テキサスショックという呼称について
「テキサスショック」という名称は、世界のニュースで確認できませんでした。報道では「AI関連株の急落」「ハイテク株の売り」と呼ばれています。テキサス州でデータセンター新設の一時停止を掲げた民主党候補が知事に当選したことが引き金の一つなので、通称として使うのは自然ですが、定着した呼び名ではありません。
何が起きたか
11/3の中間選挙で民主党が上下両院を奪還しました。テキサス州はデータセンター投資の中心地で、新規建設が止まれば半導体・電力設備の需要が伸びないと警戒されました。11/5にはクアルコムの弱い見通しも重なりました。S&P500は4.4%安、NASDAQ総合は5.52%安、フィラデルフィア半導体指数(SOX)は12.25%安で、2020年3月以来の下落率です。エヌビディアは9.3%安、AMDは17%台の下落でした。
テキサス州の計画の実態:大半は申請・企画段階です
テキサス州のデータセンターの大半は「建設中」ではなく「計画段階」です。
- 電力会社への接続申請(ERCOTの待機列)は約474GW(ギガワット)で、約9割がデータセンターです。テキサス州のピーク需要記録の5倍超にあたります。
- この待機列のうち、約72%は接続の影響を調べる検討書類すら提出されていません。通電の承認を得た分は約9GWです。
- 調査会社BNEFが追跡する案件は約50GWで、うち約36GWは発表直後か初期計画、約9GWは用地・電力・許認可が確定済み、約5GWが建設中です。
- BNEFは、2030年までに実際に稼働する増設分を約8.25GWと見ています。
- 建設中の規模は調査により差があります(BNEFは約5GW、別の集計は約6.5GW、JLLは26GW)。定義の違いが原因とみられます。
つまり、規制で止まる可能性があるのは主に将来の増設分です。スターゲート(アビリーン)やメタのエルパソなど、すでに着工した案件への影響は小さいとみられます。株価の急落は、足元の工事の停止ではなく、2028年以降の成長期待の下方修正を織り込んだ動きです。なお、共和党のアボット知事は、選挙前の8月に接続の審査と監査を命じており、規制の流れは選挙以前から始まっています。新知事は2027年1月に就任するため、実際の政策内容が見えるのは来年以降です。
日本・韓国・台湾
日経平均は5.96%安の57,434.77円で、終値ベースの下げ幅は過去3番目でした。東証33業種がすべて下落しています。韓国KOSPIは8.5%超下落し、サーキットブレーカー(売買の一時停止)が発動しました。サムスン電子は午前中に7.9%下落しています。台湾加権指数は8.3%超下落し、TSMCは約8.5%安でした。半導体の比重が大きい市場ほど、下落率が大きくなりました。
欧州・インド
欧州は半導体株が売られました。11/5の引けでASMLは6.6%安、Soitecは16.7%安、Infineonは8.5%安でした。11/6のSTOXX600は一時1.6%安となり、7月以来の下落率です。ただしAI銘柄の比率が低いため、今年の上昇率は10%超で、S&P500の約7%を上回ったままです。インドは影響が限定的でした。11/6はSensexが約700ポイント上昇した時間帯があり(午前時点の報道)、AI関連の比重が低いことが理由とみられます。
11/6米国市場前の注意点
- 米株先物は上昇し、半導体株は5〜8%反発していますが、底打ちの確認ではありません。
- 今夜22:30の米雇用統計で、金利とハイテク株が再び動く可能性があります。
- エヌビディアの決算発表は11/17です。
- 成行での投げ売りや、レバレッジ商品の追加購入は避けます。積立は、事前に決めたルールどおりに続けます。
投資は自己責任でお願いします。
出典
CNN、Reuters(Investing.com、Yahoo Finance経由)、Bloomberg、NHK、Gulf News、Saxo、The Private Banker、POWER誌(BNEF分析の紹介)、Utility Dive(Holland & Knight経由)、JLL(Houston Business Journal経由)