室井のマーケット視点
7月27日の米国株式市場は、S&P500が+0.02%、Dow30が+0.51%、NASDAQが-0.18%となりました。指数だけを見ると小動きですが、市場内部では資金の流れが大きく変わっています。
この日の最大の特徴は、半導体株から通信サービス、生活必需品、一般消費材、金融へ資金が移ったことです。NVIDIAは-4.99%、AMDは-5.17%、Sandiskは-11.02%となり、これまで上昇してきたAI・半導体関連株に利益確定売りが広がりました。とはいえ、AI需要そのものが弱くなったとは見ていません。Microsoftは+1.94%、Alphabetは+2.13%、Palantirは+7.00%、Salesforceは+6.07%となりました。同じAI関連でも、半導体、ソフトウェア、広告、クラウドの間で評価が分かれています。
私は現在の相場を、将来への期待だけで企業を買う段階から、実際の売上、利益、現金収入、設備投資負担まで確認する段階へ移ったと考えています。AI半導体は長期的な成長分野ですが、株価に高い成長が織り込まれていれば、少しの不安でも大きく売られます。一方、Workday、Autodesk、ServiceNow、Salesforce、Adobeなど企業向けソフトウェア株は大きく上昇しました。企業のIT予算が従来型ソフトウェアからAIサーバーへ移るだけでなく、AIを使って業務を効率化するソフトウェアにも広がっていることが分かります。
通信サービス(Communication Services)は+1.56%、生活必需品(Consumer Defensive)も+1.56%、一般消費材(Consumer Cyclical)は+1.12%となりました。Alphabetの上昇に加え、Walmart、Costco、Coca-Cola、旅行、物流、自動車関連など幅広い企業が買われています。市場全体から資金が逃げたのではなく、半導体株から別の分野へ移った一日です。
WTI原油先物は-8.49%の81.73ドルまで急落しました。米国とイランが空爆を見合わせ、原油供給が途絶えるとの不安が後退したためです。原油安はエネルギー株には厳しい一方、航空、旅行、物流、小売、自動車には燃料費や輸送費の低下という利点があります。エネルギー(Energy)は-2.41%となり、全セクターで最大の下落でした。Exxon MobilやChevronなどが売られる一方、Expedia、Booking Holdings、DoorDash、General Motorsが上昇しています。原油価格の変化が、業種ごとの利益見通しを大きく変えたことが分かります。
米10年国債利回りは4.641%へ低下しました。通常なら高PER(株価収益率が高い銘柄)の半導体株には有利ですが、この日は金利低下よりも、株価上昇後の割高感が重く見られました。金利だけで株価を説明できず、企業ごとの収益力が重視されています。
恐怖指数と呼ばれるVIX指数は18.70となりました。取引中には19.93まで上昇しましたが、終値では20を下回っています。市場全体が強い恐怖状態に入ったとは言えません。ただし、指数が落ち着いている一方で、個別株では5%を超える上下動が相次いでいます。
経済指標では、コア資本財受注が前月比+0.9%となり、企業の設備投資が続いていることが確認されました。AI、データセンター、製造設備への投資は米国景気の重要な成長要因です。一方、アトランタ連銀GDPNowは第2四半期の成長率を+1.6%と推計しており、米国経済は成長を続けながらも、勢いは緩やかになっています。
私は米国株では個別株を避け、ETF中心で分散投資を続けてきました。この日のように、NVIDIAが約5%下落しても、Alphabet、Microsoft、金融、生活必需品、消費関連が補うのが指数投資の強みです。市場の主役は日々変わりますが、米国企業全体の利益成長を取り込む考え方は変わりません。指数の上下よりも、市場のお金がどこからどこへ移っているのか。7月27日は、AI相場が終わったのではなく、半導体だけに集中していた資金が、ソフトウェア、広告、消費、金融へ広がった一日だったと考えています。
投資は自己責任にてお願いします。
S&P500ヒートマップ
5%以上上昇したS&P500構成銘柄
- WDAY:Workday +9.01%
人事・財務クラウドを提供するWorkdayは、売られていた企業向けソフトウェア株への買い戻しで大幅高となりました。AIを組み込んだ人材育成や業務自動化への期待もあり、半導体株からソフトウェア株へ資金が移る流れを象徴しています。 - ADSK:Autodesk +7.70%
設計ソフト大手のAutodeskは、企業向けソフトウェア株の反発に連れて上昇しました。建築・製造分野では、設計データを基盤とするAI活用や業務効率化が進んでいます。BIMを含むデジタル設計需要の長期的な拡大も評価されたようです。 - EXPE:Expedia Group +7.09%
オンライン旅行予約大手のExpediaは、原油価格の急落によって航空運賃や旅行関連コストへの懸念が和らぎ、買いが集まりました。米国消費の底堅さと夏季旅行需要への期待もあり、旅行関連株へ資金が戻る展開となっています。 - PLTR:Palantir Technologies +7.00%
AI関連の代表銘柄であるPalantirは、ソフトウェア株全体の反発に伴って上昇しました。政府機関や企業向けAIシステムの需要拡大は続いています。ただしPER(株価収益率)は依然高く、短期的な値動きが大きくなりやすい点には注意が必要です。 - NOW:ServiceNow +6.86%
企業の業務管理ソフトを提供するServiceNowは、直近の下落から買い戻されました。AIを利用した業務自動化サービスの売上が拡大し、既存顧客へ新機能を追加販売できる強みもあります。半導体以外のAI収益化企業を見直す動きが出ています。 - CHTR:Charter Communications +6.73%
ケーブル通信大手のCharter Communicationsは、通信サービス株への買い戻しで上昇しました。株価が低迷していた反動に加え、通信網の安定した現金収入や割安感が見直されたと考えられます。大型成長株以外へ資金を分散する動きも表れました。 - DASH:DoorDash +6.63%
食品宅配大手のDoorDashは、原油価格の下落によって配達関連コストの上昇懸念が後退し、大幅高となりました。外食宅配需要の拡大に加え、注文データを活用した広告や店舗向けサービスなど、配達以外の収益源も評価されています。 - CPRT:Copart +6.62%
事故車オークションを運営するCopartは、小売・自動車関連株への資金流入に伴って上昇しました。同社は世界各地のオンライン入札網を持ち、保険会社から安定的に車両が供給される事業構造です。景気変動の影響を受けにくい収益力も特徴です。 - TYL:Tyler Technologies +6.30%
地方自治体向けソフトウェアを提供するTyler Technologiesは、企業向けソフトウェア株の反発に連れて上昇しました。行政手続きのデジタル化は景気に左右されにくい長期需要であり、継続課金型の安定した収益構造も見直されています。 - CRM:Salesforce +6.07%
顧客管理ソフト大手のSalesforceは、売られていた大型ソフトウェア株への資金回帰で上昇しました。顧客データと生成AIを組み合わせるAgentforceなどの収益化が進んでおり、半導体中心だったAI投資の対象が応用ソフトへ広がっています。 - CVNA:Carvana +5.92%
中古車ネット販売のCarvanaは、原油安と長期金利低下を受けて上昇しました。金利低下は自動車ローンの負担軽減につながりやすく、中古車需要への期待が高まりました。ただし株価変動は大きく、業績改善の持続性を確認する必要があります。 - BKR:Baker Hughes +5.83%
油田サービス大手のBaker Hughesは、市場予想を上回る四半期決算を発表し、原油価格が急落する中でも上昇しました。LNG(液化天然ガス)設備や産業用エネルギー技術など、原油掘削以外にも事業を広げている点が評価されています。 - COIN:Coinbase Global +5.81%
暗号資産取引所大手のCoinbaseは、株式市場の不安心理が後退し、リスク資産への資金が戻ったことで上昇しました。暗号資産価格や取引量の回復は収益増加につながりますが、市況と規制の影響を強く受ける銘柄である点は変わりません。 - ISRG:Intuitive Surgical +5.73%
手術支援ロボット大手のIntuitive Surgicalは、成長株への買い戻しと医療機器需要への期待から上昇しました。手術件数の増加は本体販売だけでなく、消耗品や保守サービスの継続収入にもつながります。医療の省力化という長期テーマも続いています。 - TSN:Tyson Foods +5.67%
食肉大手のTyson Foodsは、原油価格の低下による輸送・包装コストの改善期待から上昇しました。生活必需品として需要が比較的安定しているうえ、飼料価格や物流費が落ち着けば利益率の回復につながるため、見直し買いが入りました。 - PTC:PTC +5.64%
製造業向け設計・製品管理ソフトを提供するPTCは、ソフトウェア株全体の反発に連れて上昇しました。製品の設計情報を一元管理する需要は、AI活用や工場のデジタル化と密接に関係しており、製造業の設備投資から恩恵を受ける企業です。 - ADBE:Adobe +5.62%
画像・文書ソフト大手のAdobeは、出遅れていたソフトウェア株への買い戻しで上昇しました。生成AIを組み込んだ画像制作機能の利用が広がる一方、AI企業との競争には警戒も残ります。既存顧客基盤を収益へ結び付けられるかが焦点です。 - CSGP:CoStar Group +5.46%
不動産情報サービス大手のCoStar Groupは、長期金利の低下と不動産関連株への買い戻しを受けて上昇しました。不動産取引が活発になれば、物件情報や分析サービスの需要も増えます。住宅情報分野への事業拡大も成長要因です。 - TRMB:Trimble +5.41%
測量機器や建設向けソフトウェアを提供するTrimbleは、企業向けソフトウェア株とインフラ関連株の反発を受けて上昇しました。建設現場の省人化や位置情報を利用した施工管理など、デジタル化需要を幅広く取り込んでいます。 - GM:General Motors +5.32%
自動車大手のGeneral Motorsは、原油価格と長期金利の低下を受けて上昇しました。燃料費や自動車ローン金利への不安が和らぎ、大型車を含む販売環境の改善が期待されました。高い利益を生む北米事業の収益力も見直されています。 - TTWO:Take-Two Interactive Software +5.31%
ゲーム大手のTake-Two Interactiveは、成長株と娯楽関連株への資金流入で上昇しました。大型ゲーム作品への期待が根強く、発売後はソフト販売だけでなくオンライン課金による継続収入も見込めます。作品の発売時期が業績を左右する点には注意が必要です。 - XYZ:Block +5.30%
決済サービスを提供するBlockは、長期金利の低下とフィンテック株への買い戻しで上昇しました。個人向けCash Appと店舗向け決済事業を持ち、消費活動や暗号資産市場の回復から恩恵を受けます。収益性改善の進展も注目されています。 - APP:AppLovin +5.29%
広告配信技術を提供するAppLovinは、ソフトウェア株とデジタル広告株への資金回帰で上昇しました。AIを使って広告の表示先や価格を最適化する技術が収益拡大につながっています。ただし成長期待が高いため、決算への反応も大きくなりやすい銘柄です。 - BKNG:Booking Holdings +5.26%
オンライン旅行予約大手のBooking Holdingsは、原油価格の急落と旅行需要への期待から上昇しました。燃料費低下は航空会社の運航コストを抑え、旅行価格にも好影響を及ぼす可能性があります。世界的な旅行需要の底堅さも続いています。 - DG:Dollar General +5.11%
低価格小売大手のDollar Generalは、原油安による物流費低下と消費者負担の軽減期待から上昇しました。物価高が続く中では、日用品を低価格で販売する店舗への需要が高まりやすく、節約志向の強い消費者を取り込める強みがあります。
5%以上下落したS&P500構成銘柄
- SNDK:Sandisk Corporation -11.02%
メモリー・ストレージ関連のSandiskは大幅安となりました。AI向けデータ保存需要への期待は強いものの、株価が短期間で上昇していたため、半導体株全体の調整とともに利益確定売りが膨らんだと考えられます。AI需要そのものの後退というより、割高感の強い銘柄を選別する動きです。 - LITE:Lumentum Holdings -6.69%
光通信部品を手掛けるLumentum Holdingsは下落しました。AIデータセンター向け高速通信需要への期待から買われてきましたが、半導体・通信設備関連株の一角に利益確定売りが広がりました。長期的な需要拡大は続く一方、期待先行で上昇した銘柄は値動きが大きくなりやすい局面です。 - CHRW:C.H. Robinson Worldwide -6.46%
物流仲介大手のC.H. Robinson Worldwideは大きく下落しました。原油価格の急落は輸送費の低下につながる一方、運賃の下落や物流需要の鈍化は仲介手数料の伸びを抑える可能性があります。景気敏感な物流株として、今後の荷動きや企業活動を慎重に見る売りが優勢となりました。 - TPL:Texas Pacific Land -5.44%
米国最大級の土地保有会社であるTexas Pacific Landは、原油価格の急落を受けて下落しました。同社は土地の貸付料や原油・天然ガス生産に伴うロイヤルティー収入を得ているため、エネルギー価格の変動に影響されます。原油安による収益見通しへの警戒が株価に表れました。 - AMD:Advanced Micro Devices -5.17%
半導体大手のAMDは、AI・半導体株への利益確定売りに押されました。データセンター向けAI半導体の成長期待は高いものの、PER(株価収益率)は高水準であり、市場は将来の急成長を相当程度織り込んでいます。NVIDIAの下落も重なり、半導体株全体で持ち高を減らす動きが見られました。
セクター別騰落率
市場全体では、通信サービス(Communication Services)と生活必需品(Consumer Defensive)がそろって上昇し、一般消費材(Consumer Cyclical)にも買いが広がった。一方、原油価格の急落を受けてエネルギー(Energy)が大幅安となり、公益事業(Utilities)も下落した。大型ハイテク株や半導体株から、広告、消費、生活必需品などへ資金が移る展開であった。
- 通信サービス(Communication Services) +1.56%
Alphabetが大きく上昇し、セクター全体を押し上げた。生成AIを検索や広告へ組み込み、既存事業の収益拡大につなげられる企業が改めて評価されている。一方、Metaは小幅安となっており、通信サービス全体が一様に買われたのではなく、大型銘柄ごとの利益成長力で選別された相場である。 - 生活必需品(Consumer Defensive) +1.56%
Walmart、Coca-Cola、Costco、PepsiCoなど、景気変動の影響を受けにくい大型株が上昇した。半導体株やエネルギー株の値動きが荒くなる中で、安定した売上と現金収入を持つ企業へ資金が移っている。単純なリスク回避ではなく、企業業績の安定性を重視した資金配分と考えられる。 - 一般消費材(Consumer Cyclical) +1.12%
旅行予約、食品宅配、自動車、小売など幅広い銘柄が上昇した。原油価格の急落により、燃料費や物流費の負担が軽くなるとの期待が広がり、Expedia、Booking Holdings、DoorDash、General Motorsなどが買われた。米国消費の底堅さに加え、コスト低下による利益率改善を見込む資金が流入した。 - 公益事業(Utilities) -1.02%
公益事業は、生活必需品とは対照的に売りが優勢となった。通信サービスや一般消費材へ資金が向かう中で、配当利回りを重視する電力株の相対的な魅力が低下したと考えられる。AIデータセンターによる電力需要拡大という長期テーマは残るが、この日は短期的な利益確定売りが目立った。 - エネルギー(Energy) -2.41%
エネルギーは全セクター中で最大の下落となった。WTI原油先物が大幅に下落し、Exxon Mobil、Chevron、ConocoPhillipsなど原油価格への感応度が高い企業が売られた。原油安は消費関連企業にはコスト低下要因となる一方、石油会社には売上高や利益の減少につながるため、資金が他のセクターへ移った。
主要3指数とドル円の動き
市場では大型ハイテク株の一角が売られる一方、金融、生活必需品、通信サービスなどへ資金が移りました。Dow30が上昇し、NASDAQが下落したことから、指数全体の上昇というより、半導体・AI関連株から他の大型株へ資金が移る一日だったと考えられます。
- S&P500(7,413.18、前日比+0.02%)
S&P500は一時7,480.57まで上昇しましたが、その後は伸び悩み、ほぼ横ばいで取引を終えました。NVIDIAやAMDなど半導体株の下落を、Alphabet、金融、生活必需品などの上昇が補った形です。指数だけを見ると静かな一日ですが、市場内部では銘柄やセクターの入れ替わりが活発でした。 - Dow30(52,210.08、前日比+0.51%)
Dow30は主要3指数の中で最も堅調でした。金融、生活必需品、工業・産業など、NASDAQとは構成が異なる大型株に買いが入りました。一時51,985.38まで下落したものの、その後は持ち直しています。半導体株だけに資金が集中する相場から、利益や現金収入が安定した企業へ投資対象が広がった印象です。 - NASDAQ(24,932.08、前日比-0.18%)
NASDAQは一時24,774.87まで下落し、主要3指数で唯一のマイナスとなりました。NVIDIA、AMD、メモリー、ストレージ関連株に利益確定売りが広がったことが影響しています。一方、Microsoft、Alphabet、企業向けソフトウェア株は上昇しており、AI需要全体の後退ではなく、割高感や利益成長を基準とした企業選別が進んだ一日です。 - ドル円(163.7390円、前日比-0.03%)
ドル円は163.32円台から163.79円台の範囲で動き、終値は163.7390円と小幅な円高でした。米国株では半導体株が下落しましたが、Dow30は上昇しており、全面的なリスク回避による円買いではありません。日米金利差を背景としたドル高・円安の流れは続いており、163円台後半で方向感を探る展開となりました。
原油先物・米10年国債利回り・VIX・金先物の動き
市場全体では、原油先物が急落し、米10年国債利回りも低下しました。一方、VIX指数と金先物は上昇しており、投資家心理が全面的に楽観へ傾いたわけではありません。原油安によるインフレ圧力の緩和期待と、地政学・景気への警戒が同時に表れた一日でした。
- WTI原油先物(81.73ドル、前日比-8.49%)
WTI原油先物は86ドル台から81ドル台まで急落しました。中東の供給不安が和らいだことに加え、高値圏で積み上がっていた買い持ちの解消が進んだと考えられます。原油安はエネルギー株には厳しい一方、輸送、旅行、小売などには燃料費や物流費の低下を通じて利益率改善につながる可能性があります。 - 米10年国債利回り(4.641%、前日比-0.81%)
米10年国債利回りは4.641%へ低下しました。原油価格の急落によって将来のインフレ圧力が弱まるとの見方から、国債を買う動きが強まりました。通常、金利低下は成長株に有利ですが、この日は半導体株に利益確定売りが出ており、金利よりも銘柄ごとの割高感が優先された相場でした。 - VIX指数(18.70、前日比+0.65%)
恐怖指数と呼ばれるVIX指数は18.70へ上昇しました。取引中には19.93まで上昇しており、原油価格の急変や大型半導体株の下落を受けて、投資家が値動きの拡大に備えた様子がうかがえます。ただし20を下回っており、市場全体が強い恐怖状態に入ったとは言いにくい水準です。 - 金先物(4,084.40ドル、前日比+0.33%)
金先物は4,084.40ドルへ上昇しました。米10年国債利回りの低下によって、利息を生まない金の相対的な魅力が高まりました。VIX指数も上昇しており、株式市場の変動や地政学リスクに備える安全資産需要も残っています。長期投資では、純金を資産の一部に組み入れる考え方は引き続き有効だと感じます。
私の米国株ポートフォリオ +0.64%(前日比)
私の米国株ポートフォリオは+0.64%となりました。iシェアーズ S&P500 米国株 ETFが+0.84%、iFreeETF FANG+とMAXIS 米国株式(S&P500)上場投信がともに+0.63%となり、全体を押し上げました。
一方、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は-0.14%、GX 超短期米国債は-0.09%でした。昨夜の米国市場ではS&P500がほぼ横ばい、NASDAQが下落しましたが、日本市場のETFには為替や基準価額の算定時間の違いも加わります。
半導体株が売られる一方、AlphabetやMicrosoftなどが上昇し、FANG+やNASDAQ100は比較的しっかりしていました。私は個別株の急落を避けるためETF中心に分散していますので、こうした銘柄間のばらつきがある日でも、ポートフォリオ全体では落ち着いた値動きになりました。
経済指標発表結果
- 耐久財受注(前月比+0.3%、前回-4.0%)
6月の耐久財受注は前月比+0.3%となり、前回の-4.0%からプラスへ転じました。航空機など受注変動の大きい分野を含むため月ごとの振れは大きいものの、企業や消費者による設備・大型商品の需要が急速に冷え込んでいないことを示しています。景気後退への懸念を和らげる内容でした。 - コア耐久財受注(前月比+0.6%、予想+0.9%、前回+1.8%)
輸送機器を除くコア耐久財受注は+0.6%となり、予想の+0.9%を下回りました。前回の+1.8%からも伸びが鈍化しており、製造業の需要は増加を維持しながらも勢いは弱まっています。株式市場には景気の急減速を示すほどではない一方、強い成長を期待するには物足りない結果でした。 - コア資本財受注(前月比+0.9%、前回+1.9%)
非国防・航空機を除くコア資本財受注は+0.9%となりました。この指標は企業の設備投資の先行きを示すものです。前回の+1.9%から伸びは縮小しましたが、企業が機械や設備への投資を続けていることは確認できます。AI、データセンター、製造設備などへの投資が米国景気を支える構図は残っています。 - 非国防・航空機を除く耐久財受注(前月比+0.3%、前回-4.3%)
軍需品と航空機を除いた耐久財受注は+0.3%となり、前回の-4.3%から大きく改善しました。特殊要因を除いても受注がプラスへ戻ったことで、製造業の需要が底割れしていないことが示されています。ただし伸び率は小さく、企業が設備投資を慎重に進めている状況も読み取れます。 - アトランタ連銀GDPNow(第2四半期+1.6%、予想+1.7%、前回+1.7%)
GDPNowは第2四半期の実質成長率を+1.6%と推計し、予想と前回の+1.7%をわずかに下回りました。GDPNowは公表済み統計から成長率を機械的に推計する指標です。米国経済は成長を維持しているものの、勢いは強くありません。FRBにとっては、急いで利下げするほど弱くも、追加引き締めが必要なほど強くもない内容です。 - ダラス連銀製造業活動指数(1.3、前回0.0)
ダラス連銀製造業活動指数は1.3となり、前回の0.0から改善しました。0を上回る数値は、テキサス州を中心とする製造業活動が拡大方向にあることを示します。改善幅は小さいものの、製造業の急激な悪化を示す内容ではありません。米国株市場では、景気敏感株や工業・産業関連企業の業績を考えるうえで安心感のある結果です。
主要銘柄の決算発表結果
- WELL:Welltower Inc.(不動産)
Welltowerの1株利益は0.61ドルとなり、市場予想の0.66ドルを下回りました。一方、売上高は35.4億ドルと予想の33.6億ドルを上回っています。通常取引では-1.48%でしたが、決算発表後の時間外取引では+2.61%へ反発しました。利益面には弱さが残ったものの、高齢者住宅や医療関連施設の需要拡大を背景に、売上成長を市場が前向きに受け止めたと考えられます。 - CDNS:Cadence Design Systems(先端技術)
Cadence Design Systemsの1株利益は2.11ドルとなり、市場予想の2.05ドルを上回りました。売上高も15.8億ドルで予想と同水準を確保しています。通常取引で+3.82%上昇した後、時間外取引でも+5.43%と一段高になりました。AI半導体の高度化に伴い、EDA(半導体の設計を支援するソフトウェア)需要が拡大しており、安定した利益成長が評価された決算です。 - NUE:Nucor Corporation(素材)
鉄鋼大手Nucorの1株利益は4.87ドルとなり、市場予想の4.37ドルを上回りました。売上高も104億ドルと予想の101.4億ドルを上回っています。ただし、時間外取引では-2.43%となりました。決算数値は良好でしたが、鉄鋼価格や建設・製造業の需要見通しに対する市場の期待がすでに高かった可能性があります。好決算でも先行きへの慎重姿勢から売られる、現在の決算相場らしい反応です。 - CINF:Cincinnati Financial(金融)
損害保険大手Cincinnati Financialの1株利益は1.43ドルとなり、市場予想の1.78ドルを下回りました。通常取引では+0.78%でしたが、時間外取引では-4.48%へ下落しています。保険会社は保険料収入だけでなく、保険金支払額や保有資産の運用収益にも業績が左右されます。予想を下回った利益によって、災害関連損失や収益性への警戒が強まったと考えられます。 - PFG:Principal Financial Group(金融)
Principal Financial Groupの1株利益は2.42ドルとなり、市場予想の2.33ドルを上回りました。通常取引では+1.73%でしたが、時間外取引では-3.07%となっています。利益は予想を上回ったものの、資産運用残高の伸びや今後の収益見通しが、市場の高い期待を満たさなかった可能性があります。金融株では決算実績だけでなく、金利環境や資金流入の持続性も厳しく評価されています。 - BRO:Brown & Brown(金融)
保険仲介大手Brown & Brownは、通常取引で+3.02%上昇し、時間外取引でも+0.43%となりました。添付データでは1株利益と売上高の発表値を確認できませんが、市場の反応は比較的安定しています。保険仲介会社は自ら保険金を支払う保険会社とは異なり、契約手数料を主な収益源とするため、保険料上昇局面で収益を伸ばしやすい事業構造です。 - FFIV:F5 Inc.(先端技術)
F5の1株利益は4.73ドルとなり、市場予想の4.00ドルを大幅に上回りました。売上高も8.65億ドルと予想の8.346億ドルを上回っています。通常取引で+4.02%、時間外取引でも+1.40%上昇しました。クラウドやAI活用が進むほど、企業ネットワークの負荷分散やセキュリティ対策が重要になります。売上高と利益の双方が予想を超え、事業の収益性が評価された内容です。 - UDR:UDR Inc.(不動産)
集合住宅REIT(不動産投資信託)のUDRは、1株利益が0.11ドルとなり、市場予想の0.13ドルを下回りました。通常取引では-0.81%、時間外取引では横ばいです。住宅賃貸需要は比較的安定していますが、高金利による資金調達費用の増加が利益を圧迫しやすい環境です。市場予想を下回ったものの、時間外で追加の売りが広がらなかった点から、大きな悪材料とは受け止められなかったようです。 - UHS:Universal Health Services(ヘルスケア)
Universal Health Servicesの1株利益は5.35ドルとなり、市場予想の5.95ドルを下回りました。一方、売上高は46.4億ドルと予想の45.8億ドルを上回っています。通常取引では+2.29%でしたが、時間外取引では-3.86%へ下落しました。患者数や売上は伸びたものの、人件費や医療関連コストの増加によって利益率が予想ほど改善しなかった可能性があります。
主な経済ニュース
- 米国とイランが空爆を停止し原油価格が急落
米国とイランが週末から相互攻撃を見合わせたことで、中東からの原油供給が途絶えるとの不安が後退しました。WTI原油先物は約8%下落し、旅行、物流、小売など燃料費の影響を受けやすい企業が買われる一方、エネルギー株は大幅安となりました。ただし正式な停戦合意ではなく、再び攻撃が始まる可能性は残っています。(Reuters:07/27) - Dow30上昇の一方で半導体株が下落
S&P500は+0.02%、Dow30は+0.51%、NASDAQは-0.18%となりました。原油安を受けて生活必需品、一般消費材、金融などが上昇しましたが、NVIDIA、AMD、メモリー関連株には売りが広がりました。指数は小動きでも、市場内部ではAI・半導体株から安定収益株や消費関連株へ大きな資金移動が起きています。(WSJ:07/27) - NVIDIAの巨額データセンター支援に警戒
NVIDIAがOpenAIによる大規模データセンター計画を支えるため、最大約2,500億ドルの資金保証を検討していると報じられ、株価は約5%下落しました。AI企業が資金を調達してNVIDIA製品を購入し、NVIDIAがその資金面を支える構造には、需要が循環的に作られているのではないかとの疑問も出ています。AI需要そのものより、投資資金を回収できるかが厳しく問われ始めました。(Bloomberg、WSJ:07/27) - 中国CXMTが上場初日に約5倍へ急騰
中国のメモリー半導体大手CXMTは上海市場への上場初日に約466%上昇し、中国本土で時価総額最大級の企業となりました。中国政府による半導体国産化への期待が集中したほか、市場で売買できる株式数が少なかったことも急騰幅を拡大させました。Micronなど米国メモリー企業には、将来の価格競争や中国市場での競争激化を警戒する売りが入りました。(Reuters:07/27) - 大型IT企業の決算がAI相場を再審査
Microsoft、Meta、Amazon、Appleなどの決算発表を控え、投資家はAI向け設備投資が実際の売上や利益へ結び付いているかを見極めようとしています。Alphabetの決算後には巨額投資への懸念が強まり、半導体やデータセンター関連株にも売りが波及しました。将来への期待だけで株価が上昇する段階から、利益と現金収入を厳しく確認する段階へ移っています。(Reuters、WSJ:07/27) - FRB会合を前に金利見通しが揺れる
今週のFRB会合では政策金利の据え置きが中心予想ですが、これまでの原油高によるインフレ再燃を受け、金融政策をめぐる不確実性は残っています。27日は原油急落によって米10年国債利回りが4.64%台へ低下しましたが、高金利が長引けば借入金の多い企業や高PER(株価収益率が高い銘柄)には厳しい環境が続きます。(Reuters:07/27) - 耐久財受注は増加したものの勢いは限定的
6月の耐久財受注は前月比+0.3%となり、前月の-4.0%から増加へ転じました。ただしコア耐久財受注は+0.6%と市場予想の+0.9%を下回り、米国製造業が力強く加速しているとは言いにくい内容です。一方、コア資本財受注は+0.9%となり、企業の設備投資は続いています。景気後退ではないものの、成長速度は緩やかです。(WSJ:07/27) - 原油安でインフレ懸念が一時的に後退
原油先物が81ドル台まで急落したことで、ガソリン、航空燃料、物流費を通じた物価上昇への不安が和らぎました。米国経済では個人消費が大きな割合を占めるため、燃料費の低下は家計の購買力を改善させる可能性があります。ただし中東情勢が再び悪化すれば原油価格は反発しやすく、FRBも1日の価格変動だけで政策判断を変えるとは考えにくい状況です。(Reuters、Investing.com:07/27) - トランプ政権18カ月の経済は成長と負担が同居
トランプ政権発足から18カ月が経過し、米国経済は関税、移民規制、イランとの戦争という衝撃を受けながらも成長を維持しています。一方、関税と原油高による物価上昇、住宅ローン金利の高止まり、可処分所得の伸び悩みが家計を圧迫しています。AI関連の建設投資は増えていますが、製造業の雇用回復など当初の政策目標には遅れも見られます。(Reuters:07/27) - 市場の表面以上に個別株の変動が拡大
VIX指数は18台と20を下回っていますが、半導体やAI関連の個別株では5%を超える上下動が相次いでいます。市場全体の恐怖は限定的でも、企業ごとの値動きは非常に荒くなっています。私は、このような局面ほど個別株だけで相場全体を判断せず、セクター別の資金移動やETFの値動きを合わせて見る必要があると感じます。(WSJ:07/27)
経済指標発表予定
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主要銘柄の決算発表予定
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おわりに
7月27日の米国株式市場は、主要指数の動き以上に、資金の移動が目立つ一日でした。半導体株が売られる一方で、通信サービス、生活必需品、一般消費材には買いが入りました。原油価格の急落もあり、市場の評価軸が短時間で変わっています。
こうした局面ほど、1日の値動きだけで判断せず、企業業績や市場全体の流れを落ち着いて確認することが大切だと思っています。毎朝の記録が、皆さまの市場理解に少しでも役立てば嬉しいです。
それでは、今日も一日、明るく元気に笑顔で過ごしましょう。
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おことわり
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図表のレファレンス
- S&P500ヒートマップ: finviz
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- セクター別騰落率: finviz
- 経済指標結果/予定: investing.com日本語版
- 決算発表結果/予定: investing.com日本語版
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- 自分の米ドル建ポートフォリオ: Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
著者プロフィール
室井一夫(Kazuo Muroi)
Muroi Universal Research on Investment LLC 代表社員
一級建築士・建築1級施工管理技士・工学修士
Facebookグループ「米国株_投資の部屋」管理人(約4.7万人)
米国株式市場と経済動向に関する情報を毎日発信しています。
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