米国株 10/15|PPI上振れも3指数高、S&P500は+0.33%

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室井のマーケット視点

10月15日の米国株は、前日の消費者物価(CPI)の上振れで広がったAI・半導体株の売りが朝方まで尾を引き、取引開始直後はS&P500が下げ幅を広げる場面もありました。しかし終わってみれば、S&P500は+0.33%、ダウは+1.08%、NASDAQは+0.08%と、3指数そろってプラスで引けました。安値からの戻りが目立つ一日でした。

背景で目を引いたのは、9月の生産者物価指数(PPI。企業間で取引されるモノやサービスの価格)が前月比+1.3%と予想の0.6%を大きく上回ったのに、米10年国債利回りが5.09%へ低下したことです。FRB(米連邦準備制度理事会)が10月に据え置く確率は7割前後まで上がり、利上げ警戒がやや和らぎました。資金はDellやHPEなどのAIハードウェア株から、ServiceNowやIntuitなどのソフトウェア株、ヘルスケア株へ移りました。日経平均が-4.90%、韓国KOSPIが-7.57%と半導体売りが激しかっただけに、米国市場の落ち着きは意外でした。

私が違和感を覚えるのは、物価高なのに金利が下がり、金は+2.16%、原油も+2.52%と、安全資産の材料と物価高の材料が同時に買われている点です。データセンターの建設現場にいた経験から、AI投資の本丸は電力・冷却・通信設備への実需だと考えています。ただ、金利が5%台では資金調達の負担が重く、株価が荒く動くのは自然なことでもあります。こういう日こそ、慌てずに積立を続けるのが長期投資家の仕事だと思います。投資は自己責任にてお願いします。

S&P500のヒートマップ

5%以上上昇したS&P500構成銘柄

  • EFX:Equifax Inc.(工業・産業) +7.25% 信用情報大手です。当日に確認できる個別材料は乏しく、長期金利が約3週間ぶりの低水準まで下がったことで、ローンや与信の動きに敏感な銘柄へ買いが入ったとみられます。直近半年では約23%下落していた水準からの戻りでもあり、売られすぎの反動も重なった様子です。
  • RDDT:Reddit Inc.(通信サービス) +7.24% SNS・掲示板を運営する会社です。当日の個別材料は確認できませんでした。AI関連のハード株から資金が流れ出す中で、ネット広告やソフトウェアに近い銘柄が広く買われた流れに乗ったようです。出来高は約394万株でした。値動きが大きい銘柄のため、数日かけて買いが続くかを見極めたいところです。
  • FICO:Fair Isaac Corp.(先端技術) +6.99% 信用スコアを手がける会社で、EFXと同じく与信・ローン関連の銘柄です。長期金利の低下を受け、住宅ローンなどの需要回復を見込む買いが入った可能性があります。ソフトウェア株が全体として反発した日でもあり、その動きに歩調を合わせた面もあります。個別のニュースは確認できていません。
  • IP:International Paper Co.(一般消費材) +6.90% 段ボールや包装材の大手です。前日に、欧州・中東・アフリカの包装事業について投資家向けの説明会(キャピタルマーケッツデー)を開くと発表しており、事業戦略への関心が高まりました。株価が34ドル台と低く値幅が出やすいうえ、出来高は約900万株と大きく、景気敏感株の中でも買いが先行しました。
  • APP:Applovin Corp.(通信サービス) +6.52% スマホアプリ向けの広告配信を手がける企業です。AI関連の売りが続く中でも、ネット広告やソフトウェアに近い事業が選ばれました。当日の個別材料は確認できていません。前日までの下落に対する反発の色合いが濃く、時価総額約935億ドルの大型株としては値動きが大きい点に注意が必要です。
  • INTU:Intuit Inc.(先端技術) +6.36% 確定申告ソフトのTurboTaxや会計ソフトのQuickBooksを手がける企業です。AIハード株が売られる一方でソフトウェア株に買いが戻り、ServiceNowやAutodeskと並んで6%前後の上昇となりました。当日の個別ニュースは確認できておらず、ソフトウェア全体への見直し買いが主因とみられます。
  • COIN:Coinbase Global Inc.(金融) +6.32% 暗号資産の取引所を運営する会社です。金利低下でリスク資産に好ましい環境との受け止めから買われた可能性がありますが、当日の個別材料は確認できていません。出来高は約878万株と多めでした。仮想通貨相場と連動しやすい銘柄のため、値動きの荒さには引き続き注意が必要です。
  • CSGP:Costar Group Inc.(不動産) +6.28% 不動産情報サイトを運営する会社です。長期金利の低下で不動産関連に買いが入ったとみられ、同じ不動産セクターのCBREも5%超上昇しました。直近半年で約24%下落していた反動の面もあります。当日の決算や格上げの報道は確認できていません。
  • EXPE:Expedia Group Inc.(一般消費材) +6.25% 旅行予約サイトの大手です。9月の小売売上高が予想を上回り、消費が底堅いことを示したうえ、金利低下で消費関連株が買われる流れに乗りました。個別材料は確認できていません。原油高は旅行コストの負担になりかねないため、燃料価格の動きにも目を配りたい銘柄です。
  • NOW:ServiceNow Inc.(先端技術) +6.14% 企業向けの業務自動化ソフトの大手です。ソフトウェア株への見直し買いが、最も強く表れた銘柄の一つで、出来高は約1,755万株に達しました。AIハードから資金が移った動きとみられます。次回の決算は10月下旬の見込みで、AIの収益化がどこまで進むかが焦点になります。
  • ADSK:Autodesk Inc.(先端技術) +6.07% 建築・設計向けの3次元ソフトを提供する会社です。BIM(建物の3次元データを使う設計・施工手法)の現場を経験した私にとって、なじみの深い銘柄です。当日の個別材料は確認できず、ソフトウェア株の反発に連動して上昇しました。
  • IT:Gartner Inc.(先端技術) +5.89% IT分野の調査・助言を行う会社です。AIが既存のITビジネスを脅かすとの警戒で売られてきた分野のため、ソフトウェア・IT関連の反発に乗って見直しの買いが入りました。当日に確認できる個別の材料は見当たらず、相場全体の資金移動に沿った動きと言えます。
  • BBY:Best Buy Co. Inc.(一般消費材) +5.69% 家電量販の大手です。9月の小売売上高が前月比+0.8%と予想の0.3%を上回り、消費関連株に買いが広がりました。ただし、この数字にはガソリン価格の上昇による押し上げも含まれるため、実需の強さまでは断定できません。個別の発表は確認できていません。
  • LEN:Lennar Corp.(一般消費材) +5.66% 住宅建設の大手です。長期金利が3週間ぶりの低水準に下がり、住宅ローン金利の低下を見込んだ買いが入ったとみられます。株価は約78ドルまで戻しました。12月の追加利上げが9割程度織り込まれており、金利の方向次第で値動きが変わりやすい業種です。
  • CPRT:Copart Inc.(工業・産業) +5.63% 中古車のオンライン競売を運営する会社です。当日の個別材料は確認できませんでしたが、出来高は約1,447万株と多めでした。広い範囲で景気敏感株が買われた流れの一部と考えられます。理由がはっきりしない上昇は、翌日以降も買いが続くか確かめることが大切です。
  • EL:Estee Lauder Cos. Inc.(生活必需品) +5.51% 化粧品の大手です。PER(株価収益率)が約215倍と業績の回復途上にあり、値動きが大きくなりやすい状況です。当日の個別材料は確認できていません。生活必需品の中でも消費回復を期待されやすいブランド株に、買いが集まりました。
  • AJG:Arthur J. Gallagher & Co.(金融) +5.51% 保険ブローカーの大手です。同業のMarsh McLennanが同日に発表した決算でEPS(1株当たり利益)が予想を上回り、株価が約4.6%上昇したことが、同業全体に波及したとみられます。景気に左右されにくい事業のため、防御的な買いも入った様子です。
  • LULU:Lululemon Athletica Inc.(一般消費材) +5.31% ヨガウェアの大手です。小売売上高の上振れを受けて消費関連株が買われ、5%超の上昇となりました。株価は99ドル台まで下がっており、PERは8倍台と割安感があったため、買い戻しも入った面がありそうです。当日の個別材料は確認できていません。
  • CTSH:Cognizant Technology Solutions Corp.(先端技術) +5.28% ITサービスの大手です。ソフトウェア・IT関連株の反発に乗り、約5%上昇しました。前日までの1週間でも約9.5%上げていたため、短期的な過熱感には注意が必要です。当日の個別材料は確認できていません。
  • VEEV:Veeva Systems Inc.(ヘルスケア) +5.27% 製薬業界向けのクラウドソフトを提供する会社です。ソフトウェアの反発に加え、ヘルスケアが全体で+1.91%と堅調だったことが買いを後押ししました。個別材料は確認できていません。
  • XYZ:Block Inc.(先端技術) +5.25% 決済・金融アプリを手がけるBlockです。長期金利の低下で成長株に買いが戻り、同じ金融テクノロジー系のCoinbaseとそろって5%超上昇しました。当日の個別の発表は確認できていません。
  • NKE:Nike Inc.(一般消費材) +5.21% スポーツ用品の大手で、株価は37ドル台と低い水準にあります。小売売上高の上振れを受けた消費関連株の上昇に乗りました。PERは約17.8倍で、売られすぎからの戻りという側面もありそうです。個別材料は確認できていません。
  • EBAY:EBay Inc.(一般消費材) +5.16% ネット通販・オークションの大手です。消費統計の上振れと金利低下を受け、ネット小売りに買いが入ったとみられます。個別材料は確認できていませんが、約5%の上昇は大型株の中でも大きな動きです。
  • CBRE:CBRE Group Inc.(不動産) +5.14% 商業用不動産サービスの大手です。金利低下で不動産取引の回復に期待が出て、CoStarとそろって買われた可能性があります。当日の個別材料は確認できていません。不動産関連は金利の方向に左右されやすく、12月の利上げ観測が残る点には注意が必要です。
  • AZO:Autozone Inc.(一般消費材) +5.08% 自動車部品の小売大手で、1株約3,060ドルの高額株です。当日の個別材料は確認できず、小売売上高の上振れや金利低下を受けた消費関連の買いに乗ったとみられます。ガソリン高が続く中で、車の維持費にかかわる関連は底堅いという見方もできます。
  • DXCM:Dexcom Inc.(ヘルスケア) +5.08% 血糖値モニターの大手です。ヘルスケアが全体で+1.91%と堅調で、防御的な資金が入った流れに乗りました。当日の個別材料は確認できていません。医療機器は景気の影響を受けにくく、他の分野から資金が移る受け皿になりやすい分野です。

5%以上下落したS&P500構成銘柄

  • ANET:Arista Networks Inc.(先端技術) -5.04% AIデータセンター向けのネットワーク機器の大手です。AI関連ハード株の売りが続き、サーバー関連のDellなどと並んで売られました。データセンターの現場で通信設備の重要性を見てきた私は、需要の長期的な拡大は変わらないと考えます。ただ、金利が5%台では資金調達の負担が重く、株価の重荷になりやすいのも事実です。当日に確認できる個別の悪材料は見当たりませんでした。
  • P:Everpure Inc.(先端技術) -5.72% finvizの分類ではコンピューター・ハードウェアに入る銘柄です。当日の個別の悪材料は確認できませんでした。前日に半導体指数(SOX)が-4.3%と大きく下げ、その後もAI関連のハード株が売られており、同じ流れの中で利益確定売りが出たとみられます。PERが180倍台と高く、金利上昇に敏感な銘柄でもあります。
  • DELL:Dell Technologies Inc.(先端技術) -6.80% 英バークレイズが前日に投資判断を「買い」から中立(ホールド相当)へ引き下げたことが、売りの直接のきっかけです。AIサーバーの受注残が過去最高で、業績見通しを引き上げた直後でしたが、企業のIT投資の時期への疑問が強まりました。前日に続く下落で、2日間で大きく値を下げています。
  • HPE:Hewlett Packard Enterprise Co.(先端技術) -7.10% Dell、NetAppとともに、バークレイズが投資判断を中立(Equal Weight)に引き下げました。目標株価は83ドルから77ドルへ下がっています。AI関連の大型案件の収益化が2027年後半から2028年にずれ込むとの見立てが示され、年初来で約170%上昇していた分の利益確定売りも重なりました。

セクター別騰落率

S&P500の11セクターは、8分類が上昇し、3分類が下落しました。上位はヘルスケア+1.91%、素材+1.64%、金融+1.36%で、景気に左右されにくい分野や、金利低下の恩恵を受けやすい分野が目立ちました。一方、先端技術は-0.47%、エネルギーは-1.53%、公益事業は-0.20%でした。先端技術の中でも、NVIDIAは-1.84%と下げ、ServiceNowなどのソフトウェアは6%前後上昇しており、同じセクター内で資金の行き先が分かれた日でした。以下は騰落率が+1%以上、または-1%以下のセクターです。

  • ヘルスケア(Healthcare) +1.91% AI株の売りが和らぐ中、ディフェンシブ(景気に左右されにくい)分野へ資金が回った動きです。代表銘柄はイーライリリー+3.55%、サーモフィッシャー+3.46%、ユナイテッドヘルス+2.79%で、メルクは-1.48%と明暗が分かれました。長期金利が下がり、医療関連の評価を見直す買いも入りました。市場全体が揺れた日に、守りの資金の受け皿となりました。
  • 素材(Basic Materials) +1.64% 金先物が+2.16%と上昇した流れを受け、金鉱大手のニューモントが+3.79%となりました。住宅塗料のシャーウィン・ウィリアムズも+3.81%と上げ、金利低下で住宅関連の需要回復を見込む買いが入りました。ECL+1.08%、リンデ+0.13%と、大型の化学株は小幅な動きでした。安全資産と景気敏感の両面から買いが入った点が特徴です。
  • 金融(Financial) +1.36% ビザ+2.13%、マスターカード+2.17%の決済大手が上昇を主導しました。保険ブローカーのArthur J. Gallagherが+5.51%、BNYが決算を受けて+3.23%と上げた一方、シュワブは決算後に-2.72%と下げ、決算の強弱はまちまちでした。JPモルガンは+0.07%、バークシャーは-0.13%と、大型の銀行・保険株は小動きにとどまりました。
  • 一般消費材(Consumer Cyclical) +1.12% 9月の小売売上高が前月比+0.8%と予想を大きく上回り、消費関連に買いが入りました。ホーム・デポが+4.31%、ブッキングが+3.19%、マクドナルドが+1.76%と上昇しました。一方でテスラは-1.29%と下げ、AI・ロボット関連の売りの余波を受けました。長期金利の低下で、住宅関連のレナーも+5.66%と大きく上げました。
  • 不動産(Real Estate) +1.03% 長期金利が約3週間ぶりの低水準に下がり、利回りが魅力的になる不動産関連に買いが入りました。CoStarが+6.28%、CBREが+5.14%、ウェルタワーが+1.06%と上昇しました。一方、物流施設のプロロジスは決算で予想を上回ったにもかかわらず、-2.70%と下げました。金利の動き次第で評価が変わりやすい分野です。
  • エネルギー(Energy) -1.53% WTI原油先物が+2.52%と上昇したにもかかわらず、エクソンモービルが-1.32%、シェブロンが-1.22%と下落しました。年初来で大きく上昇していた分の利益確定売りが出た可能性があります。原油高が長引けば物価を押し上げて利上げ観測を強め、株式市場全体にはマイナスとなる点も、エネルギー株が買われにくかった背景でしょう。

主要3指数とドル円の動き

3指数がそろって上昇した一方で、中身はダウ主導でした。ダウが+1.08%と大きく上げ、S&P500は+0.33%、AI・半導体の比重が高いNASDAQは+0.08%にとどまりました。朝の下げから戻したのは、ディフェンシブ株とソフトウェア株へ資金が移り、買いが入ったからです。

  • S&P500(7,744.06、前日比+0.33%) 始値は7,687.31で、前日終値(7,718.94)を下回って始まり、日中安値7,669.66まで売られました。その後は買いが入って安値から約74ポイント(約1.0%)戻し、高値7,754.15に近い水準で取引を終えました。ヘルスケア、金融、素材が上昇し、先端技術とエネルギーが下落しました。市場全体の資金が、AI・半導体から幅広い分野へ分散した日です。
  • Dow30(52,177.69、前日比+1.08%) 始値51,858.06、安値51,681.37、高値52,250.18と、日中を通して買いが優勢で、終値は高値に近い水準でした。ユナイテッドヘルスが+2.79%、ホーム・デポが+4.31%、ビザが+2.13%と景気敏感・ディフェンシブ両面の大型株が上げ、半導体の比重が小さいダウが相対的に強くなりました。一方、NVIDIAは-1.84%、キャタピラーは-1.78%と下げています。
  • NASDAQ(26,713.03、前日比+0.08%) 始値は26,380.77と前日終値(26,692.87)から約1.2%低く、日中安値26,308.85では約1.4%安でした。そこから約1.5%戻して、小幅プラスで終えています。NVIDIAが-1.84%、AMDが-1.50%、ブロードコムが-0.59%と半導体の主力株は下げた一方、マイクロソフトが+1.08%、マイクロンが+1.90%、ネットフリックスが+2.89%と上げました。半導体指数の下落が続く中で、下げ止まりの兆しが出た一日です。
  • ドル円(158.07円、前日比-0.14%) 始値158.30円、高値158.33円、安値157.54円で、米長期金利の低下に合わせて円高方向に振れました。日米の金利差が縮む方向に動くと、ドルを売って円を買う動きが出やすくなります。158円台は為替介入への警戒が残る水準でもあります。日本から米国株へ投資する場合、円高は円建ての評価額を押し下げる要因となるため、小幅でも動きには気をつけたいところです。

原油先物・米10年国債利回り・VIX・金先物の動き

この日の4指標は、原油高・金高・金利低下という組み合わせでした。物価高の材料と安全資産への買いが同時に出ており、市場参加者の見方が割れていることがうかがえます。

  • WTI原油先物(96.27ドル、前日比+2.52%) 始値95.19ドル、安値92.46ドル、高値96.74ドルと、安値から約4%戻して引けました。米エネルギー情報局(EIA)の在庫統計で、原油在庫が855.7万バレル減少(予想は20万バレル増加)したことが需給の引き締まりを示しました。中東でのタンカー攻撃など供給不安も続いています。原油高は物価を押し上げるため、利上げ観測と株式市場の両方に影響します。
  • 米10年国債利回り(5.09%、前日比-1.95%) 前日比-1.95%は利回りの変化率で、1.95ポイント低下の意味ではありません(実際は約0.10ポイント低下)。PPIが強かったのに、AI関連株を売った資金が債券へ向かい、約3週間ぶりの低水準となりました。サンフランシスコ連銀のデイリー総裁が「追加利上げは必要だが急がない」と述べ、10月の据え置き確率は約7割に上昇しました。
  • VIX指数(16.41、前日比-2.72%) VIX指数(S&P500の今後約30日間の予想変動率を示す指標)は、前日比-2.72%の変化率で低下しました。日中高値は18.01でしたが、引けにかけて下がり、20を下回る落ち着いた水準で終えています。日本や韓国の株式市場で大きな下げがあったにもかかわらず、米国の投資家心理は朝の不安から落ち着きました。ただ、AI関連株の売りが続く局面では、急に上昇する場合もあります。
  • 金先物(4,196.70ドル、前日比+2.16%) 始値4,128.30ドルから上昇し、高値4,197.00ドルに近い水準で引けました。AI関連株の売りと中東情勢への警戒から、安全資産としての買いが入りました。ドル指数がほぼ横ばいの中で、金利低下も金には好ましい環境です。私は純金を資産の5%程度持つことが、インフレ対策として有効だと考えています。

私の米国株ポートフォリオ 前日比-2.15%

今日の前日比は-2.15%でした。日本時間のETFや投信には、10/14の米国市場の下げ(半導体指数が-4.3%と大きく下落)が反映されており、10/15の米国市場でのS&P500の上昇は次の営業日に数字へ表れる形です。ナスダック100連動が-3.04%、FANG+が-3.71%と、AI・半導体の売りの影響が大きく出ました。S&P500連動は-1.4%~-1.7%台で、米国連続増配株ETFだけが+0.28%とプラスでした。ディフェンシブな銘柄の多いETFが相対的に強かったのは、今の相場らしい動きです。VIXが16台と落ち着いていることもあり、慌てる場面ではないと感じます。コロナショックで何日も暴落が続いた時も、定期積立だけはやめませんでした。分散してコツコツ続ける姿勢を、今日も変えずにいきます。

経済指標発表結果

  • 生産者物価指数(9月前月比:1.3%、予想0.6%、前回0.5%) 生産者物価指数(PPI)は、企業間で取引されるモノやサービスの価格で、消費者物価の先行指標とされます。1.3%の上昇は予想の2倍超で、前年同月比も6.3%(予想5.3%)と高い伸びでした。エネルギー価格の上昇に加え、航空運賃など他分野への波及も指摘されています。FRBの追加利上げ観測を強める内容ですが、米10年国債利回りは逆に低下しました。物価の高止まりと市場の反応のねじれを、確認したいところです。
  • コア生産者物価指数(9月前月比:0.7%、予想0.3%、前回0.2%) 食品とエネルギーを除いた指数で、物価の基調を測ります。0.7%の上昇は約4年ぶりの大きな伸びで、前年同月比も5.0%(予想4.4%)と、エネルギー価格の上昇が他の品目へ広がっていることを示します。12月の利上げ確率が9割前後まで織り込まれる材料となりました。物価が一時的な要因だけでは説明しにくくなっており、FRBの判断は難しさを増しています。
  • 小売売上高(9月前月比:0.8%、予想0.3%、前回1.3%) 個人消費の強さを測る代表的な統計で、予想の0.3%を大きく上回りました。自動車を除くコア小売売上高も0.9%(予想0.6%)と堅調でした。ただし、ガソリン価格の上昇による押し上げも含まれるため、数字ほど実需が強いとは言い切れません。消費が強いと利上げ観測を強めますが、この日は消費関連株が買われ、景気への安心感が優勢でした。
  • リテールコントロール(9月前月比:0.1%、予想0.3%、前回1.2%) 自動車、ガソリン、建材、外食を除いた小売売上高で、GDP(国内総生産)の個人消費を推計する際に使われます。予想の0.3%を下回り、前回の1.2%から大きく鈍化しました。見出しの小売売上高は強く見えても、物価上昇分を除いた中身は弱いことを示します。この指標を重く見ると、利上げが景気を冷やしすぎるリスクが意識されます。
  • ニューヨーク連銀製造業景気指数(10月:25.50、予想12.10、前回7.60) ニューヨーク州の製造業の景況感を示し、0が拡大と縮小の分かれ目です。予想の12.10を大幅に上回り、前回の7.60から改善しました。製造業の景気が底堅いと、FRBが利上げを続けやすくなる面があります。ただ、物価と同時に強い数字が出ていることから、景気の過熱を警戒する見方も出やすく、長期投資では今後のコスト上昇の動きにも目を配りたいところです。
  • フィラデルフィア連銀製造業景気指数(10月:20.9、予想28.2、前回37.8) フィラデルフィア地区の製造業の景況感で、0を超えると拡大を示します。予想の28.2を下回り、前回の37.8から低下しましたが、プラス圏は維持しています。支払価格の指数は43.20(前回48.60)と低下したものの、高い水準が続きます。景気は強いままですが、勢いに少し陰りが出た内容で、NY連銀の結果と合わせて、まちまちの印象でした。
  • 新規失業保険申請件数(19.9万件、予想19.9万件、前回19.8万件) 申請件数は予想どおりで、継続申請件数も171.0万件(予想171.0万件、前回171.4万件)と横ばいでした。雇用が低水準の解雇にとどまり、労働市場が堅調であることを示します。賃金や物価の上昇圧力が続きやすいため、FRBは利上げを急がないまでも、引き締めを続ける余地が残ります。長期投資では、雇用の強さが企業業績と物価の両方に影響する点を確認したいところです。
  • EIA原油在庫(前週比:-8.557M、予想+0.200M、前回-3.186M) 米エネルギー情報局の統計で、原油在庫が855.7万バレル減少し、予想の20万バレル増加と逆の結果でした。ガソリン在庫は351.8万バレル増加(予想は50万バレル減少)と、需給の方向がそろわない内容です。原油の需給は引き締まり、WTI原油先物の上昇につながりました。原油高は物価を押し上げるため、インフレと金利の見通しに影響します。

この日の指標は、物価が予想以上に強く、景気も底堅いことを示しました。それでも金利が下がったのは、AI関連株の調整への警戒から、資金が債券へ向かったためです。物価と金利が逆方向に動く難しい相場です。

主要銘柄の決算発表結果

  • SCHW:Charles Schwab Corp.(金融) EPS(1株当たり利益)は1.69ドル(予想1.66ドル)、売上高は71.7億ドル(予想72億ドル)で、利益は上回ったものの、売上高はわずかに届きませんでした。株価は-2.72%の94.17ドルでした。利益が予想を上回っても、売上高が伸び悩み、金利低下で資金調達コストの見通しも定まらないことから、売りが優勢になりました。
  • PLD:Prologis Inc.(不動産) EPSは0.86ドル(予想0.78ドル)、売上高は23.9億ドル(予想21.7億ドル)と、どちらも予想を大きく上回りました。それでも株価は-2.70%の126.94ドルでした。前回の決算後から株価が約10%下がっていた中で、好決算でも買いが続かなかった形です。物流施設に加え、データセンター向け用地の開発が収益の柱となっており、金利の動きに左右されやすい点が重荷です。
  • BNY:BNY(金融) EPSは2.37ドル(予想2.26ドル)、売上高は56.8億ドル(予想55.5億ドル)と、両方とも予想を上回りました。株価は+3.23%の142.09ドルと、決算発表銘柄の中で強い反応でした。資産の管理・保管を主力とする安定した収益構造が評価され、地銀を含む金融決算が強弱まちまちだった中、確かな内容が買いを集めました。
  • USB:U.S. Bancorp(金融) EPSは1.34ドル(予想1.32ドル)、売上高は79.7億ドル(予想79.9億ドル)で、利益は上回り、売上高はほぼ予想どおりでした。株価は+2.02%の57.40ドルです。大きなサプライズはなく、地銀の決算としては安心感のある内容でした。長期金利の低下は、貸出の採算に影響するため、今後の収益動向を確認したいところです。
  • MRSH:Marsh McLennan Companies Inc.(金融) EPSは2.03ドル(予想1.97ドル)、売上高は68.6億ドル(予想66.4億ドル)と、どちらも予想を上回りました。株価は+4.56%の186.54ドルと大きく上昇し、同業のArthur J. Gallagherなど保険ブローカー株にも買いが広がりました。景気に左右されにくい収益が、市場が荒れる日に好まれました。
  • PNC:PNC Financial Services Group Inc.(金融) EPSは5.09ドル(予想4.91ドル)、売上高は65.6億ドル(予想66.1億ドル)で、利益は予想を3.67%上回り、売上高は0.76%下回りました。株価は-0.40%の214.94ドルとほぼ横ばいでした。利益は強かったものの売上高が伸び悩み、銀行株が全般に買われた日にはやや見劣りする反応です。
  • JBHT:J.B. Hunt Transport Services Inc.(工業・産業) EPSは1.82ドル(予想1.82ドル)と予想どおり、売上高は36.8億ドル(予想35.8億ドル)で予想を2.79%上回りました。通常取引は+1.36%の235.31ドルで終え、発表後の時間外取引は229.05ドル(-2.66%)に下がりました。売上高は強かったものの、利益に上積みがなく、燃料費や運賃の動きを慎重に見る売りが出たようです。

主な経済ニュース

  • 9月のPPIは前月比+1.3%、予想の2倍超の伸び 米労働省の発表で、9月の生産者物価指数(PPI。企業間の取引価格)は前月比+1.3%と、予想の+0.6%を大きく上回りました。食品・エネルギーを除くコア指数も+0.7%と、約4年ぶりの大きな上昇です。エネルギー価格の上昇が他分野に広がっている可能性が指摘されています。前日のCPIに続く上振れで、インフレ再燃への警戒が強まる内容です。長期投資では、物価の高止まりが一時的かどうかを確認したいところです。(Schwab:10/15)
  • 米10年国債利回りが約3週間ぶり低水準の5.09%に低下 物価統計が強かったにもかかわらず、利回りは約0.10ポイント下がりました。AI関連株を売った資金が債券へ向かったためです。サンフランシスコ連銀のデイリー総裁が「追加の利上げは必要だが急がない」と述べ、10月27〜28日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で据え置く確率は7割前後に上昇しました。12月の利上げ確率は9割程度のままです。長期投資では、12月に向けた金利見通しの変化を追いたいところです。(CNBC、Economies.com:10/15)
  • 日経平均は-4.90%、韓国KOSPIは-7.57%と急落 前日の米国市場の半導体売りが波及し、アドバンテストが約15%安、キオクシアが約12%安、ソフトバンクグループが約9%安となりました。韓国ではサムスン電子が約9%安、SKハイニックスが約11%安となり、KOSPIは売買を止めるサーキットブレーカーが発動しました。AI投資の資金調達の持続性に対する疑問が広がった形です。長期投資では、アジアの動揺が米国市場に戻ってくるかを確認したいところです。(Japan Times、AP:10/15)
  • 英バークレイズがDell、HPE、NetAppを格下げ 米系の大手IT機器3社の投資判断を、中立へ引き下げました。Dellは前日に約9%下落し、この日も売りが続いています。AIサーバーの受注が急増していたものの、企業の本格的なIT投資が先送りされるとの見立てが背景です。前日の半導体指数は-4.3%と大きく下げ、NASDAQは約1.9%下落していました。長期投資では、設備投資の時期がずれても、需要の方向性は変わらないかを見極めたいところです。(Yahoo!Finance、Investrade:10/15)
  • S&P500は朝の下げを戻し、ヘルスケアと生活必需品が上昇 Reutersによると、S&P500は朝の安値から回復してほぼ横ばいまで戻し、AI株の売りが和らぎました。投資家は、物価の強い統計を受けて、ヘルスケアや生活必需品などディフェンシブ分野へ資金を移しました。値上がり上位には不動産サービスのCoStarや、プール関連のPool Corp.、信用情報のEquifaxなどが並びました。長期投資では、守りの資金がどこまで続くかを確認したいところです。(MarketScreener:10/15)
  • 9月の小売売上高は+0.8%、予想の0.3%を上回る 小売売上高は予想を大きく上回りました。ガソリン価格の上昇が押し上げた面もあり、物価が消費額を膨らませている構図です。自動車を除くコア指標も強く、個人消費は底堅い状況が続いています。ただ、GDPの算出に使うリテールコントロールは+0.1%と鈍く、中身は強弱が混在しました。消費が強いほどFRBは利上げを続けやすくなるため、長期投資では物価と消費の兼ね合いを確認したいところです。(Schwab:10/15)
  • WTI原油は96ドル台、中東の供給不安が続く 中東ではイラン系武装組織フーシ派によるサウジアラビアへの攻撃や、ホルムズ海峡でのタンカー攻撃が相次いでいます。ゴールドマン・サックスは12月のブレント原油の予想を90ドルに引き上げました。この日はEIA統計で原油在庫が大きく減ったこともあり、WTIは+2.52%の96.27ドルとなりました。当日の上昇のきっかけを示す個別の報道は確認できていません。長期投資では、原油高がインフレと金利に与える影響を確認したいところです。(Nation Thailand:10/12)
  • TSMCの7〜9月期、利益は市場予想を上回る 世界最大の半導体受託製造企業TSMCの7〜9月期決算で、利益が市場予想を上回ったと報じられました。売上高は約1.49兆台湾ドルと過去最高で、前年同期比で約51%の増加です。AI向け半導体の需要は底堅いことを示しますが、アジアの半導体株の下落は止まりませんでした。決算の良さより、金利と資金調達への警戒が株価を左右している状況です。長期投資では、AI需要と株価のずれが続くかを確認したいところです。(News On Japan、Taiwan News:10/15)
  • 日銀の小枝審議委員が、利上げに過度な慎重姿勢を戒める 日銀の小枝淳子審議委員は、物価上振れのリスクが残るとして、利上げに慎重になりすぎることをけん制しました。一方、米国債の利回り低下を受けて、日本の10年国債利回りは2.93%を下回り、1か月ぶりの低水準となりました。日米の金利差が縮む方向に動けば、円高の圧力となります。日本から米国株へ投資する人にとっては、円建ての評価額に直結する話題です。長期投資では、日銀の動きも確認したいところです。(Saxo、News On Japan:10/15)
  • 景気指標は底堅く、10月の製造業指数は強弱まちまち ニューヨーク連銀製造業景気指数は25.50と予想の12.10を上回り、フィラデルフィア連銀は20.9と予想の28.2を下回りました。新規失業保険申請件数は19.9万件と低水準で、アトランタ連銀のGDPNow(GDPの速報的な予測)は第3四半期で3.6%でした。景気は堅調ですが、物価も高止まりしており、FRBは難しい判断を迫られます。長期投資では、景気の強さが企業業績にどう結びつくかを確認したいところです。(Investing.com:10/15)

経済指標発表予定

以下の経済指標が発表される予定です。

主要銘柄の決算発表予定

以下の主要銘柄の決算発表がなされる予定です。

おわりに

毎朝、米国市場が閉まったあとの数字を眺めて記事を書いていると、市場が派手に揺れた日ほど、終わってみれば落ち着いていることが多いと感じます。今日も、前日の物価ショックで朝は大きく売られながら、引けは3指数そろってプラスでした。短い値動きに一喜一憂するのは、もったいないとも思います。株で最も儲けるのは、投資していることを忘れるほど放置した人だと私は信じています。それでも米国株に投資する以上、毎日のニュースは把握しておきたい、という思いでこのブログを続けています。いつも読んでくださる皆さんの存在が、毎朝続ける励みです。ありがとうございます。こちらから応援いただけると嬉しいです。それでは、今日も明るく元気に、笑顔で過ごしましょう。

おことわり

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図表のレファレンス

  • S&P500ヒートマップ: finviz
  • 主要3指数とドル円:  Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
  • セクター別騰落率: finviz
  • 経済指標結果/予定: investing.com日本語版
  • 決算発表結果/予定: investing.com日本語版
  • 主要指数の動き : Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
  • 自分の米ドル建ポートフォリオ:  Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ

著者プロフィール

室井一夫(Kazuo Muroi) Muroi Universal Research on Investment LLC 代表社員 一級建築士・建築1級施工管理技士・工学修士 Facebookグループ「米国株_投資の部屋」管理人(約4.7万人)

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