室井のマーケット視点
7月22日の米国株式市場は、S&P500が-0.14%、Dow30が-0.01%、NASDAQが-0.57%となりました。主要3指数だけを見ると小幅安ですが、市場内部では大きな資金移動が起きています。
この日の特徴は、AI関連株が一斉に売られたのではなく、半導体、AIサーバー、電力、素材へ資金が移ったことです。NVIDIA、Broadcom、AMDが上昇し、Super Micro Computerは+19.84%、Dell Technologiesは+9.32%となりました。一方、ServiceNow、Workday、Palantirなど、株価評価の高いソフトウェア株は大きく下落しました。
これはAI需要の失速ではないと考えています。企業のIT予算が、従来型ソフトウェアからAIサーバー、メモリー、ストレージ、高速通信網へ移っているためです。AIを動かすにはGPUだけでなく、電力、通信、冷却、非常用電源まで必要です。公益事業(Utilities)が+2.15%、素材(Basic Materials)が+1.92%、エネルギー(Energy)が+1.36%となった動きは、AI投資の恩恵が設備と資源へ広がっていることを示しています。
とはいえ、成長テーマに乗っているだけでは株価は上がりません。GE Vernovaは電力設備需要が強く、売上高も予想を上回りましたが、利益が市場予想に届かず-8.69%となりました。CorningもAIデータセンター向け光通信需要への期待は続いていますが、株価水準の高さから-5.14%です。将来期待よりも、現在の利益、現金収入、利益率、株価水準によって企業を選別する相場が続いています。
中東情勢の緊迫化も無視できません。WTI原油先物は+2.51%の86.46ドル、米10年国債利回りは4.657%へ上昇しました。原油高がインフレを再び押し上げれば、FRBの利下げは遠のき、高PER(株価収益率が高い)銘柄には厳しい環境となります。米20年国債入札の利回りが5.163%まで上昇した点も、長期金利への警戒が必要であることを示しています。
一方、恐怖指数と呼ばれるVIX指数は16.64まで低下し、20を下回っています。市場全体が恐怖状態にあるわけではありません。株式から一斉に資金が逃げたのではなく、通信サービスやソフトウェアから、半導体、電力、素材、エネルギーへ資金が移ったと見る方が自然です。金先物が+1.58%となったことから、投資家は株式市場に残りながら、地政学リスクにも備えています。
私は個別株の急騰や急落を追いかけるより、ETFを通じて米国企業全体の利益成長を取り込む方が自分に合っています。この日のように、同じAI関連でも+19%と-8%が同時に発生する相場では、銘柄を当てることよりも、市場に居続けることの方が重要です。
指数の小幅下落よりも、資金がどこからどこへ移ったのか。7月22日は、AI相場が終わったのではなく、半導体からサーバー、電力、素材へ広がりながら、利益と株価水準による企業選別が一段と厳しくなった一日だったと見ています。
投資は自己責任にてお願いします。
S&P500ヒートマップ
5%以上上昇したS&P500構成銘柄
- SMCI:Super Micro Computer +19.84%
AIサーバーの旺盛な需要と利益率改善への期待から、この日のS&P500構成銘柄で最大の上昇となりました。会社側は6月期の粗利益率を従来予想の8.2~8.4%から15~17%へ大幅に引き上げ、新規受注も600億ドルを超えたと説明しています。売上高よりも、採算性と受注残の改善を市場が高く評価しました。 - WAB:Westinghouse Air Brake Technologies +10.04%
鉄道車両・関連機器大手のWabtecは、売上高の増加と利益率改善を伴う好決算を発表し、2026年通期見通しも引き上げました。機関車の納入増加に加え、デジタル関連事業や買収企業の業績が寄与しています。AI関連株とは異なる工業・産業分野で、実際の受注と利益成長が確認されたことが大幅高につながりました。 - DELL:Dell Technologies +9.32%
Super Micro Computerが600億ドルを超える新規受注を公表したことで、AIサーバー市場全体の需要が改めて確認され、競合するDellにも買いが広がりました。DellもNVIDIA製GPUを組み込んだAIサーバーやラック型システムを提供しています。AI投資が半導体だけでなく、サーバー組立やデータセンター設備まで拡大する流れが続いています。 - EQT:EQT Corporation +8.45%
米国最大級の天然ガス生産会社EQTは、市場予想を上回る決算と通期フリーキャッシュフロー(事業から得た現金から設備投資を差し引いた金額)見通しの引き上げを受けて急伸しました。中流事業の統合による輸送・圧縮費用の削減も利益率改善につながっています。発電需要やLNG輸出の拡大も、天然ガス需要への期待を高めました。 - NRG:NRG Energy +6.37%
発電・電力小売りを手掛けるNRG Energyは、AIデータセンターの増設によって米国の電力需要が長期的に拡大するとの期待から買われました。生成AIには大量の電力が必要であり、半導体やサーバーに加えて発電能力を持つ企業にも資金が向かっています。単なる公益事業株ではなく、AIインフラを支える電力供給企業として評価が高まりました。 - EXE:Expand Energy +5.18%
米国最大級の天然ガス生産会社であるExpand Energyは、中東情勢の緊迫化によるエネルギー供給不安と、発電向け天然ガス需要の増加を背景に上昇しました。AIデータセンターの電力消費拡大により、天然ガス火力発電の役割が高まるとの予想もあります。原油高だけでなく、米国内の電力需要を見込んだ天然ガス関連株への資金流入が目立ちました。
5%以上下落したS&P500構成銘柄
- GEV:GE Vernova -8.69%
売上高は市場予想を上回り、通期見通しも引き上げましたが、1株利益が予想に届かず、大幅下落となりました。風力発電部門の赤字拡大や関税によるコスト増加も警戒されています。電力設備やデータセンター関連の受注は好調ですが、株価が過去1年間で大きく上昇していたため、好材料より利益率や株価水準が厳しく評価されました。 - NOW:ServiceNow -6.47%
決算発表を控え、企業向けソフトウェア株への警戒から売られました。生成AIへの投資が続く一方、顧客企業の予算が従来型ソフトウェアからAIサーバーやデータ基盤へ移る可能性もあります。成長力の高い企業ですが、PER(株価収益率)が高く、市場の期待を少しでも下回れば株価が大きく動きやすい状態です。 - PTC:PTC Inc. -6.34%
製造業向け設計・管理ソフトウェアを提供するPTCは、ソフトウェア株全体への売りに巻き込まれました。企業がAI関連設備への投資を優先する中、従来型ソフトウェアの契約更新や新規導入が遅れるとの警戒があります。ただし、製品設計や製造工程のデジタル化は長期的に必要であり、事業基盤そのものが急に弱まったわけではありません。 - WDAY:Workday -6.20%
人事・会計クラウドを提供するWorkdayは、企業向けソフトウェア株からの資金流出を受けて下落しました。AI機能の強化を進めていますが、市場は追加投資に見合う売上成長や利益率改善を求めています。高いPERを維持するには継続的な成長が必要であり、決算前後には期待値を調整する売りが出やすい銘柄です。 - PLTR:Palantir Technologies -6.10%
AI関連の代表銘柄であるPalantirは、PERが140倍を超える高い株価水準から利益確定売りが入りました。政府機関や民間企業向けのAI需要は拡大していますが、将来の高成長をかなり先まで織り込んだ株価となっています。この日の半導体株上昇とは対照的に、AI関連でも現在の利益と株価水準による企業選別が続いています。 - COIN:Coinbase Global -5.53%
暗号資産交換業者のCoinbaseは、暗号資産市場の値動きと取引量への警戒から下落しました。同社の収益は売買手数料の影響を受けやすく、暗号資産価格が伸び悩む局面では業績への懸念が強まりやすくなります。PERも60倍を超えており、金融株の中でも値動きが大きい銘柄として、投資家がリスクを抑える動きが表れました。 - DASH:DoorDash -5.48%
料理宅配サービス大手のDoorDashは、高い株価評価への警戒から売られました。売上成長は続いていますが、配達員への報酬、販促費、規制対応などのコストが利益率を左右します。原油価格の上昇は配送費用の増加につながる可能性もあります。消費関連サービスとしての成長期待は残るものの、利益成長との釣り合いが改めて問われました。 - TYL:Tyler Technologies -5.14%
地方自治体向け業務ソフトウェアを提供するTyler Technologiesは、ソフトウェア株全体の下落に連れて売られました。行政機関との長期契約が多く、比較的安定した収益基盤を持つ一方、PERは約39倍と低くありません。市場の資金が半導体、AIサーバー、電力設備へ向かう中、安定成長型ソフトウェアから一部資金が移動しました。 - GLW:Corning -5.14%
光ファイバーや特殊ガラスを手掛けるCorningは、これまでの上昇に対する利益確定売りで下落しました。AIデータセンターでは高速通信網の整備が不可欠であり、中長期の需要期待は続いています。ただし、PERが70倍を超える水準まで上昇していたため、好材料をかなり織り込んでいました。AIインフラ関連でも株価水準を見直す動きが出ています。
セクター別騰落率
市場全体では、公益事業(Utilities)、素材(Basic Materials)、エネルギー(Energy)が大きく上昇する一方、通信サービス(Communication Services)は下落しました。原油高と電力需要拡大を背景に、資金はエネルギー供給や社会インフラ関連へ移動しています。半導体株には買いが入ったものの、大型インターネット株が下落し、指数全体は小動きでもセクター間の差が大きい一日となりました。
- 公益事業(Utilities) +2.15%
公益事業は全セクター中で最大の上昇となりました。AIデータセンターの増設に伴う電力需要の拡大に加え、景気や企業業績の変動を受けにくい安定性も評価されました。従来の高配当・防御型セクターという位置づけだけでなく、発電所、送電網、蓄電設備を含むAIインフラ関連として資金が流入しています。 - 素材(Basic Materials) +1.92%
素材は金属・鉱山関連を中心に上昇しました。AIデータセンターや送電網の整備には、銅、アルミニウム、特殊素材が大量に必要となります。原油や金など商品価格の上昇も資源株への関心を高めました。AI投資の恩恵が半導体だけでなく、電力設備や建設に必要な基礎素材へ広がっていることを示す値動きです。 - エネルギー(Energy) +1.36%
エネルギーはWTI原油先物の上昇を受け、石油・天然ガス関連株が買われました。中東情勢による供給不安に加え、発電需要やLNG(液化天然ガス)輸出の増加期待もあります。原油高はエネルギー企業の収益改善につながる一方、インフレ再加速や企業コスト増加の要因にもなるため、株式市場全体には複雑な影響を与えます。 - 通信サービス(Communication Services) -1.40%
通信サービスは大型インターネット企業を中心に下落しました。AlphabetやMeta Platformsへの売りがセクター全体を押し下げ、AI関連でも広告、検索、SNS企業より半導体や電力インフラへ資金が移りました。生成AIへの設備投資負担が増える中、市場は売上成長だけでなく、投資額を上回る利益を確保できるかを厳しく見ています。
主要3指数とドル円の動き
- S&P500(7,498.96、前日比-0.14%)
S&P500は小幅に下落しました。NVIDIAやAMDなど半導体株は上昇しましたが、Alphabet、Meta Platforms、Microsoft、Amazonなど大型株の下落が相殺しました。公益事業や素材、エネルギーへ資金が移る一方、企業向けソフトウェア株には売りが広がっています。指数は小動きでも、市場内部では決算内容、利益率、株価水準による企業選別が進んだ一日でした。 - Dow30(52,218.58、前日比-0.01%)
Dow30はほぼ横ばいで取引を終えました。GE Vernovaが決算発表後に大幅下落した一方、Johnson & Johnson、Chevron、JPMorgan Chaseなどが上昇し、指数の下落を抑えました。原油高を受けてエネルギー株が買われ、金融株にも底堅さが見られています。景気敏感株と安定収益株を併せ持つDow30らしく、NASDAQより値動きの小さい展開となりました。 - NASDAQ(25,690.90、前日比-0.57%)
NASDAQは主要3指数で最も大きく下落しました。半導体株は反発しましたが、AlphabetやMeta Platformsなどの大型インターネット株に加え、ServiceNow、Workday、Palantirなど企業向けソフトウェア株が下落しました。AI需要そのものが弱まったというより、企業の投資資金が半導体、サーバー、電力設備へ向かい、株価評価の高いソフトウェア企業が厳しく選別されたと見ています。 - ドル円(163.1420円、前日比-0.00%)
ドル円は163円台前半でほぼ横ばいとなりました。中東情勢の緊迫化と原油高による米国のインフレ再加速懸念から、米金利の高止まりを見込むドル買いが続いています。一方、約40年ぶりの円安水準に達したことで、日本政府による為替介入や日銀の追加利上げへの警戒も強まり、円売りの勢いは抑えられました。日本の米国株投資家にとって、円建て評価額を押し上げる一方、為替反転にも注意が必要な水準です。
原油先物・米10年国債利回り・VIX・金先物の動き
- WTI原油先物(86.46ドル、前日比+2.51%)
WTI原油先物は大幅に上昇しました。米国とイランの対立が激しくなり、ホルムズ海峡や紅海を通る原油輸送への不安が強まっています。原油高はエネルギー企業の収益にはプラスですが、輸送費や製造コストを押し上げ、インフレの再加速につながります。株式市場ではエネルギー株が買われる一方、消費関連株には慎重な見方が残りました。 - 米10年国債利回り(4.657%、前日比+0.63%)
米10年国債利回りは4.657%へ上昇し、約2カ月ぶりの高水準となりました。原油価格の上昇によってインフレが長引き、FRBが政策金利を高く保つとの予想が強まっています。長期金利の上昇は、将来の利益を高く評価されているソフトウェア株や高PER(株価収益率が高い)銘柄に厳しく、企業の利益と株価水準を選別する動きを強めました。 - VIX指数(16.64、前日比-2.40%)
恐怖指数と呼ばれるVIX指数は低下し、16.64で取引を終えました。S&P500やDow30が小幅安にとどまり、投資家が株式市場全体の急落までは想定していないことを示しています。ただし、取引時間中には19.49まで上昇しており、中東情勢や原油高への警戒が消えたわけではありません。20未満のため、全面的な恐怖状態ではないと見ています。 - 金先物(4,140.70ドル、前日比+1.58%)
金先物は大きく上昇しました。ドルの下落に加え、米国とイランの対立や原油輸送への不安から、安全資産として金を保有する動きが強まりました。米金利上昇は利息を生まない金に不利ですが、この日は地政学リスクへの備えが上回っています。株式、原油、金が同時に上昇する局面では、市場が成長期待とインフレ不安の両方を抱えていると考えています。
私の米国株ポートフォリオ
私の米国株ポートフォリオは+0.48%となりました。前日の米国市場でS&P500とNASDAQが上昇した動きが、日本市場で取引されるETFや投資信託へ反映されています。特にeMAXIS Slim米国株式(S&P500)が+1.29%と大きく上昇し、ポートフォリオ全体を押し上げました。S&P500連動ETFは+0.17~0.43%、NASDAQ100とFANG+も小幅高となり、米国株全体へ分散する効果を感じる一日でした。GX超短期米国債も+0.36%と堅調です。
個別企業の急落が目立つ相場でも、ETF中心であれば影響を抑えられます。指数の上昇率だけを追わず、長期的な企業利益の成長を見ながら保有を続けます。
経済指標発表結果
- 米週間原油在庫(+201.0万バレル、予想-200.0万バレル、前回-169.2万バレル)
原油在庫は市場予想の減少に反して、201.0万バレル増加しました。本来であれば原油価格を押し下げやすい結果ですが、この日は中東情勢への警戒が強く、供給不安の方が市場で重く受け止められました。原油高が続けば、ガソリン価格や輸送費を通じてインフレを押し上げ、FRBの利下げを遅らせる可能性があります。 - ガソリン在庫(+76.5万バレル、予想-154.0万バレル、前回-153.3万バレル)
ガソリン在庫も市場予想に反して増加しました。夏場の需要期にもかかわらず在庫が積み上がったため、米国の燃料需要が想定ほど強くない可能性を示しています。ただし、原油価格は地政学的な供給不安によって上昇しており、需要指標と価格の方向が一致しない状態です。消費者にとっては、原油高が小売価格へ波及するかが重要になります。 - クッシング原油在庫(-67.4万バレル、前回+43.0万バレル)
WTI原油先物の受け渡し拠点であるクッシングの在庫は67.4万バレル減少しました。米国全体の原油在庫が増加する一方、主要拠点では在庫が減っており、地域によって需給に差があることが分かります。クッシング在庫の減少はWTI価格を押し上げやすく、中東情勢への不安と重なって原油先物の上昇につながりました。 - EIA週間原油輸出(139.5万バレル増、前回455.6万バレル増)
米国の原油輸出は139.5万バレル増加しましたが、前回の増加幅からは大きく縮小しました。輸出の伸びが弱まれば米国内在庫は増えやすくなりますが、海外では供給不安が続いており、米国産原油への需要は維持されています。エネルギー市場では、米国内の在庫統計よりも中東からの供給途絶リスクが価格形成を左右する状態です。 - 米20年国債入札(最高落札利回り5.163%、前回4.927%)
米20年国債入札の最高落札利回りは5.163%へ上昇しました。長期国債を保有するために、投資家が前回より高い利回りを求めたことを示しています。原油高によるインフレ再加速や財政赤字への警戒が長期金利を押し上げ、NASDAQや高PER(株価収益率が高い)ソフトウェア株には売りが出ました。長期金利の5%台定着には注意が必要です。 - MBA30年住宅ローン金利(6.69%、前回6.65%)
30年固定住宅ローン金利は6.69%へ上昇しました。住宅購入申請指数は165.8と前回の157.2を上回りましたが、住宅ローン申請件数全体は前週比+1.9%にとどまっています。高金利でも住宅需要は完全には崩れていませんが、借入負担は引き続き大きく、住宅販売や家具、建材など関連消費の回復を抑える要因となります。
主要銘柄の決算発表結果
- GOOG/GOOGL:Alphabet Inc.(通信サービス)
AlphabetはEPSが9.11ドルと市場予想の2.88ドルを大幅に上回り、売上高も1,198億ドルと予想の1,165億ドルを上回りました。通常取引ではGOOGが-1.24%、GOOGLが-1.48%でしたが、時間外ではそれぞれ+0.20%、+0.03%と小幅に反発しています。好決算でも反応が限定的で、市場の期待値が非常に高いことが分かります。 - TSLA:Tesla Inc.(一般消費材)
Teslaは売上高が282.4億ドルと市場予想の255.5億ドルを上回りましたが、EPSは0.33ドルと予想の0.49ドルに届きませんでした。通常取引で-1.29%、時間外でも-2.42%となっています。販売規模よりも利益率や価格競争への警戒が強く、AI、自動運転、ロボットへの将来期待だけでは株価を維持しにくい局面です。 - PM:Philip Morris International Inc.(生活必需品)
Philip MorrisはEPSが2.20ドルと予想の2.03ドルを上回り、売上高も112億ドルと予想の106億ドルを超えました。通常取引では+3.33%と大きく上昇しましたが、時間外では-0.39%です。加熱式たばこやニコチン製品への事業転換が利益成長につながっており、景気変動に比較的強い収益力が評価されました。 - TXN:Texas Instruments Incorporated(先端技術)
Texas InstrumentsはEPSが2.09ドルと市場予想の1.92ドルを上回り、売上高も54.6億ドルと予想の52.4億ドルを上回りました。通常取引では+0.99%でしたが、時間外では-3.19%となっています。決算は堅調でも、産業機器や自動車向け半導体の回復速度について、市場がより強い見通しを求めた可能性があります。 - GEV:GE Vernova Inc.(工業・産業)
GE Vernovaは売上高が111億ドルと市場予想の107.3億ドルを上回りましたが、EPSは2.47ドルと予想の3.04ドルを下回りました。通常取引では-8.69%と大幅安となり、時間外では+0.70%です。電力設備やデータセンター向け需要は強いものの、急速な株価上昇後だけに、利益率や採算性が厳しく評価されました。 - IBM:International Business Machines Corporation(先端技術)
IBMはEPSが2.93ドルと市場予想の3.01ドルを下回り、売上高も171.6億ドルと予想の178.6億ドルに届きませんでした。通常取引では-2.15%でしたが、時間外では+2.10%と反発しています。市場は単純な売上規模より、AI関連サービス、ソフトウェア、クラウド事業の将来性を評価したと考えられます。 - T:AT&T Inc.(通信サービス)
AT&TはEPSが0.65ドルと市場予想の0.59ドルを上回りましたが、売上高は316億ドルと予想の318億ドルをやや下回りました。通常取引では+3.50%と上昇し、時間外では-0.22%です。通信契約による安定収入と現金収入の改善が評価され、高金利環境でも高配当株としての魅力が見直されました。 - NOW:ServiceNow Inc.(先端技術)
ServiceNowはEPSが0.90ドルと市場予想の0.86ドルを上回りましたが、売上高は39.0億ドルと予想の39.3億ドルをわずかに下回りました。通常取引では-6.47%でしたが、時間外では+4.50%と反発しています。企業向けAI機能やクラウド需要は強く、通常取引で先行していた警戒売りが決算後に巻き戻されました。 - URI:United Rentals Inc.(工業・産業)
United RentalsはEPSが12.76ドルと市場予想の11.53ドルを上回り、売上高も44億ドルと予想の42.2億ドルを超えました。通常取引では+2.12%、時間外では+11.48%と急伸しています。設備投資や建設需要の底堅さが確認され、米国景気が高金利下でも大きく崩れていないことを示す決算となりました。 - WAB:Westinghouse Air Brake Technologies Corporation(工業・産業)
WabtecはEPSが2.76ドルと市場予想の2.60ドルを上回り、売上高も31.8億ドルと予想の30.7億ドルを超えました。通常取引では+10.04%と大幅上昇し、時間外では-0.13%です。鉄道車両や輸送設備への需要に加え、利益率改善への期待が強まり、AI関連以外の工業・産業株にも資金が広がりました。
主な経済ニュース
- 米国とイランの攻撃激化で原油が急騰
米国によるイランへの攻撃が11日目に入り、イラン側も米軍拠点や海上輸送への報復姿勢を強めました。ホルムズ海峡に加え、イエメンの武装組織による紅海航路への威嚇もあり、原油輸送の混乱が警戒されています。WTI原油先物は86.46ドルへ+2.51%上昇し、エネルギー株が買われる一方、インフレと企業コストの上昇が株式市場の不安要因となりました。(Reuters:07/22) - トランプ大統領がイランの重要インフラ破壊を警告
トランプ大統領は、イランがホルムズ海峡を航行する船舶を攻撃した場合、橋や発電所などの重要インフラを破壊すると警告しました。イラン側も周辺国の施設や原油輸出への報復を示唆しており、衝突が軍事施設からエネルギー・生活インフラへ広がる危険があります。原油、金、米長期金利が同時に上昇したことから、市場は戦闘長期化によるインフレを警戒しています。(Reuters:07/22) - 大型ハイテク株が下落しNASDAQを押し下げ
Alphabet、Meta Platforms、Microsoft、Amazonなどの大型ハイテク株が下落し、NASDAQは-0.57%となりました。一方、NVIDIA、Broadcom、AMDなど半導体株は上昇しており、先端技術(Technology)全体が一様に売られたわけではありません。資金はAI向け半導体やサーバーへ向かう一方、広告、クラウド、企業向けソフトウェアでは投資負担と株価水準が厳しく評価されました。(Reuters:07/22) - Alphabetは予想を上回る決算でも株価反応は限定的
AlphabetはEPS、売上高とも市場予想を上回り、広告収入とクラウド事業の成長を示しました。しかし、時間外取引の株価はほぼ横ばいにとどまっています。生成AIの利用拡大が検索広告やクラウド収入へ結び付く一方、データセンターや独自半導体への巨額投資も増えています。市場は売上成長だけでなく、AI投資後にどれだけ現金を残せるかを見ています。(Bloomberg:07/22) - Teslaは売上高を上回るも利益が予想未達
Teslaは売上高が市場予想を上回りましたが、EPSは予想に届かず、時間外取引で株価が下落しました。販売台数や売上規模よりも、値下げ競争、製造コスト、利益率への懸念が強く残っています。自動運転、AI搭載車、ロボットなど将来の成長構想は大きいものの、現在の自動車事業で利益を確保しながら研究開発を続けられるかが重要です。(Reuters:07/22) - AI投資額の増加が巨大IT企業の現金収入を圧迫
Microsoft、Alphabet、Amazon、Meta Platforms、OracleなどのAI関連設備投資は、今後の営業キャッシュフロー(本業から得られる現金)の増加を上回る可能性があります。GPUだけでなく、データセンター、通信網、電力、冷却設備まで投資対象が広がっているためです。AI需要は強いものの、今後は投資規模よりも、AIサービスから実際に得られる利益が企業評価を左右します。(Reuters:07/22) - Super Micro Computerが巨額受注を発表し急騰
Super Micro Computerは600億ドルを超える新規受注と利益率改善の見通しを示し、株価が+19.84%急騰しました。AIサーバー需要が依然として強いことが確認され、Dell Technologiesにも買いが広がっています。AIはGPUだけでは稼働せず、サーバー、通信、電源、空調、水冷設備が必要です。市場の関心が半導体からデータセンター全体へ広がっています。(WSJ:07/22) - GE Vernovaは好調な受注でも利益面を警戒され急落
GE Vernovaは売上高が市場予想を上回り、電力設備への需要も強い内容でしたが、EPSが予想に届かず株価は-8.69%となりました。AIデータセンターの電力需要拡大という長期テーマは変わりませんが、風力発電部門の採算や関税によるコスト増加が警戒されています。成長テーマに乗る企業でも、利益率と株価水準が合わなければ売られる相場です。(WSJ:07/22) - 原油高で米長期金利が2026年の高水準へ接近
米10年国債利回りは4.657%へ上昇し、米20年国債入札の落札利回りも5.163%となりました。原油高が物価上昇を長引かせ、FRBが政策金利を高い水準で維持するとの予想が背景です。長期金利の上昇は、将来利益への期待で買われている高PER銘柄に不利です。ServiceNow、Workday、Palantirなどソフトウェア株の下落にもつながりました。(WSJ:07/22) - 公益事業と素材へ資金が移動
公益事業(Utilities)は+2.15%、素材(Basic Materials)は+1.92%となり、市場を牽引しました。AIデータセンターの増設には、発電能力、送電網、銅、アルミニウム、建設資材が必要です。大型インターネット株が下落する一方、電力会社や資源企業が上昇したことは、AI投資の恩恵が半導体以外へ広がっていることを示しています。指数以上に資金移動が大きい一日でした。(Bloomberg:07/22) - 恐怖指数は低下する一方で金価格は上昇
恐怖指数と呼ばれるVIX指数は16.64へ-2.40%低下し、株式市場全体が全面的な恐怖状態に陥っていないことを示しました。一方、金先物は+1.58%上昇しています。投資家は株式を一斉に売却するのではなく、エネルギー、公益事業、素材、金などへ資金を分散しています。中東情勢への警戒を続けながらも、市場から完全に撤退する動きではありません。(Reuters:07/22)
経済指標発表予定
以下の経済指標が発表される予定です。
主要銘柄の決算発表予定
以下の主要銘柄の決算発表がなされる予定です。
おわりに
この日の米国株市場は、主要3指数が小幅安となる一方、半導体、公益事業、素材、エネルギーには買いが入りました。指数だけを見ると静かな一日ですが、市場内部ではAI投資の恩恵を受ける分野と、高い株価水準を見直される企業の選別が進んでいます。
原油高と米長期金利の上昇には注意が必要ですが、恐怖指数と呼ばれるVIX指数は20を下回っており、市場全体が悲観に傾いた状態ではありません。長期投資では、日々の値動きに振り回されず、企業利益と資金の流れを落ち着いて見続けることが大切だと考えています。
毎朝お読みいただき、ありがとうございます。それでは、今日も一日、明るく元気に笑顔で過ごしましょう。
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おことわり
投資は自己責任にてお願いします。
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図表のレファレンス
- S&P500ヒートマップ: finviz
- 主要3指数とドル円: Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
- セクター別騰落率: finviz
- 経済指標結果/予定: investing.com日本語版
- 決算発表結果/予定: investing.com日本語版
- 主要指数の動き : Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
- 自分の米ドル建ポートフォリオ: Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
著者プロフィール
室井一夫(Kazuo Muroi)
Muroi Universal Research on Investment LLC 代表社員
一級建築士・建築1級施工管理技士・工学修士
Facebookグループ「米国株_投資の部屋」管理人(約4.7万人)
米国株式市場と経済動向に関する情報を毎日発信しています。
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