラ株へ波及
OracleはAIクラウド契約を新たに300億ドル以上獲得し、受注残高が6,640億ドルへ拡大しました。顧客による前払いなどで自社の設備投資負担を抑えられる案件が多く、資金流出への不安もやや後退しています。この決算を受け、Dell Technologies、Hewlett Packard Enterprise、NetAppなどが急伸しました。AI投資の主役がGPUからサーバー、通信、データ保存設備へ広がった一日です。(Reuters:09/11) - 米国株ファンドから322.7億ドルが流出
9月9日までの1週間に、米国株ファンドから322.7億ドルが流出し、9カ月ぶりの大きさとなりました。特に大型株ファンドの流出額は404.4億ドルに達しています。原油高によるインフレ再燃と利上げへの警戒から、投資家が現金や短期債へ資金を移したためです。一方、先端技術や金融のセクターファンドには資金が入りました。指数全体を売りながら成長分野を選別する動きが見えます。(Reuters:09/11) - 消費者心理が悪化し期待インフレ率は上昇
ミシガン大学の消費者信頼感指数は47.8となり、前回の51.7から低下しました。一方、1年先の期待インフレ率は4.0%から4.6%へ上昇しています。物価高と貿易摩擦によって、家計が今後の生活負担を強く警戒している状態です。個人消費は米国経済の約7割を占めるため、心理悪化が実際の支出削減へ進むかが重要です。景気減速とインフレが同時に進む展開には注意が必要です。(Reuters:09/11) - UAEが5ギガワット級AIデータセンター計画を分散化
UAEはイランによる攻撃を受け、アブダビに集中させる予定だった大型AIデータセンターを国内各地へ分散する方向で見直しています。地下化、耐爆構造、防空設備も検討されており、AIインフラに新たな安全対策費が加わります。データセンターは電力と冷却だけでなく、軍事攻撃や通信障害への備えも必要な重要インフラになりました。建設費は増えますが、電力・設備・防衛関連には新たな需要となります。(Reuters:09/11) - 米上院が高度AI企業への安全管理義務を検討
米上院では、最先端AIを開発する企業に重大な危険を防ぐ注意義務を課す法案が検討されています。核兵器や生物兵器、サイバー攻撃への悪用を防ぐため、国立研究所による安全試験や、危険なモデルの公開停止を可能にする内容です。規制は開発費を増やす一方、連邦基準が統一されれば州ごとの規制対応は軽くなります。AI企業の競争力を左右する新たな評価項目になりそうです。(Reuters:09/11) - AnthropicがAIによる兵器研究とサイバー攻撃への悪用を遮断
Anthropicは、Claudeが生物兵器研究、軍事設備の弱点調査、監視活動、欧州企業へのサイバー攻撃などに悪用された事例を公表しました。関連する利用を早期に発見し、アカウントを停止したとしています。AIの性能向上は企業の生産性を高める一方、悪用を監視する費用と法的責任も増やします。投資家はAI企業を成長率だけでなく、安全管理能力や政府との信頼関係から評価する必要があります。(Reuters:09/11) - ロシア制裁法案が中国・インドへの高関税リスクを高める
米下院は、ロシア産エネルギーを購入する国に高関税を課す権限を大統領へ与える制裁法案を審議する予定です。対象には中国やインドのほか、米国の同盟国が含まれる可能性もあります。成立すればロシアへの圧力は強まりますが、原油調達と国際貿易が混乱し、米国内の物価をさらに押し上げかねません。関税、原油、インフレ、金利が連鎖するため、米国株全体に影響する地政学的リスクです。(Reuters:09/11)
今週の動き
- 今週の個別銘柄ヒートマップ総括
今週はS&P500とNASDAQが週間で下落しましたが、個別銘柄ではAI関連の主役交代が鮮明でした。NVIDIAが-4.45%、Microsoftが-2.84%となる一方、AMDは+13.15%、Intelは+12.29%、Dell Technologiesは+9.86%、Hewlett Packard Enterpriseは+10.16%でした。GPU大手から、サーバー、通信、電力制御などAIインフラへ資金が移っています。原油高と金利上昇で市場全体は慎重でも、AI投資そのものへの期待は崩れていないと感じます。 - 今週のセクター別騰落率総括
セクター別ではエネルギー(Energy)が+1.01%、先端技術(Technology)が+0.75%となり、上昇は2セクターだけでした。中東の供給不安による原油100ドル台と、AIインフラ投資が資金の受け皿となっています。一方、ヘルスケア(Healthcare)は-4.70%、素材(Basic Materials)は-3.46%、一般消費材(Consumer Cyclical)は-2.63%でした。インフレ再加速と米10年国債利回りの5%接近により、景気や金利に弱い分野から資金が逃げた、選別色の強い1週間でした。
経済指標発表予定
以下の経済指標が発表される予定です。
主要銘柄の決算発表予定
9/14まで該当銘柄の決算発表は予定されていません。
おわりに
米国株市場は、原油価格が反落した安心感とAI関連企業への期待から、週末にそろって上昇しました。しかし、週間ではS&P500とNASDAQが下落しており、米10年国債利回りも5%目前です。表面上の株高だけを見て、警戒が解けたとは言い切れません。それでも、AI投資の資金がサーバー、通信、電力、冷却設備へ広がっていることは確認できました。相場の主役が入れ替わるたびに売買するより、ETFを通じて米国企業全体の成長を持ち続ける方が、私には合っています。
今週もお読みいただき、ありがとうございました。来週はFRBの金融政策が大きな焦点です。市場が揺れても慌てず、事実を一つずつ確かめていきます。
それでは、良い週末になるように、明るく元気に笑顔で過ごしましょう。
毎朝の市場整理を今後も続けていくため、記事がお役に立ちましたらこちらから応援いただけると嬉しいです。
投資は自己責任にてお願いします。
おことわり
投資は自己責任にてお願いします。
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図表のレファレンス
- S&P500ヒートマップ: finviz
- 主要3指数とドル円: Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
- セクター別騰落率: finviz
- 経済指標結果/予定: investing.com日本語版
- 決算発表結果/予定: investing.com日本語版
- 主要指数の動き : Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
- 自分の米ドル建ポートフォリオ: Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
著者プロフィール
室井一夫(Kazuo Muroi)
Muroi Universal Research on Investment LLC 代表社員
一級建築士・建築1級施工管理技士・工学修士
Facebookグループ「米国株_投資の部屋」管理人(約4.7万人)
米国株式市場と経済動向に関する情報を毎日発信しています。
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