【20260610】米国株式市場 投資研究レポート

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室井のマーケット視点

6月10日の米国市場は、久しぶりに少し身構えた一日でした。S&P500が-1.62%、Dow30が-1.87%、NASDAQが-1.98%。主要3指数がそろって1~2%近く落ちるのは、最近では珍しい部類に入ります。

この日を一言で表すなら、「AI相場の期待値が高くなりすぎたところへ、インフレと金利の不安が重なった日」だったと思います。

5月のCPIは前年比+4.2%。前回の+3.8%から上昇しました。コアCPIの前月比は+0.2%と予想を下回りましたが、市場はその数字より、WTI原油先物の90ドル台乗せと、米10年国債利回りの4.542%への上昇を強く嫌気したように見えます。原油高は企業コストと消費者物価を押し上げます。長期金利の上昇は、将来の成長を大きく先取りして買われているAI関連や高PER銘柄(株価収益率=利益に対して株価がどれだけ高いかを示す指標。PERが高いほど「将来の成長を織り込んで割高に買われている」ことを意味します)には、じわじわと効いてくる逆風です。NASDAQの下落が3指数の中で最も大きかったのも、この流れと整合しています。

セクター別に見ると、生活必需品とエネルギーだけが上昇し、工業・産業、素材、先端技術が大きく落ちました。要するに、投資家がリスクを取りに行く姿勢から、守りに入る動きへ少し軸足を移した一日です。

個別では、Super Micro Computerの急落が目立ちました。AIサーバー需要そのものへの疑念ではなく、巨額の資金調達による株式希薄化(新株発行で発行済み株数が増え、1株あたりの価値が薄まること)が嫌われたようです。AI関連でも、売上の成長だけでなく、利益率や資金の使い方、株主への還元まで厳しく問われる段階に入ったと感じます。

Oracleは決算でEPS(1株あたりの利益)も売上高も予想を上回りましたが、時間外では下落しました。クラウドやAI向けデータセンター需要への期待がすでに非常に高く積み上がっていて、「良い決算」では市場を満足させられなかったということでしょう。AI相場が終わったとは思いません。ただ、「とにかくAI」という雑な買い方が通用していた局面は終わり、本当に利益を出せる企業だけを選別する目が育ってきたと見ています。

私自身、データセンター建設に関わった経験から、AIはGPUだけでは成立しないと考えています。電力、冷却、通信、バックアップ電源、建物そのもの——実際の現場を知っていると、インフラ全体への投資規模がいかに膨大かが身に染みてわかります。その成長ストーリーが本物であることは疑いませんが、株価がその物語を先に走りすぎれば、いずれ調整が来ます。今回はその確認作業だったのではないでしょうか。

私の米国株ポートフォリオも前日比-1.12%。数字だけ見ると厳しい一日ですが、ちょうどこの日、NISAつみたて投資枠でeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の月次積み増しが入りました。下落日に買うのは気分として複雑ではあります。ただ、長期投資というのは、気持ちよく買える日も、何となく落ち着かない日も、淡々と同じ金額を市場に置き続けることに意味があります。コロナショックのときも積立だけは止めませんでした。今回も同じ姿勢で居続けるつもりです。

短期的には、VIX指数(投資家の不安感を数値化した「恐怖指数」。20を超えると市場が神経質になっているサインと言われます)が22台まで上昇しており、投資家心理は明らかに神経質になっています。中東情勢、原油高、金利上昇、そしてAI関連株の調整が一度に重なっているため、しばらく荒れやすい相場が続く可能性はあります。

ただ、長期で投資を続けている立場から言えば、日々の値動きに振り回されるより、米国企業の利益成長が本当に続いているか、AIへの巨額投資が実際の収益につながっているかを見極める方がずっと大切です。過熱していた銘柄が調整し、本当に強い企業だけが評価される局面は、長期投資家にとって悪い話ではありません。市場を冷静に見直す時間として、私は前向きに受け止めています。

投資は自己責任にてお願いします。

S&P500ヒートマップ

5%以上上昇したS&P500構成銘柄

  • CASY:Casey’s General Stores +20.29% Casey’s General Storesは、決算内容が市場予想を大きく上回り急伸しました。EPS(1株利益)は4.37ドルと予想の3.31ドルを上回り、売上高も45.7億ドルと堅調でした。燃料販売の利益率改善に加え、ピザなど店内販売の既存店売上も伸びています。小売業の中でも、食品・燃料・地域密着型店舗を組み合わせた事業モデルが評価された一日でした。
  • DVN:Devon Energy Corporation +5.74%
    Devon Energyは、原油価格の上昇とCoterra Energyとの統合後の生産見通しが評価され、エネルギー株の中で大きく上昇しました。2026年の平均生産量は日量138万石油換算バレルとされ、米国シェール企業としての規模拡大が鮮明になっています。さらに自社株買いと配当を含む株主還元方針も示され、原油高局面で利益成長と還元を両立できる銘柄として買いが入りました。

5%以上下落したS&P500構成銘柄

  • SMCI:Super Micro Computer -27.98%
    Super Micro Computerは大幅安となりました。AIサーバー需要は強いものの、70億ドル規模の資金調達計画により、既存株主の持ち分が薄まる希薄化(発行株数が増えて1株あたり価値が下がること)への警戒が一気に強まりました。AI関連でも、資金需要と利益率を厳しく見られる局面に入っています。
  • GNRC:Generac Holdings -8.38%
    Generac Holdingsは発電機や電源設備を手がける企業ですが、この日は大きく売られました。AIデータセンター向け電力需要という長期テーマは残るものの、株価は先行して上昇していたため、ハイテク株全体の調整に連動して利益確定売りが強まりました。設備関連株にも短期的な過熱感が出ていた印象です。
  • ZBRA:Zebra Technologies -7.43%
    Zebra Technologiesはバーコード、RFID(無線で情報を読み取る技術)、物流管理機器を手がける企業です。景気敏感株として、企業の設備投資や在庫管理投資への慎重姿勢が株価を押し下げました。市場全体でリスク回避の動きが強まる中、産業向けテクノロジー株にも売りが広がりました。
  • NRG:NRG Energy -7.16%
    NRG Energyは公益事業(Utilities)の一角として下落しました。AIデータセンター向け電力需要の拡大期待は続いていますが、同社株はこれまで大きく上昇しており、利益確定売りが入りやすい状況でした。公益事業株でも、AI電力需要テーマで買われた銘柄は成長株に近い値動きになっています。
  • FDXF:FedEx Freight Holding -6.96%
    FedEx Freight Holdingは物流・貨物輸送関連として売られました。米国景気への警戒感が強まる場面では、貨物量の伸び鈍化が注目されやすくなります。輸送株は企業活動や個人消費の先行指標として見られるため、市場が景気の減速リスクを読み始めると、早めに売られやすい分野です。
  • QCOM:QUALCOMM -6.92%
    QUALCOMMは半導体株全体の売りに巻き込まれました。AI関連への期待が高い銘柄群では、Broadcomの決算後の反応をきっかけに、半導体株への警戒が広がりました。スマートフォン向け半導体の回復期待はあるものの、この日はAI・半導体全体のバリュエーション(企業価値評価)見直しが優勢でした。
  • IP:International Paper -6.65%
    International Paperは素材(Basic Materials)セクターの中で大きく下落しました。包装材や紙製品は企業活動や消費動向の影響を受けやすく、景気減速への警戒が強まると売られやすい銘柄です。高金利環境が続く中、需要の伸びとコスト負担の両面が慎重に見られました。
  • ETN:Eaton -6.54%
    Eatonは電力管理、産業機器、データセンター関連設備を手がける企業です。AIインフラ投資の代表的な恩恵銘柄として買われてきましたが、この日は高値圏からの利益確定売りが目立ちました。長期テーマは強いものの、良い会社でも株価が先に走りすぎると調整が入る典型例だと感じます。
  • CAT:Caterpillar -6.40%
    Caterpillarは建設機械や資源開発向け機械を扱う景気敏感株です。世界景気やインフラ投資への期待が株価を押し上げてきましたが、この日は景気減速や金利高止まりへの警戒から売られました。大型の工業・産業(Industrials)株は、景気の先行きを映しやすい銘柄群です。
  • CCL:Carnival -6.27%
    Carnivalはクルーズ旅行大手として下落しました。旅行需要は底堅いものの、高金利と物価高が続くと、消費者の裁量的支出(生活必需品ではない支出)に影響が出やすくなります。消費関連株の中でも、景気感応度が高い銘柄には売りが出ました。
  • UAL:United Airlines Holdings -6.25%
    United Airlinesは航空株の一角として下落しました。原油価格の上昇は燃料コストの増加につながり、航空会社の利益率を圧迫しやすくなります。加えて、景気減速への警戒が強まると旅行需要にも慎重な見方が出ます。航空株は原油、消費、景気の3要素に左右されやすい銘柄です。
  • EME:EMCOR Group -6.17%
    EMCOR Groupは設備工事や産業向けサービスを手がける企業です。データセンター建設や電力設備投資の恩恵が期待されてきましたが、この日はAIインフラ関連株全体の調整に連動しました。実需は強い分野でも、株価が先行して上昇した銘柄には利益確定売りが入りやすくなっています。
  • FIX:Comfort Systems USA -6.12%
    Comfort Systems USAは空調・機械設備工事の企業で、データセンター向け冷却設備需要の恩恵を受ける銘柄として注目されてきました。この日はAIインフラ関連の高値圏銘柄に売りが広がり、同社も下落しました。冷却設備という長期テーマは残りますが、短期的には期待先行の調整です。
  • PWR:Quanta Services -5.93%
    Quanta Servicesは送電網や電力インフラ工事を手がける企業です。AIデータセンター拡大に伴う電力網整備という長期テーマは強いものの、この日は関連株全体に利益確定売りが出ました。市場はAIインフラ需要を評価しつつも、株価水準の高さには慎重になり始めています。
  • TER:Teradyne -5.86%
    Teradyneは半導体検査装置メーカーです。半導体株全体が売られる中で、同社にも売りが波及しました。AI半導体への投資は続いていますが、市場の期待値が高くなりすぎており、関連装置株にもバリュエーション調整が入りました。半導体サイクル(需要の波)の変化にも注意が必要です。
  • NEM:Newmont -5.86%
    Newmontは金鉱株として下落しました。金先物価格が下落する中、産金会社の収益期待も弱まりました。金そのものは安全資産として見られますが、金鉱株は株式であるため、市場全体がリスク回避に傾く局面では売られることもあります。金価格と株式市場の両方に影響される点が特徴です。
  • ON:ON Semiconductor -5.84%
    ON Semiconductorは自動車向け半導体や電力半導体を手がける企業です。電気自動車や産業機器向け需要には長期的な成長余地がありますが、この日は半導体セクター全体の売りに連動しました。AI関連だけでなく、幅広い半導体株にリスク回避の売りが広がった一日でした。
  • SW:Smurfit Westrock -5.83%
    Smurfit Westrockは包装材大手として下落しました。包装材需要は企業活動や小売販売と密接に結びつくため、景気減速への警戒が出ると売られやすくなります。配当利回りは高めですが、この日はディフェンシブ性よりも景気敏感性が強く見られた印象です。
  • DAL:Delta Air Lines -5.79%
    Delta Air Linesは航空株全体の下落に連動しました。原油価格の上昇による燃料費負担に加え、消費者の旅行支出が今後も維持されるかに市場の関心が移っています。航空株は景気が強い局面では上昇しやすい一方、原油高や消費減速懸念が出ると売られやすい分野です。
  • CMI:Cummins -5.78%
    Cumminsはエンジンや発電設備を手がける工業・産業(Industrials)銘柄です。データセンター向け非常用電源や産業設備需要への期待はありますが、この日は景気敏感株の一角として売られました。大型設備関連株は金利や景気見通しの変化に敏感で、相場全体の警戒感を反映しやすい銘柄です。
  • GEV:GE Vernova -5.77%
    GE Vernovaは電力設備や再生可能エネルギー関連の企業です。AIデータセンター向け電力需要の拡大で注目されてきましたが、この日は電力インフラ関連株にも利益確定売りが出ました。長期的な電力需要拡大は変わらないものの、株価が先行していた銘柄ほど調整圧力が強まりました。
  • HPE:Hewlett Packard Enterprise -5.76%
    Hewlett Packard EnterpriseはAIサーバー関連として前日に大きく買われた反動が出ました。AIインフラ投資への期待は強いものの、Super Micro Computerの資金調達問題をきっかけに、AIサーバー関連企業の利益率や資金繰りを見る目が厳しくなっています。期待と実益の差が問われる局面です。
  • AKAM:Akamai Technologies -5.69%
    Akamai Technologiesはコンテンツ配信やセキュリティ関連サービスを提供する企業です。クラウド、通信、セキュリティ関連への長期需要はありますが、この日はテクノロジーサービス株全体に売りが広がりました。市場が高PER銘柄を避ける流れとなり、安定成長株にも売りが及びました。
  • JCI:Johnson Controls International -5.68%
    Johnson Controlsは空調、建物管理、設備制御を手がける企業です。データセンターや商業施設向け設備需要は長期テーマですが、この日は設備関連株の利益確定売りに巻き込まれました。建物・空調・制御システムはAI時代に重要性を増しますが、株価には短期的な調整も当然あります。
  • PODD:Insulet -5.58%
    Insuletは糖尿病向けインスリン投与機器を手がけるヘルスケア(Healthcare)企業です。医療機器分野は長期需要が安定していますが、高成長銘柄として評価されてきたため、リスク回避局面では売られやすくなります。市場全体で高PER銘柄を避ける流れが強まり、ヘルスケアテクノロジーにも調整が入りました。
  • APP:AppLovin -5.35%
    AppLovinは広告テクノロジー企業として下落しました。AIを活用した広告配信への期待から大きく上昇してきましたが、この日は高成長テクノロジー株への売りが広がりました。広告関連は景気や企業の販促費に左右されやすく、相場が不安定になると利益確定売りが出やすい銘柄です。
  • WDC:Western Digital -5.34%
    Western Digitalはデータ保存装置やストレージ関連の企業です。AIデータセンター向けの記憶装置需要は長期的に増える可能性がありますが、半導体・ハードウェア株全体が売られたことで下落しました。AI関連でも、サーバー、半導体、ストレージまで幅広く調整が及びました。
  • VST:Vistra -5.25%
    Vistraは発電事業を手がける公益事業(Utilities)銘柄です。AIデータセンター向け電力需要の拡大期待から大きく上昇してきましたが、この日は利益確定売りが強まりました。公益事業株でありながら、AI電力需要テーマにより成長株のような値動きになっている点が特徴です。
  • EXPE:Expedia Group -5.25%
    Expedia Groupはオンライン旅行予約大手として下落しました。旅行需要はなお底堅いものの、物価高と金利高が続く中で、消費者の旅行支出に慎重な見方が出ました。景気後退ではないとしても、旅行関連株は消費者心理の変化に敏感であり、相場全体の警戒感を反映しやすい分野です。
  • GM:General Motors -5.21%
    General Motorsは自動車株として下落しました。高金利環境では自動車ローンの負担が重くなり、新車販売への影響が懸念されます。さらに電気自動車投資や競争激化もあり、利益率への見方は慎重です。景気敏感な耐久消費財(長く使う高額商品)として、リスク回避局面では売られやすい銘柄です。
  • ODFL:Old Dominion Freight Line -5.14%
    Old Dominion Freight Lineはトラック輸送大手として下落しました。貨物輸送量は企業活動の強弱を映すため、景気減速への警戒が出ると売られやすくなります。輸送株は市場全体よりも早く景気の変化を織り込みにいくことがあり、この日は物流関連株にも慎重な見方が広がりました。
  • AVGO:Broadcom -5.12%
    Broadcomは半導体株売りの中心の一つとなりました。AI向け半導体需要は強いものの、決算後の見通しが投資家の非常に高い期待に届かず、半導体セクター全体の調整につながりました。AI相場は続いていますが、現在は「AI関連なら何でも買う」段階から、成長率と株価水準を厳しく比較する段階へ移っています。

セクター別騰落率

市場全体では、生活必需品(Consumer Defensive)とエネルギー(Energy)が上昇した一方、工業・産業(Industrials)、素材(Basic Materials)、先端技術(Technology)など景気敏感株やAI関連株に大きな売りが出ました。主要3指数がそろって下落する中で、投資家は高成長株や設備投資関連株からいったん資金を引き、生活必需品やエネルギーのような比較的守りの強い分野へ資金を移した印象です。

  • 生活必需品(Consumer Defensive) +1.42%
    生活必需品セクターは、この日の市場で最も大きく上昇しました。株式市場全体が大きく下落する中で、食品、日用品、ディスカウント小売など景気変動の影響を受けにくい銘柄に資金が向かいました。生活必需品は、景気が悪化しても消費が急減しにくい分野です。投資家がリスクを抑えながら株式市場に残ろうとする姿勢が表れた動きです。
  • エネルギー(Energy) +1.18%
    エネルギーセクターは、原油価格の上昇を背景に堅調でした。原油高は石油・ガス関連企業の収益改善につながりやすく、株式市場全体が弱い中でも買われる銘柄が見られました。一方で、原油高はインフレ圧力を強める要因にもなります。株式市場にとってはエネルギー株にプラスである一方、消費者物価や企業コストには注意が必要な動きです。
  • 工業・産業(Industrials) -3.32%
    工業・産業セクターは全セクターの中で最も大きく下落しました。建設機械、電力設備、空調設備、物流関連など、これまでAIデータセンター投資やインフラ需要の恩恵を受けて上昇してきた銘柄に利益確定売りが広がりました。長期的な設備投資テーマは残りますが、株価が先行していた分、相場全体の調整局面では売りが強く出やすい分野です。
  • 素材(Basic Materials) -2.90%
    素材セクターは大きく下落しました。銅、紙・包装材、化学品などは景気動向に敏感であり、景気減速への警戒が強まると売られやすくなります。AIデータセンターや電力網整備では銅などの需要拡大が期待されていますが、この日は長期テーマよりも短期的なリスク回避が優勢でした。景気敏感株から守りの強いセクターへ資金が移った印象です。
  • 先端技術(Technology) -2.53%
    先端技術セクターは、半導体株やAI関連株を中心に大きく下落しました。AI関連の成長期待は続いていますが、これまで株価が大きく上昇していたため、決算や資金調達に対する投資家の目線が厳しくなっています。高PER(株価収益率が高い銘柄)には売りが出やすく、AI相場も「何でも買う」段階から、利益率や財務内容を選別する段階に移っているように感じます。
  • 一般消費材(Consumer Cyclical) -2.12%
    一般消費材セクターは、自動車、旅行、レジャー、ネット通販など景気や消費者心理に左右されやすい銘柄が売られました。高金利環境では自動車ローンやクレジットカード負担が重くなり、生活必需品以外の支出が抑えられやすくなります。米国消費は底堅いものの、投資家は今後の消費減速リスクをやや慎重に見始めています。
  • 通信サービス(Communication Services) -1.48%
    通信サービスセクターは下落しました。大型インターネット企業、広告関連、通信関連銘柄の一部に売りが出ています。広告収入に依存する企業は景気や企業の販促費に影響されやすく、相場が不安定になると利益確定売りが出やすくなります。AI活用への期待は続いていますが、この日は成長期待よりも株価水準の高さが厳しく見られました。
  • ヘルスケア(Healthcare) -1.18%
    ヘルスケアセクターは下落しました。医薬品や医療機器は本来ディフェンシブ性が高い分野ですが、高成長医療機器やバイオ関連銘柄には売りが出ました。市場全体で高PER銘柄を避ける動きが強まったため、安定需要のあるヘルスケアにも調整が及んだ形です。ただし高齢化や医療需要という長期テーマは変わらず、短期的な値動きとは分けて見る必要があります。

主要3指数とドル円の動き

主要3指数はそろって大幅下落となりました。S&P500、Dow30、NASDAQはいずれも1%台後半の下落となり、前日まで買われてきたAI関連、半導体、工業・産業株に利益確定売りが広がりました。一方、ドル円は160円台半ばまで上昇し、米国株安の中でもドル高・円安が続いています。日本人投資家にとっては、米国株の下落と円安による円建て評価の押し上げが同時に起きた一日でした。

  • S&P500(7,266.99、前日比-1.62%)
    S&P500は大きく下落しました。前日まで上昇していたAI関連、半導体、データセンター関連、工業・産業株に売りが広がり、市場全体のリスク許容度が低下しました。特に、成長期待で高く評価されていた銘柄ほど利益確定売りが出やすい展開です。長期投資家としては、米国企業の利益成長が崩れたというより、短期間で上がりすぎた分を調整している局面と見ています。
  • Dow30(49,918.78、前日比-1.87%)
    Dow30は49,918.78で取引を終え、前日比-1.87%の大幅下落となりました。工業・産業(Industrials)、金融(Financial)、一般消費材(Consumer Cyclical)など、景気敏感株への売りが目立ちました。これまでAIインフラ投資や景気の底堅さを背景に買われてきた大型株にも利益確定売りが広がっています。Dow30の下落は、相場がNASDAQだけでなく市場全体で調整色を強めたことを示しています。
  • NASDAQ(25,169.50、前日比-1.98%)
    NASDAQは前日比-1.98%と、主要3指数の中で最も大きく下落しました。半導体、AIサーバー、ソフトウェア、広告テクノロジーなど、これまで相場を牽引してきた高成長株に売りが集中しました。AI関連の長期テーマは残っていますが、市場は利益率、資金調達、PER(株価収益率)をより厳しく見る段階に入っています。AI相場も、銘柄選別がより重要になってきた印象です。
  • ドル円(160.5330円、前日比+0.13%)
    ドル円は160.5330円まで上昇しました。米国株は大きく下げましたが、為替市場ではドル高・円安の流れが続いています。米国の金利水準がなお高く、日本との金利差が大きいことが円売りにつながっています。一方、160円台は政府・日銀による為替介入への警戒感が出やすい水準です。日本人の米国株投資家にとっては、株安を円安が一部相殺する一方、為替変動リスクも大きくなっています。

原油先物・米10年国債利回り・VIX・金先物の動き

株式市場が大きく下落する中で、原油先物、米10年国債利回り、VIX指数はいずれも上昇しました。一方、金先物は大幅に下落しており、一般的なリスク回避とは少し異なる動きです。市場では、原油高によるインフレ再燃、長期金利の上昇、AI関連株の調整が同時に進み、投資家心理はかなり神経質になっています。特にVIX指数が12%を超えて上昇した点は、相場の不安感が一段強まったことを示しています。

  • WTI原油先物(90.84ドル、前日比+2.99%)
    WTI原油先物は90.84ドルまで上昇しました。中東情勢への警戒感に加え、需給の引き締まりを見込む動きが入り、エネルギー株には買いが入りました。ただし、原油高は企業の輸送費や燃料費を押し上げ、消費者物価にも波及しやすい要因です。株式市場にとっては、エネルギー企業にはプラスでも、インフレ再燃と金利高止まりへの警戒を強める動きでもあります。
  • 米10年国債利回り(4.542%、前日比+0.31%)
    米10年国債利回りは4.542%へ上昇しました。原油価格の上昇によりインフレ再燃への警戒が強まり、FRBの利下げが遅れる可能性を市場が織り込み直した形です。長期金利の上昇は、高PER(株価収益率が高い銘柄)のAI関連株やグロース株にとって逆風になりやすく、この日のNASDAQや先端技術(Technology)セクターの下落とも整合します。
  • VIX指数(22.30、前日比+12.25%)
    VIX指数は22.30まで上昇しました。VIXは「恐怖指数」と呼ばれ、市場参加者が今後の株価変動をどの程度警戒しているかを示す指標です。20を超えると、投資家心理はやや不安定な状態と見られます。この日は主要3指数がそろって大きく下落し、AI関連、半導体、景気敏感株に売りが広がったため、短期的なリスク回避姿勢がかなり強まりました。
  • 金先物(4,096.90ドル、前日比-4.42%)
    金先物は4,096.90ドルへ大きく下落しました。本来、金は安全資産としてリスク回避局面で買われやすい商品ですが、この日は米10年国債利回りの上昇とドル高が金価格を押し下げました。金は利息を生まない資産であるため、金利が上がると相対的な魅力が低下しやすくなります。株安と金安が同時に起きた点は、市場が流動性確保を優先している可能性も示しています。

私の米国株ポートフォリオ

私の米国株ポートフォリオは前日比-1.12%となり、厳しい一日でした。米国市場ではS&P500が-1.62%、NASDAQが-1.98%と大きく下落し、その動きが日本市場で取引される米国株ETFや投資信託にも反映されました。特にiFreeETF FANG+、MAXISナスダック100上場投信、S&P500連動ETFの下落が全体を押し下げています。一方で、GX超短期米国債は小幅に上昇しており、株式部分の下落をわずかに和らげました。こういう日は、分散している意味を実感します。

また、ちょうど下落のタイミングで、NISAつみたて投資枠によるeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の月次定期積み増しが入りました。定期買付とはいえ、長期投資では高い日にだけ買うより、下げた日にも淡々と買う仕組みを続けることが大切だと考えています。コロナショックの時も積立だけは止めませんでした。「下落しても積立は止めない」という姿勢で市場に居続けたいと思います。

経済指標発表結果

  • 消費者物価指数(CPI、前月比+0.5%、予想+0.5%、前回+0.6%)
    5月のCPIは前月比+0.5%となり、市場予想と一致しました。前回の+0.6%からはやや鈍化したものの、物価上昇率としてはなお高めです。株式市場では、インフレが十分に落ち着いたとは受け止めにくく、FRBの利下げ期待を強める内容にはなりませんでした。特にこの日は原油価格も上昇しており、インフレ再燃への警戒が株式市場全体の売りにつながった印象です。
  • コアCPI(前月比+0.2%、予想+0.3%、前回+0.4%)
    食品とエネルギーを除いたコアCPIは前月比+0.2%となり、市場予想の+0.3%を下回りました。コアCPIは基調的なインフレを見る重要指標であり、この点だけを見れば物価圧力の鈍化を示しています。ただし、株式市場は素直に好感しませんでした。前年比のインフレ率が高めで、原油高と金利上昇も重なったため、投資家は「利下げが近い」とまでは判断しにくかったようです。
  • 消費者物価指数(CPI、前年比+4.2%、予想+4.2%、前回+3.8%)
    CPI前年比は+4.2%となり、市場予想と一致しましたが、前回の+3.8%から上昇しました。前年比でインフレ率が再び高まったことは、FRBにとって利下げ判断を難しくします。株式市場では、インフレが再加速するリスクと長期金利の上昇が同時に意識され、特にAI関連や高PER(株価収益率が高い銘柄)に売りが出やすい状況となりました。
  • コア消費者物価指数(前年比+2.9%、予想+2.9%、前回+2.8%)
    コアCPI前年比は+2.9%となり、市場予想と一致しましたが、前回の+2.8%から小幅に上昇しました。FRBが目標とする2%インフレにはまだ距離があり、サービス価格など粘着的なインフレ(下がりにくい物価上昇)が残っていることを示しています。この結果は、利下げ期待を強めるよりも、金利高止まりへの警戒を残す内容でした。長期投資家としては、企業利益が高金利に耐えられるかを引き続き見る必要があります。
  • 原油在庫量(-722.7万バレル、予想-300.0万バレル、前回-797.4万バレル)
    原油在庫は-722.7万バレルとなり、市場予想を大きく上回る取り崩しとなりました。需給の引き締まりを示す内容であり、原油価格の上昇につながりました。エネルギー(Energy)株にはプラスに働きやすい一方、原油高は輸送費や企業コスト、消費者物価を押し上げる要因です。この日は株式市場全体が下落する中で、エネルギー株が相対的に強かった背景の一つです。
  • 10年物中期米国債入札(利回り4.538%、前回4.468%)
    10年物中期米国債入札の利回りは4.538%となり、前回の4.468%を上回りました。米10年債利回りの上昇は、株式市場にとって重要です。特にAI関連株やグロース株は、将来の利益成長を高く評価されているため、金利上昇時には株価評価が厳しくなりやすくなります。この日のNASDAQや先端技術(Technology)セクターの下落とも整合する動きでした。
  • 月次連邦財政収支(-2930億ドル、予想-2829億ドル、前回+2150億ドル)
    月次連邦財政収支は-2930億ドルの赤字となり、予想より赤字幅が大きくなりました。単月の数字だけで株式市場が大きく動くわけではありませんが、米国債発行の増加や長期金利の上昇につながる可能性があるため、無視できない指標です。財政赤字が拡大すれば、債券市場では国債需給への警戒が出やすくなります。高金利環境が長引く場合、株式市場には評価面での圧力が残ります。

主要銘柄の決算発表結果

  • ORCL:Oracle Corporation(先端技術)
    OracleはEPSが2.11ドルとなり、市場予想の1.95ドルを上回りました。売上高も192億ドルと、予想の191億ドルをわずかに上回っています。ただし、通常取引では株価が-1.50%、時間外取引でも-4.94%と下落しました。クラウドやAI関連需要への期待が非常に高かったため、決算数値そのものは悪くなくても、投資家の期待を大きく超える内容ではなかったと受け止められたようです。AIインフラ関連株は、すでに高い成長を織り込んでいるため、決算後の株価反応が厳しくなっています。

主な経済ニュース

  • 米国株は主要3指数がそろって大幅下落
    米国株市場では、S&P500、Dow30、NASDAQがそろって大きく下落しました。AI関連や半導体、工業・産業株に売りが広がり、前日まで強かった成長テーマにも調整が入りました。私は、AI投資そのものが終わったというより、期待が先行した銘柄に対して市場が利益率や資金調達を厳しく見始めた局面だと感じています。(Reuters:06/10)
  • 米CPIは前年比+4.2%へ上昇
    5月の米消費者物価指数(CPI)は前年比+4.2%となり、前回の+3.8%から上昇しました。エネルギー価格の上昇が物価を押し上げ、FRBの利下げ期待を後退させる内容です。コアCPIは前月比+0.2%と予想を下回りましたが、市場はインフレ再加速と原油高をより重く受け止めました。高PER銘柄には厳しい環境です。(Reuters:06/10)
  • 原油高がインフレ懸念を再燃
    WTI原油先物は90ドル台まで上昇しました。中東情勢の緊張に加え、米原油在庫が市場予想以上に減少したことで、需給の引き締まりが強く見られました。エネルギー株には買いが入りましたが、原油高は企業コストや消費者物価を押し上げます。株式市場全体には、インフレと金利高止まりへの警戒を強める要因となりました。(Reuters:06/10)
  • 中東情勢への警戒でVIXが急上昇
    イスラエルとイランを巡る緊張が続き、投資家心理は一段と不安定になりました。VIX指数は22台まで上昇し、市場参加者が短期的な株価変動を警戒していることを示しています。原油価格の上昇も重なり、地政学リスクが単なるニュースではなく、物価、金利、企業収益に直接影響する局面になっています。(Reuters:06/10)
  • 米10年債利回りが4.5%台へ上昇
    米10年国債利回りは4.5%台へ上昇しました。CPIの前年比上昇、原油高、財政赤字への警戒が重なり、債券市場では金利低下を見込みにくい空気となりました。長期金利の上昇は、将来利益への期待で株価が高く評価されるAI関連株やグロース株に不利です。NASDAQの大幅下落とも整合する動きでした。(Reuters:06/10)
  • ドル円は160円台半ばまで上昇
    ドル円は160円台半ばまで上昇しました。米国ではインフレ再加速と長期金利上昇が見られる一方、日本側では追加利上げへの見方が限定的で、日米金利差が円売りにつながりました。ただし160円台は政府・日銀による為替介入への警戒が出やすい水準です。日本人の米国株投資家には、株安と円安が同時に影響する一日でした。(Bloomberg:06/10)
  • Oracleは決算後に時間外で下落
    OracleはEPS、売上高とも市場予想を上回りましたが、株価は通常取引、時間外取引ともに下落しました。クラウドやAI向けデータセンター需要への期待が非常に高かったため、良い決算でも市場の高い期待を十分に超えられなかった印象です。AIインフラ銘柄は、売上成長だけでなく設備投資負担や利益率まで厳しく見られています。(Reuters:06/10)
  • AIデータセンター投資への期待と不安が交錯
    Bloombergでは、Oracleのデータセンター関連支出が予想を上回るとの見出しが出ていました。AI需要はクラウド、電力、冷却設備、通信網まで広がっていますが、同時に巨額投資が財務を圧迫する懸念もあります。私自身、データセンターは電源冗長化(複数系統化)と冷却が要になると見ていますが、市場は成長性と負担の両方を見始めています。(Bloomberg:06/10)
  • Super Micro Computerが急落
    Super Micro Computerは、資金調達への警戒から急落しました。AIサーバー需要は強いものの、巨額の資金調達は希薄化(発行株数が増えて1株あたり価値が下がること)への懸念を生みます。AI関連株でも、売上成長だけでなく、資金繰り、利益率、株主価値が問われる段階に入っています。AI相場の質が変わってきた印象です。(Reuters:06/10)
  • ASMLに対する関税不安が半導体株を圧迫
    Bloombergでは、半導体製造装置大手ASMLに対し、他社と比べ割安感が出ている背景として関税不安が取り上げられていました。半導体はAI投資の中心ですが、サプライチェーン(供給網)や通商政策の影響を受けやすい分野です。この日は半導体株全体が売られており、成長テーマだけでなく政策リスクも株価に反映されました。(Bloomberg:06/10)
  • Anthropicと大手金融機関のAI連携に注目
    Bloombergでは、Anthropicに大手金融機関が参画し、AI分野で連携する動きが報じられていました。生成AIは半導体やクラウドだけでなく、金融、法務、事務処理など実務分野へ広がっています。株式市場では短期的にAI関連株が売られましたが、AIの利用範囲が産業全体へ広がる流れは続いていると感じます。(Bloomberg:06/10)
  • SpaceXのIPO観測が市場の話題に
    Bloombergでは、SpaceXのIPO(新規株式公開)について、募集需要が4倍を超えるとの関係者情報が報じられていました。AI関連株が調整する一方で、宇宙、通信、国防、衛星インフラといった成長テーマへの投資家の関心は依然として高い状態です。大型未上場企業への需要は、リスク資金が完全に退いていないことも示しています。(Bloomberg:06/10)

経済指標発表予定

以下の経済指標が発表される予定です。

主要銘柄の決算発表予定

以下の主要銘柄の決算発表がなされる予定です。

おわりに

本日の米国株市場は、主要3指数がそろって大きく下落し、AI関連、半導体、工業・産業株に厳しい売りが出る一日でした。一方で、生活必需品やエネルギーは相対的に強く、投資家がいったん守りを固める動きも見られました。

長期投資をしていると、こうした下落日はどうしても気持ちが揺れます。それでも私は、相場が下げた日にも定期積立を淡々と続けることが、後から振り返ると大切だったと何度も感じてきました。今日のNISAつみたて枠での積み増しも、その一つとして受け止めています。

毎朝こうして市場を整理し、皆さまと一緒に学べることを嬉しく思っています。本ブログが少しでもお役に立ちましたら幸いです。

それでは、今日も一日、明るく元気に笑顔で過ごしましょう。

ご参考になりましたらこちらから応援いただけると嬉しいです。

おことわり

投資は自己責任にてお願いします。
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図表のレファレンス

  • S&P500ヒートマップ: finviz
  • 主要3指数とドル円:  Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
  • セクター別騰落率: finviz
  • 経済指標結果/予定: investing.com日本語版
  • 決算発表結果/予定: investing.com日本語版
  • 主要指数の動き : Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
  • 自分の米ドル建ポートフォリオ:  Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ

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