米国株 10/16|AI株安でS&P500は−1.09%、ナスダック安

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室井のマーケット視点

金曜日の米国市場は、ハイテク株への売りが一段と強まりました。S&P500は-1.09%の7,659.44、NASDAQは-2.14%の26,140.03で週を終えています。一方でダウ30は-0.34%にとどまり、エネルギー・公益事業・生活必需品に資金が移る「ハイテクからの退避」が目立った一日でした。

売りを主導したのは、AI関連の資金調達への不安です。AIデータセンター運営のCoreWeaveの社債利回りが15%前後まで上昇した話題が今週広がり、半導体株は8営業日連続の下落と報じられています。ソフトウェア株にも売りが波及し、PalantirやTwilioが急落しました。加えて、WTI原油先物は+2.56%の98.97ドルに上昇し、VIX指数(S&P500の今後約30日間の予想変動率を示す指標)は+21.52%の20.02と、警戒の目安とされる20を上回っています。

私はデータセンターの建設現場を預かった経験から、AI向けの電力・冷却・通信設備への需要が強いことは今も実感しています。ただ、借入に頼った拡大は、金利が高い局面では資金の出し手の目が厳しくなります。需要の強さと資金面の不安が綱引きしている状況だと感じます。長期投資家にとって、一日の急落で慌てて売買する必要はありません。コロナショックでも積立を続けた経験から、淡々と続ける姿勢を大切にしたいところです。投資は自己責任にてお願いします。

S&P500のヒートマップ

5%以上上昇したS&P500構成銘柄

該当する銘柄はありませんでした。

5%以上下落したS&P500構成銘柄

  • NTAP:NetApp Inc.(先端技術) -5.08% データの保管・管理に使うストレージ(記憶装置)やクラウド向けソフトを手がける企業です。当日の個別材料は確認できず、AI関連のデータ基盤銘柄への売りに連れた下げとみられます。同じストレージ分野のSeagateやWestern Digitalも大きく下げており、同じ流れの中での5%超の下落でした。
  • UAL:United Airlines Holdings Inc.(工業・産業) -5.14% WTI原油先物が+2.56%の98.97ドルに上昇し、ジェット燃料のコスト増を警戒した売りが出ました。航空会社は燃料費の比率が高く、原油高の日は売られやすい業種です。10/20の引け後に第3四半期決算の発表が予定されており、発表前に持ち高を減らす動きも重なった可能性があります。
  • LITE:Lumentum Holdings Inc.(先端技術) -5.29% AIデータセンター内の通信に使う光通信部品の大手です。当日の個別材料は確認できませんでした。AI設備投資の資金繰りを巡る不安が広がる中で、これまで大きく上昇してきた銘柄に利益確定の売りが出た形です。株価は800ドル台と高く、値動きが荒くなりやすい点には注意が必要です。
  • TER:Teradyne Inc.(先端技術) -5.31% 半導体の検査装置を手がける企業です。半導体株が8営業日連続で下げる流れの中で、設備投資の先行きを心配した売りが広がりました。個別の悪材料は確認できていません。同じ装置分野ではKLA(-5.00%)、Lam Research(-4.91%)、Applied Materials(-4.82%)も軒並み下げています。
  • MRVL:Marvell Technology Inc.(先端技術) -5.61% AIデータセンター向けのカスタムチップや通信用半導体を扱う企業です。当日の個別材料は確認できず、半導体株全体の下落が主因です。大手IT企業が自社設計チップを広げていることや、AI投資の資金調達コストが上がっていることへの警戒が、同社のようなAI関連の半導体銘柄に重なったとみられます。
  • MU:Micron Technology Inc.(先端技術) -5.65% 時価総額が約9,940億ドルと大きいメモリー大手です。今週は中国のメモリーメーカーCXMTが先端メモリーの開発を進めていると伝わり、メモリー関連が不安定でした。そこにAI株全体の売りが重なり、日中を通じて下げ幅が広がりました。上昇率が大きかった分、反動も大きく出やすい局面です。
  • COIN:Coinbase Global Inc.(金融) -5.79% 暗号資産(ビットコインなど)の取引所を運営する企業です。当日の個別材料は確認できず、ハイテク・グロース株の売りと同じ方向に動きました。10/9にはアナリストが目標株価を引き下げており、取引量の伸び悩みへの見方も根強い銘柄です。値動きが大きい銘柄で、5%超の変動は珍しくありません。
  • INTC:Intel Corp.(先端技術) -5.88% 半導体株全体の売りに連れて下落しました。出来高は約1億2,100万株と非常に多く、売買が活発でした。当日の個別材料は確認できていません。時価総額は約4,750億ドルと大きく、1日で約6%下がると市場全体の下げにも響きます。半導体指数が8営業日続落となる中での値動きです。
  • AMD:Advanced Micro Devices Inc.(先端技術) -5.95% AI向けGPU(画像処理半導体)を手がける大手で、時価総額は約8,630億ドルです。半導体の売りが続く中で、個別材料は確認できませんでした。AI関連の資金調達への不安が広がると、成長期待で買われてきた銘柄ほど大きく売られます。出来高は約2,230万株と、売りの勢いがうかがえます。
  • HPE:Hewlett Packard Enterprise Co.(先端技術) -5.97% AIサーバーやネットワーク機器を企業に提供する会社です。当日の個別材料は確認できませんでした。AIデータセンター向けのハードウェア関連株が総崩れとなった流れに乗った下げで、出来高は約3,090万株と多くなりました。設備投資の資金面に不安が出ると、納入側の企業にも売りが広がります。
  • BE:Bloom Energy Corp.(工業・産業) -6.34% データセンター向けの燃料電池を手がけ、AI向け電力の関連銘柄として買われてきました。10/14にも約9%下げており、売りが続いた形です。データセンターの現場でも電源の確保は大きな課題ですが、期待が先行した銘柄は、資金不安が出ると下げも速くなります。当日の個別材料は確認できませんでした。
  • AXON:Axon Enterprise Inc.(工業・産業) -6.45% 警察向けのボディカメラ(体に付ける小型カメラ)とクラウドソフトの会社です。当日の個別材料は確認できませんでした。ソフトウェア株のETF(IGV)が約5%下がった流れに連れた売りとみられます。今年はSaaS(クラウド型ソフト)株の下落局面で大きく下げた経緯があり、市場の動きに敏感な銘柄です。
  • CIEN:CIENA Corp.(先端技術) -6.67% データセンター間を結ぶ光ネットワーク機器の大手です。AIの普及で通信量が増えるとの期待で買われてきましたが、当日はAI設備投資の資金調達への警戒から売りが優勢でした。個別の悪材料は確認できていません。同じ光通信分野のCoherentやLumentumも5%以上下げています。
  • SNDK:Sandisk Corp.(先端技術) -6.89% NAND型フラッシュメモリー(電源を切ってもデータが残る記憶用の半導体)を手がける企業で、時価総額は約1,880億ドルです。メモリー関連の売りが続く中、当日の個別材料は確認できませんでした。出来高は約878万株で、メモリー株を中心に利益確定の売りが出た構図です。
  • WDC:Western Digital Corp.(先端技術) -6.91% HDD(ハードディスク)を中心にデータ保存装置を手がける大手です。AIが生み出す大量のデータを保存する需要で買われてきました。当日の個別材料は確認できず、ストレージ株の同時安です。同業のSeagateは-7.50%、NetAppは-5.08%と、分野全体で売られました。
  • FTNT:Fortinet Inc.(先端技術) -7.03% ネットワーク機器とセキュリティソフトの企業で、10/13に高値をつけたあとの下落が続いています。サイバーセキュリティ株は、AI設備投資の資金調達への不安から全体に売られました。当日の個別材料は確認できていません。急ピッチで上がった反動も出やすく、調整が深くなりやすい局面でした。
  • P:Everpure Inc.(先端技術) -7.04% データの保管に使う記憶装置(ストレージ)関連の企業です。当日の個別材料は確認できませんでした。ソフトウェアやストレージ関連のAI銘柄が同時に売られた流れで、時価総額は約413億ドルと中型です。出来高は約385万株で、売りが一方向に偏った日でした。
  • COHR:Coherent Corp.(先端技術) -7.06% レーザーや光学部品を手がけ、AIデータセンター向けの光通信部品でも存在感のある企業です。当日の個別材料は確認できませんでした。光通信分野のCIENAやLumentumも同時に下落しており、AI設備投資への資金不安が部品メーカーまで広がった形です。出来高は約762万株でした。
  • CRWD:CrowdStrike Holdings Inc.(先端技術) -7.07% サイバーセキュリティの大手です。今週はPalo Alto Networksとともに週間で約18%下げたと伝えられ、10/14にはOpenAIがセキュリティ企業の買収を協議との報道もありました。AIが既存の防御ソフトを置き換えるとの警戒に、資金調達不安の売りが重なっています。出来高は約1,380万株でした。
  • PLTR:Palantir Technologies Inc.(先端技術) -7.22% 週の前半に史上最高値を更新したあとの急反落です。終値は186.03ドルで、10/9の最高値終値から10%超下回る水準に入り、調整局面の目安に達したと伝えられています。株価収益率(利益に対して株価が何倍かを示す指標)が約158倍と高く、ソフトウェア株の売りで下げが拡大しました。
  • DDOG:Datadog Inc.(先端技術) -7.25% クラウド上のシステムを監視するソフトの大手です。ソフトウェア株が一斉に売られる中で、当日の個別材料は確認できませんでした。株価収益率が約500倍と高く、成長期待で買われてきた分、金利が高い局面では下げ幅が大きくなります。ソフトウェア株ETFも約5%下落しました。
  • STX:Seagate Technology Holdings Plc(先端技術) -7.50% HDD(ハードディスク)大手で、時価総額は約1,450億ドルです。AIが生む大量のデータの保存先として買われてきましたが、当日はAI関連の売りに巻き込まれました。個別の悪材料は確認できていません。同業のWestern Digitalは-6.91%でした。出来高は約607万株でした。
  • PANW:Palo Alto Networks Inc.(先端技術) -7.63% サイバーセキュリティの大手です。直近の決算では売上高が前年比34.5%増の34.1億ドルと好調でしたが、AI関連の資金調達不安によるセキュリティ株全体の下落に巻き込まれました。業績が堅調でも、高く評価されてきた銘柄は地合いが悪いと売られます。出来高は約874万株でした。
  • MRNA:Moderna Inc.(ヘルスケア) -7.82% 当日の個別材料は確認できませんでした。同社は8月にメラノーマ(皮膚がんの一種)向けの個別化ワクチンで良好な臨床試験結果を発表し、株価が2倍以上になった経緯があります。値動きが非常に大きい銘柄で、出来高は約2,130万株でした。ハイテク株とは別の分野で、材料が見当たらないまま売られました。
  • FLEX:Flex Ltd.(先端技術) -8.16% 電子機器の受託製造を手がけ、AIデータセンター向け機器の製造・電力設備にも関わる企業です。当日の個別材料は確認できませんでした。AIハードウェア関連の売りに連れた形で、時価総額は約334億ドルと中型です。大型のAI銘柄より値動きが荒くなりやすい点には注意が必要です。
  • SMCI:Super Micro Computer Inc.(先端技術) -9.86% AI向けサーバーの大手です。新しいCFO(最高財務責任者)の就任が発表されましたが、AI投資を借入で賄うことへの警戒やマイクロソフトの自社設計チップなどの話題が重なり、売りを止められなかったと伝えられています。株価は31.63ドルまで下がり、出来高は約4,340万株と大商いでした。
  • TWLO:Twilio Inc.(先端技術) -10.62% この日の最大の下落率です。企業向けの通信ソフトを提供する会社で、ソフトウェア株が総崩れとなる中で、2025年8月以来の大きな下げとされています。AIの普及で既存のソフトが置き換えられるとの警戒と、AI関連の資金不安が重なりました。当日の個別の決算などは確認できていません。

セクター別騰落率

11セクターのうち上昇は6、下落は5でした。先端技術(Technology)が-3.02%と全体を押し下げ、通信サービス(Communication Services)も-1.89%と続きました。反対に、エネルギー(Energy)が+2.52%、公益事業(Utilities)が+1.34%、生活必需品(Consumer Defensive)が+1.08%と、原油高の恩恵を受ける分野や景気に左右されにくい分野が買われています。値動きの大きいAI関連から、安定した業種へ資金が動いた構図でした。

  • エネルギー(Energy) +2.52% 原油先物が+2.56%の98.97ドルに上がり、石油会社の収益増を見込んだ買いが入りました。Chevronは+2.59%、ConocoPhillipsは+3.37%でした。ホルムズ海峡での船舶への攻撃が続き、米国の原油在庫が減ったことも価格を押し上げています。ハイテクから逃げた資金の受け皿にもなり、市場全体の下げ幅を和らげました。
  • 公益事業(Utilities) +1.34% Southern Companyが+2.24%、Duke Energyが+2.18%と、電力会社が上昇をけん引しました。電力会社は景気の影響を受けにくく、配当も見込めるため、株式市場が荒れる日に買われやすい分野です。AIデータセンターの電力需要という成長面もあり、ハイテクから資金を移す先として選ばれたようです。
  • 生活必需品(Consumer Defensive) +1.08% Coca-Colaが+2.07%、Procter & Gambleが+1.45%、Costcoが+1.15%と上昇しました。食品や日用品は景気が悪くなっても需要が落ちにくく、ハイテクが崩れる日に資金の避難先になります。今週の荒れた相場で、ディフェンシブ(景気の影響を受けにくい)株への資金移動が目立ちました。
  • 先端技術(Technology) -3.02% 半導体と企業向けソフトウェアが同時に売られました。Broadcomが-4.52%、AMDが-5.95%と半導体が崩れ、Microsoftも-1.93%、Palantirは-7.22%でした。一方でApple(+0.43%)は上昇し、AI関連との差が目立ちます。AI設備投資を支える資金調達への不安が、成長期待で買われてきた銘柄の評価を押し下げました。
  • 通信サービス(Communication Services) -1.89% Alphabetが-2.47%、Metaが-3.72%、Netflixが-2.84%と、大型株が軒並み下げました。AI向けの設備投資を積み増している企業が多く、投資負担への警戒が売りにつながっています。通信サービスの下げは、AI関連への売りが半導体やソフトウェアだけでなく、大型プラットフォーム企業にも及んだことを示しています。

主要3指数とドル円の動き

3指数がそろって下落し、特にNASDAQの下げが目立ちました。ダウ30は景気の影響を受けにくい銘柄に支えられて下げが小幅にとどまり、AI・半導体への依存度が高い順に下落率が大きくなっています。ドル円はほぼ横ばいでした。

  • S&P500(7,659.44、前日比-1.09%) 始値は7,745.32と前日終値(7,744.06)並みでしたが、日中は7,631.77まで下げ、終値は安値から約22%の位置でした。AMDが-5.95%、Broadcomが-4.52%と半導体が崩れ、Metaも-3.72%と大型ハイテクが売られました。一方でエネルギーや公益の上昇が下げを一部和らげています。S&P500は週間でも下落する見通しと報じられています。
  • Dow30(52,002.41、前日比-0.34%) 始値は52,308.28で、日中高値は52,582.32と前日終値を約0.8%上回りました。ただ終値は日中の値幅の下から約21%の安値寄りで、下げ幅は小さく収まっています。JPMorganが+1.25%、Chevronが+2.59%、Coca-Colaが+2.07%と、金融・エネルギー・生活必需品が上昇しました。Microsoft(-1.93%)やAmazon(-1.90%)が指数を押し下げています。
  • NASDAQ(26,140.03、前日比-2.14%) 始値26,652.98、高値26,674.66、安値26,023.10で、終値は日中の値幅の下から約18%の安値圏でした。高値は前日終値を約0.1%上回っただけで、反発の場面は乏しい一日でした。Palantirが-7.22%、AMDが-5.95%、Metaが-3.72%と下げが大きく、NVIDIAは-1.43%と相対的に底堅い動きでした。
  • ドル円(157.99円、前日比+0.01%) 始値157.97円、高値158.34円、安値157.69円と、値幅が約65銭の小さな動きでした。株が大きく下げる中でも円高に振れておらず、FRBの12月利上げ観測(CME調べで74.3%)がドルを支えている可能性があります。日本から米国株に投資している場合、この日は円建ての評価額に与える為替の影響は小さく、株価の下落が主な要因です。

原油先物・米10年国債利回り・VIX・金先物の動き

原油が上昇した一方で、株式は大きく下げ、VIX指数は20を上回りました。長期金利は5%台前半にとどまっています。

  • WTI原油先物(98.97ドル、前日比+2.56%) 日中安値95.29ドルから高値99.34ドルまで上げ、高値圏で引けました。米国の原油在庫が約860万バレル減ったことに加え、ホルムズ海峡でのイランによる船舶攻撃が続き、供給不安が根強い状況です。WTIは週間で約6%の上昇となりました。原油高はエネルギー株には追い風ですが、航空会社には燃料費の負担増になります。
  • 米10年国債利回り(5.10%、前日比+0.18%) 前日比+0.18%は利回りの変化率で、0.18ポイント上昇の意味ではありません(実際の上昇幅は約0.01ポイント)。今週は9月のCPI後に5.19%まで上がりましたが、AI株の下落で安全資産の米国債に資金が戻り、5.10%まで下がっています。FRBの12月利上げ観測が残る状況で、高い金利は成長株の評価を押し下げ、企業の借入負担も重くします。
  • VIX指数(20.02、前日比+21.52%) VIX指数は日中15.72から22.31まで動き、終値は節目とされる20を上回りました。前日比+21.52%は変化率で、約3.56ポイントの上昇です。始値16.02から急上昇しており、株価が崩れる局面で投資家の警戒が一気に強まったことが分かります。ただし、2008年や2020年のような40〜80の水準とは大きな開きがあります。
  • 金先物(4,187.70ドル、前日比+0.42%) 日中は4,167.50〜4,220.40ドルで推移し、小幅な上昇にとどまりました。株安でも金が大きく買われなかったのは、米長期金利が5%台と高く、利息のつかない金の魅力が高まりにくいためとみられます。純金は資産の5%程度をインフレ対策として持つのが私の考えで、日々の値動きに一喜一憂する必要はないと思います。

私の米国株ポートフォリオ 前日比+0.76%

前日比+0.76%と、保有する6本のETF・投信がそろって上昇しました。東証のETFは10/16の取引なので、実際に反映されているのは米国市場の10/15までの動きです。この日の急落は、次の営業日の価格に反映されることになります。上昇率はiFreeETF FANG+が+1.16%、MAXISナスダック100上場投信が+0.98%と、ハイテク寄りのETFが目立ちました。S&P500連動の3本は+0.46〜+0.67%、米国連続増配株ETFは+0.35%でした。足元の米国市場はAI関連の売りが続いており、来週の月曜日の価格には下落が反映される可能性があります。それでも、コロナショックのときも定期積立をやめなかった経験から、一日の値動きより長期の積み上げを大切にしています。

経済指標発表結果

  • 輸入物価指数・前月比(9月:+1.1%、予想+0.9%、前回+0.5%) 予想を上回り、前年比は+8.1%(前回+7.0%)まで上がりました。今週はCPI(消費者物価指数)が前年比3.7%、PPI(生産者物価指数)が前月比1.3%と、いずれも予想を上回っています。輸入段階の価格上昇は、時間をかけて消費者物価に波及しやすいため、FRBの12月利上げ観測を後押しする内容です。長期投資では、物価の高止まりが金利と株価の評価に与える影響を確認したいところです。
  • 鉱工業生産・前月比(9月:+0.7%、予想+0.4%、前回+0.1%) 工場や鉱山などの生産量を示す指標で、予想を大きく上回りました。前年比は+2.25%(前回+1.62%)です。景気の底堅さを示す一方、金利が高い中で生産が伸びていることは、FRBが利上げを急ぐ理由にもなり、株式にとっては喜びにくい強さです。この日は指標よりAI株の売りが優勢で、株価の反応は限定的でした。
  • 輸出価格・前月比(9月:+2.2%、予想+1.0%、前回+1.2%) 予想の2倍を超える上昇で、前年比は+11.6%(前回+9.3%)でした。原油などのエネルギー価格や、世界的な物価上昇が米国の輸出品の価格にも表れているとみられます。輸出価格の上昇は米国企業の売上高を押し上げる面がありますが、世界の需要を冷やすおそれもあります。ドル円は157.99円とほぼ横ばいで、為替への影響は限られました。
  • 設備稼働率(9月:76.9%、予想76.5%、前回76.4%) 工場などの設備がどれだけ使われているかを示す指標で、予想を上回りました。数字が上がるほど、需要が供給を上回り、物価が上がりやすくなります。稼働率が高い状態が続くと、企業は設備投資を増やしやすくなる反面、物価の押し上げ圧力も強まります。長期の視点では、AI向けの設備投資と合わせて動向を見ておきたい指標です。
  • 製造業生産・前月比(9月:+0.3%、予想+0.3%、前回-0.2%) 予想どおりの結果で、前月のマイナスからプラスに戻りました。鉱工業生産の上振れは、公益事業や鉱業の寄与が大きかった可能性があり、製造業だけを見ると伸びは穏やかです。生産の回復は続いていますが、勢いは強くありません。市場への影響は小さく、AI関連株の動きの方が相場を左右する一日でした。
  • ネット長期TICフロー(8月:2,792億ドル、予想752億ドル、前回-279億ドル) 海外の投資家が米国の株式や債券を買い越した金額を示す指標で、予想を大きく上回りました。対米財務省証券投資も1,089億ドルと、前回の-36億ドルから大きく増えています。海外勢による米国債の買い意欲が強かったことを示し、長期金利の上昇を抑える方向に働きます。ただし8月分の古いデータのため、今の相場への影響は限定的です。
  • 月次連邦財政収支(9月:-270億ドル、予想-347億ドル、前回-1,670億ドル) 政府の財政赤字は予想より小さく、前月から大きく縮小しました。9月は法人税や所得税の納付が重なる時期で、収支が改善しやすい月です。それでも赤字が続いていることには変わりなく、国債の発行が多い状況が、長期金利の高止まりの背景にあります。長期投資では、財政と金利の関係を継続して見ていきたいところです。

物価関連の指標が強く、FRBの12月利上げ観測が続きやすい内容でした。生産面も堅調で、景気の底堅さと物価の上振れが同時に出ています。株式市場は、この強さを利上げ懸念として受け止めやすく、AI関連株の売りと重なって下げを大きくしました。

主要銘柄の決算発表結果

 

  • TRV:Travelers Companies Inc.(金融) EPS(1株当たり利益)は9.18ドルで予想の7.25ドルを26.62%上回り、売上高も124.1億ドルと予想の113.1億ドルを9.73%上回りました。損害保険の大手で、利益の上振れ幅が大きい決算です。株価は通常取引で+1.47%の389.54ドル、時間外も+0.12%とわずかに上げています。市場全体が下げる中で、保険のようなディフェンシブな業種が評価されました。
  • TFC:Truist Financial Corp.(金融) EPSは1.42ドルで予想の1.14ドルを24.56%上回りました。売上高は37.5億ドルで、予想の53.5億ドルを29.91%下回る表示ですが、予想値の集計基準が異なる可能性があり、利益面の上振れが評価されたとみられます。株価は+1.07%の47.07ドルで、時間外は横ばいでした。地方銀行の収益が堅調なことを示す結果です。
  • MTB:M&T Bank Corp.(金融) EPSは5.08ドルで予想の4.93ドルを3.04%上回り、売上高は25.4億ドルとほぼ予想どおり(+0.40%)でした。上振れ幅が小さく、株価は通常取引で-1.54%の215.28ドル、時間外は-2.20%の210.54ドルと下げています。業績は悪くないものの、期待が高かったため、発表後は売りが出たとみられます。
  • CFG:Citizens Financial Group Inc.(金融) EPSは1.41ドルで予想の1.39ドルをわずかに上回り(+1.44%)、売上高は23.2億ドルと予想の23.4億ドルを0.85%下回りました。利益は小幅な上振れ、売上は小幅な未達と、ほぼ予想どおりの内容です。株価は-0.11%の63.36ドル、時間外は+0.05%と、市場の反応は限定的でした。
  • RF:Regions Financial Corp.(金融) EPSは0.73ドルで予想の0.66ドルを10.61%上回り、売上高は19.7億ドルと予想の19.9億ドルを1.01%下回りました。利益は大きく上振れ、売上はわずかに未達という組み合わせです。株価は+0.51%の27.45ドル、時間外も+0.15%とプラスを保ちました。地方銀行4社はすべてEPSが予想を上回る結果で、金融セクターの底堅さが目立ちます。

主な経済ニュース

  • 9月のCPIとPPIが予想を大きく上回る 9月の消費者物価指数は前年比3.7%(予想3.6%)、コアCPIは前月比0.3%(予想0.2%)でした。生産者物価指数は前月比1.3%(予想0.6%)、コアPPIは0.7%(予想0.3%)と、予想の約2倍の上昇です。小売売上高は前月比0.8%(予想0.3%)でしたが、価格上昇による金額の膨らみとの見方があります。物価の高止まりを受け、FRBが利上げを続けるとの警戒が強まっています。長期投資では、インフレと金利のバランスを確認したいところです。(Investing.com:10/16)
  • FRBは10月据え置き観測、12月の利上げ織り込みは74.3% CMEグループのデータでは、10月の会合で政策金利が据え置かれるとの見方が大勢で、利上げ確率は約15%です。一方で12月の利上げ確率は、1か月前の50.2%から74.3%に上昇しました。政策金利は現在3.75〜4.00%です。ウォーシュ議長は従来型の先行き指針を避けており、予想外の判断をする可能性も指摘されています。投資家は10/27〜28のFOMCに向けて身構えており、会合後の発言まで神経質な展開が続きそうです。(CTV News、CNBC:10/16)
  • CoreWeaveが急落、AI設備投資の資金調達に警戒 NVIDIA系のAIデータセンター運営会社CoreWeaveの株価は、この日も10〜14%下落しました。同社の債券は今週、利回りが15%を超える水準まで売られ、危機的な水準とされる価格に近づいています。AI投資は借入に支えられている部分が大きく、金利が高い局面では資金調達の難しさが株価に表れます。需要の強さと財務の健全性は別ものとして見ていきたいところです。(Bloomberg、ロイター:10/16)
  • 半導体株が8営業日連続で下落、2008年以来 Bloombergによれば、半導体株が8営業日連続で下げるのは2008年以来です。ロイターは、半導体指数の8営業日の下落率が2025年4月の「解放の日」関税ショック以来の大きさになると伝えています。Yahoo!Financeの半導体銘柄60社のうち57社が下落しました。AI向け投資の収益化が追いつくのかという疑問が背景にあり、市場の関心は需要から資金面に移っています。長期投資では、AI向け設備投資の採算性を見極めたいところです。(Bloomberg、ロイター、Yahoo!Finance:10/16)
  • ソフトウェア株から時価総額が約2,600億ドル消える Yahoo!Financeの集計では、ソフトウェア45銘柄のうち43銘柄が下落し、15銘柄は5%以上下げました。取引時間中の時価総額の減少は2,600億ドルを超え、Microsoftだけで約830億ドルです。ソフトウェア株ETFのIGVは約5%下落し、4月以来の大きな下げでした。Palantirは約7%下げ、10/9の最高値終値から10%超下がる調整局面の目安に迫りました。AIが既存のソフトを置き換えるとの警戒と資金不安が重なった動きです。(Yahoo!Finance:10/16)
  • サイバーセキュリティ株も売られる Palo Alto Networksが約7%、SentinelOneが約9%、Zscalerが約6%下落しました。セキュリティ株は10月初めに記録した最高値から調整が続いています。Palo Altoは直近の決算で売上高が前年比34.5%増の34.1億ドル、次世代セキュリティの年間契約収益は63%増と好調でした。業績が良くても、AI全体の資金調達への不安から売られる構図です。業績と株価が別方向に動く局面では、業績の中身を丁寧に確認したいところです。(24/7 Wall St.:10/16)
  • ホルムズ海峡で船舶への攻撃が続く ロイターによれば、10/14にシンガポール船籍のコンテナ船「GFS Pride」が海峡付近で沈没しました。イラン革命防衛隊は機雷に触れたと主張しましたが、米中央軍は、イランの飛翔体による攻撃だったと確認したと伝えられています。タンカーの運賃は過去最高水準に上がり、物流面の混乱も続いています。原油の供給不安が長引けば、インフレや金利を通じて株式市場にも影響が及びます。長期投資では、中東情勢による原油価格の動きを確認したいところです。(ロイター、ABC News、Trading Economics:10/16)
  • 原油は週間で大幅高、米在庫の減少も材料に WTI原油先物は10/15に3%超上昇し、10/16も+2.56%の98.97ドルまで上がりました。米国の原油在庫が約860万バレル減ったことが、ブレント(約105ドル)より米国産が強い背景です。週間ではWTIが約6%上昇しています。緊急の石油備蓄の追加放出が見込まれても、供給不安は打ち消せていません。ガソリン価格は全米平均で1ガロン4.33ドルと高く、家計の負担にもなっています。(EnergyNow、Coinpaper、CTV News:10/16)
  • 米ロのディーゼル合意で、ロシア産燃料の制裁を緩和 トランプ大統領は10/9、ロシアが30万トン超のディーゼルを供給すると発表しました。財務省はロシア産ディーゼルの取引を認める一般ライセンスを出しました。ウクライナのゼレンスキー大統領は批判し、専門家からは供給量が小さく効果は限られるとの声も出ています。エネルギー価格を下げたい政権の事情と、対ロシア制裁の方針が食い違う形です。地政学リスクが、物価と金利の動きを左右する時代になっていると感じます。(AP通信、ニューヨーク・タイムズ、ロイター:10/09)
  • 強いインフレ指標でも、長期金利は低下 消費者物価と生産者物価が予想を上回ったにもかかわらず、長期金利は今週低下しました。10年債利回りは10/14に5.19%と高水準でしたが、AI株の下落を受けて安全資産の米国債が買われ、10/16には5.10%まで下がっています。FRBが利上げを続けるとの見方は残っており、金利が下がったのは株安による資金移動の影響が大きいようです。株式と債券が同時に売られる局面ではなく、リスク回避の動きとして整理できます。長期投資では、金利水準そのものを確認したいところです。(CNBC、Yahoo!Finance:10/15)

経済指標発表予定

以下の経済指標が発表される予定です。

主要銘柄の決算発表予定

以下の主要銘柄の決算発表がなされる予定です。

おわりに

金曜日の急落で、週末の気分が少し重くなった方もいらっしゃるかもしれません。それでも、相場は下がる日もあれば上がる日もあり、私は毎朝こうして値動きを確かめながら、淡々と続けることを大切にしています。来週は10/19から決算発表が増え、10/20にはNetflixやGE Aerospaceが予定されています。10/27〜28にはFOMCも控えています。慌てず、ひとつずつ確認していきましょう。今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございます。こちらから応援いただけると嬉しいです。 それでは、今日も明るく元気に、笑顔で週末を過ごしましょう。

おことわり

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  • セクター別騰落率: finviz
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  • 決算発表結果/予定: investing.com日本語版
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  • 自分の米ドル建ポートフォリオ:  Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ

著者プロフィール

室井一夫(Kazuo Muroi) Muroi Universal Research on Investment LLC 代表社員 一級建築士・建築1級施工管理技士・工学修士 Facebookグループ「米国株_投資の部屋」管理人(約4.7万人)

米国株式市場と経済動向に関する情報を毎日発信しています。

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